
2017年4月30日
埼玉県と東京都にまたがる棒ノ嶺に行ってきました。標高は969mです。
清流に沿って登るこのコースは、都内近郊の山では珍しく、沢登り気分で楽しめる貴重なハイキングルートです。4月下旬(ゴールデンウィーク頃)に山頂の山桜が見頃を迎えるため、埼玉で最も遅いお花見を楽しむことができます。

ゴールデンウィークの長期連休は遠征も魅力的ですが、旅費が高くなりがちなので、近場の登山も検討したいところです。そんな中、棒ノ嶺の桜が満開という情報を見つけたので、さっそく旅してきました。
棒ノ嶺 日帰り登山
飯能駅からバスに乗って有馬ダム

池袋駅で西武線に乗り換えて、9時過ぎに飯能駅(はんのうえき)に到着しました。


有馬ダム行きの路線バスに乗りました。乗客は10名程度で、「案外、ゴールデンウィークに棒ノ嶺へ行く人は少ないのかな」と思っていたのですが……。まあ、その後、帰り道で悲惨な目に遭うんですけどね。

約40分バスに揺られて、さわらびの湯に到着。まずはここでトイレを済ませます。売店では軽食が販売されているので、ここで現地調達するのもアリです。

駐車場は満車で、車で来ている人の方がほとんどのようです(そんなことはなかった…。)

さわらびの湯を起点とした定番の周回コースを歩きます。まずは、車道を登り、有馬ダムを目指します。

栗の形をした石碑には「有馬ダム」と書かれています。ちなみに、有馬ダムによって造られた人造湖が名栗湖です。

しばらく、ダムに沿って進んでいきます。

ダム沿いの道を進んでいくと、自然と登山口が見つかります。さわらびの湯からは、徒歩でおよそ30分ほどでした。
色彩のほとんどが緑のゴルジュ

白谷橋の登山口より棒ノ嶺の登山開始です。
個人的には3度目で、過去2回は12月に登っているので、新緑シーズンは初めてです。


棒ノ嶺は自然林の中を歩けるので、むせかえるような新緑を食らえます。足元には天ぷらにしたら美味しそうな山菜も生えています。


すぐに渓流の岩場が登場し、水が流れる心地よい音を聴きながら登って行きます。紅葉シーズンも良かったですが、新緑シーズンも素晴らしいです。

何度も沢を渡ります。このアドベンチャー感が棒ノ嶺の最大の魅力ですね。

高さ15m以上ありそうな巨大な岩壁の間を進んでいきます。

実にダイナミックです。岩壁に挟まれたこのような地形を「ゴルジュ」と呼びます。
フランスで「のど」の意味らしいです。フランス人は、のど=狭いという感覚なんですね。

日照時間が短い谷なので、岩は苔むしています。目に映る色彩の8割が緑。

アカヤシオらしき花が浮かんでいました。咲いてるのかな?

上流まで来ると、より岩岩しくなります。

ただ、岩のほとんどが固定なので、見た目より安全に歩けます。


ニリンソウが咲いていました。名前の通り二輪咲く花ですが、片方は蕾でした。ちなみに必ず二輪作とは限らないとか…。


急な岩場も鎖を利用して登って行きます。実に安全設計です。

上流から流れてきた桜の花びらが風流です。


少し急峻な場所を抜けると平坦になってきました。せせらぎが相変わらず心地よいです。
渓谷は終わり、岩茸石から急坂を登る

林道と合流すると楽しかった沢沿いコースは終了です。

ここからが棒ノ嶺の後半戦で、残りは残念ながら山道です。


登山道はよく整備されて登りやすいですが、前半ほどの楽しさはないので、黙々と登ります。

「岩茸石」に到着しました。周回コースの十字路になっているポイントです。おじさんが登っていたので、このタイミングではスルーします。


ここからは急坂で、ひいひい言いながら登ります。700m以上の標高差があるので、決して簡単な山じゃないですね。

権次入峠に到着しました。ここが、稜線にあたる箇所です。

残りコースタイム15分です。先ほどよりは平坦です。

北側斜面はたくさんの山桜が群生しています。棒ノ嶺が桜の山だということを知らなかったな…。

山頂直下もなかなかの傾斜で、易々とは登頂を許してくれません。
山桜満開の棒ノ嶺山頂、埼玉で最も遅いお花見会場


棒ノ嶺の山頂に到着です。桜満開でお見事です。
そして、広い山頂を埋め尽くさんばかりにお花見の人・人・人。ノボリを立てた出店が出ていてもおかしくない状況です。

バスも登山道にも、思ったより人がいないなと思っていましたが、少し早く到着して、お花見していたんですね…。
たくさんビールを担いできたら売れるんじゃないかな…。ただ、トイレがないから売れないか…。


