「この小さい街が世界の全てだった」
1986年公開映画「スタンド・バイ・ミー」の冒頭で語られるナレーションの一節です。
赤ん坊の頃はベットの中、幼稚園に入ると自宅の部屋と庭先、小学校低学年では自宅の周辺近所。小学校高学年になると自転車に乗って、少し遠くの店まで買い物に行くようになります。家族や学校の旅行で遠くへ行くことはありますが、自分だけでそれこそ他県へ行くなんてことは中学生または高校生になってからの人がほとんどだと思います。
自分の足で行ける場所だけが「世界の全て」でした。
島国日本は北海道、本州、四国、九州と大きく4つに海で分断されています。
登山をしていれば、遠方の山に登ってみたくなるのは必然です。東京に住む自分は東日本の山を中心に登っていますが、海を越えての登山は今まで経験がありませんでした。
5月の大型連休、新しい土地への登山として、九州の山に旅立つことにしました。
4泊5日の長い登山の旅、今回は初日の移動日をお送りします。
GW後半初日の東京駅は人で溢れ返っていました。正月以来の国民大移動デイというわけです。
そんな東京駅にあるラーメンストリートにやってきました。
九州に旅立つ前に食べておかなければいけないものがあります。
それは醤油ラーメンです。
「麺や 七彩」
噂では九州においてはラーメン即ちとんこつラーメンであり、醤油ラーメンは存在しないということでした。長い旅路(4泊)を前に関東の味を下に留めておきたい、そんな儚い思いから「喜多方ラーメン」を食べにきました。
「喜多方って関東だっけ?」
という疑問はひとまず置き、あっさりした醤油ラーメンはとても美味しかったです。本場の喜多方ラーメンかと言われると違うような気もしますが。
ラーメンでおなかを満たした後は空港へ向かいます。
東京駅の八重洲口から成田空港行きのバス(京成高速バス)に乗ります。お値段は900円と都心から成田に向かう交通機関の中で最安です。
10年以上ぶりの成田空港。
バスの中で身分証チェックのために空港管理局員が検査しに来たときは、お尻の中に仕込んだブツがばれたのかと冷や冷やしました。
ここで、5月3日から5月6日まで4泊5日の行程を紹介します。
6日は平日で、休みを1日取得しました。
4泊5日の行程で、大分県、熊本県、宮崎県の3県を巡り、「九重山(くじゅうさん)」、「阿蘇山(あそさん)」、「祖母山(そぼさん)」、「由布岳(ゆふだけ)」の4つの山を登りました。山に登るのだけではなく、温泉を堪能し、観光も絡め、食事も堪能しました。
九重山
九州を代表する火山群の一つ。九州本土の最高峰である中岳(1791m)があります。自分は山を登るようになってから存在を知りましたが、九州で知らない人はいない連山です。
阿蘇山
九州そして日本もしくは世界を代表する活火山。現在でも火山活動があり、それと同時にカルデラは九州最大の観光名所でもあります。
祖母山
上記二つの火山と違い原生林の緑が茂る山。大分県、熊本県、宮崎県の3県にまたがり、高千穂峡などに近い宮崎県の山深い場所にあります。
由布岳
大分県の由布院にある独立峰。豊後富士(ぶんごふじ)と呼ばれ、大分県にとってはシンボル的な山です。
今回の山三昧の酔狂な旅に同行してくれる二人と合流しました。
フライトをGW初日の午後にしたのは、単純に午前中に比べ安かったからです。大型連休ともなると通常運賃の3倍になるので、苦肉の策です。それにともなって、1日休みを付けたのも安かったからです。
格安航空会社のジェットスターを利用して、GWの九州往復で航空券が3万円を切ったのは経済的にとても優しい。
久しぶりの空港で探検が止まらない。
九州にはそれぞれの県に空港がありますが、今回利用するのは大分空港です。
テレビ局のインタビューを受けるんじゃないかとそわそわしました。
実際インタビューを受けたとしても「九州に行って、九重山や阿蘇山に登ります!」という内容は、編集される前にデータ物理削除されることでしょう。
搭乗ギリギリまで、お土産屋と展望デッキをうろついていました。
手荷物検査。
九州にインスタントラーメン醤油味の粉末を持ち込もうとすると別室に連れて行かれるらしい。
売店を物色。
とかそんなしてる暇はなかったようで、搭乗アナウンスがあり、急いで移動。
ジェットスターは乗り場が離れているためバスに乗って移動します。
久しぶりの飛行機で緊張します。
土足でOKです。
窓際の席ですが、翼が邪魔でした。ぐぬぬ。
16時45分離陸。
千葉の海岸線が見えてきました。
お土産屋で買ったザク豆腐。枝豆風味。
離陸してしばらくすると雲の中に浮かぶ残雪の白い山脈が見えました。
GW後半の北アルプスなど信州方面の天候は4月時点の予想に反して荒れ、遭難者を出したようですね。GW前半は良く、後半はグダグダと天気が悪くなっていったので気が気ではなかった。
