2015年10月3日-4日
愛媛県の石鎚山に行ってきました。標高は1982mです。
日本を代表する霊峰の一つです。頂上には石鎚神社の山頂社があり、7月1日の山開きは女人禁制になり、修験道の歴史が現代に引き継がれています。
石鎚山の山頂は天狗岳で、西日本一の標高です。
日本は離島を除き、北海道、本州、四国、九州に海を隔て4つに分断されています。
この地球に生を受けてから、四国と言う土地に足を踏み入れたことは未だかつてありませんでした。四国へと足を踏み入れるのに最高峰である石鎚山から訪れる人間がどれだけいるのでしょう…。
初めての四国をぶらりと一人で旅してきました。
石鎚山について
愛媛県松山市を基点とした石鎚山の周回になります。
松山駅→伊予西条駅(路線バス)、伊予西条駅→石鎚ロープウェイ(路線バス)、石鎚ロープウェイ、石鎚山頂上山荘泊、土小屋→久万高原町(路線バス)、久万高原町→松山駅(路線バス)
路線バスを4本、ロープウェイ1本を使用した1泊2日の行程です。
地図
表参道成就コースで登り、土小屋へと下山するルートです。公共交通機関を利用しての縦走ルートになるので、マイカーの場合はどちらかの登山口からピストンがメジャーです。
コースタイム
- 12:53石鎚山登山口
- 14:07一軒茶屋
- 14:26夜明峠
- 15:30石鎚神社~弥山
- 16:25天狗岳山頂
2日目
- 9:52頂上山荘
- 10:06二の鎖小屋
- 11:13土小屋
縦走する人は滅多にいないため、役に立つかは謎なところです。撮影しながらのゆっくりしたペースで歩いています。
石鎚山(1日目)
夜行バス「オレンジライナー」で愛媛県松山市へ
四国の旅は神奈川県の横浜駅からスタートします。登山をするのに横浜からスタートは経験上初めてです。
金曜日に定時で会社をドロンし、自宅に帰り、シャワーを軽く浴びてから、荷物を引っ張り急いで向かいました。
横浜駅(20:50)→松山市駅(7:55)の乗車時間11時間5分の移動です。半日夜行バスに揺られる経験は初めてで、期待と不安が交錯する微妙な感情だったのを覚えています。
3列シートで快適化と思いきや、予約がギリギリだったため、最後列で4列シートでした…。ただ、窓側だったので比較的快適でした。
真ん中に座っていた親子連れが可哀想だった。
寝酒を準備します。
まあ、神奈川を通過する間は全然寝れません。21時~24時は普段起きてる時間ですし…。
足柄サービスエリアで一旦休憩がありましたが、それ以降はノンストップ。中にいる乗客が箱を開けていますが、冷蔵庫があり、缶ジュースが無料で飲み放題でした。
静岡県に入ると眠ることができ、起きたときは姫路を通過しました。外を見ても地名が全然わからないのでGPSで確認。
岡山県を南下。
テレビや写真でしか見たことのなかった瀬戸大橋を通過するのをワクワクしながら起きていました。GPSで位置を確認しながら、周囲に光が漏れないようにチラチラとカーテンを開けて確認。
そして、GPSが示す現在地の丸い点が瀬戸大橋と重なった!
