2019年3月2日
山梨県の杓子山に行ってきました。標高1598mです。
富士吉田市、都留市、忍野村に跨り、富士山外輪にある一座。富士山の北東にあります。全国的な名山指定こそないものの、富士山の展望にかけては他の山の追随を許さない頂上です。富士山周辺の観光地として有名な忍野八海が近いこともあり、数組の外国人ハイカーとすれ違います。
ハイキングコースと勝手に思ってみたら、嘘みたいな急斜面に立ち塞がれました。
富士山周辺の山はまだ未踏な山がたくさんあり、杓子山はその一つでした。噂通り、富士山を見るための特別席(S席)でした。今回は下山後に富士吉田市の郷土グルメ、吉田うどんをご褒美に設定して、富士山を眺める旅をしてきました。
杓子山について
地図
鳥居地峠から杓子山を往復しました。
コースタイム
- 8:23鳥居地峠
- 9:14高座山
- 10:28杓子山
- 12:15鳥居地峠
行動時間は3時間52分でした。
杓子山 登山
鳥居地峠から登る、序盤から富士山ビューと急斜面
いきなりですが、杓子山の登山口の鳥居地峠です。杓子山の登山ルートはたくさんあるようですが、高座山を経由するコースがメジャーなようです。
「360°パノラマ富士山全景展望 杓子山(天空の鐘)」と記載され、「展望」の大売り出しをしています。
鳥居地峠は観光地の忍野八海から林道を走った場所にあります。駐車スペースは10台ほど、なかなかギリギリでした。
忍野八海のトイレを利用しようとしたら、ちょうど営業開始時間だったようで、係員が料金を徴収してきそうだったので、トイレに寄れていません。ピンチです。コンビニなどですませておきましょう。
砂利道の林道を歩いて行きます。
10分ほど歩いて、登山道を見つけました。
オフロードを走れる車であれば、短縮可能です。5~6台は駐車できるかな。
登山開始。
入口は樹林帯。3月上旬と言うこともあり、緑は全くありません。
5~10分ほどで、樹林帯が無くなり展望が開けます。樹林帯が短いって素晴らしい。
振り返ると日本のシンボル、スッコーンと冬晴れの空に富士山のナイスビュー。尾根道の南側の斜面はススキが生えています。
登山道はススキを切り開いた道になっています。富士山外輪によくある感じです。
おわかりいただけただろうか?
ススキの斜面によく見ると「上」、「中」と描かれています。ナニコレ珍百景ならぬ、ヤマコレ珍百景に選定しようではありませんか。林業的な目印なのだろうか…?
冷え込んだ地面には霜柱が出来ていました。杓子山の登山道は9割は土。日が昇るにつれて、泥に悩まされました。寒い時期に登るのはなかなか苦労する山です。
そして、びっくりするほどえぐい急斜面の登山道。アルプス三大急登なんて目じゃないくらいです。コースタイムが短いからってハイキング気分出来たら、見事にぶん殴られました。
日の当たっている部分の地面は泥になり、雪山のように滑ります。無雪の山で、トレッキングポールの必要性があるとは。
ススキの穂が揺れる秋の10月~11月ごろに来ると、黄金色の斜面と富士山が映えそうです。
じゃくじゃくと霜柱を踏みながら、進んでいきます。展望と急斜面、飴と鞭ですわ…。
高座山山頂に到着。
ここからの眺も抜群に良く、富士山の大展望です。「急斜面で結構疲れたし、杓子山の山頂目指す必要ある?」と、思ってしまいます。
高座山を過ぎると細い尾根道になり、ロープが出てくる険しい道になります。ハイキング気分だったのに、思ってたのとちゃう…。
全然スピードの出ない道を進んでいると、ようやく杓子山が見えてきましたが、結構遠くに感じる…。
鉄塔の下を通過。見上げるショット、撮りますよね。
大権首峠は少し開けた場所になっていて、分岐があります。「杓子山 至」の看板を見逃すとアウトです。
分岐をちょっと登ったところにあるハンググライダー離陸場があります。
ここまで車で来れるってことなの?資材はレールが設置してあったので、運搬できるようになっているようです。
富士山の絶景を見ながら、ハンググライダーの空散歩が楽しめるようです。きっと、富士山の展望フィーでお高いのでしょうが、飛んでみたいものです。ハンググライダーを経験したことないですけど。
ここからも結構な登りが待っています。結構色んな山歩いてる自分ですが、こんな傾斜はなかなか無い。
最後の階段。
杓子山の登りは本当に大変でした。
遮るもののない富士山の展望、杓子山の山頂
杓子山の山頂に到着です。
ポップで可愛らしい山の名前と標高、鐘がくっついているのが特徴的です。
展望を謳うだけあって、富士山が真正面に見えます。右下は富士吉田市の町が広がります。
テーブルとベンチが設置されてます。山頂がドロドロ状態だったので、先客が立ち去った後、混雑するフードコートでお母さんが素早く席を席を取るかの如く、ベンチを確保しました。
富士山の裾野からてっぺんまで丸見えの贅沢な展望。展望を遮る木が全くないのが素晴らしい。
富士吉田市の街並みが広がり、かちかち山の奥には河口湖。そして、御坂山塊の奥には3000m峰が連なる南アルプスが見えます。
御祖代山杓子宮の看板があるミニマムなお社が建てられています。おもちゃのような鳥居が可愛い。「杓子」は神話に出てくるアイテムで、縁起物として奉納する神社があったりします。この杓子山の由来も神話から来ているのだろうか…。
杓子山のパノラマ。
山梨県の山だが、富士吉田市、都留市、忍野村の境界のため、看板が乱立しているパターン。富士山外輪で主たるとこだと御正体山と毛無山が未踏。まあ、そのうち…。
富士山の南側から雲が徐々に発生してきている。太平洋側の湿った空気が流れ込んできているのだろう。
