2022年2月11日
東京都の高尾山に大雪が降った翌日に行ってきました。標高は599mです。
寒気を運ぶ南岸低気圧が通過すると、関東地方の平野部で雪が降ることがあります。12月から3月までの冬の間に、大体4,5回ほど降雪し、積雪は1,2回の頻度です。
そんな滅多にない積雪の機会に、近場の山に雪景色を見に行こうとする、極めて少ない登山者界隈があるようです。
一度、大雪予報の日に嬉々として出かけ、交通機関が全てストップした鎌倉に取り残され、ひどい思いをした経験があります。
なので、大雪直後に出かけるのは乗り気じゃなかったのですが、世界一の登山者数を誇る高尾山が雪山になる様子が気になったので旅をしてきました。
高尾山について
地図
登りは稲荷山コース、下りは2号路で下山しています。
コースタイム
- 07:49稲荷山コース登山口
- 08:27稲荷山展望台
- 09:14高尾山山頂
山頂に1時間以上滞在
- 11:132号路入口
- 11:45高尾山ケーブルカー広場
行動時間は3時間56分でした。
大雪後の高尾山登山
南岸低気圧が通過した関東地方、交通マヒもなく高尾山口へ
前日の夕方のニュースでは、大雪を警戒するニュースが報道されていて、都心部でも10センチの積雪の可能性がありました。が、都心部の積雪はなく、大した混乱はありませんでした。
2月10日(木)は関東の南海上を低気圧が進む、いわゆる「南岸低気圧」の影響で関東甲信地方や静岡県などで雪が降りました。
https://weathernews.jp/s/topics/202202/110135/
と言うわけで、電車は朝から動いていて、高尾山へとやってきました。午後には予定があったので、8時前と早めの到着です。
八王子あたりを過ぎてもカラカラで雪はありませんでしたが、高尾山口に到着すると、山はしっかりと雪化粧していました。
自宅から早めの電車に乗ってきましたが、すでにスタートしている登山者は多数の模様。雪が降ってもなんやかんや人が多い高尾山です。
ケーブルカーのりばの広場に来ました。この時間帯の風景だけ見ると、日本海側の新潟や長野のゲレンデに見えなくもない雪景色です。
お掃除小僧の頭に雪が積もっていました。
稲荷山コースで登る、ホワイトロードの雪景色
登りには「稲荷山コース」を選択しました。歩いたことないということもありますが、尾根道なので雪景色がより楽しめそうという考えです。
積雪量はそれほどなく、凍ってもいなかったので、チェーンスパイクは装着せずにスタートしました。序盤は階段なんですね。
稲荷山コースの由来となっている、旭稲荷がありました。赤いニット帽をかぶっていて、防寒対策バッチリです。
南側の曲がり角は、日当たりがいいのか、雪はゼロ。普段の登山道が剥き出しでした。やはり、高尾山程度の標高では、雪山に化けるのは難しいのか?
朝8時と言う時間ですが、雪が溶け始めてきました。関東に降る雪は水分量が多いから、雪解けは時間の問題です。
上を見上げると枝には雪が積もっていてました。
霧氷のように見えるけど、これってただ雪が枝に付着しているだけだから、霧氷ではない???
