2013年8月25日
新潟県の越後駒ヶ岳に行ってきました。標高は2003mです。
甲斐駒ヶ岳や会津駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳など日本各地に「駒ヶ岳」の名称が付けられた山が数多くあります。大抵の場合、旧国名を頭に付与して区別しています。越後駒ヶ岳は、新潟県の駒ヶ岳になります。
新潟県は縦に広く、北から山形県、福島県、群馬県、長野県、富山県と5つの県と隣接しています。上は東北の連峰、中に頸城(くびき)山塊・上越国境、下は北アルプスとこれほどバリエーションに飛んだ山歩きができる県は、日本でただ一つ新潟県だけではないでしょうか。
しかし、広く県境上に山を保有しているためか「新潟県の山は?」と問われると今ひとつピンとこないのが難点。山全体が新潟県にあり、越後を冠しているこの越後駒ヶ岳は新潟県の代表の山ような気がします。
2013年の夏は北陸、東北、北アルプスと駆け抜け、越後駒ヶ岳をもって夏山登山の締めくくりとなります。
夏の終わりの旅スタートです。
越後駒ヶ岳について
地図
枝折峠の往復コースを歩きました。
越後駒ヶ岳 枝折峠コース
枝折峠から日の出と滝雲
4時14分。
アンダーワールドに迷い込む。
地下水が滴り落ち、赤茶けた証明、青や黄色の蛍光塗料のテープが不気味さを演出していました。このまま、違う世界に連れて行かれるのではないのか。そんな気さえします。
奥只見(おくただみ)
その聞き慣れない地域は、福島県と新潟県の県境あたりの山間部を指します。
関越道を夜のうちに通過し、全く車の通らない山道を抜けました。
枝折峠は、越後駒ヶ岳の一番ポピュラーな登山口です。
観光地化は一切されていないため、日本百名山の駐車場としては規模が小さく、30台前後が駐車できる程度でしょうか。
また、夜は明けきっていません。
濃紺の朝空と黒雲が美しい世界。
越後三山只見国定公園。
この越後駒ヶ岳と共に八海山と中ノ岳で越後三山と呼ばれています。
市街地に近い八海山は有名で、日本酒でその名前を知っている人も多いでしょう。
枝折峠からの眺めでびっくりしたのがこれ。滝雲です。
雲の下には只見湖があり、水蒸気が雲となる自然現象です。水を入れたバケツの中にドライアイスを入れたように、雲が山の器から溢れ出る光景は感動を覚えました。見たことのない自然現象に出会うと棒立ちになり、モノを考える思考が止まります。
この現象は条件が揃えば見られるようで、三脚を立てたカメラマンが多数狙っていました。
駐車場の裏手にある登山口よりスタートです。
道幅は狭く、人一人分が通れる広さ。
日の出が上がるにつれて、雲が溢れ出す量が一気に増えます。
今回も前回の白馬岳に続いての社畜系旅人のSakuさんに連れられての旅です。
カメラの記録メディアであるSDカードを忘れて絶望していましたが、自分の予備があったので貸してあげると歓喜していました。SDカードは予備を入れるスロットを本体に内蔵して欲しいです。
8月下旬なの標高2000mなので、朝日が登り始める前に登らないとサウナ登山になることは確定です。
ひたすら尾根道になるため、山頂直下の駒の小屋まで水場はありません。その駒の小屋の水場も当てになるとは限りませんけど。
冬季は豪雪になるこの一帯。
背の高い樹木がないため見晴らしは常に良い感じです。
朝日を浴び、黄金色に変化する滝雲。
竜の背中のような稜線歩きはアップダウンの連続
道幅の狭い尾根道は小さいアップダウンを繰り返しながら山頂まで続いています。
正面に見えるのが本体なのかという疑問。
途中にあった大明神。
開放される日があるんでしょうか。
まぁ、ひたすら代わり映えのしない尾根道が続くわけです。
駒ヶ岳山頂までの道はこのような具合になっており、山頂がかなり遠くに感じることは請け合い。
東京からのアクセスが非常に悪いこともあるので、駒の小屋に一泊するのがスタンダートなのかもしれません。
途中に湿原(みずたまり?)がありました。
上信越の山はたくさんありますが、苗場山や巻機山は山頂がなだらかですが、谷川岳やこの越後駒ヶ岳は鋭い感じがしますね。
化繊の登山服ではなく、昔ながらの天然繊維の服を着た玄人っぽいおじさんが追い抜いていきます。
不思議とねじ曲がった木の形が面白い。
第一高山植物発見。
夏も終わりなので諦めていましたが、道中にこの黄色い花が咲いていました。
百草ノ池。
立ち入れませんが、階段の上から眺めることができます。僅かなスペースの湿原です。
登山道はこのように立派な階段が整備されていて、危険と思われる箇所はありません。
最新版。
越後駒ヶ岳から南の方角は尾瀬方面。
