2014年10月4日
栃木県の那須岳に行ってきました。標高は1917mです。
栃木県の北端にあり、ほぼ福島県との県境付近に位置しています。那須岳という名前の山はなく、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳で構成された総称です。
10月上旬は山岳紅葉の名所で、姥ヶ平の紅葉は多くの登山客を魅了します。
栃木出身の自分としては那須という地は身近であり、何度も遊びに訪れた場所です。
オープン当初の那須ハイランドパークのジェットコースターに乗り吐き、千本松牧場のイベントで気球に乗り吐いたりしたのは良い思い出です。碌な目にあってねぇな。
那須岳は登山を本格的に始めた2011年の5月に登っています。当時、アルプス未経験の自分にとって、展望のいい稜線がずっと続く那須岳に衝撃を受けました。
その後、紅葉の名所ということを知り、紅葉の時期に訪れたい山の一つでした。
今回は母親を連れて二人で紅葉に燃える真っ赤な那須岳を旅してきました。
那須岳について
地図
峠の茶屋を出発し、紅葉の名所である姥ヶ平を目指しました。その後は、茶臼岳に登り、ロープウェイで下山しました。
那須岳登山
渋滞する秋の那須岳、峠の茶屋から爆風の火山を登る
早朝にJR宇都宮線で、終点である宇都宮に向かいます。
宇都宮駅で父親が運転する車に迎えに来てもらい、東北道を北上し那須を目指します。
ちなみに父親は今回登りません。体力不足が否めず、平坦なところしか歩けないので。
那須岳の無料駐車場に到着したのは10時過ぎでした。
ご覧のように晴天とは言い難い天気でありながら、かなりのキャパシティを誇る那須岳の駐車場は満車でした。
紅葉期に那須岳ロープウェイを利用しないで登山するのであれば、夜明け前を目指してくることをお勧めします。
車のナンバーを見ると西日本、四国から来ている酔狂な人がいるようです。
父親はいったん下に降りた売店に行くということで、母親と二人で登山口を目指します。
空身で来いと言っているというにあれが必要これが必要と言ってザックをパンパンにしていました。尚、ほとんどが使用されなかった模様。
入り口には峠の茶屋があります。名物の峠の焼き団子をぱくつきました。
玉こんにゃくが一本300円。
山形民が顔を真っ赤にして起こりそうな価格設定です。山形だと100円~200円が普通。
10時18分 登山開始
未明から登り、降りてきた登山者の話を聞くと上は雨だったとか。気が重い登山になりそうです。
赤ずきんを被った狛犬が可愛らしい。
歩き始めて3分ほどで、奥に控える山肌の紅葉を見ることができます。
那須岳は火山であり、風が吹き抜ける地域であるため、背の高い木がありません。
低木が生える登山道を登っていきます。
風が強く、上空では風切り音が響いています。
足元の紅葉は弾けるように発色が良く、紅葉の気分を盛り上げてくれます。
紅葉の絨毯が見られる朝日岳の斜面
と低木の樹林帯を20分ほど歩くと火山らしい岩礫帯に入り、展望が一気によくなります。
朝日岳から延びる稜線が埋め尽くさんばかりの赤色をしていました。
山頂は雲に覆われているものの見事な紅葉です。
登山口から20分ちょっとで、日常とかけ離れた風景に出会えるのが那須岳の魅力です。
栃木県には男体山と白根山という2000mを越える山がありますが、那須岳はアルプスのような雰囲気を持ち、2000m以下とは思えない広大さがあります。
関東にある山とは思えません。
え、ほぼ東北じゃないかって?しもつかれ鼻につめるぞ。
熊笹の映える緑の斜面に赤い紅葉の対比が素晴らしい。
良い。
那須連山の一角、岩峰である朝日岳の斜面にびっしりついた紅葉がお見事。
生粋の栃木県民の母親は「こんな紅葉見たことない」と山で歩いてみる紅葉に感動していたようです。
奥に避難小屋が見えてきました。
11時30分 蜂の茶屋跡避難小屋
登山口から一時間かかっていますが、ゆっくり歩いていたのでもっと早く登れると思います。避難小屋では風をよけて昼食をとっている登山者がたくさんいます。
火山である那須岳の稜線上に風をよける場所はここくらいなものです。
