2017年4月15日
神奈川県の天園ハイキングコースに行ってきました。標高は最高峰の太平山の159mです。
またの名を「鎌倉アルプス」と呼ばれていて、鎌倉の代表的なハイキングコースです。北鎌倉駅の建長寺からスタートし、鎌倉の外れにある瑞泉寺に至るコースです。道中では、鎌倉時代の面影を体感でき、石仏や切通しを見ることが出来ます。
登山ガイドブックの初心者コースとして記載されている鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)ですが、いろいろすっ飛ばして山を登ってきた自分にとって、訪れることになったのは登山を始めて数年が経ってからでした。行ったことのある登山者に聞くと「気軽に行けて、思いのほかよかったよ」という前評判を常々聞いていました。
日本史史上最も有名なキャッチフレーズ「いざ鎌倉」に則って、古都鎌倉の奥深い旅スタートです。
鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)について
地図
- 建長寺(北鎌倉駅)から瑞泉寺(鎌倉駅)に歩くコースが最もメジャー
- 散歩の感覚で行くと手痛い目に遭う、かと言って本格的な装備は不要
- 2時間30分から3時間のコースで、小さなアップダウンや簡単な鎖場あり
鎌倉市がハイキングコースの地図を掲載しています。
コースタイム
- 9:18建長寺
- 10:04半蔵坊
- 10:23勝上献
- 11:00太平山
- 11:24天園休憩所
- 12:25瑞泉寺
天園ハイキングコース
北鎌倉駅から桜舞う建長寺を拝観し、天園ハイキングコースへ
神奈川県にある鎌倉は東京駅から1時間と1000円以内で行ける観光地です。
他の観光地についてはさっぱりだけど、何故か鎌倉だけは詳しい女性が多いというのが独自の調査で明らかになっています。アクティブな見た目はしてないけど、鎌倉の話になると「小町通の〇〇の店で食べるケーキ美味しいよね」と、急に声のトーンが上がります。
そんなことはどうでもいいですが、横浜駅で横須賀線に乗り変えて「いざ鎌倉」です。
鎌倉アルプスの登山開始点となるのが、鎌倉駅の1つ手前にある北鎌倉駅です。
ターミナル駅となっている大船駅と神奈川一の観光スポットである鎌倉駅の中間にあるのにも関わらず、ローカル感が濃い相対式ホームです。紫陽花寺として有名な明月院(めいげついん)の最寄りのため、梅雨の時期に改札から出るのに行列ができる駅です。
駅の改札を抜けたら、鎌倉中心地に向けて側道を歩いて行きます。
鎌倉は道路事情が悪く、毎週のように混雑しています。観光するのには良いけど、住むにはストレスがたまりそう。
東京くらいに鎌倉は1軒1軒が小さい土地ですが、庭には季節の花が植えられているので、四季と暮らしていることが大きな違いでしょうか。4月中旬でしたが、桜はまだ盛りでした。
建長寺(9:18)
北鎌倉駅から10分少々歩くと天園ハイキングコースの入口がある建長寺に到着します。建長寺は臨済宗建長寺派の総本山です。
天園ハイキングコースを歩くにも拝観料300円を支払う必要があります。
入口に境内図があります。
正門から奥へと抜けた高台に天園ハイキングコースがあります。
正門近くで御朱印を貰うことが出来るで、いったん御朱印帳を預けました。
入口には桜並木があり、ピンクに花を咲かせていました。
少しだけ葉桜になりかけていて、風が少し強い日だったので桜吹雪になっていました。桜は満開より散り際が一番良いですね。
地面にはたくさんの花びらが積もり、ピンクの絨毯を作っていました。
花見を満喫していると御朱印が完成したので受け取りました。実に達筆です。
豆知識ですが、建長寺はけんちん汁の発祥の地だそうです。建長が訛り、「けんちん」になったのだとか…。全国の食べ物と思っていたけど、発祥が鎌倉だけあって、関西にはないらしいです。
前置きが長くなりましたが、参拝を終えて、天園ハイキングコースを目指します。
境内に公衆トイレがあるのですませておきましょう。エスケープすればあるかもしれませんが、基本的にコース中にトイレはありません。
境内に丁寧に看板が設置されていました。「半蔵坊」、「天園ハイキングコース」方面に向かいます
境内から外れて民家の路地裏を歩いて行きます。
道端には春の野草が生えています。茎の高さが30センチから50センチの紫色の花はショカッサイでしょうか…。
こちらはシャガです。
しばらく歩くと再び境内になり、半蔵坊道と呼ばれる一本道を歩いて行きます。両サイドが桜並木になっていました。
鳥居をくぐると奥に長い石段がありました。
「半僧坊大権現」と書かれた幟が風になびいています。
後醍醐天皇の皇子「無文元選禅師」(むもんげんせんぜんじ)が開いた方広寺(静岡県浜松市)が半僧坊の本元
旅行会社で組まれた鎌倉満喫パッケージツアーでは絶対にチョイスされることはなさそうです。石段を登り切るのに人を選びそう。
シャクナゲが咲いていました。
山で見かけるのは6月くらいですが、平坦なところで見ると「あれ?もう咲いてるのか」と、時期の感覚がおかしくなります。
