2017年4月23日
山梨県の奈良倉山と坪山に行ってきました。標高はそれぞれ1349m、1103mです。
坪山は4月中旬~5月上旬頃に、ヒカゲツツジの群生が見頃を迎えます。クリーム色の花を咲かせ、ツツジと名がついていますが、シャクナゲのような見た目をしています。
奈良倉山は、富士山が綺麗に見える「秀麗富岳十二景」に選ばれる山です。今回はバーターとして、登ってきました。
坪山の存在は、登山仲間の一人が知っていました。全国知名度はなく、一部の登山者にしか知られていませんでした。どのメディアかはわかりませんが、紹介されたことにより、知名度が一気に上がった山です。
ヒカゲツツジと言う珍しいツツジの群生。その魅力に惹かれて、山梨の奥地へ旅してきました。
奈良倉山・坪山について
地図
鶴峠から登山開始し、奈良倉山~坪山を歩き、羽置の里びりゅう館に縦走しました。
コースタイム
- 09:26鶴峠
- 10:30奈良倉山
- 12:42坪山
- 15:34羽置の里びりゅう館
行動時間は6時間12分でした。
アクセスは中央線の上野原駅からバスが出ていて、登山シーズンは増便が出ています。
坪山の花の見頃
ヒカゲツツジ・イワウチワ | 4月上旬から5月上旬 |
イワカガミ・ミツバツツジ | 4月中旬から5月中旬 |
4月下旬頃に訪れるのがベストかなと思います。開花タイミングはびりゅう館のInstagramなどで確認できます。西コース(西尾根コース)が特に花の多いコースになっています。
奈良倉山
上野原駅からバスに乗って、奈良倉山登山口の鶴峠
奈良倉山へ行くバスは、JR中央線の上野原駅から出ています。早朝に出発し、高尾駅で乗り換えます。都内周辺の山を登るのに最適な季節なので、山梨方面へ向かう登山者がわんさかいます。
上野原駅に到着すると、結構な登山者が降りようとしたので、「これはヤバい」と急ぎ目に改札へと向かいます。
鶴峠行きのバス乗り場は、専用の待機スペースが出来ていました。ヒカゲツツジのシーズンは人気があるみたいです。
上野原駅からは歩ける登山コースは豊富なようです。あまりメジャーな登山コースではなさそうだけど。バス乗り場にハイキングマップの配布がありました。
奈良倉山の登山口がある鶴峠までは1時間13分の乗車。
秀麗富岳シリーズは電車からのアクセスが良かったり、2つの山が隣接している場合が多いです。しかし、奈良倉山だけは離れた奥地にあるので、敬遠される理由です。
1時間以上座れないのはキツイので、駅に着いたらトイレにも寄らずバス停で並びましょう。
鶴峠バス停に到着。正確にはバス停のちょっと手前で降ろされました。
新しいトイレが設置されていて、登山者に優しい。
鶴峠から奈良倉山へ、JTの森小菅を歩く
奈良倉山にこんなに人が来るか??
と、思ったのですが、奥多摩の三頭山の登山口も兼ねているようです。
登山口では桜が満開で、ピンクの花を咲かせていました。標高が高いので、4月中旬で満開になるようです。
桜以外にもミツバツツジが咲いていました。
鶴峠バス停の真横に奈良倉山の登山口があります。
奈良倉山の森林は「JTの森小菅」として保全されています。喫煙者じゃないので、大ヒット飲料「桃の天然水」くらいしか馴染みないです。もう、見ないけど。
秀麗富岳シリーズ不人気の奈良倉山でも、大企業マネーで登山道はしっかり整備されていました。
4月下旬にもなれば、新緑ゾーンは1000m付近まで上がってきています。
太陽の光を浴びて、生き生きと新芽が輝いています。
葉っぱが成長してきてしまうと「代り映えしない樹林帯」と評価してしまうので、都合の良い自分がいます。
「ここに住む野生動物達」のボタニカルなイラストが展示されていました。
展望が開ける場所がありました。
三頭山とか雲取山が見えているのだろうか…。
JTが管轄する森を抜け、奈良倉山の登山道へ。
「大事なことなので2回言いました。」と、言わんばかりである。
ここから、大企業の資本が入った道はなくなり、一般的な登山道へと変わっていきました。
奈良倉山と松姫峠の分岐点を通過しました。
奈良倉山を目的で単品で登る人は、松姫峠を越えて、高指山を登ってから、小菅の湯に降りるのがスタンダードみたいですね。