避難小屋からは朝日岳・三本槍岳、三斗小屋温泉、茶臼岳、姥ヶ平と様々に分岐します。
目的地である姥ヶ平方面を目指します。
稜線上では登山口で聞いた雨は降っておらず、天気は回復に向かっているようでした。
茶臼岳の巻き道は、噴煙を上げるすぐそばを通過します。
硫黄の成分が黄色くこびりつき、活火山を間近で見ることができます。
警戒レベルが低いとはいえ、御嶽山の噴火の直後だったので緊張感がありました。御嶽山の件を受けて、地質調査しながらパトロールしている職員が歩いていました。
見渡す限りの紅葉が見られる姥ヶ平
茶臼岳の裏側は、鮮やかな風景が広がっています。
姥ヶ平です。
前々日に強風が吹き、少し紅葉が飛んでしまったらしいですが、それでも見事です。
ひょうたん池を確認できました。
ひょうたん池が姥ヶ平を象徴とする場所です。
11時58分 牛ヶ首(姥ヶ平分岐)
那須岳ロープウェイとの分岐になっており、ロープウェイを利用すれば30分少々で到着できます。
姥ヶ平へはいったん斜面を下ります。
浮石だらけなので、滑りやすいので注意が必要です。
今までは眺めるだけだった紅葉がより身近に楽しむことができます。
10月上旬がピークと言われている那須岳ですが、9月下旬には色づきがより良くなっているんじゃないだろうか。
那須岳は関東最速で紅葉が見れる場所ということになります。
紫陽花は枯れた状態のまま残り続けるので寂の雰囲気がある。
登山者が多く、すれ違いに難儀する狭い登山道です。
12時24分 姥ヶ平
砂が整地され庭園のように広く、テーブルとベンチが設置されていました。
姥ヶ平からは、紅葉越しにそびえ立つ圧巻の茶臼岳の風景。
植物が冬を迎え最後に鮮やかに燃え上がる赤・黄・橙と地球の鼓動を伝える火山が対比する構図が心を打ちます。
かつてこの一帯は、高木類で覆われていましたが、1881年(明治14年)の茶臼岳大噴火で樹木はほとんど枯れてしまいました。
樹木が再生すると見れなくなる景観なのかもしれません。
火山と紅葉という点では、北アルプスの焼岳も同様にお勧めしたい。
姥ヶ平から木道が整備された道を歩き、お目当てのひょうたん池を目指します。
ひょうたん池
火山と紅葉、それを映し出す湖面が画として成り立っている場所でした。
湖面に移されてる山「逆さ○○」というのは珍しくはありませんが、那須岳(茶臼岳)ほど完璧な構図もなかなか無いのではと思います。
水面には落ちた葉が漂っていて風流さを演出。
時に自然というのは人が創り出す以上の芸術を創り出します。
池を撮影できる場所は非常に狭い場所なので、次から次にやってくる登山者で、カメラマンが三脚を立てられず途方に暮れていました。
今度は完璧に晴れた日に紅葉を見に訪れたい。
と、思っていたら福島県側から抜けるような青空が広がってきました。
姥ヶ平に青空が広がってきます。
姥ヶ平の紅葉は時間をかけてゆっくり楽しみたいところで、名残惜しいですが後にします。
那須岳の紅葉は平日に休みを取って、三斗小屋温泉を楽しみながら再訪したいです。平日じゃないと予約が取れなさそう…。
那須岳は小屋を利用した宿泊登山、7月の裏那須でニッコウキスゲの群生、6月の峰桜などまだまだ魅力が尽きない山です。
青空が広がってくると紅葉の見え方がだいぶ変わってきます。
姥ヶ平を再び牛ヶ首に登り返します。
母親はこの登り返しに相当参っていました。
13時23分 牛ヶ首
山頂駅方面へ向かいます。
午後になっても姥ヶ平目当ての登山者が続々やって来ました。
この日は午後からやってくるのが正解だったみたいで、早朝からだと何も見えなかったらしい。ちょうどいい時間に出発できてよかった。
南側の斜面においては、赤い紅葉はだいぶ風に吹き飛ばされているようでした。
紅葉散策を終えて、一応は最高峰の茶臼岳を登る
ロープウェイ山頂駅までは比較的緩やかな平坦路が続き、どこかカルストのような雰囲気があります。
関東平野をのぞむ開放的な景色が素晴らしく、那須岳はどこを歩いても楽しいと実感させられる。
那須岳ロープウェイと茶臼岳山頂への分岐に到着。
「時間も時間だし、茶臼岳の山頂はなしにして、帰ろうか?」と母親に聞くと…。
