
2013年4月8日
群馬県と長野県にまたがる荒船山に行ってきました。標高は最高峰経塚山の1422mです。
「山に浮かぶ船」と形容されるこの山は、横に大きく広がった溶岩台地が船のような形をしています。頻繁に滑落事故が発生し、また、「クレヨンしんちゃん」の作者が亡くなったことでも知られています。

2つの海なし県に跨るこの山は、日本でも珍しいテーブルマウンテンです。春の嵐が抜けた平日の月曜日、強い風が荒れ狂う山の船旅スタートです。
荒船山について
地図

群馬県と長野県の県境にある内山峠の荒船山登山口から往復しました。
荒船山 日帰り登山
標高1070mの内山峠から荒船山登山スタート

今日は、有給を取得し、平日登山です。平日休みの登山仲間とともに、未明の都内を出発しました。

関越道から上信越道に乗り換え、下仁田ICで降りました。
群馬県の下仁田と言えば、ネギとこんにゃくが名産です。極太の下仁田ネギを鍋で煮込むと甘くて美味しいです。

西上州やまびこ街道を長野方面へ進むと、独特な形状の荒船山が姿を現しました。
前日の春の爆弾低気圧の影響で、風に飛ばされた木の枝が道に大量に散乱し、タイヤに巻き込まれてしまい、大変な思いをしました。

群馬県と長野県の県境、「内山峠」にある荒船山登山口駐車場に7時50分に到着しました。

4月に入ったとは言え、山の早朝の気温は10度を下回ります。寒さに震えながら準備を終えて、出発しました。

登山道入り口の看板の下に置かれていた謎の南国人形。
生まれる前の話ですが、ダッコちゃん人形って言うのが流行ったみたいですね。

切り立った山頂からは想像できない、平坦な登山道になっています。

進行方向を見上げると尖った稜線が目に入ります。まさかあんなところを登るんだろうか…。

昨晩降った雨が染み出してつららを作っていました。


急な斜面には階段が設置され、少し谷間になっているところには橋が架かっています。
しっかり整備された登山道で非常に歩きやすいです。

挟岩修験道跡に到着しました。

岩の隙間を水が流れているので、ちょっとした氷瀑みたいになっていました。

地面に生えている熊笹につららができていて、ちょっとした氷の芸術です。

「はっ!先端の鋭いこのツララを使えば凶器になる…。」
「氷はいずれ溶けて水になるため、凶器の証拠が残らない」
アガサ・クリスティーも真っ青の犯罪トリックを閃いてしまったのです。


悪魔が囁いた次の瞬間には、体が勝手に動いていました…。

…。
暗殺は失敗に終わりました。

さて、樹林の隙間から山頂の経塚山が見えてきました。
平たい山頂からぽこんとデベソのように盛りあがっています。

遠くから眺める荒船山はこのような形をしています。
経塚山が操船をする指揮所である艦橋(ブリッジ)にあたる部分に見えます。まるで何かに作られたような山容をしています。

快晴の空で樹林帯の続く山は勿体無い気がしましたが、冷気を纏った風が強すぎて逆に助かりました。
森林限界を簡単に越える山だととてもじゃないけど寒くて登れなかったと思います。


一杯水という水場に到着しました。

橋の下を水が流れていくはずなのに、反対側を見ても全く流れていない。どうやら落ち葉の下を流れているようだ。
と這いつくばって観察する二人。

一杯水を過ぎると溶岩で出来た壁のような場所を登ります。

急斜面が凍っていて登るのにかなり慎重を規しました。

山頂直下の急斜面を登りきるとレトロな看板が立てかけてありました。
謎のスポンサー「マツダランプ」とは一体?


山頂は遠くから展望する荒船山の姿通りで、平坦になっているため疲れることはありません。

木の開けている箇所の先は断崖絶壁です。

今までのアップダウンを繰り返す道はなんだったのか。
艫岩への道はなだらかです。

急斜面から15分程度で、荒船山の避難小屋とトイレを兼ねた東屋に到着しました。
死亡事故多発の艫岩展望台

そして、東屋からすぐのところには噂の艫岩があります。艫岩は200~300メートルの絶壁が続く巨岩です。

20畳ほどの広いスペースになっています、山の表示板が設置されています。

2013年時点では、転落防止用の柵などは設置されていません。
11日に家を出てから行方不明となっていた人気漫画「クレヨンしんちゃん」の作者臼井儀人さん(51)が登ったとみられる群馬・長野県境にある荒船山の艫岩(ともいわ)の下の岩場で19日午前、男性の遺体が見つかった。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20090920-545887.html
2009年のニュース記事です。
ただ、不思議なんですよ。柵が一切ないとは言え、自分の意思で覗き込もうとしないと、滑落する場所ではありません。なので、当初は自殺説などがありました。

