2019年5月25日
滋賀県の金勝山に行ってきました。標高は竜王山の605mです。
この金勝山ですが、滋賀県といえば琵琶湖、その琵琶湖の南にある湖南地方にある山です。金勝山は、最高峰の竜王山、鶏冠山など、複数の山の総称。「金勝アルプス」とも呼ばれています。
1000m未満の低山ですが、稜線上の奇岩、水量豊かな沢、史跡など見どころ満載のハイキングコースです。
「金勝アルプス?なんだその縁起の良いアルプスは。」と、ちょっぴり気になっていた山でした。
関西圏の登山者には有名なようで、コースを調べると、関東から遠征する価値は十分あると判断。
山頂こそ地味ですが、登山コースは100点満点の内容で、とても楽しい旅になりました。
金勝山ハイキングコースについて
地図
上桐生の駐車場から周回するコースです。鶏冠山と龍王山の二つのピークに登っています。見どころの多いコースになっていると思います。
コースタイム
- 8:35駐車場
- 10:04鶏冠山
- 12:08龍王山
- 13:40駐車場
行動時間は5時間5分でした。
金勝山ハイキングコース
近畿地方ははるか遠く、関東から滋賀県の湖南地方へ
近畿地方は遠い。
横に長い静岡県に嫌になりながら、鈴鹿山脈が見えてくると、いよいよかという気分になります。名古屋辺りから谷川岳とか日光に来てる人って本当に大変ですね。
滋賀県に入り、土山SAで朝食。名古屋らしい朝食、きし麺とどて煮ごはんをいただく。
草津田上ICから降りて、入り組んだ住宅街を抜けると一丈野駐車場(金勝アルプスの駐車場)に到着しました。
普通自動車は駐車料金700円を取られます。11月~3月の冬場は無料のようです。駐車料金を取れるくらいに登山者に人気ってことです。
金勝山ハイキングコース案内のパンフレットをもらえます。ちなみに山と高原地図はエリア外。
金勝アルプスの地図は栗東市のホームページでダウンロードできます。
自然のエネルギーに満ち溢れる、金勝アルプスの登山道
公共交通機関で来る場合は、JR東海道線(琵琶湖線)の草津駅からバスが出ていて、上桐生バス停で下車します。
登山開始。
5月の下旬頃、30度を超える猛暑日。そして、低山。苦難が確実に訪れるスタートです。
シダ植物が茂り、そこらへんの里山とちょっと違う雰囲気があります。
登山口です。
分岐していますが、定番コースの「落ヶ滝」を経由するコースを選び、森の中へと入っていきます。
登山ははごらんのように溝のように掘られています。
いきなり、広い空間に出ました。牧場のようですが、牛や馬などがいるわけじゃなく、でも人が管理しているようです。
薪が干してある小屋がありました。誰かの私有地に入り込んでしまったのかと思いましたが、明らかに登山道です。
陶芸家でも住んでるのかのような佇まい。
ため池があり、 鴨が気持ちよさそうに泳いでいました。
森の中に入っていくと平坦な道を進んでいきます。沢沿いの道が気持ちよく、この沢が稜線まで続いてくれる、とても良いコースです。
緩やかに流れる沢の音を聞きながら、歩いていきます。この時点で「名コースの予感」が漂っています。
関東近郊の山は杉が植林されていて、自分が歩いてきた来た中では、金勝アルプスのような山はないと思います。
花崗岩の岩場が出てきました。
自分が登ってきた中では、鹿児島県屋久島の宮之浦岳の登山道に似ている気がします。屋久島は花崗岩の山なので、似ているのかもしれません。
そんな「リトル屋久島」は瑞々しく、青々しい新緑が眠気眼の足取りを軽くしてくれます。
落ヶ滝の分岐に到着します。
メインコースから横道にそれますが、必ず立ち寄るべきポイントです。
登山と言うより探検だ、落ヶ滝とジャングルロード
多少、急な道ですが、少し登ると断崖にぶつかります。
からっからに乾いた5月の猛暑日。
滝と呼べるような水量はなく、ちょろちょろとこぼれ落ちています。
