2019年6月7日
香港のドラゴンズバック(龍背)に行ってきました。標高は284mです。
香港は巨大なビルが乱立するアジア有数の近代都市ですが、意外なことに郊外に行くと、たくさんの自然が溢れています。総延長400kmトレッキングルートが存在し、その中でもっとも人気のコースがドラゴンズバックです。
6月1週目の土日に1日休みをプラスして、弾丸香港旅行を実行しました。
子供の頃、大スターだったジャッキーチェン映画ファンだった自分にとって、香港は憧れの地、いつかは訪れたい都市でした。前月のキナバル山登山の興奮が冷めない中、フライト3日前に航空券を取得する暴挙に打って出ました。
香港ドラゴンズバックは前々から話を聞いていたので、初日に歩いてきました。
下調べが足りず、トラブルに巻き込まれましたが、香港の旅スタートです。
香港ドラゴンズバックについて
香港の地理
香港の位置関係をパッと理解できる地図を作りました。
香港国際空港は西に離れた人工島にあります。ドラゴンズバックは香港島の東側にあります。イメージする香港はオレンジの色で囲った部分になります。
ドラゴンズバックは中心から離れた、 筲箕灣駅からバスに乗ります。ドラゴンズバック入口のバス停から大浪灣に歩くコースです。
香港の位置関係は把握できたでしょうか。
地図
香港ドラゴンズバックの地図は上記のサイトから印刷しました。
香港ドラゴンズバック 登山(ハイキング)
高層ビルが密集する香港、地下鉄とバスに乗って登山口へ
羽田空港から深夜便へ香港へ。香港国際空港からバスに乗って香港島で予約したホテルに向かいます。高層ビルが春の土手に生えているつくしのようにニョキニョキと建っています。
香港のバスは非常にせっかちなので、乗客の着席を待たずに急発進するから気を付けよう。
東京では見られないビルの密集度。まるで壁、これが香港。
日本で言う地下鉄、MTR筲箕灣駅がドラゴンズバックの起点になります。
ホテルで荷物を預かってもらい、トイレで着替えました。
香港の旅の基本ですが、空港でオクトパスカードを入手しましょう。
日本で言うSuica/Pasmoのような交通系ICカードです。現金で支払うより、オクトパスカードを利用する方が安いです。
コンビニ等でも使えるので、1万円分くらいポンと入金しておくことをおススメします。
筲箕灣駅のA3出口を出るとバスターミナルになっていて、9番乗り場を目指します。石澳行きのバスを探しました。読み慣れない駅名と地名は確実にメモして行きましょう。
すぐに忘れて、「あれ?どこだったけ」ってあたふたします。自分です。
この週末、香港は3連休(到着するまで知らなかった)で、ビーチに向かう人でバスは大混雑していました。連休と知ったのは着陸する直前、飛行機のモニタに映ったニュース。海外行くときは現地の祝日を調べる必要があるんですね…。
駅前には売店はなかったけど、大通りまで行くとコンビニがあります。駅で買っておかないと、下山するまで売店はありません。日本でも買える商品が結構あったりしますが、現地のモノをなるべく購入。しかし、ドリンクが大体死ぬほど甘い。お茶も甘い。
想像以上に暑いので、2リットル以上は飲み物を持参したほうが賢明です。
満員のバスに揺られること20分~30分でドラゴンズバックの登山口であるバス停に到着。日本のバスみたいにアナウンスはなく、電子表示に「Dragon’s Back」と表示されるので迷いませんでした。
バスの冷房はガンガン効いているので、灼熱の外に出た瞬間にレンズが一瞬で曇る。
ドラゴンズバックの登山口。
子供を連れたイベントがあるらしく、混雑していました。山道にポツンとあり、駐車場とかはないみたい?道路の反対がは海が見えます。
しかし、異常に暑い。湿度もちょっと高い。6月のドラゴンズバックは暑さとの戦い。
登山口には公衆トイレが設置されています。
が、何となく使いたくないので、ホテルで済ませておいたのでスルーしました。香港のトイレマナーは少し難があるようで、アルコールティッシュを常に持ち歩いていました。
