
2025年3月27日
台湾の基隆山(雞籠山)に行ってきました。標高は588mです。
台湾で最も人気のある観光地「九份(きゅうふん)」にある山で、街と海を一望できる展望台のようなスポットです。遊歩道が整備されており、山頂までは約40分で登ることができます。

台北からのアクセスが良いため、九份観光は半日ほどで見て回ることができますが、あえて一泊することにしました。時間に余裕があったこともあり、現地に着いてみると「なんだか目立つ山があるな…」と気になり旅してきました。
雞籠山登山歩道
台北市内から路線バスで九份、タロイモ団子を食べる

台北市内から九份へは、西門駅から965番バスで向かいました。
色んな行き方があるけど、一番安いです。1時間以上乗って400円くらいなので、台湾の公共交通機関の安さは羨ましいです。

基隆山は九份老街からもその姿を眺めることができ、円錐形の美しい形状から「基隆富士山」とも呼ばれています。

登山前に軽く何か食べておきたいと思って、九份の上の方にあるタロ芋団子のお店にやってきました。

タロ芋とサツマイモの団子が入っていて、素朴な甘味が美味しかった。九份はグルメを期待する街ではないですが、このスイーツが一番美味しかったです。
3月だけど蒸し暑い階段地獄の登山歩道

昼にさらっと観光して、いざ登山です。
九份の入口は日本でもおなじみのセブンイレブンの横にあり、登山もここからスタートしていきます。

目指す基隆山(雞籠山)の遊歩道は、坂道を登っていった先にあります。

すぐに山が見えてくるので、道に迷うことはないです。
歩道が狭くて、車通りが激しいので注意が必要です。台湾の運転は結構荒いので注意が必要。

九份入口から10分しないくらいで、遊歩道の入口を見つけました。

石碑に「雞籠山登山歩道」を書かれています。
「鶏籠(チーロン)」は、港湾都市「港湾都市基隆(キールン)」の旧称だそうです。日本の登山でも「上越国境」とか旧称を使うので、同じ感覚なのかな。

それでは、登山開始です。登山とはいえ、登山口から山頂まで階段が続くのですけど。

序盤は樹林帯の中を歩きます。
この日は3月下旬でしたが、蒸し暑いです。台北で30度の夏日を記録し、さらに海沿いの山だからでしょうか…。

中国語は読めずとも、ヘビ出没注意というのがなんとなくわかる。

山頂は結構遠くに見えるけど、コースタイムは片道35分です。

登山道の脇に岩をくり抜いて瓶?が供えてありました。何か信仰的なものでしょうか。

登山道にツツジが咲いていました。日本では4月中旬以降に咲く花なので、南に位置する台湾では、季節が1か月ほど早いようです。


台湾のツツジは、日本のものと見た目は変わりません。

登山道には2箇所、八角屋根の休憩所が設置されていました。
夕方の時間は横から西日が差すので、あまり意味がなかったけど…。

ここからは、山の麓に建物が立ち並ぶ九份の街を見下ろすことができます。熱海とかの風景に似てる気がする。

九份は19世紀末に金鉱の発見によって栄えましたが、閉山後はゴーストタウン化していきました。その後、映画のロケ地として注目されたことをきっかけに、再び脚光を浴び、観光地として再生されたようです。

休憩を終えて再出発。日陰のない急階段がキツイ。真夏はとてもじゃないけど、登れないんじゃないだろうか…。

草木の背が低くて、展望はとても良いです。しかし、この日は霞がひどくて、遠くの山が見えません…。

急階段を抜けると、山頂が見えてきました。

この日は日本からの移動疲れか、気温の急激な変化なのか、終盤ぐったりでした。
基隆山の山頂、九份の街並みと海岸線の大展望

基隆山(キールン)の山頂に到着です。
電波施設の横にひっそりと看板が設置してありました。「小百岳#6」と書いてありました。「台湾小百岳」というシリーズの一つらしいです。

山頂は広くて、休憩所があり、奥は芝生が広がっています。もっと人がいるかと思ったけど、九份観光ついでに登る人はほとんどいないようです(そりゃそうか…)

東側は台湾の人口の少ない地域です。海の向こうには50キロ先に与那国島があるので、霞んでいなかったら見えていたのかも。

山頂には15人くらいいて、静かな山頂を過ごしていましたが、半裸になったおじいさんの大声だけが響いていました。日本だと、山頂に半裸のおじいさんって見かけないよな…。


電波塔に手持ちできる撮影用看板がありました。
ちなみに、ここは「小」ですが「台湾百岳」があり、これは「日本百名山」に影響を受けて選定されてものだとか。99座が3000m峰という、一般登山者を置き去りにしたラインナップのようです。

九份は雨の多い地域で、月のうち20日ほどは雨か霧に覆われるそうなので、晴れる確率のほうが低いらしいです。そんな中で晴れたのは幸運だったかも。

設置してあった温度計を見たら24度でした。しかし、湿度が不快でした…。

霞んでて見えにくいですが、奥には基隆市の港があります。かつては日本統治時代の玄関口で、現在は台湾第2の港です。かつて、日本からもしくは台湾に船で帰ってくる時に、この山を見たと思うとロマンを感じます。

山頂で飲む「台湾コーラ(ヘイソンサースー)」は美味しい。
コーラと言うより、ドクターペッパや沖縄のA&Wみたいなハーブ系の味です。自分は好きです。でも、嫌いな人はとことん嫌いな味です。コーラより油っぽい食事と合いそう。

