2014年6月29日
長野県八ヶ岳の天狗岳に行ってきました。標高は2645mです。
八ヶ岳連峰は、なだらかな稜線の北八ヶ岳、急峻な地形の南八ヶ岳に大きく分かれます。天狗岳はエリア的には「北」に属していますが、その両方をミックスした自然環境が見られます。日帰りしやすいコースタイムでもあるので、八ヶ岳の中でも特に人気の山です。
今回は、唐沢鉱泉を起点とした「西天狗岳~東天狗岳~黒百合ヒュッテ」の周回コースを歩いてきました。
八ヶ岳は山頂に立つのに1泊以上掛かるところがほとんどの日本アルプスより敷居が低く、日帰り登山も可能でありながら、長期縦走が可能。標高2500mを越える高山帯でありながら、豪雪地帯ではないため、冬山も楽しめる非常にバランスに優れた山域です。
八方美人な性格から、本命の山の「抑え」として候補が上がり、メインストリームから遠ざかっていた山域でした。
初夏の八ヶ岳の良さを再確認すべく、旅してきました。
天狗岳について
地図
唐沢鉱泉から西天狗岳〜東天狗岳の周回コースです。
黒百合平の黒百合ヒュッテでお昼ご飯にしました。
コースタイム
- 6:25唐沢鉱泉
- 9:05西天狗岳
- 10:00東天狗岳
- 10:49黒百合平
黒百合ヒュッテで1時間の休憩
- 13:37唐沢鉱泉
行動時間は7時間12分でした。
天狗岳 日帰り登山
天狗岳登山口(唐沢鉱泉)~瑞々しい苔の樹林帯
登山ブログなのに開始が登山口からではなく、登山口に行き着くまでダラダラ長いでおなじみの本ブログ。
今回は登山口からスタートします。
八ヶ岳天狗岳の登山口がある「唐沢鉱泉」です。
真夜中に登山口のある「渋の湯」を目指し、明るくなってから「あれ?唐沢鉱泉の方が天狗岳に近いんじゃね?」と気付き移動しました。天狗岳の登山口が渋の湯と刷り込まれていたのは、きっとバス利用の人のブログかなんかを直前に見ていたからでしょう。
梅雨が続く関東甲信越。
この日も天気予報は曇となっていて、今ひとつ盛り上がりにかける空模様です。
標高1880mの唐沢鉱泉はひんやり涼しく、外界の蒸し暑さとは無縁でした。
夜に降った雨が花に装飾を加えていました。
本日は「はるし」と「よしこさん」をお供にしての出発。
二人共テントを担いでアルプスを韋駄天のように縦走してしまう二人なので、ついて行けるか心配です。
登山口にある唐沢鉱泉。
下山後に移動せず温泉に入れるという優しい世界。
天狗岳は唐沢鉱泉を起点に周回ルートになっています。
テント泊の場合は「黒百合平」を目指しキャンプ、日帰りならば最高峰の「西天狗岳」を目指しピークハント周回がスマートでしょう。
…序盤から容赦の無い突き離され具合である。
西尾根登山口から入山します。
西天狗の山頂まで2時間35分のコースタイムで標高差は765m、日帰りするのに適度な尺です。しゃくなげ橋だけに。
序盤から苔むした樹林帯です。
緑が濃く美しい登山道。前日降った雨が良い演出をしてくれます。
前方歩く二人は…いない…。
岩石と倒木にびっしり苔の緑で染まっており、普段見ることのできない森の雰囲気を存分に味わいます。
悠長に写真を撮っていると二人が見えなくなってしまうので必至に追いつく。
西尾根の分岐点に到着です。
ここからは尾根歩きになり、45分ほど先にある展望台を目指します。
標高2000mは越えているとはいえ梅雨は梅雨。
湿度は高く、汗がとめどなく流れ続けます。
白檜曽(しらびそ)と白樺(しらかば)の樹林帯にも飽き始めてくる。
目を足元にやると丸太に白いキノコとふわふわの苔で造られた箱庭的オブジェがあるのが面白い。
原生林的な魅力も本場である屋久島に数回渡っている二人には通用しない模様。
梅雨に濡れイワカガミが咲いていました。
花開く直前のキバナシャクナゲ。
こちらは咲いていました。
尾根道に樹林帯の切れ目が現れましたが、ファンタジーな霧の哀しい世界。
第一展望台に到着です。
雲の展望台だったようです。
上を見上げると今にも広がりそうな青空が出ているというのに。
山麓に雲が堆積しているのか、好転するのかよくわからない状態。
再び雲が登り始める。
再び真っ白に。
雲の悪戯に一喜一憂しながら、展望台から進んでいきます。
樹林帯に光が差しこむようになり、これはこれで幻想的な森の風景。
光によってフレッシュなグリーンが浮かび上がる苔たち。
というわけで歩を止めて、森を歩いている感で撮ってみた。
自分がやると暗くなる仕様。
ガスが晴れる稜線
展望ある稜線に出ると雲の動きが目まぐるしく動く様子を見ることが出来ます。
このように雲が山の斜面でくすぶっている感じは東北の早池峰山で体験しました。
ミネザクラが咲いていました。
7月になろうとしているのに桜が見れるのは登山者の特権ですね。
徐々に青空が見えてくる。