これはお気に入りの一枚で、山の急斜面で咲き、雲の同じ位置にあることで高山植物らしさが出た。
樹林帯フリーの高山帯へ突入
そして、長い長い尾根道を歩き終え、いよいよ越後駒ヶ岳の本体に。
アルペン的な広陵とした山肌となり、世界がガラッと変わります。
8月下旬ですが、しっかり雪が残っています。万年雪なのでしょうか。
岩場が続きます。
登山道から続く長い尾根道の果ては、緑の広がる美しい山肌。
思わず走りたくなる登山道である。
岩の露出が多くなるので、道が濡れてる時は滑りやすそうです。
駒の小屋に到着です。
山頂直下にある小屋で、管理人さん一人が
尾根道のコースであるため水場は一切なく、肩の小屋にしかありません。
しかし、この肩の小屋の水場は運が悪いと干上がってる場合もあり、前日に雨が降ると濁ってしまうのだとか。
肩の小屋内部に潜入。
小さい小屋ですが、しっかり管理が行き届いているため綺麗です。
片道4時間以上かかるので、宿泊して下山する人も多いそうです。
小屋正面はベンチがあり、休憩するのにちょうどいよい四角いスペースになっています。
ドッチボールがしたくなりますが、ボールがいくつあっても足りませんね。
小屋を出発し、頂上を目指します。
コース上一番の傾斜角。
振り返ると今まで歩いてきた尾根道が見え、爽快です。
今年、何度も見ているコバイケソウがしっかり生えていました。
ハクサンコザクラも咲いていました。
ポンと弾け飛んだような花びらが可愛らしい花です。
白馬岳で見て以来、なかなかレアな花でまさか越後駒ヶ岳に咲いているとは思いませんでした。
山頂直下は高山植物帯で多くの花が咲いていましたが、8月下旬ということもあり種類は少なかったかも…。
小屋からの急斜面を登り切ると中ノ岳との分岐点に差し掛かります。
昭和に書かれたであろう看板のフォントに味を感じます。
ここまでくれば、山頂まで後わずか。
初心者でこの越後駒ヶ岳は絶対にやめておいた方がいいですね。
尾根の向こうには新潟県の名峰「八海山」。
八海山は近いうちに登ってみたい山の一つです。頂上付近の岩場がいかにも険しさを感じます。
その奥には新潟の市街地が見えます。
この日、中部山岳地帯の天気は今ひとつのようでしたが、新潟特にこのエリア一帯は晴れに恵まれました。
笹のしげる茂る尾根道を歩き抜けたら待望の山頂です。
駒ヶ岳山頂へ、湧き上がる夏の雲
越後駒ヶ岳の山頂に到着です。
山頂は8畳ほどのスペースでそこまで広くはありませんが、360度の大展望。
やはり、正面の八海山に目が行きます。
何かしらの銅像でしたが名前を忘れてしまった…。
鯛をもたせたら似合いそう。
越後三山縦走。
この無謀なる縦走もいつか果たしたいので、次に訪れるときがきっと来るでしょう。危険なコースが続くみたいですが…。
クラブ○ーリズムの大所帯が到着。
山頂の記念撮影渋滞を回避することができてよかった。
冬は豪雪となる新潟の山間部。
標高2000mの山でも8月下旬までしっかり雪が残っています。新潟はまだまだ開拓するエリアを秘めてそうです。
山頂到着した直後に湧き上がる雲。
新潟の市街地。
緑色の大地に見える箇所は水田かな。
駒の小屋に戻り、昼食をとりました。
下から湧き上がった雲で、山頂はすっかり覆われていました。
夏場は9時半前までに山頂に立たなければいけませんね。
下山します。
クラブ○ーリズムが前を歩いていると追い抜くのが厄介なので、出来る限り先に出発することが重要。
青空が見えなくなるくらいに雲が湧き上がる。
長い尾根道のピストンは歩けども歩けども登山口に辿り着く気がしません。飽きてしまったSakuさんは、歩きながら眠りにつく始末。
標高が下がるに連れて、上がる気温が苦痛でなりません。
朝に見えていた滝雲はすっかり上空に登り、隠れていた奥只見湖があらわになっていました。
おたまじゃくしも活動を開始。
登山道が朝と様変わりし、茂みの中で蛇がニョロニョロ動き、とんぼが飛び回っていました。
正午頃になると一斉に昆虫たちが活動し始め、夏というより秋の印象です。
最後の最後でにわか雨に降られ、ようやく駐車場に戻ってきました。
夏の山は天気が変わりやすいことをしみじみ体感。
魚沼産コシヒカリを味わう
汗と雨に濡れた体を洗い流すため、下界の温泉へ。
ユピオという町営のスポーツ施設に併設している温泉によりました。正直失敗でした。内風呂があるだけで、温泉の風情は全くないです。
枝折峠から見えていた、銀山平温泉が正解だったかも。しかし、逆方向。
施設の庭で、うさぎが飼われていたので鑑賞。まったく動く気配がなかった。
田んぼのど真ん中にあるローソンでポンタと遊ぶ。
暑いだろうに…。
食事処を探しつつ、道の駅に立ち寄り。
冷やしトウモロコシを発見。
甘ッ!!!
