2015年10月18日
長野県と新潟県にまたがる高妻山に行ってきました。標高は2353mです。
戸隠連峰の最高峰であり、日本百名山に選ばれている一座です。知名度は戸隠神社のある戸隠山の方が上ですが、奥ゆかしくも存在感のある山です。
長野市民に親しまれる斑尾山、飯綱山、戸隠山、新潟県の上越地方のシンボルである妙高山などが存在するも、今ひとつ存在感がない高妻山です。
前評判もよくなく、辛い、危険を感じたなどネガティブな印象でした。そういう山にはこじ付けで企画をして行くことになります。
しかし、10月らしい紅葉登山ができ、想像以上に秋を満喫する良い旅になりました。
高妻山について
地図
戸隠牧場をスタートし、往路は滝の多い不動避難小屋を経由するルートで山頂へ。下山は弥勒尾根を使用しています。
- 片道コースタイムが4時間以上と長い
- 鎖場や滝の横を登るなど前日が雨だと危険度が増す
- 五地蔵山から高妻山への登り返しは本当にキツイ
コースタイム
- 6:14戸隠キャンプ場
- 8:09不動避難小屋
- 9:18五地蔵山
- 11:11~12:34高妻山
- 16:08戸隠キャンプ場
行動時間は10時間14分でした。
秋の高妻山 登山
朝日を浴びる戸隠牧場のハイキング
本日の登山はヒューマノイドタイフーン(人間低気圧)の異名を持つ「ガス兄」こと「たつ兄」が新車を購入したことに端を発します。
「秋に新車で新潟の山に登り新米を食べる」という登山企画が誕生。
当初は米所の魚沼市にある巻機山に登る計画だったが、ガス兄の能力が発動し、巻機山付近の天気が悪くなってしまった。そこで、同じ新潟の山(山頂だけ)で山域が違う高妻山に白羽の矢が立ったという経緯があります。
夜中都内に集合し、関越道で長野へ。
長野ICから戸隠神社方面に進んで行きます。高妻山登山者用の駐車場に到着、星空が綺麗に見えていました。この日は日曜日だったのですが、前日に戸隠キャンプ場のコテージに泊まっても良かったなと思う。
少し仮眠を取りつつ、起床。
高妻山のコースタイムは長いため、皆さん夜中に到着するようです。
さて、こちらがたつ兄の新車マツダの「CX-5」です。馬力のあるアウトドア向きSUVです。
が…。
「二駆なんだぜ。それで…」
四輪駆動なのに必要ないと思って二輪駆動にしてしまったたため、「SUVなのに二駆なの?」と周囲からいじられる日々。
戸隠キャンプ場(6:14)
高妻山の登山口は戸隠牧場の奥にあります。
ここを訪れるのは二度目で、戸隠山に登っているのですが、今一つ展望がなかったので記事にできていません。
天気は良好なようで、戸隠連峰を朱に染めるモルゲンロートが美しい。
二駆SUVオーナーであるたつ兄の足取りは軽い。広範囲に登山しているたつ兄ですが、新潟と長野の県境である高妻山含む周囲の山は未経験だったらしい。
しばらく、牧場の中を歩いていきます。
ようやく、飯縄山?の向こうから朝日が昇り、一日のはじまりです。牧草についた露が暖められて、霞が発生している光景は少し幻想的でした。
このようなことに時間を費やしているためしているので、早朝出発の意義がなくなる。
北海道遠征でもおなじみ朝の牧場の雰囲気にSTRONGさんもご機嫌なようです。
紅葉にはしゃぐ二輪駆動のオーナー。
滝が行く手を阻む断崖絶壁の危険なコース
登山口(6:37)
穏やかな牧場から脇道にそれるように高妻山の登山口があり、家畜の脱出を防止するくぐり抜けていきます。
登山道から奥の方に牛がいるのを発見しました。雑木林の中で自由に放牧されているようでした。
社会に飼われ、束の間の自由で登山をしている我々より幸せなんじゃないだろうか。
慣性の法則に従い登るべき山頂へと向かいます。
例年ですと10月の3週目は標高2000mくらいに紅葉があると思うのですが、9月の日照不足で下にまで降りていました。
巨大に伸びた木が多く、高さは5~6階建てのビルに匹敵するほどです。
牧場の平坦な土地と抜けると登山道に入っていきます。
戸隠山の下山時に利用したので、何となくは覚えているので、この先に待ち構えている危険個所に怯えます。