しばらく平野部が続いていましたが、少し目立つ山を見つけました。鳥取の大山(だいせん)でしょうか。
夕陽に染まる海が美しい。
瀬戸内海上空を飛びます。
本日は宿に泊まらず、登山口にて車中泊の予定です。飛行機内で寝ておけばいいものを…。
そして、フライトから1時間30分ちょっと。九州が見えてきました。
奥に見える山は鶴見岳と由布岳だと思われる山塊。
18時35分大分空港。
ようこそ!おんせんおおいた。
受託荷物が流れてくるのを待っていたら寿司が流れてきたぜ。
予約していたレンタカー屋に送迎してもらいました。
東京は暑かったのですけど、大分空港も夕方とはいえ半袖にシャツを羽織るくらいでちょうどいい暖かさ。
瀬戸内海のドライブを楽しみにしていたが真っ暗で何も見えず、車通りが激しい国道10号線を走ると別府タワーが見えてきました。
空港から車を走らせ別府にやってきました。
別府といえば瀬戸内海に面する温泉街で、さながら関東で言うところの熱海といった雰囲気のある街です。
「竹瓦小路」
竹瓦温泉までの70mをむすぶ商店街は、日本最古のアーケードです。大正時代に造られたのだとか。
木で編まれた外灯に情緒があります。
「竹瓦温泉」
別府を象徴とする共同温泉です。重厚感のあるレトロな建物です。ちなみにこの建物の写真だけを切り取るとノスタルジックな場所と思いがちですが、周囲はピンクや紫の怪しいネオン輝く大人の店が集合していたりします。
入浴料は100円です。
ただ、設備は湯船だけなので、現代っ子のお風呂好きには嫌煙されるかもしれません。
有名な砂蒸し風呂も体験できます。
時間的にやりませんでした。
近代化産業遺産に指定されているようです。
温泉後は食事をすべく、別府の中心地へ。
女性二人と歩いているから客引きされませんでしたが、歌舞伎町並みのしつこさがありますわ。
「山は富士 海は瀬戸内 湯は別府」
富士と言っているのは富士山のことなのでしょうか。それとも豊後富士と呼ばれる由布岳のことなのか。
20時過ぎを回っているので、商店街を歩いている人はまばら。ただ、お店の中はどこも賑わっている様子です。
1件の居酒屋に入りました。お酒飲まず、食事だけです。
さっそく大分名物である、関サバの刺し身を頂きます。
「これ鯖なの?」と思うような脂が乗っていてとても美味しい。
大分名物である「とり天」そして「鳥の炭火焼」を頂く。
関さば、関あじは地元の人でも滅多に食べない高級品らしいが、とり天は日常的に食べるもの。それだけあって、何度食べても飽きない味です。
これは「冷や汁」。宮崎名物を先取りしておきます。
他にも色々食べて、初日から大分グルメを満喫です。これから登山口まで向かうドライブが待っているというのが憂鬱で仕方がない。
別府へは3日目にまた戻ってくることになっています。
大分県の別府市から熊本県の阿蘇市をむすぶ「やまなみハイウェイ」で、九重山の登山口まで移動します。日本百名道に選ばれているそうですが、夜中なので「くらやみハイウェイ」で景色もなにもあったもんじゃないです。
途中の由布院の道の駅は車中泊だらけで、駐車できるスペースを探すのに苦労するほど。
九重山の登山口である「牧の戸登山口」の駐車場に到着したのは深夜0時を回っていました。
外にでると無数の星が輝いていました。
「寒い…」
本州より温暖な九州ですが、標高1300mあるので、ダウンを着ていないと寒いです。日の出までの車中泊(仮眠に近い)のため寝袋もってきて本当に良かった。が、それは女性陣に貸したため、自分は寒くてほぼ寝れず朝を迎えることになるのでした。
というわけで、九重山の登山は次回になります!
0日目の移動
大分空港→別府市→九重山(牧ノ戸峠)
コメント
広島の頭上を飛んで、九州に飛んじゃったのね、
今年のゴールデンウィークに車中泊で九州へ行こうと計画中だったので、参考になります。まだ5月は、山中での車中泊は寒そうですね。別府SA辺りで野宿します。アリガト
>やま子さん
そうなんです。広島を飛び越えていました。
GWの九州は新緑も始まり、楽しいですよ!SAより道の駅のほうが温泉も近く、静かでいいかもしれませんよ。寝袋があれば山中でも可能です。
SAって、結構夜も騒がしいですよね。お薦めの道の駅で寝袋で猫一匹抱いてりゃ大丈夫ですね。久住花公園(?)も行ってみます。
>やま子さん
猫と旅するんですか・x・?
道の駅のほうが比較的静かですね。ただ、筑豊の荒くれものには気をつけたほうがいいらしいですよ。
猫は湯タンポの代わりにそこら辺歩いてる野良猫でもと、思ったんですが、朝起きたら顔が傷だらけになってそうなんで、やめときます。ああ 立派な温泉旅館に泊まれる旅がしたい(涙)