冬の山は人が立ち入ることを拒むように春夏秋と違いガラリと環境を変えます。
山における天候の変化は夏の比ではなく、先ほどまで晴れていたと思えば、次の一瞬には雲が山を覆い雪を降らせ、強風が吹き荒れます。雪崩、滑落、ホワイトアウト、低体温症、凍傷、遭難など冬の山に登るのは危険を常にはらみ、多くの登山者は冬に活動を休止します。
しかし、そんな冬だからこその美しい山の姿があります。昔の人が神の棲む世界と畏怖された冬山は、今では正しい知識と装備があれば、誰でも登ることが可能です。
- コースタイムが短め(4時間以内)
- 雪崩が発生しない
- 冬でも登山者が多い
上記を踏まえて、雪山初心者が登るべき5つの山を選定しました。
初心者が登るべき5つの冬山5選
【長野】北横岳 ~ 北八ヶ岳ロープウェイで一気に2000mへ
雪山初心者の定番の一座です。
北横岳は長野県の八ヶ岳の一座であり、標高2480mの高峰でありながら、雪山初心者入門というのはいくつか理由があります。
- 北八ヶ岳ロープウェイが運行している
- 標高2200mからスタートできる
- 往復コースタイム90分
- ルート上に山小屋がある
- 冬でも多くの登山者が歩いている
- 晴天率が比較的高い
山頂からの展望は抜群で、八ヶ岳連峰、南アルプス、中央アルプス、北アルプス、浅間山日本の名だたる山々を見渡せます。
基本的にストックと軽アイゼンがあれば登れます。北横岳ヒュッテ山荘から山頂へ向けての急登は少し苦戦するかと思います。ロープウェイ山頂駅に広がる坪庭でスノーシューやクロスカントリーも楽しむことができます。雪山入門にふさわしい山です。
【長野】入笠山 ~ スキー場から楽々アクセス
入笠山は北横岳とほぼ同じ条件下にあり、雪山入門の山の一つです。
南アルプスの外れに位置し、ロープウェイ(富士パノラマリゾート)を利用して容易に山頂に到達することができます。北横岳より樹林帯が多めであるため、雪山の天敵である風の影響をあまり受けません。山頂の展望はよく、八ヶ岳と中央アルプスを眼前に眺めることができます。
夏には湿原が広がる空間は雪原となり、スノーシューを楽しめます。ちゃんと踏み跡を辿れば軽アイゼンで登ることができます。自分が行った時には犬ぞりをしている人がいました。冬でも営業している小屋(マナスル山荘)があるので安心です。
【長野】黒斑山 ~ 目の前には白プリンの浅間山
黒斑山は長野県と群馬県の県境にある浅間山の外輪山の一つです。
高峰高原の駐車場から周回して、コースタイムは3時間ほどです。
ほぼ、樹林帯歩きですが、奥まで進むと生クリームをデコレーションされたような浅間山本体と火口の展望が素晴らしいです。
外輪の更に奥にある蛇骨岳を目指すといいかもしれません。より展望が良いので。
【群馬】赤城山 ~ 凍結した沼と樹氷の森
赤城山は群馬県のシンボル的な山の一つです。市街地から近く、お手軽に雪山を楽しむことができます。最高峰の黒檜山と駒ヶ岳を周回するコースは夏でも人気ですが、冬もまた人気。3時間から4時間ほどのコースタイムもちょうどよい具合です。
ぐいっと急斜面を登るためアイゼンは必須、12本爪はギリギリ必要ないですが、持っていれば履いて行ったほうが吉。火口湖である大沼は全面凍結し、ワカサギ釣りが盛んです。その湖にある赤城神社の参拝も是非してみてください。群馬県民を苦しめる上州のからっ風の正体は、この赤城山から降り注ぐ赤城おろしのため風が強い日が多いようです。防寒はしっかり。
JR前橋駅から冬季登山バスが出ているので、公共交通機関のアクセス可能です。温泉にも立ち寄りが可能です。
【岐阜】西穂丸山 ~ 超危険!?と思い意外と行ける
北アルプスの冬山。
日本で屈指の高峰山岳地帯の北アルプス。厳冬期は登山家が挑むための山岳地帯に変わります。しかし、一般登山者が行ける山があります。
それが西穂高岳の丸山です。新穂高ロープウェイを利用し、樹林帯歩きを1時間ちょっと、冬期営業している西穂山荘に着きます。そこからは森林限界を10分ちょっと歩くと登頂です。晴れ間の少ない日本海側の北アルプスですが、天候に恵まれれば白銀の山脈を間近に展望することができます。