「せっかくだから行く」とのこと。
というわけで、じゃりじゃりで足が取られる茶臼岳の山頂を目指すことになりました。
最後の最後に登りというのはやはり応えるらしく、牛歩でしたが何とか山頂まで到着しました。
14時37分 茶臼岳山頂
強風が吹き荒れる山頂に到着。山頂では紅葉は全く楽しめない模様。
写真を撮っていたら、岩に躓き、派手に転んでウェアに穴をあけたことを除けば、ピークハントも出来、満足の登山でした。
そして、再びロープウェイ山頂駅を目指し下山を開始です。
登山中は雲隠れしていた朝日岳もしっかり全体を見せてくれました。
南側斜面に張り付いている紅葉が凄まじい。
15時24分 那須岳ロープウェイ山頂駅
トータル5時間弱の登山が終了しました。
茶臼岳の山頂にこだわらなければ、ロープウェイ駅から姥ヶ平までは往復1時間半から2時間程度でハイキングできます。
まだ、健在だったか…。
ぶら下がってる弱そうな小さな熊が気になるところ。
父親に迎えてもらうという待遇で、本来はロープウェイ駅から駐車場までの登り返しをカット。
昼食はおにぎりをパクついた簡素なものだったので、食事に向かいました。
那須高原の名店「ペニーレイン」で食べるハンバーグランチ
森閑とした別荘地の一角にあるベーカリーカフェにやって来ました。「ペニー・レイン」です。
ビートルズの楽曲「Penny Lane(ペニーレイン)」から名付けられたこの店は、ビートルズがコンセプトのレストランです。
ビートルズの仕掛けが至る所に隠れています。
こちらはアルバム「Abbey Road」のジャケットを模した看板。
世界中で知られるジャケットアートだけど、最初はエベレストの麓で撮影される予定だった。しかし、ポールマッカートニーがエベレストまで行くのがだるいから、スタジオ(アビィロードスタジオ)の前の横断歩道で撮影して、アルバムのタイトルを「Abbey Road」にしたという話があります。
ビートルズの実質的なラストアルバムで、メンバの個性がぶつかり合いながらもうまく融合しているアルバムです。
「Golden Slumbers」から始まるメドレーは痺れます。
店内はベーカリーになっているため、パンを購入できます。
オープンテラス席に案内されました。
ウェイターの格好がイギリス紳士っぽくてオシャレです。店内のBGMはビートルズの楽曲が流れています。有名な曲からアルバム曲まで。ちなみに自分が一番好きなアルバムは66年リリースの「Revolver」です。
ハンバーグセットを注文。
スキレットで焼かれており、温泉卵と合わせて食べると絶品でした。スキレット欲しいけど、オイルを塗って保管するなど手入れが面倒なんですよね…。
こちらはステーキセット。
価格は1000円~2000円で、ボリュームもしっかりとあるので気に入りました。
安い定食屋でかつ丼や焼肉をかっ食らって帰るばかりじゃないんです!!!いや、まぁその方が性に合っているのですけど。
というわけでオシャレに那須を満喫し、風呂は自宅で入ればいいかという気分になり、実家へと帰省するのでした。
那須岳の登山を終えて
紅葉の那須岳は噂に違わず、素晴らしいものでした。
圧倒的な派手さもありながら、「姥ヶ平」から眺める景観は、格式の高い日本庭園的な優美さがありました。
噴煙を出し続ける茶臼岳と姥ヶ平の紅葉が映り込む「ひょうたん池」は、是非とも訪れてみてください。
那須岳ロープウェイが整備されていることから登山初心者にも優しく、またエキスパートな登山者でも楽しめる山域です。
記事内でも述べましたが、三斗小屋温泉に泊まったり、初夏の峰桜、夏のニッコウキスゲ、初冬の雪景色、再び紅葉と何度でも訪れたい山です。
初めて登山をしてみる紅葉に、生涯一番の評価をつけた母親。
観光地で見る紅葉と登山をしてみる紅葉とでは、コンビニ弁当で売っているゴムみたいなうなぎと国産の職人が焼いた天然うなぎくらいに差があるようです。
10月上旬は北アルプスの高山や東北で紅葉ピークを迎えますが、意外と近場の栃木県でピークを迎えているということを覚えておいてください。
コメント
サムネイルに一文字表示はやめたのですか?