暗くなってしまうので、下山します。

夕日が落ちるまでいるのもオツですが、九份の夜観光がしんどくなってしまうので…。

夕焼けの九份をバックに熱心に撮影しているグループがいました。

見晴らしの良い階段付近では、九分の夜景撮影する人がいるそうです。根性あるカメラマンは頑張ってください。


さくさくと階段を降り、下山しました。

夜になり交通量が増えてきました。大型バスが観光客を次々に吐き出していきます。
赤提灯の夜の九份で台湾グルメ

平日木曜日でしたが、九份は大盛況です。卒業旅行シーズンなのか、日本語が多く飛び交っています。

赤提灯がともりメインストリートに雰囲気が出ています。飲食店、お土産、お茶屋が立ち並び、たまに臭豆腐の強烈な匂いが鼻を刺します。噂には聞いていたけど、これほどとは…。

入口から20mほどのところにある「九份傳統魚丸」で下山飯をキメます。

台湾定番の魚のすり身団子スープが名物らしいので注文しました。異なる4種類の魚団子です。おでんのだし汁の塩気を2割減らしたような優しい味で、意外と食べごたえがありました。

台湾全土の郷土料理である魯肉飯(ルーローハン)を食べました。豚バラが小粒だけど美味しい。八角が少し入ってるけど、特に気にならなかった。

900円くらいしてちょっとお高めだったけど、オススメされた蒸し鶏も注文しました。ぷりっとした食感で、いかにも中華鶏って感じです。


名物らしいピーナッツクレープアイスを食後に食べました。パクチー入れたほうが美味しい。

九份の観光は食事、食べ歩き、お土産を巡っても2~3時間で見て回れます。今回は1泊したので、じっくり観光しました。

メインストリートの基隆街の奥まで行き、階段を下った場所に九份のランドマークである「阿妹茶樓(あめおちゃ)」があります。

三階建ての巨大なお茶屋で、赤提灯が幻想的でとても華やかな場所です。写真が撮れる場所が限られるので、超混雑しています。

九份は「千と千尋の神隠し」のモデルと言われています。なお、モデルではないようです。

世界観が似てるだけですが、映画公開20年以上の時を経ても、聖地巡りをする人の後が耐えないようです。というより、千と千尋のモデルと言われる場所が存在しすぎ。そのへんの町中華がモデルを自称したら売上が増えるんじゃないでしょうか。

こんな雰囲気で飲むお茶は美味しいのでしょう。いや、ビールが飲みたいかな…。

商店街を外れる通りは、70年代〜80年代の日本のような風景が残ってます。なんとなく…。

九份は遅い時間に酒を飲める場所があまりなく、仕方なくファミリーマートのイートインで飲みました。台湾ビール飲みましたが、刑務所の味噌汁くらい薄かったです。

ほんとんどの店が20時に閉店し、21時頃には観光客が去るので静かな九份を楽しめます。

歩くのもやっとだった阿妹茶樓の周辺も、人がほとんどおらず、とても快適です。

しかし、静かな九份の中で、大声の口喧嘩が始まりました。
- 三脚立てて自撮りしたいドラゴンボールのTシャツを着た白人
- 周囲にまだ人がいるので、スマホでデスメタルを大音量で流す(←???)
- 太った韓国人のお父さんが注意を促す
- 白人が「ドントタッチミー!!」とブチギレる
- お互い「ファ○ク!」の応酬開始
- 白人が「スーモー(相撲)」、「スーシ(寿司)」と日本差別的な容姿いじり
- 嫁と子どもの煽りだす始末で一触即発
静かな九份が一時騒然となりました。

まぁ、久しぶりに生喧嘩を見て興奮したけど。そして、九份の夜は静寂に包まれていました。
阿妹茶樓で台湾茶体験し、九份のすべてを満喫

翌日は、九份の本来の天気らしく雨でした。真夜中同様に朝の9〜10時の時間帯は空いています。

せっかくなので「阿妹茶樓(あめおちゃ)」に入り、お茶しました。台湾のお茶の作法を教えてもらいます。

お茶をするだけで一人2000円以上もかかるため、最初は観光地特有のぼったくり価格かと思いました。
しかし、茶葉を購入する形式で、何杯もおかわりできる上、一組あたりの滞在時間も長くなるため、納得のいく値段だと感じました。

昨日とは違って、寒い日に飲む凍頂烏龍茶が美味しかったです。残った茶葉は、オリジナルのお茶缶をもらって持ち帰れます。

お茶後は宿をチェックアウトして、路線バスで台北へ帰りました。
登山を終えて

首都・台北から九份への観光は、日本の感覚で言えば、都内から鎌倉へ観光に行くような感じに近いと思います。都内やその周辺に住んでいる人で、鎌倉に一泊する人はほとんどいませんよね。
ただ、九份は狭い街で、オーバーツーリズムを避ける意味でも、宿泊には十分な価値があると思います。民宿なので、それほど高くないですし。

基隆山は「登山」というより、少し長めの展望台まで歩いたような感覚でしたが、台湾の山々や海岸線を一望でき、九份の街も違った角度から見られて、登ったかいのある山でした。
台湾には玉山や雪山のような高山もありますが、魅力的な低山もたくさんあることを知り、いろいろ歩いてみたくなりました。
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