カーテンから見えたのは闇。そして、闇。
10月上旬では瀬戸大橋の通過の際に陽が登らないようです。
香川県を通過し、高松自動車道に入り、愛媛方面へ。石鎚山サービスエリアで最後の休憩になります。
ちなみに夜行バスで石鎚山に行く場合、西条行きに乗るのが普通です。直前で予約が取れなかったので、松山から戻る形で西条に向かいます。
四国のサービスエリアは当然初めてなので探検します。
ローカル牛乳などの調査を実施。
やはり、愛媛がその名を全国に轟かせるポンジュースを選択。本場で飲むポンジュースは一味違う、気分的に。
バスは愛媛県の市街地に入り、有名な温泉地である道後温泉を通過します。こちらへは翌日訪れることになるのでお楽しみに。
定刻より10分ほど遅れて、松山市駅に到着しました。夜行バス疲れでグッタリでしたが、知らない街にやってきたという旅情がパワーをくれます。
みかん県呼ばれる愛媛県、オレンジカラーが至るところに目立ちます。
駅の上に観覧車があるタイプの駅ですか。古き良き時代を感じさせてくれます。
道後温泉が写真家の蜷川実花とコラボをしているらしく、路面電車がど派手な花柄にラッピングされていました。
愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」
2015年のゆるキャラグランプリで惜しくも2位のキャラクターでした。2016年はグランプリへの出場はないそうですが、開催が松山市なのでまだまだ陽の目を浴びるキャラクター。
駅前で何か食べようと考えていましたが、早朝だったため営業している店が少なく、コンビニを利用しました。
というわけで、バスを待ちます。
8時25分発「新居浜駅行き」のバスに乗ります。夜行バスの予約が埋まっていなければこのバスに乗らずに済んだのに…。
最初はJRの予讃線に乗って、海沿いの電車で旅情を感じたかったのですが、バスの方が早く、石鎚山へ行くバスの接続が悪いということがわかり断念です。
自分以外に3人ほどしか乗らなかったバスの車内で、ご当地っぽい金華サバおにぎりを食べ、瀬戸内レモンレモネードを飲みました。
10時に伊予西条駅に到着です。
横浜を出発してから既に半日が経過しています…。
伊予西条駅から石鎚ロープウェイへ
駅前の様子。
地方都市の駅前感が凄い出ています。
伊予西条駅の陸橋から見る山岳地帯が石鎚山だろうか…。
JR伊予西条駅→石鎚ロープウェイ前の10時27分の路線バスに乗り込みました。
伊予西条駅発(10:27)→石鎚ロープウェイ前着(11:27)
1日に4便も走っている路線バスです。
7:47発に乗る人がほとんどなのでしょう、自分以外に中年夫婦だけでした。週末より平日の生活路線になっているのかな…。
横浜から3本目のバスで、ケツの肉が取れそうです。
徐々に蛇行しながら山道を登っていきます。
四国は山しかないと聞いていましたが、海岸沿い僅かな時間で山深くなるのですね。
50分弱で石鎚ロープウェイ前に到着しました。
レンタカーを借りるプランもありましたが、路線バスで来てよかったです。四国一の名山がある登山口にしては、道が険しいと思います。
西日本で一番高く、日本を代表する霊山、百名山にも選ばれている石鎚山の登山口が、これほどまでに風化していて良いのだろうか…。
と、不安になる歓迎アーチが出迎えてくれました。
70年代で時が止まっているような観光地の雰囲気を出していました。
関東の一般的に知られた山岳観光地と比較するとお金の掛かり具合と規模間に呆気に取られます。
店の横にロープにつながれた飼い犬がいるという点でお察しであるが、嫌いじゃないぞこの雰囲気。
トイレを済ませて、ロープウェイを目指します。
左だけ塗り直しがされていない中途半端な仕事っぷりが何とも…。斜度のある階段は、既に修行が始まっているかのような試し方。
階段を昇ると車道。
大雪山ロープウェイ、那須岳ロープウェイ、八甲田ロープウェイ、新穂高ロープウェイ、駒ヶ岳ロープウェイなどを体験してきましたが、施設的には最下位な気が…。
営業する売店などはなく、ロープウェイ乗り場まで坂道が続きます。
ロープウェイ乗り場に到着しました。
往復乗車券1950円(大人)で、20分ごとに運行しています。正午前ということもあり、ガラガラでした。
