2015年8月24日
山形県の月山に行ってきました。標高は1984mです。
鶴岡市の弥陀ヶ原のある月山八合目から登り、月山山頂を目指しました。通常はアクセスのよい姥沢登山口が通常選ばれるルートですが、山頂を挟んで反対側のルートになります。信仰の名残や高層湿原など、より魅力の多いルートです。
過去2度ほど訪れている月山は、今回で3回目の訪問です。
夏と秋に訪れており、月山はお腹いっぱいと思っていましたが、今回歩いた弥陀ヶ原から登るルートは別の月山の姿を感じることが出来ました。
結論を言ってしまうと退屈することなく、初めての山を訪れる感覚で登ることが出来ました。
月山について
地図
山形県の鶴岡市側の月山八合目の往復コースです。
コースタイム
- 7:06月山八合目
- 8:55仏生池小屋
- 10:12~11:04月山
- 13:20月山八合目
行動時間は6時間14分でした。
アクセス
庄内交通:http://www.shonaikotsu.jp/tourism/harugo.html
月山八合目へは鶴岡駅から路線バスが出ています。
月山登山
鶴岡より月山八合目へ
山形県鶴岡駅前のビジネスホテルに宿泊し、月山へと向かいます。
車で鶴岡市の中心地より1時間で到着します。
東京方面から来ると月山を回り込むようにしなければならないため、姥沢登山口より1時間半は時間が掛かりそうです。
秋田県の大曲花火大会を鑑賞し、翌日は岩手県の盛岡市をぶらぶら、そして東北地方で天気が良さそうだった山形県の月山にむかうことになりました。本当だったら岩手山などに行くはずだった。
月山八合目に到着です。
駐車場は既に森林限界を越えていて、展望が素晴らしいです。米所である庄内平野の豊かな田園風景と日本海の海岸線が見えます。
奥に雲隠れしていますが、鳥海山が鎮座。
低い雲が広がっていますが、天候はまずまず。月曜日の平日ということもあり、駐車場はガラガラでした。
麓に感じる夏の熱気とは違い、からっとした冷たい風が流れています。秋が近づく、夏の終わりのセンチメンタル感。
日本海と庄内平野、鳥海山の豊かな風景
月山八合目(7:06)
ようこそ月山へ。
序盤は木道が整備されており非常に歩きやすい印象でした。
ハクサンフウロが咲いていました。
盛りはとっくに過ぎていますが、高山植物は健在でした。
月山八合目の登山口はとても卑怯です。
開始わずか5分でこの展望が広がります。
ノー樹林帯です。
ナナカマドの実が朱色に染まり始めていました。後1ヶ月も経てば、葉も赤く変化し、紅葉を楽しませてくれる。
アザミも咲いていました。
三田原参篭所(7:18)
登山口から10分ちょっとですが、御田原神社があります。月山山頂にある本宮まで行けない人にも同じようなご利益があるらしいです。
御田原神社:http://www.dewasanzan.jp/publics/index/79/
登山口よりわずか10分ですが、宿泊も可能なようです。自販機があるのが嬉しいところです。
正面には「なで兎」の大きな石像がありました。みんなが撫でるので、表面がつるつるになっています。
アゴを撫でておきました。
猫と同じように兎も喜ぶのかは僕は知りません。喜ばないようです(知人談)
祈祷、供養をしてもらえるようです。御朱印も頂けます。
「月に兎がいる」という伝承なのかなと思っていましたが、卯歳(うさぎどし)に月山大神(つきのみやまのおおかみ)が降臨されたことに由来するらしい。
登山口では雲に隠れていた鳥海山が姿を現しました。
山形県の庄内地方は月山と鳥海山に東北の2大巨頭の展望があり、かつ日本海を有し、景観が優れた地方だと思っています。
緩やかな傾斜を登る月山の登山道
鳥居をくぐって月山の登拝です。
緩やかに続く石段を登っていきます。
弥陀ヶ原周辺は観光客でも歩けるように整備されているようでした。
池塘(ちとう)が点在しており、空の色を映し出しています。
一番人が訪れる姥沢の登山口からでは、見られない風景が広がります。
月山山頂までは2時間30分の道のり。
草地に岩がごろんと敷かれている登山道で、傾斜はずっと緩やかに伸びています。無量坂と名がついています。
一緒した女子二人は東北の山は初めてで、森林限界の低さと歩きやすさで、すぐに月山を好きになっているようでした。
自分も初めての東北の山は月山でした。
開放感のある展望が続きますが、東側に登山道が伸びているため日本海が見えない。感覚的には霧ヶ峰や美ヶ原のトレッキングコースを歩いているようです。
8月下旬ともなると目立つ高山植物はありません。
月山を再度訪れるとすれば、ニッコウキスゲや高山植物最盛の7月上旬から中旬に来てみたいです。
仏生池小屋(8:55)