登山口に到着したのは10時09分です。自宅を出発したのが、22時過ぎだったので、ちょうど12時間。
国籍バラバラの登山者、気温35度の香港ドラゴンズバックへ
炎天下30度を越える中、ドラゴンズバックのハイキング開始。
6月は香港ハイキングシーズンに最も適さない時期で、気温が高ければ、降水量が多い時期。この日は前日までずっと雨だったらしく、幸運なことに晴れ。しかし、死ぬほど暑い…。
熱帯を感じる樹林。日本でも温暖な伊豆や房総あたりが雰囲気に近い。
前月はさらに南のマレーシアのキナバル山に登っていましたが、スタート地点の標高が全然違うので、香港のほうがより暑い。
5枚の花弁があるピンクの花をよく見かけました。名前はわかりません。
年々、日本の夏が暑くなっているとは言うものの、香港の暑さは比じゃない…。
それなのにたくさんのハイカーがいます。日本人家族がいて、子供に日本の山の調子で「こんにちは」と挨拶しましたが、スルーされました。哀しい。
展望台が設置してあり、充実したハイキング環境です。
寝不足と暑さで体調はよろしくないが、脳内でジャッキー主演「ポリスストーリー」のテーマ「英雄故事」を流しながら奮い立たせます。この曲を聴くと、闇雲に走り出したくなります。ジャッキーの映画は全部観てます。
登山道からは大潭湾が見えています。香港はこの日、端午節という祝日だったので、ドラゴンボートレースが開催されているらしく。お祭り騒ぎの音が聞こえてきました。
夏空へと伸びる階段。樹林帯が解放状態になり、殺人太陽光線が降り注ぎます。暑いというより痛い。
登山道を歩くカブトムシ。
蛇の抜け殻を熱心に撮影する私。
看板の隅に描かれた可愛らしい黄色いドラゴン。日本のドラゴンのイメージだと緑ですよね。
ドラゴンズバックの稜線に出るまでには30分も掛かりませんでした。花崗岩の山なのか、巨大な一枚岩を歩きます。
両サイドが南シナ海、爽快な海上トレイル
ドラゴンズバックの全貌。
かなり奥まで稜線が続いていますが、陽のあたっているてっぺん石澳ピークが今回のルートの山頂です。巨大な岩が転がっていたり、ちょっと屋久島のような風景。
大浪湾側の風景です。ビーチリゾートになっていて、たくさんの海水浴客がいます。既に汗だく状態なので、このまま海に飛び込みたい。
日差しを遮るものがない登山道なので、日傘は効果的。持ってくれば良かったです…。
登山具から登り、稜線に出たところは好展望ポイント。思わず酔拳のポーズを取らざるを得ない。
そういえば、コース上にはポイントを示す看板が等間隔に設置されています。99がドラゴンズバックの最後。
山頂方面に向けて、歩いて行きます。コンビニで珍しさだけで選んだドリンクが激甘。水分補給面が失敗しているためバテバテです。
「あ、日本の緑茶だ」と思って買うと砂糖入りだったりする。
ドラゴンズバックはそれこそ丹沢の搭ノ岳なみに人が多く、国籍多様なハイカーがいます。自分はバテバテですが、東南アジア系の人たちは暑さに強いのかな…。
道端に咲いている花を撮影しながらノロノロと進みます。メラストマという花らしい。
暑い、暑すぎる。
香港は思っている2倍暑いと思っていた方が良いです。日本でも灼熱の低山を何度か登りましたが、それを軽く凌駕する暑さです。
しかし、両側が海の100点満点の爽快なトレイルです。ベストアジアトレイルかというのは議論の余地があるが…。
ドラゴンズバックの山頂、石澳ピーク
11時48分に香港ドラゴンズバックの石澳ピークに到着。登山口から1時間30分弱掛かりました。暑くなかったら、1時間で着けたと思う。
山頂の看板には入り口で見た黄色いドラゴンが描かれていました。マスコットキャラとして売り出せば、そこそこ儲かりそうなものですが。
山頂は上半身半裸の男たちがいるグループがずっと占領。筋肉ポーズを取りながらしょうもない写真を撮っているのでイライラする。辛うじてあった日陰スペースに避難しながら時を待った。