山頂が紅葉ピークなので、この時間帯に登山者はあまりいないようです。
自分は縦走するため片道乗車券1030円を購入。
「石鎚国定公園60周年」を記念するストラップをもらいました。
11時40分発のロープウェイに乗り込みました。
自分以外の登山者が3人と観光客4~5人でした。紅葉が降りてくる10月下旬が観光客のピークなのでしょうか。
石鎚スカイライン側から登る方が容易で、お金も掛からないので、登山者はこちらの方が少ないのでしょう。
山深い場所だと思っていましたが、昇り始めてすぐに瀬戸内海が見えました。
石鎚山から反対側に瓶ヶ森が見えました。
最初は石鎚山からの縦走を考えていましたが、石鎚山単体を楽しみ、観光もしたいという観点から今回は見送りになった山です。
7分少々で、山頂成就駅に到着しました。
風は穏やかで、少しひんやりする気温が心地よいです。
剥き出しの蛍光灯、年代物の冷蔵庫、カタカタと音がするレジなど、昭和で時が止まっているお土産コーナーが何とも味わい深いものを感じます。
目力のある猫が描かれた石が置かれていました…。一体なにを示唆しているのだろう。
ロープウェイ駅から外に出ると瀬戸内海の展望が広がります。山深い場所にあると認識していた石鎚山でしたが、海岸線まで直線距離で30キロもないのではないでしょうか。
霊峰石鎚信仰、石鎚神社へ
12時00分 石鎚ロープウェイ成就駅
ロープウェイ駅から成就社までは再び車道歩きです。観光リフトを使うと比較的楽に成就社まで行けるようです。
東の方角には石鎚山脈に属する瓶ヶ森(かめがもり)や笹ヶ峰(ささがみね)などの山を見ることができます。
歩き始めて3分程でリフト乗り場との分岐があります。登山の格好をしていない70代くらいのおばちゃん二人組はリフト乗り場へと歩いて行きました。
成就社まで20分ほどの道のりです。
意外と距離があります。
杖立王子という謎ポイント。
一応、ポイントポイントに看板が立っています。
ロープウェイから参道を歩き、神社へと向かうと言った感覚は、東京都の御岳山に似たものを感じます。
奥に大きな橋が架かっているように見えますが、位置的にしまなみ海道でしょうか。登山関係なしに通ってみたい道です。
ロープウェイ駅から15分ほどで、成就社のある宿坊街に到着です。売店や食堂も営業していて、麓の閑散っぷりが嘘のようでした。
宿坊の奥には石鎚山の山頂が見えていました。
神社に参拝…でもその前に。
昼ご飯を食べることにします。
2、3店舗営業している中で、法螺貝を売っている食堂をチョイスしました。
東京から紅葉が見頃だから来たというと店のオヤジさんが「今日は一番いい日に来たよ」と言ってくれました。蕎麦を注文しましたが、その間のつなぎとしておでんを注文。ピリッとしたゆず味噌で食べるのが特徴です。
石鎚蕎麦という一応なご当地グルメを頂きました。
法螺貝欲しいなと思いつつ、値札を見ると6万円からと手が届く値段ではありませんでした。法螺貝を掛けながら登るのは男のロマンです。
腹ごしらえも終え、参拝します。
石と書かれた御幕が特徴的で、四国一の霊峰を信仰する格式を感じます。
この旅が無事に終わりますように。
後、お金が楽して入ってきますように。
御朱印を初めて頂いてみました。
自分は集める趣味はないため、母親へのお土産といったところです。
だいぶ前置きが長くなりましたが、今までは観光、ここからが登山です。
はじまりは下山から、石鎚山登山開始
12時53分 登山口
境内の一角にある「神門」が石鎚山の登山口になっています。今回は石鎚山の伝統的な正規ルートである「表参道成就コース」を歩きます。
いざ登山!!
と思ったら、下山だった。な…何を言っているのかわからねえと思うが(略)
登山口からいきなり下山という稀有なパターンで、石鎚山の登山が開始されました。
ちなみに八丁坂と言うらしい。
20分で平行移動距離600mほど歩くと平坦な道に変わります。
八丁坂鞍部には鳥居が設置されていて、休憩できるベンチがありました。
山頂までは3キロとまだまだ先が長いです。
登山道のわきには様々な史跡があります。
しばらく樹林帯が続きます。
登る時間帯が遅いため、下ってくる人の方が多いです。