ものすごい勢いで雲が山頂を目指し登っていきます。
第二展望台に到着です。
雲がみるみると上に登って行き、遂には麓の町が見えてきました。
よしこさんが好転の嬉しさを全身で表現してくれました。
カ、カワイラシイデスネ。
展望台の御役御免です。
山頂にかかっていた雲が徐々にとれはじめました。
さて、晴れ間も出てきて一気に山頂を目指します。
遂に山頂の雲が取れました。
茅野市の向こうは南アルプスで、山脈は雲に覆われている模様。
八ヶ岳にして正解だった。
天狗岳の最後は岩石帯の急斜面。八ヶ岳の山頂付近にありがちです。
天狗岳山頂(西天狗~東天狗岳)
天狗岳山頂
登山口より2時間30分掛かりました。長くもなく、短くもないちょうどいい疲労感を感じる時間です。
天狗岳の向こう側の景色です。
八ヶ岳より東になり、雲上の上に浅間山が見えたような気がしました。
西天狗岳と東天狗岳の間に雲が流れていて、東天狗岳の山頂が霞んで見えます。
一方、八ヶ岳より西側はすっきり晴れています。
お昼にさくらんぼを頂きました。
もうちょっと晴れないかなと西天狗岳の山頂で待ちわびます。
サッカーをしながら。
風もなくサッカー日和で、山頂にほとんど人がいなかったので練習が捗りました。
東天狗岳のこの景色が限界のようでした。
南八ヶ岳の赤岳や硫黄岳は雲の中。
北八ヶ岳と南八ヶ岳の選択で命運が別れてしまったようです。
梅雨の天気変動は激しいことこの上なし。
一向に天気は回復しなさそうなので、東天狗岳に向かいます。
稜線を歩いて10分も掛からず。
東天狗岳山頂
手作りモナカを頂きました。
モナカと餡がわかれているため、さくっとした食感をいつでも味わえるわけです。
むしゃり。
いい感じの岩があったので登ります。
目を凝らして山麓を見ると樹林帯に小屋があります。
稲子湯(いなこゆ)でしょうか。
山ガールっぽく撮ってくれということになり撮影。
OKテイク。
NGテイク。
山頂での一仕事を一通り終えて下山開始です。
「中山峠・黒百合平」を目指して出発。
樹林豊かな八ヶ岳ですが、稜線付近は崖になっていて、爆裂火口であることがわかります。
黒百合ヒュッテでティータイム
見下ろした先に黒百合ヒュッテが見えました。
登るのは安定する岩石帯ですが、下山するのには気を使います。
佐久・小諸方面は依然として雲が多く雲海。
入道雲。
登山者は多く、人気の山です。
梅雨の晴れ間に登るべき山なんでしょう。
中山峠の分岐点。
白駒池にトレッキングしに来た時に歩いた記憶があります。
黒百合平もとい黒百合ヒュッテまでは鼓動が整備されています。
黒百合ヒュッテに到着です。
時間も早いのでテント場はガラガラでした。
黒百合ヒュッテにある2畳ほどのカフェ「チョコレート・リリー」で小休止します。
黒百合ヒュッテはオリジナルグッツが豊富に取り揃えられています。
人気商品は手ぬぐい。
紫、エンジ、グリーン、ピンクの4色がありました(2014年時点)。
黒百合ヒュッテオリジナルラベルのワイン(赤・白)の販売もありました。自分はワインの味がさっぱりわからないので、自分以外の二人はお土産に購入していました。
極端に少ない若い女性登山者を増やす工夫が見て取れます。
黒百合ヒュッテの名物であるコケモモカップケーキとコケモモティーを頂きました。
木の器に焼き印された黒百合がにくい演出。
続々とやってくる登山者をカフェのガラス越しに観察。
気温は15度と外にずっといると肌寒い程度の気温でした。
カップケーキを食べ終えて、下山開始。
クロユリが咲いていた~唐沢鉱泉へ下山
黒百合ヒュッテの名のごとく、黒百合(クロユリ)が咲いていました。
群生があるわけではないので、2つほど咲いている株を見つけました。
外側は黒く、内側は黄色い斑点模様。ホタルの様な花です。
ちなみに黒百合ヒュッテの敷地内入り口付近に咲いていました。
時期的に6月下旬ごろに開花するようです。北陸の白山で見たクロユリの群落は7月の中旬だったので標高の違いでしょうか。
黒百合平から唐沢鉱泉までの道もまた苔に蒸された登山道でした。
光が差し込み青々した樹林帯。
岩の上を歩く登山道であるため、朝降った雨で滑りやすくなっていました。
良い。
同じような原生林の森はゴールデンウィークに訪れた九州の祖母山(そぼさん)にもありました。人気の出ない記事ですが…。
渋の湯との分岐です。
峠を一つ越えないと行けないので、渋の湯基点の日帰りは好ましくない。
太陽の光が差し込んでいたのも束の間、雨が降り始めました。
樹林が深いのでレインウェアを着ずともなんとかなりました。
下山完了です。
唐沢鉱泉の敷地内に不思議な青色をした源泉がありました。
温泉の成分が沈殿しているのか底が真っ白。
下山後はそのまま唐沢鉱泉に入浴です。日帰り入浴料は700円だったかな?