れだから筋肉登山者は…。
ドラゴンズバックのビューポイント。周囲にある山と離島の名前が書かれています。
そして、誰かのバナナが干してる。
ピークからの眺めはよく、南シナ海を見渡せます。海が見える山は好きで、標高のわりに高度感を味わえます。
海に向かってベンチが設置されていました。
南国の植生を感じながら、大浪灣を目指す
下山を開始。
タイミングよく太陽を雲が遮ってくれたので、暑さが和らぎ始めました。
ドラゴンズバックの稜線から降りると石澳道との分岐に到着。このまま大浪灣を目指して歩いて行きます。
ひたすら平坦な山の斜面を歩いて行きます。
タイツ丸出しで歩いている女性を多く見かけます。前月のキナバル山にもいましたが、ワールドスタンダードなのでしょう。ガラパゴス日本でも流行って欲しいものです。
日差しがないのでのんびりハイキング、小さい沢を横切って進んでいきます。低山なのに水量が豊富で意外です。
トレイルランナーがたくさんいて、後ろから来た時に合図してくれないので、急に横切られてビクッとすることがたびたびありました。自分は後ろから来ている筋肉登山者集団に追いつかれないように早歩きです。
ハイキングコースが終了し、人工的な建物が見えてきました。
12時28分、ハイキングコースは終わりで、しばらくアスファルトを進んでいきます。アスファルトの照り返しが激しく暑い…。
一般車両は通らないようです。途中途中、屋根のある休憩スポットがあり、公園を兼ねているのかな?
まだ登山道は終わっていませんでした。この日一番の急な坂を下っていきます。
この辺は登山道に沢水が入り込み、泥だらけでした。下山が思ったよりも長い。
珍しいイグアナ?が木登りしているのを見かけました。イモリやトカゲは日本の登山道でよく見かけるけど、イグアナを見たのはやはり亜熱帯気候の山ならではか。
13時10分、ようやく登山道も終わり、人里へ降りる階段が現れました。
香港ドラゴンズバックの登山口から大浪灣までちょうど3時間かかりました。
観光してたら絶対に訪れない、香港の外れにある小さな街。ハイキングをきっかけに見知らぬ海外の街に訪れるのも楽しいかもしれない。
海まで続いている川を渡ります。ドラゴンズバックの稜線から沸いている沢が作っている川でしょうか。
ビーチパラソルが空に浮かんで、雰囲気がだんだん海岸っぽくなってきました。日本の千葉あたりでも通じる風景ですな。
浮き輪の販売やパラソルをレンタルする、日本で言う海の家があります。
脱水症状気味にヘロヘロなので、目に止まった食堂に入りました方で、3時間のハイキングとは思えない疲れ方で、10時間くらい縦走した疲労感がありました。
ドラゴンズバックの地ビールで乾杯。爽快に喉を潤します。若干、薬草っぽい味がして苦手な味だった。でも、バテバテだったので生き返りました。
チャーハンとパッタイを注文。量が多い…。暑さで今一つ食欲がわかなかったけど、何とか食べ切りました。味はまあまあ。
香港に来て、初めて食べる食事がタイ料理って…。
ハイキングから海水浴、ビーチで泳いでリフレッシュ
食事を終えたら 大浪灣ビーチへ。英語にすると「Big Wave Bay」ですが、大波がくる気配はない穏やかなビーチです。
無料で利用できるシャワーと脱衣所があります。
トイレの奥に脱衣所がある感じなので、衛生面は少し抵抗感がある。コインロッカーは海の家で300円~500円で借りられます。
このために水着を持ってきたので更衣室で着替えてザブン。登山からの海水浴は、はじめての経験です。
波はとても穏やかで、ファミリー向けのビーチです。子供連れで連休を楽しむ香港人がほとんどでした。登山者から海水浴客になっているのは自分くらいなものです。30分くらい海水浴を楽しみました。
下山後、いや水泳後のコーラを飲みます。世界どこで飲んでもコーラは美味しい。
せっかく汗を洗い流し、着替えたのにバス停までの移動で汗だくになる。