標高1400m以上になってくると徐々に紅葉が始まってきました。
登山道に岩が混じり徐々に険しくなってきました。
基本的に山頂まで一本道ですが、分岐が随所にあります。
最初の分岐は「試し鎖」
尾根上のピークを目指さない場合は、安全なルートを取ることができます。
かくいう自分は個人的にスリルを求める様なタイプではないのですが、撮れ高のために登らないといけないという病に侵されているので、鎖のルートを選択します。
最近の登山ブームに併せて市が登山者のために設置した鎖ではありません。修行のために登る人のため設置された鎖です。
山頂から一本の鎖が垂れ下がっており、数か所固定されています。鎖を握るとズシッと重量感があり、お世辞にも使い勝手はよろしくないです。
岩峰の代表格である群馬県の妙義山、北アルプスの剱岳の方が登りやすいです。影になっているので、鎖がものすごく冷たく、手がとても冷えます。
試し鎖を登り終えると岩の上に出るので展望が良いです。目指す石鎚山山頂はまだまだ先です。
瀬戸内海がこれほどまでに近いとは思いませんでした。
降りる時が非常に怖い。
鎖が重く、お腹の位置まで引っ張るのが困難なので、手の移動が難しい…。高所恐怖症の人はたぶん無理でしょう。7割以上の人は迂回ルートを歩いていると思います。
肝を冷やしながら降りると青色の掘っ立て小屋がありました。
前社ケ森小屋です。
山頂までの中間地点にある売店です。石鎚名物の「力あめゆ」(400円)が販売しています。麦芽糖のドロッとした飲み物で、生姜が効いています。
お立ち寄りの際には是非。
休憩を終えて、再び登りを開始します。
秋に咲くリンドウが咲いていました。
黄色や緑の中に青い花はとても鮮やかに目立ちます。
小屋から十分少々歩くと夜明峠に到着します。
樹林が一部途切れて、開放的な場所です。奥には石鎚山の荘厳な山容を望むことができるポイントになっています。
黄色の紅葉から始まり、奥は赤い紅葉に色づいています。
夜明峠の稜線は、白い石が敷き詰められており歩きやすい道でした。
時間にして14時30分を過ぎて、風が寒く感じてきました。
夜明峠は表参道成就コース峠の最も盛り上がるポイントなのは間違いありません。
夜明峠から山頂までは標高差300mあり、登りが急になってきます。
四国の鎖は太くて固い、一ノ鎖~二ノ鎖~三ノ鎖
「一ノ鎖」が登場。
垂直にも見えますが、若干の傾斜があります。登山靴だと登りにくいです。ちなみに鎖は二本あり、左側が登り、右側が下りらしい。
一ノ鎖の長さは27m。
一ノ鎖を越えると石鎚山の本体である岩峰が近づいてきました。
14時48分 二の鎖小屋
山頂まで最短の土小屋からのルートの分岐点になっているので、下山してくる登山者で溢れていました。
現在のメインルートはアップダウンの多い、表参道成就コースではないようです。
新築と思われる公衆トイレが設置されていました。
工事関係者が作業していたので、新しい売店か小屋でも建てているのかなと思います。
ここまで来れば、山頂までの距離は0.5kmと僅かです。
しかし、ここからが本当の試練になります。
「二ノ鎖」が登場です。
登らなくてもいいのですが、登らないとダメな気がするので登ります。
ひえっ。
四国に初めて来て、バラエティ番組で罰ゲーム扱いされそうなルートを歩かなければいけないのか…。
一ノ鎖と比べると妙に長い…。
二ノ鎖の長さは一ノ鎖の約3倍である65mもあります。
足を滑らせて落ちたら、間違いなく五体満足で生きていくことは不可能でしょう。
自信がない方は無理せずに迂回路を通ってください。
すべての鎖場に巻き道があります。
と、一応人に見られるブログとしては注意喚起をしておきます。鎖場でスリルを求める方、鎖に縛られるのが趣味な方には非常にお薦めです。
通常ルートと合流。
通常ルートは石段があり、スロープが設置されているので安全です。
後、0.3km。
しかし、ここが最後の分水嶺。
「三ノ鎖」の登場です。
三ノ鎖は最長の67mあります。日本の円盤投げの男子最高記録が60m22なので、その長さのすごさがわかるだろう。
わからないか。
頂上が見えない…。
ある程度登って見下ろした風景。
怖ッ!!!
