【埼玉】秋の棒ノ折山 紅葉登山 ～ 赤や黄色の落ち葉の流れる白谷沢の旅

2013年12月3日

埼玉県と東京都にまたがる棒ノ折山ぼうのおれやまに行ってきました。標高は969mです。

都心からのアクセスが良く、展望の良い山頂、下山場所に温泉あり。三大登山の嬉しいポイントがそろっています。滝の中を歩いて行くかのような、沢沿いコースは、都内近郊ではかなり珍しいです。

多くの登山者から絶賛されている山です。

今回は平日休みを取得しました。

登山後に秩父で開催される「秩父夜祭」を見に行くためです。例年12月の1日から6日に開催される秩父夜祭は、3日が「大祭」となり、一番の盛り上がりを見せます。

「登山とお祭り」

そんな新しいコンセプトで、埼玉を旅してきました。

棒ノ折山(棒ノ嶺)ついて

地図

さわらびの湯を基点に、往路は名栗湖から白谷沢を登ります。下山は滝ノ平尾根でくだります。

棒ノ折山(棒ノ嶺) 登山

平日に休みを取得、レッドアロー号で飯能駅を目指す

平日の池袋の朝は早い。

埼玉県郊外より出勤してくるサラリーマンをかき分け、登山という遊興にでかけるアンチテーゼな自分。

秩父方面の登山でお世話になっているレッドアロー号。新幹線よりぐっと安い料金で乗れるので利用しています。

乗り慣れたレッドアロー号。

西武線ホーム内にあるドトールコーヒーでサンドイッチとアイスコーヒーを購入し、郊外へ向かう車窓を優雅に楽しむ。

レッドアロー号がスイッチバックする駅という認識していた飯能。初めて降り立ちました。

朝から営業していたミスタードーナツで、真剣に吟味しているSakuさんを発見。いつもは車を出してくれるSakuさんですが、今日は初めての電車での合流。その後に、マミさんとも合流。

