2015年9月17日
北海道の阿寒富士に行ってきました。標高は1476mです。
雌阿寒岳に隣接している山で、綺麗な円錐状の形であるため、そのまま「阿寒富士」と名付けられています。
日本一早い紅葉が見たいということで、北海道の大雪山をメインディッシュに3泊4日の行程で秋の北海道を旅してきました。
早朝に千歳空港に降り立ち、ギリギリ登山可能な山として阿寒富士を選びました。正しくは雌阿寒岳に登れなかったのですが、それは本編で。
秋の北海道の旅1日目のスタートです。
阿寒富士について
地図
オンネトー登山口より阿寒富士をピストンするコースです。
コースタイム
- 13:19オンネトー国設野営場
- 14:46七合目
- 15:49~16:43阿寒富士
- 17:51オンネトー国設野営場
行動時間は4時間32分でした。
阿寒富士 オンネトーコース
成田空港から新千歳空港、そしてオンネトーまでのドライブ
北海道への登山は3回目です。
1回目は大雪山、羅臼岳、斜里岳を登り、2回目は羊蹄山に登っています。というわけで、なんだかんだ慣れてきた北海道の旅です。
初日は阿寒富士というニッチな山なので、スピード感のある記事にします。
今回も移動を安上がりにするため、成田空港のLCCを利用です。
始発便なので、夜中に東京駅からバスに乗り、3時間ほどターミナルで時間をつぶしました。自分がアラブの石油王であれば、不便だらけのLCCなんて使いたくはありません。
貧乏旅行者向けにターミナルは早朝から店が営業しています。リンガーハットで餃子定食を注文しました。
早朝食べる餃子は美味しいです。
ああ、こういうシーンは登山記事に本当に要らないんですよッ!!!
高所得系ハイカーのSTRONGさんは、LCCになんて乗る必要はなかったのですが、貧乏な我々に合わせてくれました。
「貧乏ですまんな」と何回もなだめました。
8時に新千歳空港に到着、レンタカーを借りました。
空港周辺の道路を普通に洗車が通っていてビビる。
オンネトーをナビにセットして、千歳から道東自動車道に乗りました。
オンネトーまでは車で3時間20分、正午過ぎから登山開始可能です。LCCなんて使わないぜと言う方であれば、帯広空港利用が賢明です。
出張マイルでどこでも行ける系ハイカーSTRONGさんに何度も「稼ぎが少なく、すまない。」と謝りました。
帯広付近はいかにも北海道らしい牧草地帯が広がります。内地には雰囲気です。
「アルプスに片手で数えるほどしか行ってないけどアルプス通系ブロガー「レッドシュガー」さんが生まれ育った街か」というコメントをしたが、「札幌で食べる沖縄料理くらいに意味が分かんない」というやりとりがあったようななかったような。
基本的にずっと同じ景色が続くので、30分もすれば北海道の景色は飽きます。足寄で道東自動車は途切れ、国道を走りオンネトーを目指すことになります。
足寄は北海道が生んだスター松山千春の生まれ育った街で、車内BGMは「大空と大地の中で」になるのは当然のこと。
足寄を過ぎると店は無くなるので、買い出しをしておきます。
十勝地方を中心として展開するスーパー「fukuhara」は皆さんもご存知ですね。
収穫時期にあたるため、いろんな商品が安かった気がする。
交通安全の謎の人形。
足寄からは国道241号線で山の中に入ります。何もないです。
あれ、進行方向に雲が…。
雌阿寒岳登山口に到着です。
曇天。
そして、STRONGさんから告げられる衝撃の事実
「雌阿寒岳って登れないよ」
「えー!!!!」
そうなんです、雌阿寒岳は火山規制が掛かり登れないのです(2015年時点)
自分達の事前調べをしていないのは間抜けですが、それを登山口で教えるSTRONGさんの悪魔の所業。北海道くんだりまで登れない山まで来てしまったというショック、そして曇天という絶望的な二つの要素で、ゆうちゃんはどん底の顔をしていました。
天気が悪く、雌阿寒岳に登れず、気の乗らない阿寒富士登山
オンネトー国際野営場(13:19)
しかし、今更予定を変えても仕方がないということもあり、「隣の阿寒富士でも登るかー」と意気消沈ぎみにスタートしました。
幼稚園の看板みたいなポップなフォントです。
火山規制を促す看板がいっぱい立てかけられていました。
トリカブトが生えていました。
北海道らしい白樺の樹林帯です。
しばらくは樹林帯歩き。
1合目。
登山道は合目ごとに区切られています。
2合目。
3合目。
4合目。
特筆すべきこともなく、代り映えしない樹林帯が続きます。北海道まで来て奥多摩のような道を歩きたくないんだが。