>くまさん
微妙に手間もかかるしイイかなと。
デザイン変えたら自動表示してくれるようになったし。
こんばんは。那須岳はもう4回もいってるんですが、紅葉シーズンはまだ一度もないんですよね。
是非一度は行ってみたいものです。三斗小屋温泉入りながらのんびりしたい・・・。
>みっきーさん
那須は初心者を連れていくのもいいですよね。
三斗小屋温泉に入りたいなぁ…。
ベリブルママとの紅葉登山、素敵ですね^^
息子との山歩きにうきうきわくわくしながら歩くママさんの気持ちが伝わってくるようです。
火山の紅葉はなんだか燃えるような派手さの中に哀愁を感じられる不思議な光景ですねぇ。
いつかわたしも見に行きたいなぁと思います。
その時は三斗小屋か煙草屋をからめてほっこりと〜!
>ちゅーたさん
べりぶるままは「せっかくだから見ていきたい精神」で、太ってるわりに動く方です。
那須岳は公共交通機関の便がいいので、ちゅーたままと一緒に旅してみてはいいのではないでしょうか。
ただ、紅葉時期に行くならだいぶ前からの予約は必要ですね!
こんばんは。先日もご返信ありがとうございました。
いつも楽しく拝見しております。
今年の夏は折角なので、山に行きまくろうということで、山の日の男体山、谷川岳に続いて、先日は那須岳に行って来ました。
晴れていれば、このブログのお写真みたいに素晴らしい景色が拝めると、連れて行った友人と楽しみにしていましたが、着いてみれば那須岳名物(?)の強風に横殴りの雨。それでも折角来たので、雨具を身に着け外に出ましたが、雨具が劣化していた為に下の服に浸水。仕方なく売店にあった500円のビニール製のレインコートを着て登るはめになりました( ;∀;)
真っ白な景色の中を雨と風に打たれながら、茶臼岳の山頂まで行きましたが、さながらニュースの台風リポート状態で全く楽しくありません。大雨雷注意報もあり、早々に撤退です。
幸か不幸か、時間が大幅に余った為、veryblueさんの行ったPenny Laneに行くことができました。UKロック好きにはたまらないですね(^^♪
あのハンバーグは確かに値段の割にボリュームがあって、味も良かったです。
ちなみに僕はビートルズも好きですが、同時代ではスモールフェイセスやザ・フーが好きです。特にスティーヴ・マリオットの歌声には痺れます。
登山的には残念でしたが、Penny Laneでのランチとその後の日帰り温泉だけとっても、良い旅立ったと思います。那須岳へはリベンジにまたいつか再訪したいです。
szkさん
またまたのコメントありがとうございます。
那須岳に行かれましたか。男体山、谷川岳に続き進撃していますね。
自分は男体山以降に登山をしていません@x@;
夏の北関東は天気が変わりやすいですから、雷に打たれなかっただけでも良しですね!
Penny Laneはコンセプトよく仕上がったレストランですね。
かかっている楽曲がシングルと言うか知られている曲だけではなく、B面曲まで流れるので、コアなファンでも楽しる気がします。
60年代のトラディショナルな英国の雰囲気と那須高原が妙にマッチしています。
自分もスモールフェセスやザ・フーも聴いてます。
音楽のルーツが派生していった、67年から72年頃は横並びに楽しめる時代ですね。
那須岳は秋も楽しめるので是非!
はじめまして。いつも楽しく拝見しています。
三連休はこちらのブログでし~っかり予習してから
安達太良山と那須岳に登ってきました。
お連れの方がいらしたのでお声掛けは控えたのですが
もしかしてチェックのシャツをお召しになって
昨日安達太良山にいらっしゃいませんでしたか?
紅葉も奇麗でしたが、そっちの方が驚きでびっくりしました。
なんか有名人に会ったような…。
違ってたらごめんなさい(>_<)
>a96さん
初めまして!コメントありがとうございます。
結論を言うと、それは私です。
青いチェックの半袖シャツで歩いておりました。
登りでは人の多さに悪態をつき、下りではフォトジェニックな写真を撮ろうと奇怪な行動をしていたので、どこで遭遇されたかで恥ずかしさが違います!!!
路線バスで来ていました。
トイレに入ろうと一旦バスを降りたところで、バスのドアが閉まり、焦って戻ったところを見られていたら、PTSDものです。
連休は天気に恵まれて、良かったですねぇ。
山頂で少しガスられましたが、徐々に晴れてきて綺麗な紅葉を見れました。