しばらく、土の道を歩いていると、徐々に雪道へと変わってきました。それにしても、稲荷山コースって傾斜が緩やかで、とても歩きやすいです。
1キロ地点を通過。山頂までは3.1キロで、1キロ区切りに表示してくれるようです。
そして、一気に雪景色へと変化しました。うおー、まるで八ヶ岳の森の中を歩いている気分です。
急斜面のない稲荷山コースなので、静かな森の中を堪能できます。
10秒立ち止まれば、前からすれ違うか、後ろから抜かれる高尾山で、この時間帯は、登山者も少ないです。
積雪量も徐々に増えていき、15センチ程度になってきました。新宿・渋谷にこの積雪量があったら、交通機関は全て全滅してますね。
稲荷山コースの展望台に到着しました。
地図を見ると、稲荷山はこの展望台付近にあるけど、コースから外れた場所にあるのでしょうか…。
都心方面が見えるようですが、雲がかかっていて展望なし…。
南岸低気圧で雪が降ったらありがちですが、高尾山あたりから笹子トンネルがあたりまでは、低い雲が発生しがち。徐々に晴れてくるのを願うばかりです。
真上は青空が見えているので、樹林帯にも光が射していました。しかし、高尾山の木々は、雪の重みに耐えられないので、暖かくなってくると…。
溶けた雪がドサッと降り注ぎます。
これが日本海側の雪なら、振り払えばいいだけですが、関東の雪はすぐ溶けてビショビショになります。頭上で音がしたら、回避体制にならねばなりません。
2キロ地点を通過。積雪は20センチを超えてきました。
稲荷山コースって、意外と長いですなぁ…。
雪の高尾山ですが、一人で楽しむより、パーティーで来た方が10倍楽しめるなと。この特別感は誰かと共有した方が良いな。
そんなことを思いながら歩いていると、稲荷山コースが通り抜け禁止になっていました。工事しているようで、回避ルートとして、6号路への道を進んでいきます。
6号路は谷底なので、朝日で溶けていない雪がびっしりと積もっていました。
沢の中を歩くコースなので、ぐちゃぐちゃになっていました。稲荷山コースではアイゼンの必要性なかったが、6号路は無いとツルツル滑ります。
6号路を歩く人はまだ少なく、積雪が凄かった。もう少し降ったら、ラッセルする必要が出てきそう。
6号路は道が狭くて、下山してくる人とすれ違いの難易度が高い。
木道が整備されているであろう場所に出ました。ここって、雨降った直後だとぐちゃぐちゃになっていた気がするなぁ。
3号路との合流地点に到着。
そして、すぐに高尾山のメインのコースへと合流。さすが、人通りが多いです。
ここまで来たら、山頂までは100mちょっと。「マスクをつけましょう」の垂れ幕が、マスクをつけているように雪が付いていました。
積雪20センチの高尾山頂、それでも賑わう世界一の山
高尾山頂に到着です。
ぐるーっと見渡しても、雪・雪・雪。いつもの高尾山が銀世界に変わるのは、一年に1回か2回、下手すると数年に1回程度です。
普段とは違う高尾山を見たい登山者で、大雪後にも関わらず山頂は混雑していました。世界一の登山者数を誇る高尾山、さすがです。
それでも、週末は渋谷駅前の喫煙所くらい混雑している、”いつもの高尾山”と比較すると、人口密度は低いです。
超混雑するゴールデンウィークと秋は、食べログ3.5以上の人気ラーメン店くらいの大行列ができて、近寄れませんから。
山頂にあるビジターセンター。
たぶん、ここの職員の方が発信しているTwitterで積雪情報をチェックしていました。
展望台へ進んでいくと…。ふ、富士山が見えない…。
高尾山周辺に雲がまとわりついているせいで、富士山や丹沢方面が隠されてしまっています…。
当初は南高尾山陵でも歩いてみようかと思っていたのですが、雪解けが早いので諦めました。しばらく、待っていれば富士山が見えてきそうな気もする…。
なので、ちょっとだけ展望待ちで、山頂にやって来る人間観察をしていました。ほとんどが登山者で、たまーに観光客もチラホラ。普通のスニーカーで登ってくる人は根性あるなと。
さすが世界の高尾山なのか、暑い国出身と思われる外国人パーティーがいて、雪を思う存分楽しんでいる姿も見られました。何故そんなに時間をかけるのかと思うほど熱心に自撮をしながら、ビデオ通話しているインド人(たぶん)もいました。
展望待ちの間、木の枝からスノードロップを3度くらい直撃しました。東京の雪の寿命は短い。
家から持ってきたのは烏龍茶しかなく、お腹減ってきました。そこらじゅうで、雪見ラーメンをしている人がいて空腹マックスです。
「早く富士山出てくれ」その願いが通じたのか、15分ほど待機していたら、富士山が見えました。R指定がつかないパンチラレベルでしたけど。
いつもより神聖さが増した、雪で覆われた高尾山薬王院
富士山の展望は完璧とは言えないまでも、報われた気分になったので下山を開始します。
下山はメインコースを下っていきます。カチカチに凍ってはいなかったので、アイゼンは装着せずに降りていきます。