五合目(14:14)
ようやく雌阿寒岳の5合目。北海道の山はだいたいコースタイム長めですが、雌阿寒岳は比較的短いんですよね。
5合目を過ぎると様子が変わり、背丈を越える松の中を歩きます。枝が登山道まで伸びているため、歩きにくい。
松を抜けると展望が広がります。
残念ながら進行方向の阿寒富士と思われる山は、雲に覆われていました。
6合目。
天候過敏とも呼べる症状を持つゆうちゃんは、北海道なんて自然くらいしか売りのないところから、すぐにでも帰りたそうにしていました。
山頂には分厚い雲が掛かっていましたが、それでも少しづつ、青空が広がってきました。
6合目を過ぎると火山らしい岩礫の登山道に変わります。
いつもニコニコ元気なSTRONGさんですが、LCCという低クラスな飛行機に乗ったせいか、足取りが鈍かった。
「俺達の稼ぎが足りないばかりにすまない…。」
七合目(14:46)
7合目の分岐に到着。
雌阿寒岳と阿寒富士の分岐点になっています。
「雌阿寒岳 封鎖されています」
阿寒富士もまた雲に封鎖されています。
というわけで、スーパーで買った北海道の庶民の味を堪能しようと思います。
甘納豆が入ったおこわ、サーモンの寿司、唐揚げ(ザンギ)、夕張メロン、ハムポテトサラダです。道民はポテトサラダをハムでサンドする食文化があるらしいです。
足を取られる岩礫の急登、そして天候の急変
ゆうちゃんは「もう帰ろうオーラ」をすごい出していましたが、折角来たんだし登ろうと説得し、阿寒富士の山頂を目指します。
阿寒富士は傾斜はかなりのもので、尚且つザレているので非常に歩きにくかったです。富士山の登山道を5度ほど傾けたという体感です。
蛇のようにくねくねした道で、全然進んでいる気になりません。
バックは雌阿寒岳ですが、こちらも分厚い雲に覆われていました。
「雲よドケー!!!!」と叫んでみたところ。
数秒後に雲が拡散する奇跡が起きた。
雌阿寒岳の奥の方まで雲がひいていき、隣接する阿寒富士だけ雲が取っ払われたようです。
そして、雲上の世界が広がります。
ヒャッホー。
空前絶後の逆転劇にゆうちゃんは掌を返すように気分が高まっていました。
豪快な雲の造形と初めてのブロッケン現象
阿寒富士着(15:49)
本来登る予定ではなかった阿寒富士でしたが、結果的に素晴らしい山だった。
阿寒富士より南側は釧路方面で、森の密度が濃い原野が広がっていました。
北海道には何だかんだ山ばかりになってしまうので、釧路湿原などの観光地に行けていないのが悩みです。
日が傾きつつあるので、影阿寒富士が出来ていました。
阿寒富士の奥は断崖絶壁になっており、噴火した当時そのままの姿を見ることが出来ます。
振り返ると雌阿寒岳が雲に飲み込まれていました。とてもとても、貴重な風景を見ている気がします。
雌阿寒岳がクリームたっぷりのケーキのようです。
ブロッケン現象が発生。
太陽などの光が背後からさしこみ、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、見る人の影の周りに、虹と似た光の輪となって現れる大気光学現象
登山歴5年目にして、初めて見ることが出来ました。自分には見れないと思っていました…。
神秘的な現象です。
ミニ四駆のフロントモーターでおなじみブロッケンGを使っていたので、ブロッケン現象がいつか見れるんじゃないかという願いが神様に通じました(?)
この登山日である9月17日は、自分の誕生日ということで、雌阿寒岳のバースデーケーキとブロッケン現象、山からの誕生日プレゼントでしょうか…。
STRONGさんは自分が誕生日だということを知っていたはずですが、プレゼントをくれませんでした。ゆうちゃんはタオル手ぬぐいをプレゼントしてくれました。
ゆうちゃんは持ってきた浮き輪(なぜ浮き輪を持ってきているかは割愛します)を装備し、雲海にダイブしていました。
登山開始から山頂直前まで、「普通に生活しているつもりだったが、自分はとっくの昔に亡くなっており、幽霊であることに気づいてしまったような顔」をしていたのです。
二度も見れることがないような雲の造形に鳥肌が立ちます。
雌阿寒岳に掛かっている雲が若干取れました。
火口から溢れる噴煙が登山道をふさいでいるのがわかります。あれは通行できませんわ…。
STRONGさんもLCCで連れてこられ不本意そうでしたが、阿寒富士から雌阿寒岳を望むこの圧倒的な自然の造形に何か心を打たれるものがあったようです。
でも、プレゼントはくれませんでした。
さて。
あかんでみかん
このためだけに東京からわざわざ持ってきましたが?