トムソーヤ島に出てきそうな滝っぽく、冒険心をくすぐるような見た目で、個人的に気に入りました。 落ヶ滝はこのコースのメインなので必ず立ち寄りましょう。
登山、いや探検している気分です。
少し展望が見えてきました。
琵琶湖の南端と大津、草津の街並み、そして比叡山だろうか。比叡山って京都っぽいけど、実は滋賀。比叡山は登ってますが、「これ山頂なの?」と思うほど質素なものだった。
ジャングルのような雰囲気すらある登山道。
谷状になっている場所に出ると、沢の中を歩くことになります。雨降った翌日に登ったら、ずぶ濡れになるのではないだろうか…。
屋久島で淀川登山口から宮之浦岳を目指す途中と似ていると思う。やはり「リトル屋久島」として売り出したいところです。
涼しい沢の音がずっと聞けたので、体感の暑さが和らぎました。
稜線に出る直前はロープを使って、巨大な一枚岩を登るところもあり、アクロバティック要素がありました。危険な場所ではないです。
そして、登山口からずっと飽きなかった登りを終えて、稜線の分岐に到着です。北峰縦走線出合と名がつけられています。
展望が残念な鶏冠山と滋賀県のマスコットひこにゃん
金勝アルプスの山頂は厄介なことにメインの周回ルート上にありません。分岐から往復する形で登らないとなりません。というわけで、鶏冠山を目指します。
距離的にはちょっとだろうと思いきや、かなりの急な登りが待ってました。今回歩いたルート上では一番のキツさ…。
鶏冠山は圧倒的な樹林帯、展望ゼロの山頂。苦労した割に報われない…。
鶏冠山の看板は2種類。
0.1mの差を訴えたい手書きの看板。山頂看板が複数あるのは、地元住民の何かしらの思惑があるパターンが多い。
もし、次に誰かと登ることがあっても、自分は分岐のところで待ってると言います。
展望のなさに鶏冠に来るぜ。ってことを表現したいらしい。
滋賀県民のアイドル、ひこにゃんが祀られてました。
余談ですが、伊吹山の登山の帰りに彦根城で買ったひこにゃんをぶらさげてきました。買った当初から2年間、ザックにつけていましたが、何度「滋賀県民ですか?」と聞かれたことか。
もう一度、分岐に戻り、金勝山のハイライトである北峰縦走線へ。
「オムロン びわ湖水源の森」の立て看板がありました。
オムロンの援助により金勝山の自然が支えられているようです。琵琶湖を大切にしているのですね。京都が本社の会社だけど。
緑に包まれた白い稜線、まるで屋久島のような奇岩群
歩き始めは樹林帯でしたが、徐々に展望が開けてきました。
5月下旬と言うことで、新緑が眩しい。暑さは8月並みだが。
巨岩が見られるようになってきました。絶妙なバランスで組みあがっていて、自然のトンネルになっています。
花崗岩の巨岩がゴロゴロしている稜線に出ました。
関東から行く花崗岩の山と言うと、山梨県の瑞牆山、日向山、昇仙峡などがありますが、金勝アルプスのように標高が低い花崗岩の山は珍しい。登ってないだけかもしれないけど。
金勝アルプスの近くだと御在所岳も花崗岩の山だった。
直射日光をギンギンに浴び、花崗岩の白い地面で、照り返しがえげつない稜線です。でも、歩いていてウキウキと童心にかえれます。
大きな岩に座れるビュースポットを発見。茨城県民は始めて見る琵琶湖の大きさに何を思うのだろうか。
岩と岩の間を砂利で滑りながら進んでいきます。手を使わないとツルっと転がってしまうのは間違いありません。
天狗岩に到着しました。
ここにはベンチが設置されていて、休憩ポイントになっています。
巨大に組みあがった花崗岩をよじ登り、展望のある場所まで上がっていきます。
無理矢理に道を通しているので、足を踏み外せば10mは落下してしまいそうな崖っぷち。慎重に慎重に登ります。
奇怪な形をした花崗岩の向こうに再び琵琶湖が見えました。たぶん、琵琶湖の20分の1も見えてないが。
鎖をよじ登るようなところがあるので、断念してる人もいるくらいです。今回のルートで最も展望が優れているポイントです。