登っていくと斜面に築かれた庭園に天狗の像がいくつも設置されていました。高尾山と同じく、天狗信仰があるようです。
半蔵坊(10:04)
半蔵坊大権現の境内に到着です。
境内には富士見台があり富士山を眺めることができます。
鎌倉の市街地は周囲を山で囲まれているため、江ノ島の方に行かないと見れませんから、鎌倉の貴重な富士山ビュースポットでしょうか。
実際は春の霞により、富士山のシルエットもわかりませんでした。残念。
相模湾の見晴台もありますが、こちらも同様に見えません。天園ハイキングコースでは一番の展望スポットなのに…。
展望がないのは信仰心が足りないのではという気分になり、数珠を購入してしまいそうになりました。鎌倉半蔵坊せんべいは少し買うかどうか悩みました。
半蔵坊の奥に天園ハイキングコースの入口があります。ここが参拝客と登山者の分水嶺。
手すりや石段が点々とし、道も細くなり、登山道に変わりました。鎌倉ということで、ビーチサンダルの人は速やかに引き返しましょう。
勝上献(10:23)
半蔵坊から少し登ると勝上献と名がつけられた展望台がありました。建長寺の裏山の山頂になるのかな?
富士山も眺められるようですが、本日は海側の展望だけ恵まれていました。
奥に広がる相模湾、そして鎌倉の市街地です。
鎌倉幕府が築かれた土地、周囲を海と山に囲まれた地形というのがよくわかります。歴史に想いを馳せるロマンあるコースです。
いよいよ、本格的に天園ハイキングコースに入っていきます。巨岩を登ったり、降りたり、「ハイキング」のカテゴリーに属しているのか疑問に思えます。
雨上がりは土が泥になり、岩が滑りやすく、難易度が相当上がりそうな道です。
都心からアクセスが良く、さすがは鎌倉、多くのハイカーが歩いています。高尾山よりちゃんとした装備をしている人が多い印象です。
天園ハイキングコースでは道中に石碑や仏像など、様々な史跡が見られます。勝上献から5分の十王岩は、「かながわの景勝50選」に指定されていました。
陣馬山も指定されていました。かながわの景勝50選は山歩きをしていると結構出くわすようです。十王岩からは眺めが良いですが、それ以上に山桜が楽しませてくれます。
新緑萌える森の中は、桜吹雪が舞い、道を桜の花びらが彩ります。
しばらく歩いているとなにやら洞窟があるじゃないですか。
内部を覗くと…。
「こわぁ…」
首のない仏像が置かれていました。タイのアユタヤ遺跡のように文化狩り的な背景があるのかと調べてみると、鎌倉の博徒が仏像の首を持っていくと運気が上がるというジンクスで無くなっているらしい。いつの時代もクズはいるんですね。
全部が全部刈られているわけではなく、破壊されていない仏像もあります。
天園ハイキングコースの危険スポットいです。ロープが張られていました。
石がうまい具合に階段状になっているので、そこまで必要としませんけど。角の部分が綺麗に磨かれているのは、ハイキングコースを手入れしている人のおかげでしょうか。
登山道は樹林に覆われ、日陰の部分がほとんどなので苔が蒸している場所もあり、苔萌えの人にとっても良いスポットです。
地層を間近で見ることが出来たりと、その筋(どの筋?)の人にとっては嬉しい道かも知れません。
覚園寺の分岐に差し掛かりました。さらに奥へと進んでいきます。
植生は千葉から伊豆にかけて、海沿いの山にあるように、常緑樹が多く、緑の色が非常に濃いです。
巨岩をくり抜いて作られた場所もあります。つるつる滑るので慎重に歩きます。
天園ハイキングコースは森の中を歩くだけかと思っていましたが、最初から最後まで山桜が咲いています。散り始めの一番いい時期でした。
緩やかな登り、下りが続く道で、「おやっ、少し登らせてくるな?」と思うようになれば、山頂はもうすぐそこです。
鎌倉市の最高地点、大平山の山頂はゴルフ場と併設
太平山(11:00)
天園ハイキングコースのピークである大平山に到着です。
大平山の山頂からは海側ではなく、北東側、横浜の中心地の方角に展望が広がっていました。
そして、山頂の左側にはゴルフ場(鎌倉カントリークラブ)があります。歴史のあるお寺、木洩れ日挿す小路、鎌倉の奥ゆかしい雰囲気はなんだったのか…。
てか、鎌倉にゴルフ場があるなんて知りませんでした。
クラブハウスからアナウンスと音楽が聴こえてきますが山頂は山頂です。マジックで手書きされた看板は、実に味があるじゃないですか…。
そして、なんと!?大平山の山頂は鎌倉市最高地点です。最高地点だったら、目立つように鎌倉市が立派な看板を作ったらいいのではと思うのは自分だけじゃないはず。
山頂から降りると広場になっていて、日向を避けるようにハイカーがそれぞれ食事をとっていました。海沿いということもあり、食事を狙ってくるトンビの強襲には注意が必要です。
山頂には巨大な山桜の木が一本あり、青空に白い花を咲かせていました。
自前の食事は用意してこなかったので、広場では休憩せずに先に進みました。隣はゴルフ場なので、「パカッ」とボールを打つ音が響いています。
おや?