蟻の戸渡りなどが存在する戸隠山ほど危険はありません。
木の背が高いため、葉が降ってくるような感覚があります。
登っていくにつれて、登山道に沿って穏やかな沢が流れはじめました。心地より清涼感です。
が、しかし穏やかな紅葉ハイキングはここまで、鎖場の登場です。滑滝の横に登山道があります。
傾斜も出てきて、足を踏ん張らなければ登らない道に変わります。登山道が徐々に牙を剥き始めました。
山の斜面と言うより、巨大な岩をくり抜いて出来た登山道。このルートで最も緊張感のあるポイントです。
高所による恐怖心が存在しないSTRONGさんが先陣を切り、足場の安定する道を開拓してくれるため、我々は後を追う形で進んで行きます。
鎖が設置されていますが、沢水が流れ、足場が濡れているので細心の注意が必要です。
鎖場は続きます。増水時には危険だそうです。
戸隠山を登って、縦走するつもりであると、この道を下山しなければなりません。
鎖場を終えると水場がありました。
「氷清水(一杯清水)」です。
Saku兄は山頂で料理をするようで、補給をしていました。
見下ろすと千曲川の流れる平野部は雲海に覆われていました。高速のインターを降りた時、すっごい濃霧だったのはこのせいか。
一不動から始まる山頂へのカウントダウン
不動避難小屋(8:09)
避難小屋が見えてきました。
一不動から順に十まで山頂へのカウントしていくのですが、一不動をさっそく見落としたことに後で気づきます。
ブロックで造り上げられた避難小屋です。泊まるには躊躇する。
小屋からは西側の展望が広がっています。
先月に登った苗場山のまっ平らな山を眺めることができました。
避難小屋から高妻山の山頂へは150分と先は長いです(山と高原の地図では180分)
一不動から高妻山の中間地点にある五地蔵山が直近の目標ポイントです。
東側に北アルプス後立山連峰の稜線が見えました。
白馬岳より緯度が高いこのエリアですが、いかんせん森林限界を越えていないので、アルペン的な雰囲気がないです。
正面にそびえる飯縄山が目立ちます。冬に訪れていますが、なかなかの絶景で楽しませてくれました。
飯縄山(いいづなやま)から見た高妻山は鋭く尖っていて、とても風格のある山容をしています。別名「戸隠富士」と呼ばれているのも頷けます。
「二釈迦」
既に一不動を逃しているので、企画倒れ感はありますが、十までカウントしていきます。
進行方向の右側が切れ落ちた登山道です。ゆっくり歩けばそれほど危険はありません。
「三文殊」
指が2になっているが、細かいことは気にしない。
そして、見えてきました高妻山の本体です。
「最後の最後にきっつい登りが待っているな」と匂わせる鋭角な山体です。
振り返ると富士山のシルエットが薄っすらと見えていました。日本海側の山から見える富士山は希少価値が高いです。
高妻山までの間にまず五地蔵岳を登らないければなりません。
紅葉はだいぶ降りてしまって、尾根上では枯れていますが、ピーク時に歩いたら幸せになれそう。
「四普賢」
仏教的な何かに基づいているのですかね…。
五地蔵山への登りです。
五地蔵山(9:18)
五地蔵山の山頂に到着。標高は1998mです。
8畳分のスペースが切り開かれていました。
「五地蔵」
内股が気になります。
みかんを食べてエネルギーを補給。
果物は日常であまり食べないのですが、山だと貴重な爽快感を味わえる優秀な食べ物。
黒姫山や妙高山などの名峰を見ることができるようになりました。
黒姫山は登ってみたい山の一つなのですが、関東からわざわざ行こうと思う人がいなく困っています。
高妻山へ向けて出発。
「六弥勒」
疲れも出てきて、しゃがむのが辛そう。
五地蔵山から高妻山まではアップダウンが数回あります。
終盤でのアップダウンコース程きついものはなく、STRONGさん以外のメンバは息も絶え絶えです。
振り返るとギザギザとした稜線を持つ、戸隠山が見えました。戸隠山から高妻山まで縦走できるようですが、やろうとは思えないな…。
「八観音」
あれ?七を見落としたぞ…。帰りに回収することにします。