というわけで、我々もレジャーシートを敷いてお花見です。今日のメインディッシュは「りらっくまのお稲荷さん」を作ってきてもらいました。

クールな表情のリラックマお稲荷さん。食べるのがもったいないですが、美味しくいただきました。


桜の開花が市街地よりも約1ヶ月遅れるため、埼玉県内で最も遅くお花見が楽しめる場所と言えるでしょう。棒ノ嶺より高い場所はもっとあるのでわかりませんが…。

棒ノ嶺は北側方面だけ展望が優れていて、都心方面がよく見えます。ただ、ぼんやりしていたので、遠くの山々までは見えませんでした。

お花見と言えばお団子です。スーパーで売っているヤマザキの例のやつ。

三色団子って子供の頃に「全部同じ味なんだ。」と、誰しも一度はガッカリしますよね?
そろそろ、進化系の三色団子が登場してもいいと思うんです。

お昼を食べてる間に山頂の混雑が解消していました。これは少し遅れてきて逆に正解だった?


山頂看板の横にある特等席ベンチも空きました。

ゴールデンウィークだと北海道の函館あたりで桜が見頃なので、棒ノ嶺と北海道と同じ環境ってことなのだろうか?ソメイヨシノと山桜の違いはあるかもしれませんが。

あれほど賑わっていた山頂ですが、14時過ぎにはガランとしていました。
下山して混雑するさわらびの湯、すし詰めの路線バス

お花見を終えて、下山を開始します。

先ほどは登れなかった岩茸石に登ってみました。全身が紺色だったので、全く目立ちませんでした。

下山コースは、花粉を生産し続け、都会の人に嫌がらせをし続ける杉の樹林帯です。

一応、ミツバツツジとか咲いてました。


日曜大工で作ったような展望台がありましたが、立ち入り禁止になってました。展望は山頂で事足りると思うので、なぜここに作ったかは謎です。

沢のコースより滑る砂利道は慎重に降りました。


集落まで降りてきて、下山完了です。

さわらびの湯に戻ってきました。登山の起点にある温泉施設は「神」ですが、その分だけ登山者の大半が利用するということです。

案の定、施設内は激混みで、女風呂はドライヤーの争奪戦だったらしく、髪が洗えなかったそうです。

狭山茶コーラ。
「Amazing Taste」とラベルに書かれていましたが、これは悪い意味です。

風呂を後にして、バス停に来たら行きとは違って長蛇の列です。入るのは簡単、出るのが難しい、まるでアメリカの大学みたいな状況です。

朝のラッシュ時、東西線や田園都市線以上のすし詰め状態で、40分の乗車は非常に苦しかったです。途中のバス停から乗ってくる人たちも、とても大変そうでした。

帰りは池袋駅で下車し、お花見の打ち上げ(?)をしました。

老舗の「やきとん千登利」です。たまに、池袋で乗り換える際、たまに立ち寄ります。

この店の肉豆富が味が濃くて、脂っこくて美味しい。

やきとんもしっかり食べて、ほろよいで地下鉄に乗り、帰りました。
登山を終えて

棒ノ嶺は、本当に歩いて楽しい山ですね。毎回、期待を裏切りません。
今回は、新緑の渓谷と山頂の山桜、そして素晴らしい風景を楽しむことができて、一度の登山で二度美味しい体験となりました。
市街地ではすでに葉桜になっていますが、ゴールデンウィークにお花見ができるのは、とても有意義ですね。「GWに何した?」と聞かれて、「埼玉でお花見したよ」とドヤれます。

ただ、これまでの登山で多くの混雑した路線バスや登山バスに乗ってきましたが、今回が一番きついバスでした。ですので、ゴールデンウィークの休日に行くのはよく考えたほうがいいと思います。
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