日没が迫りつつあること、一人で初めての四国に来ていることも相まって恐怖と寂しさが襲い掛かります…。
鎖が冷た過ぎるわと愚痴るも誰もいない。
石鎚山というような日本における一級品の山は誰かと登りその感動を分かち合う方が良いのかもしれない。いや、それは間違いない事実だろう。
何とか最後まで登り切りました。
登山パーティーピーポーが安易に選択できるようなルートではないということは間違いないです。
日本百景にも選ばれる石鎚山の頂上
15時30分 石鎚山(弥山)山頂
登山口から2時間37分掛かりました。標準より早い気がしますが、ゆっくり歩いていたので、だいぶコースタイムは緩めに設定されていたのでしょう。
鎖を登り切るとすぐに見える景色がこちら。
石鎚山の山頂である天狗岳の異様です。
波のようにも見える曲線を描きながらの鋭い山頂は、日本の山岳風景を象徴とする景色です。
天狗岳を望む弥山には石鎚神社の奥宮があり、一段下がったところには本日宿泊する頂上山荘です。
大峰山の山頂である八経ヶ岳も隣に弥山があるという共通点があります。何か理由があるんでしょうかね。
日帰り登山者は時間的にすっかり掃けて、山頂は宿泊客で静かでした。ハイシーズンの日中帯は足の踏み場がないほど混雑するらしいです。
宿泊受付を済ませて、荷物を降ろして、天狗岳の山頂へ向けて動き出します。
天狗岳から反対側は瀬戸内海を展望し、瀬戸内海に浮かぶ島々を見ることができました。
天狗岳への道のりは、登山地図上では点線で記されるバリエーションルートです。道幅は狭く、人一人が歩けるギリギリの幅です。
弥山から最初下るところが何気に怖かったです。
西日本最高峰、標高1982m天狗岳山頂
西日を浴びて、紅葉の赤色がより際立ちます。
石鎚山が一番美しく見えるのは、西日を浴びる夕方16時以降なのだろうと思います。
紅葉の中を潜り抜けるように歩きます。ほぼ岩の上を歩くため、慎重に歩きます。
振り返ると弥山。
いかに断崖絶壁の場所にあるかがわかります。
この日の山頂の風速は10m前後あり、ジッとしていると寒く感じます。
足を進めていくと奥に女性1名に男性複数のパーティーがいました。肩掛けのカメラを担いでいる人がいるので、ローカルテレビ局が取材に来ていたようです。
宿泊客にはいなかったので、このまま帰ったのでしょう。仕事って大変ですね。
切り立った岩の峰が高度感抜群。
道は樹林帯の間の中にあるので、ここを通るわけではありません。
最後は岩登り。
山頂が見えてきました。
16時25分 石鎚山(天狗岳)山頂
四国初上陸にして標高1982mの四国(西日本)最高峰である石鎚山に登るという奇異な人生経験になりました。
西日本の標高順は代表的な山で、徳島県の剣山(1954m)、鹿児島県屋久島の宮之浦岳(1936m)、奈良県の大峰山(1915m)と続きます。
西日本は標高1900mまでというのが、面白いところです。
石鎚山の標高は谷川岳(1977m)以上、月山(1984m)以下という不思議な位置にあったりする。
到着が遅かったため、天狗岳はガラガラで10分以上独占でした。山荘に泊まる者の特権と言ったところでしょう。
天狗岳の奥は南側になるのですが、高知県の太平洋(土佐湾)まで見えていました。
弥山からの天狗岳の眺めにも負けず劣らず、天狗岳からの眺めも絶景でした。
思い立って遠く四国まで来た甲斐があった…。
ひたすら山頂に一人、寂しくなったので弥山に戻ります。
山荘の中はとても綺麗です。畳敷きの大部屋に布団を引いて寝るタイプでした、紅葉真っ只中の週末ですが、一人一つの布団で寝ることができました。
コンセントもあるので充電が可能、ドコモの電波はバリバリ入ります。
夕方17時になると館内アナウンスがあり、神社で神主さんによるお祓いが行われます。
山岳信仰のある石鎚山、白山、立山、富士山、月山などはこういうイベントも参加してナンボですね。
17時16分、日没が近づいています。
頂上山荘で夕食の時間です。
この旅は飛行機で帰るということもあり、火器類を一切持ってきていません。