雲が取り払われるまで約5分の壮大な光景。
雌阿寒岳に登れないのは残念でしたが、この雲の圧倒的な躍動シーンに出会えたことは幸運なことだと思いました。
雌阿寒岳はまた登りに来れば良い。
というわけで、日没も迫っているので下山を開始します。
日没迫る下山とオンネトー
7合目まで降りてくると阿寒富士の全体の姿がハッキリとしています。
阿寒富士の山頂で薄っすらと雲を作っていました。
日が傾いてきたので急いで下山を開始します。真夜中に北海道の森の中を歩きたくありません…。ヒグマ怖いし。
雌阿寒岳周辺にはヒグマは少ないという情報もあります。
樹林帯を無我夢中で駆け降りて行きます。
オンネトー国際野営場(17:51)
ヘッドライドがギリギリ必要ない時間に降りることが出来ました。薄暗い樹林帯は不気味なまでに静かで、くま怖い少年のゆうちゃんはガタガタ震えていました。
山頂で遊びすぎなわけなんですが。
温泉に向かう途中にオンネトーの定番写真スポットに立ち寄りました。
名前はアイヌ語で「年老いた沼」あるいは「大きな沼」の意味
左が雌阿寒岳で、右が阿寒富士です。
雌阿寒岳にかかっていた雲は薄くなっていました。
野中温泉と阿寒湖温泉
雌阿寒岳を登山した人のほとんどが訪れるであろう野中温泉別館に立ち寄りました。
建物の外観は北海道にありがちな角ばった機能的なものですが、雌阿寒岳を含む火山がもたらす湯の泉質は一級品です。
日帰り入浴料金は350円とお安い。
大型犬が入口で眠っていました。山の中にある温泉宿らしく、ヒグマや野生動物のための番犬なのかな。
宿にある写真を見ると雌阿寒岳登山の案内をしてくれたりするようです。
建物の外観とは違って木造の風情のある内湯。
阿寒湖周辺も温泉はありますが、源泉感のある硫化水素がぷんぷん香る温泉を楽しむのであれば野中温泉でしょう。
露天風呂。妙に距離がある。
星空を見ながら、旅の疲れを癒しました。登山した時間は短いものの、成田空港に前日入りしたりと疲れる一日でした。
オンネトーから本日の宿がある阿寒湖温泉にやって来ました。
北海道の山中にある温泉街で、アイヌ文化の見学や体験ができる施設があります。19時30分過ぎですが、明かりが煌々としているのは同等有数の宿泊地だからこそ。
自分はここを訪れるのは3度目です。一回目は小学生の頃に家族旅行で、二回目は初めて北海道に登山で訪れた時に軽く立ち寄りました。
アイヌ族の木彫りの民芸品などが売られています。
阿寒湖で採れるマリモがやはり有名です。
アイヌ料理を出すお目当ての店がやっていなかったので、普通の喫茶店でカツカレーを食べた。
阿寒湖周辺はリゾート地なのですが、食べ物屋が今ひとつ足りない気がしました。もっと、山菜やジビエを推したアイヌ料理の店があってもいいような気がします。
普通の宿に素泊まりです。山水荘だったかな?
阿寒湖温泉に男2人、女1人という構成は高倉健主演の名作「幸せの黄色いハンカチ」を彷彿とさせます。武田鉄矢が桃井かおりを夜這いしたシーンがありました。ここで、STRONGさんを夜這いでもしようとすれば、翌朝の阿寒湖でマリモと一緒に人間が一人浮かび上がるでしょう。
セイコーマートで買った十勝産のワインを飲み眠りにつきました。
明日は早朝に起床し、大雪山の登山口がある層雲峡を目指します。
翌日の大雪山の記事です。
阿寒富士の登山を終えて
雌阿寒岳は火山規制で登れなかった、しかし、素晴らしい雌阿寒岳を見ることが出来た。雲で雌阿寒岳は見えなかった。
まとめると良くわからない思い出です。
雲が豪快に山を丸ごと飲み込んでいるシーンは鳥肌ものでした。時間が許すのであれば、後1時間、2時間は見ていられました。
初めてのブロッケン現象を見ることが出来、目的の雌阿寒岳に登れませんでしたが、とても印象に残る登山になったと思います。
次回、北海道に来るときは火山規制が解除された雌阿寒岳に登ろうと思います。
結局、記事長くなってしまった…。
雌阿寒岳の記事
この阿寒富士より3年後の2018年に今回登れなった雌阿寒岳に登りました。併せてご覧ください。
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