名栗湖行きの路線バスでさわらびの湯

9時34分発の名栗湖行きバスに乗りました。

それより前にバスの便はありますが、夜祭までのスケジュールを考え時に無駄のない時刻選択です。

「ヤマノススメ」という登山アニメの舞台になっている飯能。

しっかりとアニメファンを取り込もうと宣伝に力を入れていました。しかし、アニメファンが登山をはじめる割合は低いのではないか。

地元の高齢者と学生がメインターゲットの山間部を走るバスが、このアニメラッピングは違和感を感じ得ないが、それが飯能市の選択なのだろう。

15時36分便で戻れば、夜祭の開始時刻に間に合います。

バスの停留所には道の駅があります。

それにしても平日にもかかわらずハイカーが多くてびっくり。サラリーマン人生を終えた年代の人が全てでしたが。

あれ？

桜が咲いています。

満開です。

十月桜という品種らしく、年に2度咲く桜です。しかし、タイトル通り10月に咲くらしいですが、12月に咲いているのは何故なんだぜ。

木株から赤い実を携えた植物がびっしり。なんだこれは。

12月に入ったとはいえ、標高の低い場所ではまだまだ紅葉が残っています。

バス停から行動を少し登り、有間ダムへ。

有間ダムのダム湖のことを名栗湖というらしい。ややこしい。有間ダムを表示する石碑が栗の形をしているのがニクい。

山の斜面が部分的に紅葉しています。

ダムの湖畔を歩き登山口を目指します。

ダムの水が静かに吸い込まれていくさまに宇宙を感じる（？）

12月でも紅葉が残る美しい白谷沢コース

小さく駐車場スペースがあるところが登山口。

関東ふれあいの道だったのか…。

だいぶ幅を利かせてるな。

序盤は背の高い杉が茂る林道です。

関東ふれあいの道に支配されているかのような看板。

地面にはえている紅葉が楽しめる林道。

沢が近づいてくると渓谷沿いのルートらしく、岩岩しくなってきました。

完全に紅葉は終わっている時期だと思っていたのですが、光が差し込むと黄色に紅葉した木が輝いています。

クリスマスの飾り付けもやたら目立つ。

登山道が白谷沢と合流し、沢登りルートが始まります。

沢と紅葉、2つを味わえる最良な時期にぶつかりました。

沢にそってジグザグに歩くルートは、アスレチック感覚で楽しいです。

棒ノ折山という山を全く知らないで来たSakuさんの評価としては「今までにないパターンでとても楽しい」

飛び石の上を歩くようなコースなので、防水性のある登山靴は必須かもしれません。

濡れている岩場で足が滑るので慎重さも必要。

ロープを使用して登る箇所も出てきます。

全身を使って楽しむルートはなかなかないですね。

岩に張り付く黄色いもみじ。風光明媚とはこのことか。

沢ルートが思いのほか楽しく、タイムリミットがあるのも関わらず、きゃっきゃとはしゃぐ。平日の昼間に。

岩と水と落葉。

この次期を狙ってくるのが棒ノ嶺を訪れる最適な時期なのではないでしょうか。

ダイナミックに切り立った岩登り。

大冒険。

上流に行くと葉の種類が変わってきました。

巨石の間を進むコース。

名登山ルート百選なるものがあるなら、このコースを入れて間違いはないと思う。

30分ほどの沢コースの終わり。

上流に人工物があり、ちょっと残念。

舗装道とぶつかったところにベンチがありました。

ベンチより階段になっている登山道を進むと「岩茸石」がありました。周回ルートの分岐点でもあります。

まぁ、登るよね。

高さ4mはあるでしょうか。立派な岩です。

標高が上がると紅葉はほとんどなくなります。

岩茸石からゴンジリ峠までは急な階段で必至。

ゴンジリ峠から山頂へはなだらかな稜線歩き。

この時点で、少しタイムスケジュールが押していることに気づき焦る。

イロハカエデが見れたことは幸運だった。

なだらかな稜線歩きだったが、山頂直下はなかなかの傾斜で足が思うように進みません。

山頂は木がなく、空が広がります。

山頂は広く、都心部の展望が広がる

山頂は広々としていて、開放感があります。東側の展望がすぐれています。

昼食です。

サーモンとクリームチーズをのせたクラッカーでクリスマスムード。皿がなく、ビニール袋に並べるという残念な演出。

デザートはくまモン印のカスタードケーキで。

埼玉県が設置する看板は相変わらず立派です。

都心方面の眺めは秀逸で、カメラの画像だと霞んで見えるがスカイツリーを認識できました。

「都下数百万人の人々が今頃、ランチタイムを終えて午後の仕事をしているのか」

山頂ではやれるだけのことはやって、夜祭に向かうために下山を開始します。

サンタ帽を着用し、クリスマス気分ですか。

下山後はさわらびの湯へ

下山は岩茸石の分岐から尾根道をくだります。

沢沿いのルートと比べると単調な道なので、くだりで使用することをオススメします。

途中にある展望台。

なんだか崩れ落ちそうじゃねと近づいてみると、案の定立入禁止の看板が。

都心がくっきり。

今頃、デスクワークをしている人達は午後の睡魔と戦っている頃でしょう。

見どころらしい場所もないので、急ぎ足で下山します。

1時間ほどで下山してきました。

温泉に入る時間を確保するために急ぎ足だったので、参考にならないかと思います。

下山中は急ぎ足でなんともなかった人が、街まで降りてきたところですっ転んでましたが、オフレコと言われたので公開しません。

桜とすすきで春と秋の共演。不思議な光景である。

スタート地点までぐるりと周回してきました。周回コースがある山っていいですよね、ほんとに。

そして、下山地点に温泉があるのも良いです。

「さわらびの湯」

棒ノ折山登山の後の温泉は、百発百中ここではないでしょうか。クーポン券があるので、印刷して持って行きましょう。ぬかりはない。

内装が木造で非常に綺麗な温泉でした。

内湯と露天風呂があり、登山後の温泉施設としては文句なし。

バス停までは徒歩5分ほどの距離なので、時間調整でのんびり。

これから祭りへの体力を回復させておきます。

グッツも勢揃いしていました。

温泉正面には金魚が。

タイムロスなく、バスがやってきました。この無駄のなさ。

途中に小学生が乗ってきたので、ああそういう時間帯なんだと新鮮な気持ちになってみたり。

秩父夜祭

飯能駅からレッドアロー号で西武秩父駅へ

バスの中に財布を置き忘れるというハプニングを起こした人がいましたが、程なく見つかり滞り無く飯能駅へ戻ってきました。

埼玉の西にある飯能といえど、秩父と池袋のほぼ中間。秩父は遠いのです。再び、レッドアロー号に乗り込み秩父へ。

朝のレッドアロー号とは比較にならないほど混雑しており、3人バラバラに座ることでチケットが取れました。

秩父駅の改札は大渋滞。

駅前から賑わいを見せる秩父。ぼんぼりが点灯され、笛や太鼓の音が鳴り響きます。

冬の祭は初めての経験です。

例年、年の瀬に秩父に訪れることが多く、2012年に両神山、2011年に武甲山に登っています。

その時に秩父夜祭りのポスターを見ていて、いつか来てみたいなと思っていました。

平日なのにこの賑わい。

屋台もたくさん出店しています。

名物が多く、手を出したいところですが、今日のディナーは特別なので我慢我慢。

「あの日放送されたアニメの宣伝を埼玉は知っている」

店内は煙で充満、高砂ホルモンで肉祭り

「高砂ホルモン」

高砂ホルモンお花畑駅前 (御花畑/ホルモン)

