2017年12月2日
長野県の南沢山・横川山に行ってきました。標高はそれぞれ1564m、1619mです。
人口5,700人、面積の9割以上が山に覆われた長野県の端に位置する阿智村(あちむら)にあります。山頂は笹に覆われた山ですが、冬には霧氷が美しく見られることで評判です。
「南」だったり、「横」だったり、「沢」と「川」で水物っぽく、パッとしない名前ですが、ある時、霧氷の写真を見て心を打たれました。笹原の中で、霧氷の木が浮かぶような風景が幻想的で絵画のようでした。
霧氷の見れる季節、条件は限られています。貴重な勝機を逃さぬよう旅してきました。
南沢山・横川山 日帰り登山
コースタイム
- 8:34南沢山登山口
- 9:27中間点
- 10:09南沢山
- 11:08〜12:26横川山
- 14:14南沢山登山口
東京から300キロ以上、感情ゼロで山頂を目指す
都内を終電集合して、片道5時間かけて南沢山登山口に到着です。岐阜県との県境にあるので、そりゃ東京からは遠いです。
確実に出会えるかわかない「霧氷」という自然現象を目的としているので、正直なところ博打です。登ってみないと分かりません。
それでは登山開始です。植林された杉林を前にして、特に感情が動くことがありません。とりあえず、足だけを動き出します。
「本当に霧氷なんてあるのか…。」
何の個性もない樹林帯を登りながら、遠征に見合うだけの景色に出会えるのか、不安が募ります。
中間点まで1キロという表示があり、そのあたりから新雪と思われる雪が現れました。
「霧氷が見られなくても、冬の澄んだ山の空気が気持ち良い」と、自然を慈しむ言葉を口にしていますが、これは『徳』を積むことで見返りを期待する、ギャンブラーがよく行う行為です。
スロット打つ前に家の掃除やゴミ拾いしたりするそうです。
南沢山までの「中間点」がありました。
稜線に出て、分岐がありました。南沢山の逆側は、どこに通じているかは不明です。
後半戦に差し掛かるが、パンケーキに粉砂糖をふりかけたくらいの積雪しかなく、負けムードが漂い始めました。
枯れ木になった隙間から、隣接する山が見えます。「おや、木が白くなってるぞ…。」と気づき、上を見上げると…。
霧氷がありました。4~5mの枝先が白く輝いています。これは、勝ちパターンの確定演出!!
逆転する瞬間は、圧勝している勝ち確の状況より、脳汁の分泌が2倍、3倍も違います。
展望の良い高原エリアに突入すると、視界が一気に広がります。霧氷の木が一面に広がり、圧巻の風景です。
熊笹は白く染まらず、背の高い木々だけが白く霧氷に覆われています。白と緑が織りなすツートーンの風景は、まさに理想的な霧氷の美しさを体現しています。
脳汁がドピュドピュ出ているのを感じます。
熊笹広がるグリーンの南沢山、霧氷の森を歩く
登山口を出発して1時間40分、南沢山に到着しました。標高1564mです。
南沢山は「阿智セブンサミット」という、ご当地名山に指定されています。百名山の「恵那山」、観光地の「富士見台高原」は知っている人もいると思いますが、それ以外は無名です。
全部登るとバッチがプレゼントされるみたいです。
正直、霧氷が有名でなければ、このような遠方まで登りに来ることはなかったと思います。
ここにきて、小道具が生きてきます。
緑の山に白い木々、まるで「抹茶ミルク」のようです。例えのセンスがカスです。
霧氷ができる条件って、ある程度揃わないと発動しないですが、自分は付近の山のライブカメラを見て判断してます。
今回は、恵那山のライブカメラを見て、前日、曇っていたのでGOサインを出しました。
南沢山の稜線は長野県と岐阜県の県境になっています。これは岐阜県の中津川市の方角だったかな?栗きんとんの発祥の地ということしか知りません。
それでは、横川山へと向けて進みます。
本当に不思議な風景です。雪がどっぷり積もってしまうと、違う風景なので、ベストな条件でした。
歩いている時は感情が高ぶっているのでシャッターを切っていますが、振り返ってみると、同じようなパターンの写真を量産していました。
間隔をあけて白いモコモコが笹原に浮かんでいる不思議な光景は、まるで牧草地で草をはむ羊のようです。
横川山の方角は、木が全て霧氷化しています。やれやれ、どうやら期待以上です。
よく見ると、グラデーションになっていたり。風のあたり具合とか、そういうのが影響しているのかな?