風もなく穏やかだったが、山頂でランチするような準備はなかったので、同じ道で下山を開始。登山靴に泥が大量付着。霜が発生する冬は、なるべくなら登りたくないなと…。
登山コースが多数あるので、縦走や周回が可能なので、時間があればそちらも試してみたい。
金髪白人のイケてる20代の男に英語で「山頂はどこか?」と聞かれたので、くそしょぼい英語で「こっちの道だよ」と案内した。外国人が登る山として知名度あるのか?疑問である。
別れ際に声援の意味を込めた「ファイト!!」と言ったが、ポカンとした表情に一瞬なったあと笑顔になった。よく考えたら日本人しか通じないよなこれ…。「よし、戦おうぜ」とジャパニーズハイカーから喧嘩吹っ掛けられたと捉えられてるんじゃないかと不安だ。英語は勉強したほうがいい。
杓子山の急斜面を降りるのは一苦労です。泥に足を取られて何度も何度も滑りそうになりました。杓子山の登山は終了です。
美也樹うどん、こじんまりとした地元密着の吉田うどん
登山でよく訪れるのに吉田うどんを食べたことがなかったので、「美也樹うどん」という店をリサーチして行ってきました。杓子山の登山口から20分から30分ほどでした。
日本一硬い麺に、醤油・味噌の出汁が絡むこだわりの郷土料理
日本一硬い!?コシが強い麺 、こだわりの出汁、麺との相性ばっちりの茹でキャベツ、甘辛く煮た馬肉
https://fujiyoshida.net/feature/udon/index
山梨県の富士吉田市は、香川の丸亀、秋田の稲庭のように、うどんタウンです。 東京から近いこともあり、吉田うどんの店は東京には皆無(たぶん)なので、現地でしか食べれないレアなうどんと言えるでしょう。
最低限の飾り気のない食堂のような店内。うどんを食べて、すぐ帰るという、地元密着感があります。
壁にかけられたおしなが対して。一番安いのが「かけうどん(310円)」、一番高いのは「鍋焼きうどん(620円)」です。「20年前にタイムスリップしたかな?」と思える価格設定です。学食より安いんじゃない?
そういうわけで、一番トッピングが豪華そうな「肉天うどん(420円)」注文しました。カレーうどんと悩みましたが、ベーシックなものと味が変わってくるしな…そういう葛藤ありますよね?
この店は富士急ハイランドの隣にあるせいで、絶叫マシンから放たれる「ワ―!!」「キャー!!」という叫びが店内BGMです。絶叫マシンがレールの頂点に昇っていくのをぼーっと見て、うどんの茹で上がりを待ちます。
肉天うどんが到着。
ぼそっとした食感の馬肉、たまねぎたっぷりの天ぷら、そして特徴的な茹でキャベツ。 420円とは思えない豪華なトッピングに目を奪われます。 うどんの目が太く、「うどん界で一番硬い」と謳い文句があるように、ガッチリしています。栄養価のバランスが良さそうな見た目をしております。
卓には「すりだね」と言うらしい、ごま・唐辛子・山椒をブレンドした辛い調味料が置いてあります。七味唐辛子のようにうどんに辛みの変化を加える役割。
こう書くとマイナスに捉えられそうだが、田舎っぽい味が良い。おばあちゃんが作ったような味。讃岐うどんの透き通ったダシの味がメインとは違い、醬油とダシのバランスが拮抗。
低価格なのにしっかりと腹に来る。後続があるのでセーブしたが、登山後だったらもう一杯いける。次回は他の客がよく注文していたカレーうどんを注文したいです。
萱沼製パン、富士吉田市のやわらか食パンをお土産に
うどんを食べた後、ほど近い場所にある「萱沼製パン」を訪れました。住宅街のほっそい道を行った先にあるパン屋です。ナビを頼りにしないと絶対にたどり着けない場所にあります。
昭和からずっと続いているんだなと思われる店内。
値段が安い。
お昼過ぎの時間だったので、ピーナッツサンドとイチゴジャムサンドの二つを買って売り切れてしまいました。お目当ての食パン1斤(230円)は買うことができた。自分たちが買った後には店のシャッターをしめてました。登山前に来るとよかったかもしれない。
数日、朝食をふわふわのおいしいパンで過ごすことができました。富士吉田を訪れた際は是非。
杓子山の登山を終えて
登山はじめる前、知っている海外の山を思い出してみました。振り返ってみると3つしか知らなかったと思う。
世界一高いエベレスト、これは当然知っています。次にマッターホルン、ヨーロッパのアルプスにあるという認識だけです。
残り一つはどこだと思いますか?
ダイアモンドヘッド、ハワイの映像に必ず映り込む山です。山と言っても、ほとんど観光地。
知らずに使ってて山の名前だったことを知るってパターンもある。例えば、キリマンジャロはコーヒー豆を栽培してる地方だと思ってました。紅茶の品種はアッサム、ダージリンとかだいたい地方の名前だし。モンブランは、栗のケーキだと思い続けていたし…。カメラメーカーで有名なオリンパスも実は山の名前。
富士山は世界で知られている山の10個に入っていると聞いたことがあります。杓子山には外国人グループが複数いたので、世界には富士山ってどれくらい知られてるんだろうなと、ふと思いました。
世界的に知られてる山としては眺めるのも登るのも簡単。世界の山は近くに行くまでに数日、登るのにも数日と難易度が高いです。世界的に知られている富士山が、身近にあることって、とても恵まれているのです。
富士山語りになってしまいましたが、そんな富士山を展望できる杓子山。登山口から山頂までのコースタイムが短いから油断していると、超ドSな急斜面にやられれると覚えておきましょう。
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