中間地点となる小屋が見えてきました。九合目になります。
仏生池小屋:http://bussyouike.travel.coocan.jp/
素朴な手作り感あふれるホームページです。こちらも宿泊可能な小屋です。
八合目から九合目までコースタイムは1時間40分と長いですが、傾斜がないため疲れはありませんでした。
気になったTシャツが売っていたのですがサイズ切れ。
営業小屋が道中に2軒もある。
仏生池。
この小屋は関東を朝出発したとし、最終バスで16時ごろに到着できる小屋だそうな。
9合目の小屋を過ぎたころから、東側の雲がぐんぐんと登ってきてしまいました。
初夏の花であるはずのハクサンイチゲが少しだけ残っていました。
行者返し。
今でこそ高原道路が通っていましたが、数十年前までは麓から登って来ていたわけで…。昔の人は凄いなと思います。
牧草地のような穏やかな風景が広がります。
今回利用した鶴岡側からの登山道は、地形に大きな特徴があります。尾根を挟んで、西側は等高線の間隔が狭く、東側が等高線の間隔が広いです。
以前、月山は横幅に広がる火山地質の楯状火山(アスピーテ)とされていたようですが、最近になって成層火山に分類されたようです。
ハワイのマウナケア山などは楯状火山で、日本にはあまりない火山の分類らしい。霧ヶ峰や八幡平とかも成層火山に分類されたとかなんとか。
月山の東側は牛が放牧されていてもおかしくない、広大な高層湿原地帯になっています。以前、登ったルートとはまるで印象が違う風景です。
山頂付近から広がる台地は月見ヶ原と名が付けられています。3回ともに日帰りですが、宿泊する価値が十分にある山だと思いました。
山頂直下なはずですが、ずっと緩やかな登りが続きます。姥沢登山口から登ると最後はかなり急な登りを強いられるので、こちらのルートは本当に優しさで溢れています。
穏やかな稜線が最後の最後まで続き、登山している感もないまま頂上に到着しました。
冷たい秋の風が吹く月山の山頂
月山山頂着(10:12)
月山山頂は奥宮になっており、写真撮影不可のため頂上小屋の前の看板が代替。
山頂には雲がのっぺりとかかった状態だったため、残念ながら展望はあまりよろしくありませんでした。
大曲花火大会をのために盛岡市のホームセンターで買った安物アウトドアチェアに座り、太陽待ちをしていみます。
山形市の方角は雲海に覆われていました。
始めてきたときは月見カレーやムーンウォークをしたりとはしゃいんだもんです。
全然雲が捌けてくれる気配がありません。残念ながら下山を開始します。
晴れに恵まれると月山山頂の奥宮、その背景に鳥海山のという素晴らしい展望が広がります。東北の山はそれぞれ距離が離れていますが、個性が強い。
下山も同じ道を引き返します。一部は木道が整備されていて、高山植物を保護しているようでした。チングルマの群生やニッコウキスゲの咲く時期に登りたいです。
内陸方面は雲海がどこまでも広がっていました。
山頂の展望こそ優れませんでしたが、少し下ると青空が広がります。うん、この天気は晴れで良いな。
再び、9合目の仏生池まで戻ってきました。
弥陀ヶ原まで降りてくると鳥海山は隠れて見えなくなってしまいましたが、高層湿原の緑豊かな風景が広がっています。
弥陀ヶ原を鳥瞰できるポイントは、鶴岡側のルートで一番の見どころだと思います。
13時30分 月山八合目
下山完了です。
レストハウスが営業していて、お土産や軽食を取ることが出来るようになっています。
帰り際に見つけた出羽三山のオブジェ。
出羽三山は広域な磐梯朝日国立公園に属しています。名称からピンときませんけど。
出羽三山の一つ羽黒山(はぐろやま)を観光した記事になります。
山の上は秋に変わろうとしているのに、麓まで降りてくるとひまわりが夏を彩っていました。
下山後は、「やまぶし温泉ゆぽか」に入りました。
日本海に沈む夕日、寂しさを感じる8月の終わり
温泉後は鶴岡駅前にある「フルーツショップ青森屋」に立ち寄りました。山形県と言えばフルーツ王国です。
果物販売と共にカフェが併設していて、山形ブランドの果物を使用したフルーツタルトやゼリーを買うことが出来ます。
- 庄内産「やよいひめ」のいちごみるくのタルト
- 「シャインマスカット」とやまきく農園「アンデスメロン」のタルト
- 山形さくらんぼ「佐藤錦」のタルト
上記のようなフルーツタルトを買い、帰りの車内で食べました。いずれも400円~500円ほどで、フルーツの甘みが強く新鮮、たいへん美味しかったです。余裕で5,6個食べられる。
Saku兄の「日本海側の回転寿司はうまい」という理論により、17時の開店待ちをしての食事。
ここは日本海側の山形県鶴岡で、今日中に関東に帰られないといけないという使命は頭の片隅に追いやられています。