少々、登り始めると、より展望が広がりました。横川山は可能な限り目指すべきです。
北の方角には、稜線が真っ白な中央アルプスの山々が見えるようになりました。どれが、木曽駒ヶ岳なのか空木岳なのかはさっぱりです。
こちらは、南アルプスの方角で、中央アルプスと比べて雪は少なめです。
南沢山より45分ほどで、横川山に到着です。南沢山よりも少し高く、標高は1619mです。看板が小さいので、あくまで稜線上の通過点の山って扱いのようです。
南の方角には、富士見台高原とどっしりとした形をした恵那山が見えました。
百名山の中では、今一つ地味で、人気の下位クラスになりそうな恵那山ですが、近くの山から見ると立派なものです。
山頂まで来てわかりましたが、長野県側の東斜面は霧氷が全然できていませんでした。
霧氷もいいですが、ご飯も重要です。今日の社畜の山クッキング(通称:しゃちクック)は「もつ鍋」です。自分が材料と味づけをし、社畜さんは火をつけることを担当してくれました。
キャベツとニラの緑、もつともやしの白、奇しくもこの山のカラーテーマと一緒でした。「だから、なんだ。」ではある。
富士見台高原は、ここから3.1キロ、縦走する人もいるんでしょうね。霧氷目的ハイクであれば、横川山で締めるのがちょうど良い日帰りコースタイムです。
それでは、同じ道で下山を開始です。凍結箇所はほとんどなかったし、冬靴もアイゼンも不要でした。
南沢山まで戻ってきました。
霧氷って昼過ぎると一気に溶け出しますが、気温が低いせいか、13時過ぎても溶けてませんでした。
登山口までは感情と会話を殺し、1時間以内に下山して、14時9分に駐車場に戻ってきました。
阿智村の昼神温泉に入り、飯田市で燻されながら焼肉爆食
「湯ったりーな 昼神」で、冷えた体を温めました。この周辺に山に来たら確実にここになるだろう温泉施設です。
温泉後は「掘割」という店でジビエを食べる予定でしたが、店を訪れても営業していなそうだったので、飯田市内まで移動しました。
理由は知りませんが、飯田市は焼肉の街らしいです。「やきにく徳山」に立ち寄りました。人気店みたいですが、営業開始直後の17時訪れたので、予約なしで入れました。
焼肉一皿500〜1000円で食べられる大衆焼肉屋です。風呂入ったのが意味無くなるくらい煙で充満していますが、登山後フードは”こういう店”なんです。
一つ一つのカットがデカい。素人目でもモツが新鮮なのがわかります。
賭けに勝った後の焼肉は美味い。
バキュームカーのように肉と米を消費し、血糖値を爆上げした状態で、再び300キロ以上の東京へと帰るのでした。
南沢山・横川山の登山を終えて
初代ポケモンには「ケンタロス」というポケモンがいました。リリース当初は特徴が乏しく、さらに出現率も低かったため、あまり注目されていませんでした。しかし、個体差や技の組み合わせ次第で圧倒的な強さを発揮することが判明し、その実力が全国に知れ渡るようになりました。
登山の世界にも、これと似たような現象があります。特定の条件が重なることで、一気に全国的な知名度を得る山があるのです。南沢山も、その一例と言えるでしょう。
南沢山で見た風景は、何年経った今でも忘れられず、心に深く刻まれています。東京から遠すぎることを除けば、毎年訪れたいほど魅力的な場所です。
と、美しいことを言っていますが、実は中毒者のクズ発言なのかもしれません。
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