「日本秘湯を守る会」の提灯がありました。
温度差のある内湯が2つに打たせ湯がありました。
露天風呂はないもののシダ植物が自生し、野趣のある温泉でした。
温泉から上がると雨は上がり綺麗な青空を再び見せていました。
下山後~甲府市内のどて焼き
八ヶ岳から甲府市内に移動。
夏雲。
お目当てはやはり、瑞牆山以来のどてやきです。
甲府駅から10分ほどの位置にある「どてやき下條」。秩父の高砂ホルモン同様に定番化している登山フード。
大鍋で煮込まれるどて焼き。
相変わらずうまい。
カウンターで食べたのですが、常連らしきおじちゃんと数十分会話を楽しみました。
この前、550円したトマトは300円になっていました。
変動相場。
時間に余裕があった旅だったのですが、最後の最後に中央道の大渋滞に巻き込まれ、結局都内に帰ったのは22時を回ってしまいました。
天狗岳の登山を終えて
荒々しい山頂と湿潤な緑の森の2つの性質。
天狗岳は北八ヶ岳と南八ヶ岳のいいとこ取りをした山ということになります。樹林帯は蒸し風呂のような暑さが堪えますが、光が差し込む苔蒸す森はファンタジーの世界に迷い込んだかのようです。
期せずして、黒百合ヒュッテに咲く黒百合も見れたことだし、今年のテーマである旬を抑えることができました。ミッドフィルダー的ポジションの天狗岳は、八ヶ岳の魅力を凝縮した山です。
明けぬ梅雨を楽しむため、八ヶ岳へ行ってみるのは如何でしょうか。
コメント
いつも楽しく見させてもらっています。天狗岳は私のホームグラウンド。何回登っても飽きない山です。次は佐久側からも登ってみてください。八ヶ岳は全体的に茅野側からのアクセスが良いですが、佐久側からもまたいいですよ。
>こばちさん
久しぶりのコメントありがとうございます。
天狗岳良かったです。佐久側からのルートも良さそうですね。今度はそちらの方も楽しもうかと思います。上信越道は空いていますしね!
こんにちは!
今週末にちょうど八ヶ岳(赤岳・硫黄岳)へ行く予定を立てているところで読んでだいぶ心が天狗岳に・・・・!!
どの写真もほんときれいです!
黒百合ヒュッテのお土産とカフェが素敵過ぎます。
一泊の予定なんですがちょっと今から予定を組み直してしまいそうです・・・いやほんとに(苦笑)
>ミコさん
記事に書いてますが、天狗岳は南八ヶ岳(赤岳など)と北八ヶ岳(北横岳)の両方の良さがあります。
赤岳方面にも苔蒸したところがあったと思います。少しだったけど。
八ヶ岳は行きやすいですから、秋口でも良いかもしれませんね。
こんばんは!
カフェ好きとしては、黒百合ヒュッテのこけももティーが気になります!天狗岳、とっても行ってみたくなりました(*^^*)
なんと言っても中央道の大渋滞は避けて通れませんよねー
平日かな!
1人でも迷わず行けると思いますかー??
>shizukaさん
コケモモティーはラズベリーのような味のジャムを紅茶に入れて飲みます。
天狗岳は日帰りでも宿泊でも楽しめる山です。
渋の湯や唐沢鉱泉は人が多いエリアですので、1人でも迷わず行けると思います。
天狗岳いいですねー!
まぁまぁ標高高いのに2時間半で登れるなら私でも行けるかな
黒百合ヒュッテのカフェも可愛いし、コケモモカップケーキ食べに行きた~い!
すぐ温泉に入れるし、魅力満載な山ですね~
次の候補に上がってきました♪
コースタイムや、近い登山口を載せてくれるととても分かりやすく、すぐにでも行けそうな気がして、とても助かります。
>hyさん
天狗岳のコースは、変化に富んでいて楽しい山です。
個人的な歩いて楽しい山BEST20にランクインしています。
梅雨の晴れ間や秋口に行くといいかもしれません。是非楽しんできて下さい!
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