鶴岡からの都内に帰るのに内陸を通るより、上信越道の方が混まないだろうということで、新潟県を経由して帰りました。
狙ったわけではありませんが、日の入りの時間帯に海沿いの国道7号線を走りました。新潟県の日本海側を走っている国道は「日本海夕日ライン」と名が付けられています。
新潟と秋田を結ぶ羽越本線と並走します。日本海の夕陽を眺めながら電車の旅とか心ときめくなあ。
道の駅「しゃりん夕陽のあつみふる里物産館」で夕陽が日本海に沈むのを眺めます。時間が限りなくないというのに…。
夕日の沈む時間帯になると街にアナウンスが流れていました。
8月の終わりに見る夕陽は胸に沁みます。
夏の曲と言えばアゲアゲなポップチューンが多いですが、井上陽水の「少年時代」を象徴とするような夏の終わりを切なげに歌う曲の方が多いように思います。
黒歴史写真。
エアコンの効いた部屋の中が好きですが、ひとたび外に出て、移り変わる夏を肌で実感すると「夏が終わっちゃうな」と心の中に棲んでいる何かが、否応なしに感傷のスイッチを入れます。
関東に住む人間からすると海に沈んでいく夕陽を見るには、遠方まで旅をしないと見ることが出来ないので、とても貴重な時間だと思います。
夕焼けに染まる日本海を眺めながら、上信越道に乗り、新潟県、群馬県、埼玉県を経て、東京また神奈川へと帰っていくのでした。
月山の登山を終えて
月山の弥陀ヶ原から登るコースは穏やかで本当に登りやすいコースでした。
今度は月山を登るとすれば、湯殿山から修験道の険しい道を歩き、山頂の小屋で宿泊、翌日は弥陀ヶ原へと降りる縦走ルートを考えています。
日帰りで比較的容易に登れますが、いくつもの表情を持っているので、時間をかけて、ルートを変えて、登るべき山だと思いました。
3度目なので簡略的に書こうと思いましたが、なんだか長くなってしまいました。
夏をギュッと詰め込み、夏の終わりを感じる旅でした。
コメント
お久しぶりです。相変わらず楽しく読ませてもらっています。
僕はVERYBLUEさんの記事がきっかけで、東北の山に興味を持つようになり、今年に入ってから、磐梯山、早池峰山に登ってきました。
そして僕が今一番登りたい山が、この月山です。穏やかな高層湿原に、山頂に鎮座する天空の神殿。できることであれば、今年中に行きたいです。
そんな僕は、先日足を骨折し、このハイシーズン前に戦線離脱を余儀なくされました。
仕方なく最近は、今まで登った山の記録で慣れないブログを書いてみたり・・・。
最近のVERYBLUEさんの記事は、より芸が細かくなられてて、笑わせてもらってます。
次の更新も楽しみです。
>szkさん
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
磐梯山は独立峰ながら退屈しない荒野の登山を楽しめ、早池峰山は蛇紋岩とハヤチネウスユキソウの山で、個性的な山ですね。
東北はそれぞれの特徴をもっているが魅力的です。
しかし、骨折されてしまったのですね…。
とても残念です。
カルシウムと小魚を毎日とって骨折前より丈夫になり、1日も早い回復を祈っております。
月山は本当に素晴らしい山です。庄内地方の雰囲気も素晴らしいので、是非行ってみて下さい。
すごい〜まるで私の為にあるような登山道ではないですか!
緩やかな登りで爽やかな山景色、あっと言う間の山頂到着…
本当ですか!と飛びつきたくなる情報です。(o^^o)
月山は前々から行きたかった山だけれど、このコースが一番ラク…もとい、一番気持ちよく登れそうなコースだと思いました。(^^)
山形は小野川とか蔵王とか温泉も沢山あるし温泉旅行も兼ねて登るのにぴったりですよね。
veryblueさんのブログは楽しいし参考になります。
ちなみに自分は先日、山梨県の日向山に登ってみました。
予想してたより大変だったけれど、山頂に着いた時は…☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
他の方たちも到着すると皆感嘆の声をあげていましたよ。(^^)
あんまり有名ではないみたいだけど、良い山ですよね。
また素敵な写真とブログ楽しみにしています!
コメントありがとうございます。
今回利用した登山道は山頂に着いた時「あれ?こんな緩いまま終わっていいの?」と思い、頭に疑問符が浮かびました。
展望も良く、樹林帯フリーで爽快です。
山形は内陸部と日本海側で距離が離れているので、どちらかにまとめたほうが良いかと思います。
クラゲで有名な加茂水族館など観光の名所ですねえ。
日向山はコースタイム短さのわりに特徴的な山ですね。
自分もまた行きたいと思っている山です。
またのコメントお待ちしております!!!!