大浪灣のバス停に到着。行きが二階建てのバスでしたが、スイミングスクールの送迎のような小型バス。これでいいのかなと思っていると、二階建てバスが来たので乗り込みました。このバス停は始発なので、座れないってことは無いと思います。途中の海水浴場でドッと乗ってきました。
時刻表はあったのか怪しい。ちなみにこの辺は蚊がいました。
バスの車内では夜通しで登山した疲れで、ぐっすり眠りました。 16時ちょっと過ぎに筲箕灣駅に到着し、ドラゴンズバックのハイキングは終了です。
下山後はタピオカ、 香港の夜景、シンフォニー・オブ・ライツ
下山後はタピオカドリンクを飲みます。登山者の常識です。
香港でもタピオカは人気なようで、店舗がまとまって並んでいます。ただ、待ちは4~5人くらいで、日本のように行列は出来ていません。
幸福堂の看板メニュー黒糖タピオカミルクを飲みました。まぁ、美味しい。
この幸福堂は日本の原宿にもあって、本店は台湾だから、香港関係ないんですけどね。ちなみに30香港ドル(418円)、日本では700円。日本のタピオカの値段は異常。
ホテルに戻って、シャワーを浴びます。シャワー室の床を砂だらけにしてしまって申し訳ない。
普通のホテルに泊まりましたが、37階だったので、眺めが抜群に良かった。香港の密集したビル群とても良い。近代的なビルの隣で、老朽化したビルの屋上で洗濯ものを干している人がいたり面白い。
カルト的人気を誇るゲーム「クーロンズゲート」をプレイしたくなる。
その後は、香港の街へ。
香港の信号は「チキチキチキチキ…」と鳴り響きます。脳内でずっと再生されるから困る。
毎晩開催されているイベントを見るため、 香港島から船に乗って移動。素人のおじちゃんが大音量でカラオケで歌謡曲を歌っていたり、パフォーマンスをする芸人がたくさんいてなかなかのカオス状態。
毎晩20時から開催されている「シンフォニー・オブ・ライツ」で香港の煌びやかな夜景を見る。80年代はこの風景にたくさんの日本企業の看板があったらしいです。数えたら一つだけでした。日本はどんどん世界から置いて行かれているのを実感します。
日本語を話せる香港人が話しかけてきて、親切に写真を撮ってくれたり、とても香港が好きになった一日だった。
香港ドラゴンズバックのハイキングを終えて
香港ドラゴンズバック登山の2日後、6月9日、香港の街が異様な雰囲気に包まれていました。日本でも報道されましたが、香港民主化を求める大規模デモが発生しました。宿泊したコーズウェイベイで100万人、香港の人口の1割が参加するデモです。
香港を直前に決めたので、情けないことに、情勢が不安定なことを知りませんでした。ホテルから空港へのバスは運休、あらゆるトラムや路線バスがストップしてしまいました。何とか地下鉄まで歩き、日本へ帰ることが出来ました。その後の報道で、デモの大きさを知ることになりました。
デモ開始前にフェンスでバリゲードを作っている警官に、タピオカをちゅーちゅー飲みながら「Where is the bus stop for the airport?」と呑気に訪ねていたのは、日本人として、とても恥ずかしいことです。
現在でも香港ではデモが続いています。香港に平和が訪れることを願うばかりです。
香港ドラゴンズバックは「海外の山を登る」という目的では、相当ハードルが低いです。
街から近く、手続き不要。観光ついでに運動靴を持っていけば良いです。ただ、自分が登った時期は暑すぎておススメできない。日本の冬に登るくらいがちょうどいいと思います。本文でも記載していますが、香港はハイキング天国です。香港ドラゴンズバック以外にもたくさんルートがあり、魅力的なコースがあります。
香港デモの動向が気になるところですが、また香港を訪れたらハイキングをしに訪れたいです。
日本と違った刺激が香港ドラゴンズバックにありました。キナバル山はお金が掛かっているので、登山の雰囲気が全然違いますね。
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