横浜市の最高地点を示す看板がありました。日本有数の大都市の最高地点は「太平山の尾根沿いのこの付近」と、非常にあっさりしていました。
横浜市の最高地点からは鎌倉の市街地がより近くに見え、稲村ヶ崎がよくわかります。
サザンオールスターズの桑田佳祐が監督した「稲村ジェーン」の舞台。サーフシティを名乗るのにはこじんまりとしている鎌倉ですが、半裸のおじさんが自転車にボードを括り付けて、走ってるのを見かけると別の土地に来たなという感じがあります。
道中はツツジが開花を始めていてました。
山頂からしばらく真っ直ぐ進んでいくと、大山豆腐の幟が見えました。
そこから、シャガがびっしりと咲いた坂道をくだります。
天園休憩所(11:24)
天園ハイキングコースで唯一営業する「天園休憩所」に到着です。70歳を越えていそうな夫婦二人で経営されているこじんまりとした売店です。
看板猫なのか茶色い猫がじっと見守っていました。
動じない猫。
春の限定メニューらしい、朝採れ竹の子の刺身を頂けます。800円~900円だったかな?酢醤油と味噌の2種類のタレがつきます。
後からやってくる登山者は、既に食べてる人のを見て、「珍しいものがあるな」という感じで次々に注文が入っていました。
森林浴しながら食べる新鮮な竹の子の刺身は、美味しいに決まっています。
瑞々しさと甘さ、噛みしめると香る清涼感があります。鍋割山の鍋焼きうどん、燕岳のスイカと名物登山メニューが数々存在しますが、天園ハイキングコースの竹の子はその一角に入ってもいいですね。
竹の子だけでは物足りなかったので、味噌おでんも注文しました。こちらの味噌も手作りらしく美味しいです。
猫が食べてるキャットフードよりカロリー低そうなメニューでした。
大満足な春の味覚を堪能し、先へと進みます。
天園休憩所の周辺は竹林になっています。竹の子の群生地ですね。
瑞泉寺の方に進んでいきます。
金沢八景・文庫方面の表示があったけど、さすがに遠すぎではないだろうか…。
木の根に足を取られて何度か転びそうになりました。
瑞泉寺まであと400m、終わりが見えてきました。だいぶ端折って書いていますが、結構長く感じる道です。
民家のフェンスが出てきました。
天園ハイキングコースを歩き切りました。建長寺を出発してからちょうど3時間でした。
名勝に指定される四季折々の庭園、瑞泉寺の拝観
下山した登山口からすぐのところに瑞泉寺があります。
折角なので拝観していくことにしました。拝観料は大人200円です。
ハイキングコースを歩き切った、後に石段は厳しい。瑞泉寺の境内は広大で、本堂まで距離があります。
瑞泉寺は臨済宗円覚寺派のお寺で、1327年に創建されています。
本堂に派手さはないですが、名勝に指定されている庭園は見事でした。季節ごとの花が植えられていて、四季折々の風景が楽しめます。
鎌倉の市街地から離れた場所にあり、静かな拝観ができました。
夢窓疎石による岩盤を削って作られた禅宗様庭園が見所です。自然の中に石組で禅宗の境地を表現しているようです。
瑞泉寺の拝観を終えて、鎌倉駅方面に向けて歩きます。
普通はバスや車で来るような僻地にあるため、徒歩で訪れようという人はなかなかの猛者でしょう。
鎌倉産の野菜が売られていました。
田畑がある土地だとは思っていなかったのでビックリです。
瑞泉寺から25分ほど歩き、鶴岡八幡宮までやってきました。鎌倉を観光したら誰しもが訪れる神社なので、当然ながら大混雑です。
自分自身何度か訪れていましたが、御朱印を頂くのは初めてです。
小町通の老舗店、キャラウェイのカレーライスを食べて帰宅
鎌倉アルプスのフィナーレを飾るのは、鎌倉の老舗カレー店の「キャラウェイ」です。
小町通りから一本入った路地にあり、常に行列が絶えない人気店です。以前、都心を襲った大雪の日にガラガラだろうと思って訪れたら、臨時休業していて、悲しみのあまり由比ヶ浜に飛び込みたくなった過去があります。