問題は山荘までの森林限界を越えてから、猛烈な風を浴びることになるかもしれません。
風が強ければ西穂山荘の名物であるラーメンを食べに行くだけでも満足するでしょう。
終わりに
自分は登山家でも山岳ガイドでもない一登山者であるため、初心者が楽しめる雪山をご紹介しただけに過ぎません。天候を見る能力や冬山装備についての研究は各自で行って安全を期した上で、雪山に出かけて下さい。クリアすべき課題は多いですが、一般登山者より多くの景色と感動に出会うことは間違いないはずです。
紹介した5つの山は雪山の定番中の定番です。登山雑誌には必ず紹介されている山です。
あくまで関東基準なので、中部地方、関西地方にも登れる山はたくさんあると思います。是非、今年は重い腰を上げて雪山に登ってみてはいかがでしょうか。
地図
春山登山の記事
高い山では雪山ですが、低山では春になり花が咲き始めています。雪山が天気が悪くてダメと言うときに大体で低山に訪れてみてはいかがでしょうか。
コメント
読みやすくまとめて下さり、ありがとうございます。
夢が広がります。
>ら・くか
むしろ見ていただき有り難うございます!
毎年、雪が降る2月から5月頃まで山に行けず休日をもてあましていて、今年とうとう雪山へ挑戦してみようかと思っていたところだったので、とっても為になりました!
年が明けたら北横岳に行ってみたいと思います。
上着はやっぱりゴアテックス等の雪山用を着て行かれてますか??
>ミコさん
コメントありがとうございます。
参考にしていただきありがとうございます。北横岳は初心者向け雪山ですので、是非天気のよい日を狙って登ってみてくださいね。
上着はゴアテックスでオールシーズンのレインウェアで行っています。商品名でいうとノースフェイスのクライムライトジャケットです。
基本的に余程の過酷な条件下でなければ、レインウェアで対応可能かと思います。
お久しぶりです。
今年はあまり登山に出ることが出来ていません。
黒斑山も行ったことがありますが、
基本的に軽アイゼンしか冬装備が無いので雪山は場所を選んでとなります。
WEBサイトを山専門にしました。
写真を色々載せられたら、と思っています。
>目黒武史さん
お久しぶりでございます。
関東の1000m前後の山であれば軽アイゼンで登れますね。
スノーシューなどをレンタルして楽しむ等できるので、是非行ってみてください。
WEBサイトは是非見させて頂こうと思っています。
ステルスマーケティングに見事にかかってたようで、雪山用品を買ってきてよく見たらポールとサーモスがまさにここに載っている物でした。
今年は雪山攻めてきます。
>rockwellさん
コメントありがとうございます。
雪山装備そろえましたか。
今度は雪山の報告待ってます!
今シーズンはお薦めの入笠山の他、安達太良山(くろがね小屋まで)、谷川岳、磐梯山に登ってきました。
黒斑山は計画してたけど天候不良で断念。来シーズンの雪山も今から楽しみなところです。
>rockwellさん
結構、本格的に行かれましたね。
磐梯山は冬も行けるか~@@
自分は今年は3つくらいしか雪山らしい雪山は行きませんでした。来シーズンは八ヶ岳あたり行きたいです。
八ヶ岳といえば赤岳鉱泉のアイスクライミングもやってみたいなぁ、なんて思ってます。
磐梯山は宿のおかみさんにはやたら心配されましたけどね。山頂付近はむしろ雪があった方が登りやすそうでした。
>rockwellさん
どんどん進化なされていますね@x@;
確かレンタルで登れるそうですね。自分は旅の一貫で登山をしているので、なかなかスポーツ要素には手が出せませんが、いずれ登山に飽きたら挑戦しようと思います。
磐梯山は開山日前日に行きましたが、山頂直下は藪がありました。確かに雪があると登りやすそうです。
とても読みやすく参考になりました。
ありがとうございます。
>山猫さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
登山を楽しんでくださいね!
冬季の山は危ないですね。登山すごいです。
私はできないです。
>aiueoさん
冬の山は確かに危険が付きまとうかもしれませんが、春、夏、秋でも十分危ないですからね。
怪我がないよう登山をしたいです。