高妻山が徐々に近づいてきます。
五地蔵山から全く標高を稼いでないので、最後に傾斜をぎゅっを上げるのでしょう。
「九勢至」「きゅうせいし」と読むらしい。
山頂まで一区間ですが、最後の最後で地獄が待っていました。
土と岩がごちゃごちゃMIXされたえげつない急坂です。しかも、狭くてスレ違いは困難のため思うように進みません。細かいアップダウンで疲労を与えてからの急坂は本当にキツイ。
高妻山に来ようとする登山者は玄人のようで、高齢登山者であってもサクサク登っているから恐ろしい。
「十阿弥陀」
最後の坂を登り終えると最後のチェックポイントです。カウントを担当しているSaku兄をご覧のように、最後の坂は本当に骨身にこたえました。
高妻山の山頂はそのままスライドしていけば到着となります。
山頂が見えてきました。
高妻山の山頂、北アルプスから日本海の絶景
11時11分に高妻山山頂に到着です。
登山開始から5時間も掛かりました。麓の牧場で時間を取られた以外は、普通のペースだった気がするのに…。
聞いてはいましたが、タフな登山者じゃないと登れない山ですね…。かと言って、自分はタフではありませんので。
山頂は羽虫が大量に湧いており、一瞬でこの有様に。
なんでしょうこれ、雪虫ですか?
高妻山の山頂は3m~5m台の岩がゴロゴロしています。この時に流行っていた五郎丸ポーズで。
眺めは一級品で、北アルプス(後立山連峰)が眼前に広がります。
こちらは雨飾山方面です。
境界線がはっきりしませんが日本海が見えていました。
山頂でお昼ご飯。
石鎚山に登った時に松山市内で買った一六タルトです。
今日はコースタイムのある日帰り登山ということで時短のカップラーメンを食べました。
Saku兄は一人おしゃれにパスタを作っていました。
茹で方を間違え、暖めたパスタが冷えて、再度加熱。無事、ベータ化したパスタは食感がぐにょぐにょで、口の中に粉っぽさが広がる出来でした。
それでもSaku兄は「美味しい、美味しい」を言い続けながら、スパークリングワインと共に煽っていました。
10月の秋晴れと言った天気で、風が心地よく、いつまでの滞在できるような気候でした。日曜日なので、さっさと降りて帰れなければという気分を閉まっておきたい。
STRONGさんが空中浮遊しているかのようなインスタ映えを意識した写真を撮っていたので真似してみました。
僕も「いいね」が欲しいです。
解釈を間違えた写真。
登りが辛かったということは下りも辛いということです。しかし、重い腰を上げて、下山を開始します。
ちなみにバリエーションルートですが、高妻山の先に乙妻山というのがあります。より健脚の人は目指してみるといいかもしれません。
「七薬師」
安いスパークリングワインを飲んで歩いたせいか、Saku兄は今にもゲボしそうな顔をしながら歩いていました。無事に七を回収。
弥勒尾根(13:52)
下山は「弥勒尾根」を利用します。
10分程ですが、コースタイムが短縮される新しいルートのようです。自分が購入した2012年版の地図には載っていませんでした。
新道と言うと嫌なイメージしかないのですが、戸隠高原を展望する開放的なルートでした。
斜面は土なので、雨直後は泥だらけになりそうです。
飯綱山がやはり目立ちます。
樹林帯に入ると紅葉に彩られていました。
頚城山塊のある一帯の紅葉は見ごたえがあり、とても好きです。
牧場に到着しました。
登山口(15:15)
山頂を出発してから2時間14分でした。土の道で歩きやすかったのか登りを2分の1に縮めています。
陽も少し傾きはじめ、より紅葉のコントラストが強く感じます。いやー、このままキャンプしてゆっくり泊まりたいです。
しかしながら、サラリーマンなのでこのまま東京へと帰らなければなりません。
膀胱の限界を迎えたSaku兄がトイレダッシュしている間に牧場の動物たちとふれあいました。
モルモット相手に慈愛の心をみせるSTRONGさん。
牧場内にあるカフェで、搾りたての牛乳で一杯やりました。濃厚でとても美味しいです。
新そばの季節、蕎麦の最高峰「戸隠そば」
さて、駐車場に戻る前に手打ちそばを食べます。