山小屋では定番ですが、カレーとか最高か。嬉しいことに白身魚のフライもついています。ちなみにセルフ式で、好きなだけ自分で盛ることができます。お替り可。
人間の手によって切られ、具がゴロッとしている家庭のカレーが安心する。
お替り不可避。
西日に燃える天狗岳
夕陽が沈むシーンに立ち会うため、満腹中枢が「食休みしろ」と訴えかける声を無視して、外に出ていきます。
瀬戸内海の向こうに夕陽が沈もうとしています。
天狗岳の斜面に西日が当たり、蝋燭のように燃え上がっています。
言葉では表現できない美しさ…。
左手の斜面は東側にあたるため、影になっています。時間が経つにつれて、色の変化を愉しむことができます。
写真には映っていませんが、一眼レフカメラを構える素人カメラマンがたくさんいます。
登山を目的としているより、被写体を収めに来ている人らです。割合的には登山客よりカメラマンの方が多い気がします。
なので、夕焼けに燃える山頂で記念撮影をする雰囲気はなかった…。
三脚カメラマンがひしめく中、自分も負けじとシャッターを切ります。素人以下のレベルの自分でも十分に美しい天狗岳の姿を捉えることができます。
瀬戸内海に夕陽が沈む…。
カメラマン達は太陽の日没写真には興味がない模様。
沈むぅぅぅぅ。
ふと、地元愛媛の松山から来たというおじさんが、「海の向こうに見えているのは九州だよ」と話しかけてきました。
四国の山並みの奥に間を置いて、二つの山が目立っていました。
話によると大分県の由布岳と九重山だそうです。かつて登ったことのある山が、初めての四国の山頂から海を隔てて、見えていることに感動を覚えました。
夕陽が沈む最後の最後は山頂が真っ赤に彩られました。
一泊二日の旅行という観点で言うと結構なお金を使っていますが、これは一生モノの景色だったと思います。紅葉真っ盛り、九州が見える程の澄んだ空気という条件は中々得られるものではありません。
太陽は何事もなく穏やかに沈んでいきました。
太陽が沈み色がなくなった頃、カメラマンが捌けたのでパシャリ。
撮ってくれたのは石鎚山のおひざ元である伊予西条市に在住の山ガールさん。結構な風が吹く山頂で、生足を出しながら夕陽を眺めていました。若さゆえか。
カメラに埃でもついたかと勘違いした変てこな雲。
夜はストーブで暖まりながら、姫路からバイクでやってきたというお兄さんと話していました。千葉出身で今は姫路に住んでいるのだとか。
てか、バイクで来て山に登るって凄いな…。
せっかくだから夜景でも撮りに行こうと思ったら、カメラマンが随所に散らばっていて、スペースがありませんでした。
目立つ被写体(天狗岳)がある場所で泊まるっていうのは、カメラマンだらけになるってことか…。「ヘッドライドを消しながら歩け!」と怒声が飛び、夜景を撮る人と星空を撮る人で喧嘩になっていたりで、めんどくさくなりさっさと退散しました。
消灯まで地元の人らとトークをしながら話し込んでいました。
2階にある雑魚寝部屋に戻ると数人が寝息を立てています。寝れるか不安でしたが、夜行バス移動と登山疲れであっさりと眠りにつくことができました。
石鎚山(2日目)
四国最高峰での神聖な夜明け
というわけで、夜明けです。
10月上旬愛媛県の日の出時刻は6時10分前後になります。
山荘の外に出ると昨日に引き続き強い風が吹き荒れています。気温は一桁代ですが、完全防寒体制で日の出を待ちわびます。
天狗岳の黒いシルエットが朝焼け空に浮かんでいます。
御来光の時間です。
四国の山々を薄い霞が包み、山頂部分がその上に顔を出しています。霊峰石鎚の神聖なる姿がここにあり、普段しょうもないことを考え生きている自分ですら心が洗われるようです。
鎮魂とはこの事なのでしょう。
御来光の時間に合わせて、お祓いが開始されました。未明に登り始めたのか、修行の白装束をした人達がやって来ました。
カメラマン連中はそっちのけで夢中。
一刻一刻と変化する天狗岳の山容にウットリです。
先日の夕方の風景とはまるで別物です。
ぶぉぉー!!