新宿歌舞伎町のビルの隙間くらいの狭さの岩の間を抜けてさらに上へ。
高さ5~6mありそうな天狗岩です。とても、ありがちな名前ですが迫力があります。
ネタバレすると山頂もまた鶏冠山と同じようにガッカリなので、金勝アルプスの実質的なピークはこの天狗岩のあたりでしょう。
天狗岩のクライミングを終えて、涼しい木陰でランチタイム。何となく地元感のあるパンを食べる。
ハイライトは終了し、最高峰である竜王山を目指します。
途中に耳岩がありましたが、表記通りに岩の形がわからないパターン。
花崗岩の砂利が斜面に散らばっている個所は階段が整備されていて歩きやすい。
最高峰は樹林帯だけど、金勝アルプスの竜王山
樹林帯に囲まれた空間に出てきました。植物園なみに山頂看板が多い、(松阪)とか田中と記載されている意味が分からない。
京都の観光地なみの欲張りな表記の多さにめまいすら起きる看板があった。500mで20分かかる竜王山を目指します。「龍」と「竜」の漢字表記はいい加減に統一するべき。
白石峰から竜王山への道は花崗岩もなくなり、一本道。高低差があまりないのでサクサク歩けます。
道中には茶沸観音がありました。お茶を沸かしてくれる神様?
暑さのせいでヘロヘロになりながら、竜王山の直前にある広場までやってきました。
奥には小さい神社があります。しかし、この辺は羽虫が異常に沸いていました。年配の人たちが、気にせずに食事していましたが、菩薩の域に達しているのだろうか。
山頂はちょっぴり登ったところにあります。
金勝アルプスの最高峰、竜王山の山頂に到着です。標高は604mなので、東京の高尾山より5mだけ高いくらい。そして、残念ながら展望は隙間から見えるくらいで 、ないに等しい。
ま、ほら、最高峰ですし…。
木の看板に加えて、三つも看板が存在している。競い合うものがあるのだろうか…。しかし、それは地元の人にしかわからない。
竜王山を後にして、白石峰まで戻り、下山です。
看板が丁寧でありがたいのですが、地図と照らし合わせないと、どちらに進んでいいかわからないのが難点。
下山のコースも見所満載、巨岩に掘られた阿弥陀如来
階段を下っていきます。
途中に国見岩がありました。ここは下山路の休憩ポイントになっているようで、大人数の団体が昼食をとっていました。
金勝アルプスの象徴的な風景の一つかも。新名神高速道路の真上に位置しているスポットです。
花崗岩が露出した山肌が見えます。
奥の方にちょっとだけこんもりとした山が見えました。位置的に近江富士という山でしょうか….。ちなみに金勝アルプスのから北側なのですが、
このポイントで写真を撮りたかったが、良いポイントでランチされていて断念。
さらに下ると樹林帯へ。
下山コースの見所である狛坂磨崖仏に辿り着きました。字面を眺めると相当なボスキャラのようなインパクトがあります。
6mの花崗岩に3mの阿弥陀如来が彫られています。観光地化されていない登山道の中にある史跡としてはなかなかの大きさではないでしょうか。
沢水が結構登山道に侵入してくる道を下ると、林道の出合に合流しました。
新名神高速道路の真下を通過するトンネル。先ほどは真上にいたのでサンドする形。
手書きの地図を頼りに駐車場に戻っていきます。
車が一切通らないアスファルト道を歩いて行くと、誰が利用するんだろうと思う東屋があり、その奥に逆さ観音がありました。
今回のルート上では寄ることは無いのですが、金勝寺という天台宗のお寺があります。奈良時代ごろからの歴史があるようです。
京都や奈良の都市を作るため、近畿地方一帯の山は、禿げ山だったらしいです。
日中の気温はさらに上がり、砂漠を彷徨うケンシロウのような状態で歩いていると、子供の賑やかな声が聞こえてきました。
川遊びを楽しむ子供たちの声でした。
桐生キャンプ場というキャンプ場があるので、そこに宿泊しているファミリーが遊んでいました。いい、おじさん二人が歩いていると、親から不審者の目で見られないか心配。