秋と言ったら新蕎麦、蕎麦と言ったら戸隠蕎麦です。戸隠キャンプ場内にある手打ちそば「岳」で頂きます。
「山登った後に蕎麦?そんなんじゃ腹膨れないだろ」と悪態をつくのですが、戸隠蕎麦だけは例外です。天ぷらは新鮮な野菜を使っているのでシャキシャキ、蕎麦は香りが強く、バランスに優れてとても美味しい。そして、新蕎麦はより美味しい。
量は物足りないものの、それは帰りのサービスエリアで補いましょう。
蕎麦ソフトクリームもデザートに食べました。ソフトクリームブロガーとしては外せません。
霊峰戸隠山への信仰を背景に、この地が修験道場として栄えた平安時代、修行僧の携行食糧として村にもたらされたのが「そば」であったと伝えられています。
元々は戸隠山に登るための修行僧の行動食だったようです。今と違って団子状のものだったそうです。
駐車場に戻ってきたときは既に17時前でした。
下山してからはたつ兄がおススメする温泉「むれ温泉天狗の館」に入りました。戸隠高原一帯には戸隠神告げ温泉くらいしかありません(ここでもいいのですが、入ったことがあるのでパス)
温泉後は寄り道することなく、東京へ帰りました。
高妻山の登山を終えて
「秋に新車で新潟の山に登り新米を食べる」という登山企画は、「秋に新車で新潟の山に登り新蕎麦を食べる」に変わりました。高妻山の山頂は新潟県を含んでいますが、登山口も文化的にも長野県なので、何とも言えませんけども。
9月から10月にかけては、紅葉が見逃せませんが、秋の味覚もまた見逃せません。今度こそは新米にありつきたいです。
高妻山の前評判は悪かったのですが、登ってみたら高評価の山でした。
出てくる料理は美味しいが、駅から離れていて、テーブルが油でギトギトしているので、評価が低いと言った飲食店のようです。
山頂までの距離が3分の2であれば間違いなく、戸隠山と並んで人気の山でしょう。名峰群に囲まれていて、高妻山でしか見れない風景があります。
コメント
たっちゃん…(´・ω・`)
思わず。
スミマセン
>あさくらみなみ 46歳?!さん
たいしたキズもないのに、だた、ちょっと打ちどころが悪かっただけで…
もう動かないんだぜ。な。ウソみたいだろ。
どうもです。今回も最初から面白いネタで楽しい記事を読ませて頂きました(笑)
たつ兄さん・・・CX-5で2駆とは
見た目とギャップがありますね
あと、ヒューマノイドタイフーン
トライガン ネタでしょうか?
本編の紅葉は標高によって緑から紅葉になって良い感じですで羨ましい
今年の紅葉登山はまだどこに行くかい迷ってましたが、高妻山も候補に入れてみようと思います
ちなみに、ベリーブルーさんは今まででどこの紅葉登山が良かったですか?
>ハルオさん
どうも、コメントありがとうございます。
たつ兄さんは、この後に臨時収入(労災)があり、結構な額をもらっていて、二駆にしたことを後悔したとかしないとか…。
トライガンという古い漫画を御存知とは珍しいですね。その通りです。
今年は夏が今ひとつだった分、紅葉登山に恵まれたいですねぇ。
スリルが大丈夫であれば、高妻山より戸隠山の方が楽しめますよ。少しコースタイム短いですし。
東北だとやはり栗駒山で、安達太良山も良かったです。やはり地元栃木の那須岳もいいですねぇ。
北アルプスですとやはり、涸沢は外せませんし、下ノ廊下も良かったです。
今年は雨飾山に行きたいんですよねぇ。
こんばんは、綺麗な写真に魅せられて、定期的に拝見しております(^^)v
結構気になってたんですが、ベリーブルーさんの名前って、
最初は青いジャケットとか青い空から来てるのかと思っていましたが、
実はブルーベリー好きな少年だったりするんですか?
>ravelさん
ブログを定期的に読んで頂きありがとうございます。
名前の由来をたまに聞かれるのですが、大したことない話なのです。
中学生の頃に自分が体調を悪くして机で突っ伏していたところ、中学で英語を習って間もない友だちに
「お前、顔が真っ青だな、ベリーブルーだな」
と、言われ、その言葉が気に入ったからだったりします。
よく考えるとルー語ですね。