お、カタクリが咲いてました。しょぼんとしてるけど。
さすがに上の方まで来ると、季節はまだ冬と言ったところで、寂しい雰囲気の森です。そして、曇天になりつつあり、これは富士山が見えないのでは…。
最後の最後はほぼ平坦な森の中を進んでいき、山頂の看板が見えてきました。
秀麗富岳十二景五番山頂の奈良倉山、富士山は見えなかった
奈良倉山の山頂に到着です。
秀麗富嶽十二景としては、五番山頂にあたります。山頂がブナとスギの境界になっていました。樹林帯に囲まれ、展望は皆無です。
山頂のすぐ近くに「富士山天望所」がありました。
が、肝心の富士山が見えないではないか。もう1回登りたいかと言えば、登りたくない奈良倉山で、富士山が見えないなんて…。まさに「奈落」に落とされた気分です。
ちょっとだけ待ってみたら、富士山の雪部分だけ見えました。
富士山か?富士山じゃないか?論争で言えば、「富士山じゃない」と答える人が多数でしょう。しかし、富士山がどう見えるかは、個人の好み・主観の問題です。そうこれは、富士山なのです。
暴論をぶちかまし、秀麗富嶽十二景と言う概念を正当化し、坪山へと向かいます。それにしても山頂の雰囲気はまるでなく、地味な山頂です。
もう1回来ることあるだろうか…。
坪山
佐野峠を経由して、坪山へと進む
それでは、看板に従い坪山へと向けて歩いて行きます。佐野峠を経由するようですが、この峠は見逃してしまいました。
奈良倉山から降ってすぐ車の轍がある林道に出ました。奥深い場所にあるので、ちょっと拍子抜けです。
たぶんですが、この林道は山梨県の大月市と上野原市の境界になっています。
看板が程よく設置されているので、落ち葉でトレースが隠されていても迷う心配がないです。
展望が開ける場所があり、山間の限界集落が見えました。東京の高尾駅から3駅隣にある風景とは、とても思えない秘境です。
冬枯れしている稜線ですが、足元を見るとスミレの花が咲いていました。
林道が終了し、坪山の登山道へと進入します。看板はまたしても冗長構成(サーバの予備を稼働し、障害発生時に切り替えできる構成)を組んでいます。
ここからは、明瞭な登山道は認識できるものの、「あんまり人が歩いてないんだろうな」って感じの道でした。
群生はしていないが、ちゃんと咲いているカタクリの花を発見しました。
ふと、展望の開ける場所があり、富士山が見えました。
果汁10%未満でもオレンジジュースを名乗って良いので、80%ほど富士山が見えていれば、それは富士山です。
キュッと稜線(?)が狭まってきました。
樹林帯の陰に咲く、ヒカゲツツジの群生
ここで、初のヒカゲツツジを見つけました。名前の通り、日の当たらない日陰に咲いていました。今どきの言葉で言うと、陰キャな花です。
ポツポツと咲いていましたが、進んでいくと、人間の背丈を越えるほどに成長したヒカゲツツジが咲いていました。
日向に咲いています。日陰でも咲くけど、太陽を浴びるとより成長するみたい。
尾根道を侵食するように咲き乱れています。
ヒカゲツツジは、関東から九州まで分布するので、珍しい花ではないようです。が、群生地としては坪山の名前が上がるのは、東京から近いって理由だろうか。
ヒカゲツツジのトンネルは良いのですが、意外と急斜面だったりします。
見頃はまだ先ですが、ミツバツツジもちょこちょこと咲いていました。
「まもなく坪山山頂」の看板が地面置きされていました。山頂は馬酔木の低木が多めです。
ヒカゲツツジと馬酔木に囲まれる坪山の山頂
坪山の山頂に到着しました。
樹林に囲まれた奈良倉山と違って、低木しかなく、開放感のある山頂です。山頂にもヒカゲツツジが咲いています。
ヒカゲツツジが見頃と言うことで、山頂は登山者で賑わっていました。たぶん、見頃の時期以外は人が少ないんだろうなと。
山頂は広くはないけど、ビニールシートが広げられるくらいの空間はあります。
馬酔木の花が一部開花していました。馬酔木は毒があり、密集している場所は草食動物が多い傾向にあるとか。
看板は木の板に筆で書かれています。
奈良倉山は大月市が制作しているけど、坪山が属する上野原市の看板は、誰かのハンドメイドなのだろうか。
日陰物を養分にして、大空を羽ばたくアゲハ蝶。