覗き込もうとしたタイミングで、突風に煽られたんでしょうか。

艫岩からは荒船山から北の方角が開けていて、正面には浅間山が見えました。冬は山頂が真っ白に冠雪する浅間山ですが、4月になると雪はずいぶん溶けています。


艫岩はまた戻ってくるため、最高峰の経塚山へ向かいます。


艫岩から経塚山への道は近所の散歩コースのように平坦で、山頂を歩いている感じ全くがしません。この辺りは、6月に来ると、クリンソウが咲くらしいです。


黄色く枯れた隈笹の生い茂り、風に揺れさわさわと音を立てているのでとてものどかな気分です。

真っ直ぐ歩いていくと経塚山が樹林の先にぽっこり現れました。

最後の一踏ん張りです。
荒船山の最高峰、標高1422mの経塚山

荒船山の最高峰である経塚山に到着しました。
内山峠の駐車場を出発し、2時間半で到着しました。かなりのんびり歩いていたので実際はもっと早く来れるかと思います。山頂は樹林帯で、緑の茂る頃に来ると、展望はゼロっぽいですね。

山頂の看板は、ちょっと赤みが残っているものでしょうか…。かすれて何が書いてあるかわかりません。

その代わりに、たぶん地域の小さなコミュニティ高齢者グループが勝手に作ったと思われる看板だけがありました。

山頂に少しとどまっていると、おじさんおばさん達のツアーが登ってきて混雑し始めました。平日の月曜日だというのに…。

山頂を後にして、再び艫岩へ戻ります。

非難小屋にベンチがあるので、そこでお昼の準備に取り掛かりました。
本日はadaさんが何かと用意してきてくれました。

料理の方は女性二人に任せて、自分はふらふらと艫岩からの眺めを楽しみます。

荒船山から東側は、群馬県を代表する赤城山、妙義山、榛名山の上毛三山が見えます。
妙義山は山頂を踏んでいないので、また登りに行きたいと思っている山です。ただ危険度がとんでもないだろうしなー。
赤城山と榛名山はそれぞれ3月に登っているので、今度登るときは春か秋ですかね。


艫岩でひとり登山の計画を妄想していると、料理をさぼるんじゃないと言わんばかりにともみさんに注意され、ボコボコにされました。

伝説の右アッパーが炸裂。
浅間山の噴火のように勢いよく飛ばされました。

反省しました。

そんなともみさんは夜鍋をして、一口サイズのドーナッツを作ってきてくれました。
チョコレートが半分かかっていて芸が細かい。たこ焼きみたい。

adaさんが用意した食事はこちら。
クリームスパゲティ、王将の餃子、豚肉の味噌漬け焼き。美味しゅう御座いました。ただ、野菜っ気がひとつもないっていうのがなんというか。
風はある程度避けられたのですが、日陰はもの凄く寒く、震えながら食べました。

お昼を食べ終えて下山を開始します。

艫岩を横から見るとこんな感じです。この落差から落ちたら助からないわ…。


途中にあった氷瀑も正午を回る頃には溶け始めていました。

新緑はほとんど見れませんでしたが、少しづつ春の息吹は足元からはじまっているようです。

お昼に撮影にとだいぶ時間を使ったので、下山したのは14時20分でした。

荒船山の温泉は、下仁田にある「荒船の湯」が近いのですが、あいにく月曜日は休館日でした。なので、長野方面に移動し、佐久の「布施温泉」に立ち寄りました。

平日の夕方ということもあってか、温泉は地元のご老人達のコミュニティと化していました。入浴料は大人一人400円でした。安い。

この温泉施設の隣には遊具施設が充実した公園があります。
トロイの木馬型の展望台とローラー滑り台が一体になっている遊具もありなんだか豪華。


全力で遊びました。

4月になると陽がのびて、まだ明るいです。浅間山を眺めながら上信越道に乗りました。


都内ではすっかり散ってしまった桜ですが、群馬県の標高のそこそこある場所では、満開を迎えていました。
平日なので関越道の渋滞はなく、東京に到着しましたが、環八あたりで大渋滞に巻き込まれてしまいました。
荒船山の登山を終えて