法螺貝を吹く行者。欲しい、法螺貝欲しい。
山頂で朝食の時間になったので頂きました。
食べ終えて、再び外へ。
土小屋から出発するバスの時間が11時30分なので、ゆとりのある山頂タイムを過ごすことができます。下山のコースタイムは1時間半程度。
久しぶりにひこにゃんを連れて来てみた。。
今回は石鎚山山頂でゆっくりしたかったので、縦走ルートは避けましたが、他にも登ってみたい魅力ある山が多いです。
瓶ヶ森、伊予富士、笹ヶ峰、赤石山など。特にアケボノツツジが有名な赤石山は登ってみたいです。
というわけで、やることもないので二度目の登頂をしに行きます。
二度目の天狗岳も静かに楽しむことができました。
天狗岳より先に歩くルートもあるようですが、「稜線沿い踏跡程度 熟達者コース」となっているのでパス。
この二日間で石鎚山に登れたことに感謝です。
石鎚スカイライン方面へ下山
再び弥山に戻ってきて、帰る準備を始めます。
山頂で出会った山ガールさんとライダーカメラマンさんと集合写真を撮ったりでお別れ。下山を開始します。
下山は鎖場は使わず一般ルートです。
土小屋方面から登ってきたであろう人が続々と登ってきます。
断崖絶壁に足場が作られており、結構怖いんですけど…。
成就コースと土小屋コースの分岐です。
同じ愛媛県内でも全く別の位置にある登山口のため、縦走する人はほとんどないかと。
土小屋へ向けて歩くルートは多少のアップダウンはありますが、ほとんど平坦の横移動なので歩きやすかったです。
ハクサンフウロに見えるけど、こんな時期に咲いているかな?
夏は高山植物が咲くようで、秋以外に魅力を楽しみたいところです。なかなかに機会が訪れなさそうですが…。
天狗岳を巻いて歩いているので、見上げると今にも迫って来そうな岩壁がドンと聳えます。
土小屋は現在のメインルートなので、途切れることなく登山者が歩いてきます。
西日本最高峰ということで、西日本一の速さで紅葉が訪れる山ですし、集中するのも頷けます。
振り返ると石鎚山の山頂が見えました。成就ルートとは違った見え方をしています。
土小屋ルートは石鎚スカイラインが開通して、新しめのルートだと思いますがこちらも趣が違って楽しめます。
山頂が綺麗に三角形になるポイントがありました。象徴的な羊雲が良い秋の演出をしてくれています。
小屋の人かな?
ご苦労様です。
だいぶ、遠ざかってきました。
国定公園を示す看板が見えたらゴールです。
後は舗装道への階段を下りるだけ。
いやーゆとりある登山でしたが長かった。風呂に入りたい。風呂に入れるのはまだまだ先なのですけど…。
11時13分 土小屋
石鎚山の縦走が完了しました。土小屋というから木造の簡素なお土産屋が並んでいるだけかと思いきや、普通の高原観光地でした。標高1500mあるので、西日本においてはかなり標高の高い位置にあります。
お土産を物色します。
石鎚の名を冠した日本酒なんかもあり、お土産に良さそう。四国の日本酒が珍しい。
下山してからが大変、路線バスを乗り継ぎ松山へ
ここからは路線バスを利用して松山に帰ります。
伊予鉄バスで久万(くま)というところまで行き、JRバスに乗り継いで松山まで行きます。所要時間は3時間と旅はまだまだ長い…。
11時30分にバスが出発。
四国限定と付いていると飲まずにはいられない「ミニッツメイドはちみつゆず」。
石鎚スカイラインからのぞむ石鎚山は端正な形をしていました。バス車内の陽気も相まって、うとうと。
道はなかなか険しく、尻へのダメージが激しかった。
13時6分に久万高原町にあるバスセンターに到着。
道路を渡ったところにJRバスの停留所があります。
松山行のバスが来る13時32分まで30分ほど時間がありました。
乗り換え時間はジッとしている性分ではないので、周囲を散策しに行きます。お腹が減っているので、何か食べたいわけですが、探し回っても見事に何もない。
雪娘という酒蔵がありましたが、営業されておらず…。
風情ある街並みでしたが、食べ物を売っているところが…。
ただ、急に便意を催したときに綺麗な公衆トイレがあってくれたのは感謝を惜しみなく捧げたいところです。
唯一発見したのが和菓子屋さん。
正直甘いものの気分でなかったことは確かですが、「おくま饅頭」というご当地感に惹かれて立ち寄りました。
でもなぜか購入したのは水羊羹。美味しかったけど。