店内は昭和の色を濃く残していました。店内は奥行きがあり、座席数は結構ある印象でした。
鎌倉と言うドル箱観光地の一等地にありながら、1000円以下という価格設定は非常に嬉しいです。定番であろうビーフカレーを注文しました。
コーラというのは飲み方によって味が変わる。
業務用の製氷機で作られた氷にコーラーを注ぎ、輪切りのレモンが添えられると、それはまさに天使の雫と言い換えても良いではないだろうか。温泉を入った後に、ぐびっとする瓶コーラも同様。
私はカレーが好きだ。
独裁者によって食べ物は一種類しか食べることが許されない法律が成立したら、間違いなくカレーを選択する。それくらいカレーが好きだ。パッと見は欧風カレーのようですが、ドロドロに素材が溶け込んだ日本のカレーです。
牛肉がコンビーフのように溶けて正体が完全になくなっています。ご飯もそうですがルーも多く非常にボリューミーでした。天園休憩所ではカロリーゼロのたけのことこんにゃくを食べているので、実質カロリーはゼロですね。
満腹になった後は駅前にあるノースフェイスやパタゴニアの路面店を冷かして、鎌倉駅から東京に帰りました。
鎌倉アルプスの登山を終えて
鎌倉駅で聞きました。あなたは鎌倉に来た理由は?
観光が第1位は圧倒的に多いでしょう、海に行く人もいると思います。登山と回答する人は全体の0.何%なのか…。天園ハイキングコースはニッチな鎌倉の楽しみ方だと思います。標高200mもないアルプスの一つですが、寺社巡りや鎌倉観光によっては、大きく分岐してくれるコースでした。
鎌倉が最も人気の時期は紫陽花の咲く梅雨ですが、トレッキングするには暑いです。紅葉の時期も捨てがたいですが、桜の咲く4月上旬からGWにかけてがベストシーズンかと思います。何より朝採れの竹の子美味しいですし。
登山は計画を綿密に立て、電車やバスの時間を調べ、道具は何を持っていくべきかを考え…。その日を迎えるのに大きな労力が必要です。鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)は、前日に思いついて、そこまで早起きせずに歩ける貴重なコースです。
コメント
veryblueさん、今晩は。
ブログデザインが新しくなりましたね。
鎌倉アルプスの記事、拝見致しました。
春に行くには気持ち良さそうですね。
この時期は色々な花が楽しめますね。
それでもやはりテントを担いで高い山に行きたい、という思いが募ります。
今はモッコトレですこしづつ体力づくりしています。
また今シーズンも山行記事を楽しみにしてます。
あんでぃさん
デザインをリニューアルして再出発です。何かと忙しいので今までより薄く書こうと思っていたのに、あれもこれも写真を使いたいと欲が出て長くなってしまいました。
そろそろ本格登山シーズンですね。
最近、のんびり登る癖がついているので体力をつけないと乗り切れなさそうです…。
お互い良い旅が出来るといいですね。
最高地点やら最高峰が好きな僕からすれば、2つの最高地点を抑えることのできるこのコースはよさげです。
くまさん
何かと絶頂が好きなあなたには良いかもしれませんね。今度は秋に行こうと思います。
お久しぶりです。Veryblueさん
いつも写真がキレイですね。
お花とか、御朱印帳とか、女子力高いですね。
ゴルフ場に向かって「ヘタクソオー」って叫んでみては?
後のことは知りませんけど……
>やま子さん
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
御朱印は旅の記念として集め始めました。せっかく、各地の神社に行くし、山頂でしか貰えないというのもあるので…。
そういえば、ゴルフやってみたいんですよね。登山以上にはまったら、危ない趣味ですよね(金銭的に)