★★★☆☆3.50 ■予算(夜):￥1,000～￥1,999

tabelog.com

登山と夜祭と同じくらい、いやそれ以上に楽しみにしていた、本日の夕食はホルモン焼きです。

店内は換気システムはなく、ホルモン焼きの放つ煙でモンモンとしています。地元の人が集うような店に旅情感があります。

夜祭中は予約を受け付けていませんでしたが、運良く10分ほど待って入店できました。

盛り合わせを注文。顔のニヤケがとどまることを知らない。

瓶ビールを頼み乾杯。

白モツ、タン、カシラなどの部位を炭火でどんどん焼いていきます。

登山の後に酒池肉林の宴は道楽の極地ではないでしょうか。

そして、今日は平日というポイントもプラスに働いている。

酒と米が異常なペース。

胃袋に急激な仕事量を与えますが、登山後の空腹なので進捗状況は常にオンスケで進みます。

全ての行程が無駄がなく、「全てがうまく行ったパターン」で事が進んだので、この宴会はとても充実した。

その後、仕事終わりにかけつけたむーみんさんと合流し、4人で忘年会となる。

よく覚えてないが相当量のホルモンとビールを消化した気がする。

そして、ホルモンを堪能した後は夜祭鑑賞です。花火も打ち上がり始めました。

冬の花火は音と空気が澄んでいるせいか綺麗に見えます。

打ち上がる場所が少しづつズレるので移動が大変です。

ホルモン焼き屋で燻されているので、ホルモン臭を体にまとわりつかせながら。

全てが完成された今日のプラン。

花火大会を申し分なく楽しんでいる。

人出がすごくて見難いのですが、山車も登場です。

提灯を付けけた山車が夜の秩父を彩ります。

地元の人は屋上にあがり鑑賞していたりして、街全体が祭りムード。

方向転換が見どころで、山車がグルッと回転すると歓声が上がります。

花火をみたり山車をみたり、忙しい。

これだけ大規模の祭を見るのは久しぶりで感動しました。

両神山を訪れた時に、登山口にいた住人が「一年を夜祭のために働いて、一ヶ月分の給料を使ったもんだよ」と言っていたことを理解できました。

地域の人が作り上げる祭を、土地のものでない人間が楽しめるのは素晴らしいことですね。

秩父線は祭のために一部を運休させ、そこを山車が通る場所もあります。

22時台の終電が近づいてきたので、帰路につきます。最後、駅前にて名残惜しく花火を眺める。

まだまだ祭は続くようですが、これから先は秩父の住民だけの時間なのでしょう。

夜祭期間の6日間の工程を終えれば、祭の参加者は夜通しで宴をするんでしょう…。そういう暮らしが羨ましいと思ったり。

ホルモン焼き屋で完全に燻された臭いを携え、残業を終えたサラリーマンを縫うように家路に着きました。

棒ノ折山の登山を終えて

単純な登山で終わりにしないという一つの分岐点がこの登山にありました。

平日に登山を楽しみ、温泉で疲れを癒やし、新鮮なホルモン焼きを食べ、花火を見て、夜祭を愉しむ。

今回のプランは登山をしなければ思いつかない発想で、登山後に街を訪れて情報を得ていなかったら組み合わせることは不可能でした。

これ以上に贅沢な有給の取り方をした人はいるんでしょうかね。

棒ノ折山は都内近郊でちょっとした沢登り気分が味わえる登山コースです。電車とバスでアクセスもよく、周回コースを備え、登山拠点に温泉があります。

約束された充実感を与えてくれるはずです。訪れるベストシーズンは、新緑の季節か晩秋でしょう。

酔狂な人は自分たちと同様に登山と夜祭を一緒に楽しんでみては如何でしょうか。今年（2014年）の秩父夜祭の大祭が開かれる12月3日は平日です。

棒ノ折山の地図