
2012年1月22日
山梨県の大月周辺にある高川山に行ってきました。標高は975mです。
標高1000m以下の山は奥武蔵の伊豆ヶ岳ぶり。高川山は大月市が選定する秀麗富岳十二景の11番山頂です。

1月中旬から関東近辺はぐっと冷え込み、去年は暑い夏が長かったけれど、そんな余韻すら感じません。東京から山梨へ抜ける山間はすっかり雪化粧をしていて、今年初めての本格的な雪山登山になりました。
高川山について
高川山地図

中央線の初狩駅をスタートして、富士急行の田野倉駅に下山するルートです
高川山登山
プロローグ
晴れを信じて出掛けてみようと言う話。
農業インフラが整ってなかった頃は、雨乞いをして豊作を祈ったりしていた時代があったように、人間は昔から天気を願い続けてきたんです。今こそ天気予報のデータは誰でも簡単に受け取ることができるけれど、まずは天気を信じて出掛けることが大切。
雨に濡れた景色だって、露で滲んで綺麗だったりするわけで。

山梨が雪が降り、大月は雪景色
22日早朝、空は曇り空。
前日の21日土曜日は三ッ峠山に行く予定があったのですが雨のため中止。翌日、少し天気が回復するということでみやじゅんが半ば強引に登山を結構しました。
彼は山梨の中央線沿いの山がお気に入りで、山の宝石箱に見えているのでしょう。山梨は宝石産業が有名なのは余談。

8時40分 JR高尾駅
新宿よりのホームの端っこにこんな天狗の像があるなんて知りませんでした・・・。照明があるけど、ライトアップって誰得。

「中央線」と「中央本線」の違いについて。
ごく最近まで、高尾から山梨・長野方面に行くのは「中央本線」だと思っていました。実はこの二つの呼び名、結構曖昧みたいですね。
後、全長424キロで東京-名古屋を結んでるなんてピンと来ない。いつか木曽あたりを走る中央線の旅に出てみたい。

高尾駅からの料金の高さに愚痴を言うのが恒例。
東京に隣接する県で山梨だけ異様に田舎だ。東京の玄関口の大月周辺なんかもっと発展してもいいと思うんですが、やっぱり山間だから難しいんでしょうか。
ストーンズの名盤を聴きながら1時間ちょっとの車内、まどろんでいました。ブルージーでブギヴギな「Tumbling Dice(ダイスを転がせ)」が旅のコンディションを高めてくれる。

上野原あたりを過ぎてくると山間部に入り始めて、雪景色に変わってきました。前日雨が降ったせいでしょうか、山の上に覆いかぶさる形で霧が出ていました。
木の雪が降り注ぐ登山道

9時40分 JR初狩駅
降りたのは自分ともう一人。今回一緒に登る人でした。

線路内も雪がびっしりです。
個人的な感覚では雪国と呼べる光景なんですが、日本海側はもっとレベルが違うんでしょうが。

ぶらり途中下車してもロケのしようがなさそうな田舎駅です。

中央みやじゅんで、サイドの2名は初顔合わせ。左の赤い彼は同じ大学の後輩でした。計4名で出発。
映ってませんが写真の左に大型バスが止まっていて、水戸アルパインクラブ?ってプラカードが掛かってました。どうやら団体が先行している模様。

車道にも結構雪が積もってます。これは山のほうは踏み抜くくらい積もっているんじゃないかと不安に。
女性の方のグローブが自分のとかぶってしまいました。ノースフェイスのスマートフォン対応のやつです。これで2度目です。

看板が立っているので特に迷うことなく林道へ。

道なりに進んでいたつもりが先行者の足跡が全くなくなりました。団体も通ってるはずなのにおかしいな。
とはいえ道なりに来ているので、みやじゅんに頑張ってラッセルを任せて進みます。

杉の枝にもびっしり雪がかぶっています。
そして、曇り空から少し太陽の光が届くようになり—

雪が溶けて冷たい雪解け水の直撃を食らっている図。
爽やかな済んだ空気の中雪道を歩けるはずが雨が降っているのと変わらない状態になってくる始末。

全員レインウェアのフードをすっぽりかぶったり、防水の帽子をかぶって雪解けの雨を凌ぎながら進みます。

山道を示すような看板が立っていたので、どうやら車道は終了みたいです。約30センチくらい積雪があるので全然わかりません。

山道に入ってきました。相変わらず雪解けの雨は降り続きます。

雪の重みで木が横倒しになっていて潜ることに。

これが思いのほか苦戦!
ザックにつけている荷物が引っ掛かるは、木の上に乗っている雪がドサッと落ちてきたり。

「ザックカバーつけるべきじゃね?」
あ、そういえばそんなものがあったな・・・。初めてザックカバーを使用しました。

だいぶ登ってくると霧の上に出てきました。

そして意外なことに富士山が木の合間から見えました。天気が悪くて期待してなかったので、嬉しい誤算と言うやつでしょうか。

何故かトレースがなかったのは自分たちが男坂のコースを登っていたからです。皆さん、女坂のコースを行くみたいで。分岐があったことに全く気付きませんでした。
雪山ではこういうちょっとしたコースの選択が命取りになるのかもしれないね!
丹沢の大山、伊豆ヶ岳にもありましたが、男坂と女坂なるものが色んな山にあるものなんですね。昔から山はジェンダー感が強い場所なんでしょうかね。