薬王院の裏手にある階段はなかなかスリリングゾーン。
御本社まで降りてきました。ここにも雪が積もっていて、赤い社殿が白い雪に覆われて、とても美しい仕上がりになっていました。
薬王院の境内は丁寧に雪掻きがされているので安心。ありがたいことです。
こんなに雪が積もる環境でも、ミツマタの芽が出ていて、春の訪れを感じます。
雪山に化けた高尾山の登山道や山頂より、この中腹にある薬王院の方が美しいと思ったのが正直なところ。
参道は雪が払われているので、快適に歩けました。並んでいる赤の提灯がエモい。
それにしても、お腹が減りました…。なぜ、食料を一つも持ってきてないのだ。縦走も考えていたのに。
そんなところに助け船。男坂・女坂を登ったところにある権現茶屋が営業していてくれました。
店先で売っている名物のごま団子、おすすめと書いてあったから「東京みたらし」を買いました。お団子に胡麻が練り込まれていて、香ばしくて美味しかったです。
食事が食べられなくなるから損と、観光地での買い食いってあまり「しない派」なので、5~6年ぶりに食べたかも。
炭水化物エネルギがーチャージでき、下山を再開します。日中に差し掛かり、往来が多くなってきました。
開運ひっぱり蛸が雪だるまになっていました。この石像は結構印象に残るからグッツ化、もしくはたこ焼きを売るべきなんじゃないだろうか。
一度、分岐点をケーブルカー乗り場へと進みます。お目当てはなんと言っても、天狗焼きであります。
これを購入せずして、高尾山からは下山できない一品です。賞味期限が当日中なのに、4個も買ってしまった。
雪が溶けて土砂降りの2号路で下山する
ケーブルカーで帰っても良かったのですが、登山者らしく登山道、2号路で下山します。しかし、数分後、この選択を後悔することに…。
2号路は初めて歩くコースでしたが、樹林帯の林間コースでした。稲荷山コースよりは、傾斜がありました。このまま、すんなり下山と思いきや…。
気温上昇に伴い木々の雪が溶けて、樹林帯が土砂降り状態になりました。
雪を見に来たのに、雨に打たれるなんて、何かスゴい損をしている感情が湧きあがった。イカリングだと思って食べたら、オニオンリングだったみたいな。
レインウェアは持っていたので事なきを得ましたが、足元はビショビショになり下山しました。
2号路の登山口って、病院の裏手なんですね。
道なりに進んでいって、高尾山のケーブルカーのりばに戻ってきました。早朝と比較すると、雪がだいぶ溶けていました。
下山はケーブルカー乗ればよかった。
ケーブルカー広場のすぐ近く、高橋家でとろろ蕎麦を食べる
お団子は食べましたが、食事をして帰りたくなったので、ケーブルカー広場からすぐ近く「高橋家」に入りました。
ちょっと待って案内されましたが、店内はほぼ満席でした。雪の日でこれなのだから、通常はもっと混むんだろうな。
空気が乾燥しているからだろうか、雪山を歩いた後のビールが喉を刺激してくれます。
高尾山と言ったらとろろ蕎麦です。
雪解けのシャワーを浴び、ビールで内臓を冷やし、内も外も体が冷えたので、温かい蕎麦でバランスを取ります。
見た目があれだけど、プチプチ食感のとんぶりがアクセントになっていて美味しい。とんぶりがアクセントになると、思いついた人の発想がすごい。
とんぶりの正体がコキア(赤く染まるサンゴみたいな草)って知っている人少ないよね。たぶん。
体も温まり、胃袋も満たされました。
メインストリートはガラガラ。やはり、常識的に考え「大雪直後に山に行こう」ってなる人は少ない。
有喜堂本店で高尾まんじゅうの追加お土産を購入しました。初めて立ち寄ったけど、明治時代からある店らしいです。
高尾山口駅に戻ってきました。
駅と直結している温泉がありますが、自宅から1時間以内なので、毎回スルーしてしまう。ちょっと、高いし。雪を降っている中歩いて、体がチンチンに冷えた状態で入りに来るのがベストだろうか。
日中の日差しでポカポカしている京王線に乗って、ウトウト眠りながら帰りました。
高尾山の登山を終えて
はじめて、大雪直後の高尾山参加しましたが、年に1回あるかないかの風景を見れて貴重な体験ができました。以下のことを学びました。
- 関東に降る雪は解けるスピードが速いので、早めに登山、早めに下山
- 雨具は絶対に持っていくべき(下山中は雨、泥でぐちゃぐちゃ)
- 一人より、パーティーの方が絶対に楽しい
稲荷山コースの選択は良かったかも。尾根道なので、光が入るから清々しい雪景色を見ることができます。6号路とかだと、ちょっと暗いかも。
高尾山に登るのは、かれこれ5回目でした。大雪直後、それも午前中の時間だけという僅かな風景を楽しめました。雪が降っている最中に来ても情緒を感じれるかなと思っています。雪が溶ける心配がないし。
そこまで、積極的に大雪後に行く気はないですが、機会があればまた別の山に登ってみようと思います。
コメント