子供たちが遊んでいるところはオランダ堰堤と名がつけられていました。
上述した通り、奈良時代から江戸時代にかけてはげ山だったので、土砂災害が何度も発生していたらしいです。明治になりオランダ人技術者により堤防が完成し、下流の人の生活が守られた歴史があるようです。
自然をコントロールできるようになるのに1000年かかる、途方もない話です。
気持ち良さそうに水浴びに興じるファミリーの間を抜けて、駐車場に戻ります。
駐車場に戻ってきて、金勝アルプスの周回コースを歩き切りました。本当に素晴らしいコースでした。
下山後はやはり京都が近いし、同行するなべ氏は初めての京都だったので、観光にシフトチェンジ。
宇治市の方に向かおうとしたら、ビックリするくらいに山奥で、道幅がほとんどない山道になり、軽く死にかける思いをしたのは余談である。
宇治東ICのすぐ近くにある奥の湯で、滋賀の山で流した汗を綺麗にしました。
男二人で京都の街ブラ、祇園餃子とスイーツを巡る
初めての京都にテンションぶち上げな茨城県民。
京都の伏見稲荷ってほとんど外国ですね…。
登山仲間のSaku兄から教えてもらった祇園にある和スイーツの店でパフェを食べる。おじさんに教わった店で、おじさんが二人でパフェを食べる。事案である。
祇園四条あたりを起点に八坂神社や二年坂を歩き回る。午前中から登山をすれば、男二人でも京都の街ブラをしていい権利が得られるので、是非推奨したい。
武奈ヶ岳に登った時にも歩いたっけ…。
今日とは餃子の街であり、餃子の王将の本店もある。祇園にある餃子店で打ち上げをしました。
八坂神社の通りにある辻利で抹茶ソフトを食べ、本日の締め。非常に短い時間でしたが、京都を楽しみました。なべ氏も今度は嫁さんと子供を連れて行くそうです。
この後は、滋賀にUターン。彦根にあるスパで仮眠を取り、深夜から伊吹山に登ると言う体に鞭を打つ過酷なスケジュールで二日目を過ごしました。
金勝アルプスの登山を終えて
シンプルにこの山の良さを伝えると「歩いて楽しい山」それに尽きます。
標高の高さ、見た目の素晴らしさだけが、山の価値を決める尺度じゃないんだと知ることが出来る山です。今回、立ち寄った二つのピークは展望こそありませんが、それ以外の部分でマイナス点を付けれるようなポイントは全くなかったです。
審査員のような目線の解説で申し訳ないですが、曲りなりに日本全国の山を登ってきた経験がある自分がトップクラスに楽しい山だと思います。この山を登ったことをきっかけに、全国知名度のない山をもっと登りたくなりました。
自分的には関東からでも十分訪れる価値のある山でした。欲を言えば、高尾山くらいに近いと良いです。
コメント
お目が高い!
滋賀出身なので、マイナーな低山を気に入ってもらえて
とてもとても嬉しいです。
現在は東京住まいですが、昨年帰省した時に訪れました。
住んでいた時は登山なんてしなかったので、存在すら知らなかった山ですが
アスレチック的要素もあり、景色も良く、楽しめました。
以来、帰省の度に近畿の山にも登るようになりました。
現在はコロナのせいで登山どころか帰省もままならない状況ですが、
色んな登山ブログを眺めながら、妄想登山と筋トレに励んでいます。
登山の自粛に関しては様々な意見があると思いますが、
私自身は今は我慢の時だと思っています。
veryblue様もどうぞ、心穏やかに過ごされますように。
joeさん
コメントありがとうございます。
滋賀出身なのですね。
はじめて武奈ヶ岳に登るまでは、滋賀県に登れる山なんていくつもあるのかなんて思ってましたが、自然が豊富であることを知りました。
近畿地方って山との距離が近いように思います。たぶん、奈良時代あたりから1000年以上続く歴史ある登山道が多いのが関東とは大きく違うところですね。
今は登山ができない世の中ですが、終息したら登りに行きましょう。
ゲーム漬けの毎日で今はとても穏やかです。