急って言うほどの坂道はなく、雪が積もっていても疲れることなく登れました。
高曇りの空に浮かぶ、藍色の富士山

11時45分 高川山山頂
狭い山頂に登山客がひしめき合っていました。この団体が駅に止まっていたバスの水戸アルパインクラブなのかな。
さすが水戸だけあって皆さん昼食には納豆を食べて・・・・ませんでした。

そしてこの景色!絶景です。
白い布地に藍染の染料をぶちまけて浮かび上がっているような景色が広がっていました。太陽の光が雲に遮られ、そこに冬の済んだ空気が加わったことで初めて見ることができる風景。

日本画家である横山大観の作品みたいな輪郭が淡い富士山。晴れを信じて出てきた甲斐がありますね。
そんな風景を動画でご覧ください。

お昼です。
山頂は風もなく寒くありませんでした。

サーモス山用の水筒を買った自分に手間など一切なかった。真冬の山頂でもあっという間に熱々のカップヌードルシーフードの出来上がりだ!
霧の海を見ながら食べるシーフードは最高だ!(スポンサーなってくれないかな)

そういえば神戸で家出した高校生が富士山の7合目で亡くなって見つかったニュースやってましたね。
15日午前8時25分ごろ、静岡県富士宮市の富士山7合目(約2800メートル)にある山荘近くで、うつぶせで倒れている人がいると、通りがかりの登山者の男性から110番があった。富士宮署員らが現場まで登り、死亡している少年を見つけた。
同署によると、少年は神戸市の兵庫県立高1年(16)。10日に冬休みの宿題をめぐり母親とけんかして家出、家族が同県警須磨署に捜索願を出していた。少年は顔を打っており、富士宮署が事故と自殺の両面で調べている。
よく家出した高校生が7合目まで登れたもんだ・・・。というかなんで登ったんだ・・・。

この高川山は秀麗富嶽十二景に指定されています。以前行った岩殿山もそうですね。
言わば富士山単独ライブのアリーナ席といった場所。

高川山山頂には2年前までビッキー(♀)という名前の名物犬が住んでいたそうです。山業界じゃ有名らしい。

めざましテレビの今日のわんこでも紹介されたことがある。
生きている間に会いたかったな。

帰りは田野倉駅(たのくら)に方面に下山します。
元々は大月駅まで行く予定だったけれど、ちょっと長すぎるなってことになったので。

降りで滑るのが怖いのでアイゼンをつけます。前日に神保町のさかいやスポーツでかった軽アイゼン(2000円)です。
ザックカバーにアイゼンとかはじめてつける装備が多いな。

美しい富士山の名残を背に下山を開始します。
名残惜しい富士山の眺め、下山は田野倉駅へ

下山となると雪山の難易度はグンと上がりますね。

ストックをうまく使い3点を確保して慎重に降ります。

自分のアイゼンは4本詰めなのですが、あんまり雪の上に固定される気がしない・・・。ないよりはマシなんだろうけど。

気を抜くと一気に滑り落ちそう。

天気が変わってきて陽が差し始める。

弁慶岩と名づけられた岩。弁慶は愛されキャラですね。
そういえばこの地下あたりにリニア実験線が走ってるらしい。

麓まで降りてくると雪はなくなり、アイゼンの隙間に泥が付着するので外します。

14時40分 高川山縦走完了
田野倉駅方面へ下山してきました。

中央道が走るトンネル高架下をくぐってから左方面に行くと駅があります。
ここは都留市(つるし)で、富士の裾野まで桂川が山間の間を蔓のように伸びてることから付けられた地名らしいです。へーへーへー。

指し色がラベンダーカラーの富士急行大月線の田野倉駅。
雪山とはいえ歩行時間4時間程度だったのでそこまで疲れたわけでもありませんでした。日曜日の登山にはもってこいですね。

初めて乗る富士急行。
初めて乗る路線はわくわくする。乗り鉄を自称してもイイかな。

大月駅で乗り換え。

中央線から見た夕焼け。
90分で雪景色から都会の雑踏に戻ってこれるのは不思議な感覚だ。中央線車内でみんなとお別れ。一人新宿まで乗っていきました。

欲しい本があったので渋谷のつたやに立ち寄りました。
ストックを指したザックを背負って、ライトブルーのマウンテンパーカーを着て、世界一人が通るスクランブル交差点を通るのは羞恥プレイでしかない。

京王線があるマークシティのわきにあるスタ丼で夕飯にしました。

学生の頃からお世話になっているこのスタ丼。
西東京発祥のこの店ですが、都内にも店舗がたくさんできて、数年のうちにメジャーになったもんだ。

にんにくの効いた豚丼です。
というかこの食事シーン要るの?
高川山登山を終えて

駅から駅への縦走ができる稀有なコースの高川山は、初心者にもオススメの山です。
今回天気は今ひとつ優れませんでしたが、晴れを信じて出掛けてきたからこそ素晴らしい景色に出会いました。晴れを信じて出掛けてみれば、いつもとは違う世界が広がってるので皆さんも晴れを信じて出掛けてみてください。

この週の平日、東京にも雪がだいぶ積もりました。
コメント