ミツバツツジやイワウチワが咲く西尾根コース
坪山の山頂を満喫し、下山を開始します。「西ルート」、「東ルート」、びりゅう館へ降りるルートの3つがあります。花コースになっている、西ルート(西尾根ルート)で下山します。
あまり一般的なコースじゃないようで、急斜面の泥あり、岩場あり、ロープありの非常に下りにくかったです。
花コースとされているだけあり、この尾根道にもヒカゲツツジが咲いています。
岩カガミの看板がありましたが、一つしか咲いてませんでした。ヒカゲツツジとは時期が違うっぽい。
少しだけ降りてくると、ヒカゲツツジの群生で、登山道が花のトンネルになってました。この一帯の規模は、見応えがありました。
森が一面クリーム色の花。
天城山、甲武信岳などのシャクナゲ見頃の時期に登りましたが、それに匹敵する光景です。
クリーム色の花自体が珍しく、似た花はキバナシャクナゲかな。
ある程度まで降りるとヒカゲツツジは終了しました。
変わって足元に現れたのが「イワウチワ」。団扇の形をしているから名付けられたそうな。薄いピンク色の花びらが可愛らしい花です。
花の絶えない尾根道ではあるが、傾斜がきついので下りにくいったらない。トラロープが張ってなかったら、2度、3度こけてる。
「つつじの群生地」と書かれていたポイントがありました。ヒカゲツツジより低い位置に領域を持っているようです。
ヒカゲツツジ、イワウチワ、イワカガミ、ミツバツツジと多様な花が咲いていて、何ともお得感のある尾根道でした。
「ヒカゲツツジ群生」の看板がありました。山頂から麓まで広範囲で見ることができるんですね。
奥多摩のような杉の樹林帯になると、傾斜が緩やかになって、歩きやすくなりました。
沢底が乳白色だったのですが、温泉のような成分が溶け出している?
坪山西尾根の登山口まで降りて来ました。「花の多いコース」の表記通り、7割くらいは花が咲いていました。
上野原の西原集落に下山、びりゅう館で坪山記念丸太を頂く
「西原」の集落が見えて来て、坪山の登山は終了です。
ここからは、バスの始発になっている「羽置の里 びりゅう館」へと歩いて行きます。
鶴川に沿って、葉桜になりかけの並木道を歩いて行きます。桜の開花が都心とは3週間くらいずれがあるんですねえ。
西尾根の入口から20分ほど歩いて、びりゅう館に到着しました。びりゅうは「美しく流れる水」、「美流」から付けられているとか。
道の駅ではないけど、売店やトイレ、そして、蕎麦が食べられる食堂があります。時期的に山菜が豊富に売られていました。天ぷらにすべく、300円でみっちり束ねられたわらびを購入しました。
坪山の登山バッジはないですが、基金を寄付すると記念丸太が貰えます。初めてだなこのパターンの記念品は。
バスの時間まで食堂で手作り梅ジュースでリフレッシュしました。毎年、梅ジュースを作っているので、梅仕事のシーズンが楽しみです。
びりゅう館の正面に「学校前バス停」がありすます。シーズン中は、午後に4便も出ているので安心です。
1時間ほどウトウトしていたら、いつの間にか上野原駅に着いていました。大月方面からたくさんの登山客が連れた中央線が来て、家路へ着くのでした。
奈良倉山・坪山の登山を終えて
最初は、秀麗富岳十二景である奈良倉山へ「行く理由をつけるため」の坪山でした。
アカヤシオやシロヤシオなどの見栄えするツツジと比べると、ヒカゲツツジは地味かなと思っていました。しかし、その群生の規模は想像を超えていました。奈良倉山と繋げず、坪山を単体で歩くコース取りでも良かったです。
SNSや登山メディアの発達で、無名だった里山が全国知名度を得ることが増えました。例えば、栃木県のカタクリの群生がある三毳山やミツマタの群生の焼森山などなど。里山もバズる時代なのです。
まだまだ、知られていない山が全国には眠っていると思うとワクワクします。
今回の主役は坪山でした。奈良倉山は今度、別の形で登りたいけど、遠いんだよなぁ…。
コメント
冗長構成の看板は笑いました。
ただ、同じ場所に二重設置しているだけにも見えて、耐障害性の観点からも拠点冗長を検討すべきですね。
もはや登山関係ないですね。。
24時間365日ではない、小規模なシステムなんで…。
双子看板は今でも謎です。