荒船山は樹林帯が続き、展望は全く期待できない。遠くから眺める山だと周りから言われていました。
しかし、春の嵐が過ぎ去った快晴の中、艫岩からは素晴らしい景色を眺めることができました。強風が吹き荒れていましたが、荒船山の樹林帯のお陰で助かりました。これはうまく波に乗れたということでしょうか。

船旅をしに行きたいけれど、船酔いするから無理。そんなあなたにピッタリの山です。
その理屈はおかしい。
狙ってくるのは難しいと思いますが、雲海に浮かぶ荒船山なんか素敵じゃないでしょうか。
艫岩から崖っぷちを興味本位でのぞいて滑落しないよう気をつけてください!
コメント
その節はありがとうございます、とても楽しく登山できました^^
写真だと日向に見えますが、かなり寒かったですね。
VERYBLUEさんが崖っぷちに近づくのでハラハラしたものです。
帰りは運転を任せてグッスリでした。ごめんなさい。
おかげで事故にならずに済みました。
でも都内の運転は初めてでしたのね(;・ω・)
>adaさん

おかしいですよね環八走っていたら新宿に入っていたんですもの。
新宿南口付近を通過するときは、四方八方で車と人間が動いているので緊張しました。
今度はロープを持っていて崖っぷちをのぞきましょう!
また、機会がありましたらよろしくお願いします・x・b
はじめまして。
荒船山いいですね。いつか行ってみたいです。
(ぼっち登山なので遠征は腰が引けるんです。(笑))
マツダランプとは骨董品のような看板が残っているんですね。マツダランプは東芝の昔のブランド名です。
三ツ瀬までバスで行って日帰り弾丸登山でもしようかな(笑)。
>Tristan_72さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
荒船山は、樹林帯がずっと続くので真夏は避けて登るのが良さそうです。
風がないと地獄になりそう…。
マツダランプは東芝なんですね。昔はランプを作ってたんですか。一つ賢くなりました。
バス停はありますが、結構距離ありますね…。
崖から落ちないように気をつけて行ってきてください!
お久しぶりです。荒船山行ってきました。目的は、下仁田のあじさいでしたが興味のある山でしたので連れがちょっと、登ってからということで・・・今の季節は緑はきれいですが、葉が落ちる冬場の方がまだ景色は楽しめそうですね。あいにくの小雨まじりでもありましたが・・・
高所恐怖症の私には、断崖絶壁を覗き込む勇気もありませんでしたし、結構人気の山みたいですね。雷雨が来そうなので、11時頃には下山しましたが、今朝まで飲んでました、勢いで来ちゃいました,みたいな軽装の1人を含んだ男女5人ぐらいの若者が、登って行きましたがほんと山を軽くみるでないって感じですかね。
>もと山さん
久しぶりのコメントありがとうございます。
下仁田にあじさいの名所があるんですね。メモしておきます。
ちなみに今年は大平山のあじさい坂に行きました。小雨まじりでしたが、あじさいは雨が降っていたほうが生き生きして見れますね。
荒船山は見た目はすごい立派ですが、登山道は樹林に覆われているので、なんだか平らだなーってくらいにしか思いませんね@x@
断崖絶壁は死者も多数出ているそうですね。
ちょっとやることもないし登山でもするかみたいな学生はよく見かけますね@x@;
お疲れ様です。
この山にも三連休中日にチャレンジしました。谷川岳の次の日に登りました。
頂上付近は熊笹ばかりでしたが、艫岩からの景色は格別でした。
ああ、私も登山仲間が欲しいです。。。
>パッチさん
引き続きコメントありがとうございます。
2日連続で登るとはバイタリティ溢れてますね。しかも、谷川岳から結構遠い…。
艫岩は浅間山を眺めることができていいですよね。
私も登山仲間が欲しいです・3・b
谷川岳では何度も引き返そうか悩みましたが、逆に引き返すほうが難儀でしたので突っ走りました。
あ、荒船山の頂上のトイレは使用不能でした。
修理するか未確定だったようです
>パッチさん
引き続きコメントありがとうございます。
群馬にお住いなんですかね?
浅間山や妙義山の紅葉はこれから見頃かもしれないので行ってみては如何でしょうか!
妙義山はちと怖いかも知れませんが。