こんな甘いトウモロコシ食べるの初めてかも。すぐ近くの畑でとれたてのようです。トウモロコシの採れたてがこんなに美味しいとは…。
16時を回っていたので、食事処が見つからずサービスエリアで食べようみたいな流れになっていた時、小出インター近くにあった道の駅風施設にレストランの文字が。
魚沼特産の米をはじめ、野菜やおみやげを売っていました。そして、嬉しいレストラン併設。
八海山御膳を注文しました。
登ったのは駒ヶ岳だけどな!
値段は1000円だったかな?
このおかずの量は非常に嬉しい。温泉は失敗でしたが、食事処は大正解。
なにより美味しいお米。魚沼産コシヒカリ。
この後、お米ニキロを購入したのは言うまでもない。
デザートに抹茶かき氷。嬉しいことに水ようかんが入っています。抹茶と水ようかんの組み合わせが、合わないわけがありません。トウモロコシとかき氷で、夏の終わりを堪能しました。
八海山御膳のデザートも水ようかんでダブるという悲劇。おなかタプタプです。
熱い夏を覚ますように、上越国境の山間部をにわか雨が降りました。
日曜日の関越の渋滞に巻き込まれることなく、帰宅することができました。
越後駒ヶ岳の登山を終えて
思い返せば7月初旬の苗場山に始まり、白山、荒島岳、白馬岳、鳥海山、雲ノ平周回、そして越後駒ヶ岳とバリエーションに飛んだ山歩きができました。いずれも食と観光と温泉に溢れ、旅の色が濃い山登りとなりました。
高山植物をテーマに掲げ、名峰を巡ることで、花盛りの夏になりました。
2013年の夏登山はこの越後駒ヶ岳をもって終了。
越後駒ヶ岳は長い稜線の果てに、エバーグリーンな世界が待っています。ガラッと変わる雰囲気にきっと心躍らせてくれるでしょう。
高山植物がピークの7月中旬ぐらいが狙い目でしょうか。
とんぼが食べてくれたのかブヨはいませんが、苗場山同様に湧くらしいので、十分に虫対策を!
八海山の記事
越後三山の一つ八海山の記事も併せてご覧ください。
コメント
お待ちかねの新記事ありがとうございます。
今回も素晴らしい画像で癒えました。
やはり、大きなお山で恵まれると美しい景色に出会えるんですね。
私もいつか2000m級に登れるようになりたいです。
ご馳走様でしたw
>sakuyaさん
コメントの連投ありがとうございます。
標高2000mは山を登らない限りはほとんど足を踏み入れない場所ですね。
まして、人が生活するにも困難極まります。
だからこそ自然があり、訪れる人を楽しませてくれるのでしょう。
2000mでも夏になれば簡単に登れる山がたくさんあるので是非。
夏山懐かしい。去年よりは夏の山行を増やしたいと思います。
越後駒もとても美しいですね。私は谷川連峰しか行ったことがないですが、豪雪地帯は標高に比べて景色がいいのでお得な気がします。
消費体力と絶景の楽しみを比率で考えると、南アルプスが最も過酷でお得感が少ないように思います。と言いつつ、北岳はやはり憧れますが。
ところで、King Crimsonはもう25年ほど前から聞いていますが、残念ながら山のBGMには向いていないと思います。Veryblueさんも山で聞いている訳ではないと思いますが。
3月の雪のある間に、北八ヶ岳の天狗岳に登ってみたいと思っています。
>icyfireさん
コメントありがとうございます。
狭い日本において、エリアによって森林限界の高さがこれほど違うのかと、本州の山をいろいろ登り感じています。
山形に位置する鳥海山や月山は登山口付近から高山帯なので、歩き始めから眺めが良いので開放感を常に感じることができます。
南アルプスは標高も高ければ、森林限界も高いですからね。
まだ、行ったことがない南アルプス南部の山々は難儀しそうです。歩いて楽しいコースや花や紅葉の時期を選ばないと苦痛そうです。
King Crimsonは山で聴くには重厚すぎるので、山に向かう深夜の高速バスの車内で聴くのに持ってこいです。プログレ全般はそんな感じです。
天狗岳いいですね。自分も行きたいところですが、来年にとっておこうかと思っています。
北八ヶ岳から入って、白駒池経由で到達したいです。
コースタイムを見て小屋泊のつもりで出発しましたが、予定外の早着で急きょ日帰りに変更しました。
小屋直下のあたりが少し岩場っぽいでしたね。
>金子 肇さん
コメントありがとうございます。
横に長い登山道で長さにたじろぎますが、登りやすい山ですよね。
小屋泊まりでも楽しいのでしょうけど。