ちなみに久万高原町はあの日本を代表するスター藤岡弘の出身地らしいです。彼の持ちネタ(?)であるコーヒーの淹れ方が大好きです。
時間になってバスがやって来ました。乗客は意外と多くて、座席が全部埋まるほどでした。
14時38分に松山市へ戻ってきました。
石鎚山経由の大周回を無事終えた達成感にこみ上げるものがあります。
下山後は松山で食べ歩き、道後温泉に入りました。
松山観光の記事になります。併せてご覧ください。
石鎚山の登山を終えて
日没から日の出まで刻々と移り変わる石鎚山は「時の流れの美しさ」を教えてくれました。
東京から遠く四国に遠征ということで、欲張りにいろいろな山を登らないで正解だと思っています。
一枚絵として見たときの景観美は、他のどこにもない唯一無二のものでした。
日本の山でベストイレブンを作るとしたら、間違いなく石鎚山は代表に選出されるでしょう。
例年だと10月中旬頃の紅葉が石鎚山が最も映える時期だとは思いますが、アケボノツツジの咲く季節にも訪れたいと思いました。
1泊2日の極めて弾丸の旅でしたが、初めて訪れる四国で10年先、20年先も語れるとても価値ある経験ができました。
剣山・三嶺の登山記事はこちら
翌年の2016年に訪れた剣山と三嶺の縦走記事です。併せてご覧ください。
コメント
こんにちは
久しぶりの更新で、楽しく読ませて頂きました。
タイムリーに私も先日、横浜から四国に行って石鎚山に登ったのですが、鎖はデカくし登る距離も長いので険しいですよね
ベリーブルーさんの夕日が沈むのを眺めながらの山頂からの景色は素晴らしくです。
あと、質問なのですが石鎚山の鎖場と剱岳の鎖場はどちらが難しかったですか?
>ハルオさん
コメントありがとうございます。
タイムリーな感想ありがとうございます。石鎚山の鎖場は本当に修行という感じですね。
鎖場の難易度は石鎚山の方があると思います。石鎚山の鎖は重く持ちにくい上に足場は自分で探しますからね。
剱岳はどこに手と足を置くのか明確だった記憶です。
また、コメントお待ちしています。
はじめまして、楽しく読ませて頂いています。
いつも素敵な写真、紀行文を楽しませてもらっています。
先日の11/12に九重山の中岳に登り、山頂より石鎚山を見ました。
石鎚山にはゴールデンウイークに登り、今回のブログが凄く
身近に感じました。あの名前入りの鎖。
天気、眺望がいいと山の印象もだいぶかわりますよね。
これからもご安全に~~
>xjrbgyさん
はじめまして!
いつも読んでいただきありがとうございます。
ゴールデンウィークに四国、秋に九州と各地を楽しまれているのですね。九重山からも石鎚山が見えるんですね(当然か)
秋の九重も行きたいのですが、まずはミヤマキリシマがみたいです。
これからもお互い安全に、またコメントお待ちしています。
Veryblueさんこんにちは。久しぶりですね。サボってた?
ようこそ、西日本へ
生まれて初めて四国上陸の最初の日に、四国のてっぺんを征服しちゃったのね(笑)
石鎚山は三回登ったけど、頂上で泊まった事はありません。
でも、あの日没 や、日の出の美しさ。めったに出会える景色では
ないんでしょうね。 うらやましい!
次は絶対に山頂で泊まります。
>やま子さん
相変わらずのコメントありがとうございます。
3か月くらいさぼってました。というか資格試験やら何やらで忙しかったです。
四国初上陸はやはり、最高峰からに限りますね。九州も北海道も実はそうだったのですがー。
石鎚山に三回も行っているのですねー。うらやましいです。
山頂に泊まる選択は非常に良かったです!
また、行きます!
四国遠征お疲れ様でした。
ていうか、去年の出来事なんですよね(笑)
四国の山はまだまだ僕にとって遠い世界ですが、いつかこんな雄大な景色をこの目で見てみたいです。
しかしながら、こんな長旅の登山を一人で挑まれるベリーブルーさんには毎回恐れ入ります。
登山を始めたばかりの時、このブログを見て、一人で登りに行く勇気を貰いました。
そんな僕は、10月に四阿山と根子岳、塔ノ岳に登り、今月の15日に奥多摩の御前山に行ってきました。
平日だからか、奥多摩湖→御前山→鋸尾根→奥多摩駅に行くまで誰にも会わなかったです。これが本当のぼっち登山というやつでしょうか囧rz
という感じで、相変わらず懲りずに一人で登ってます。
お忙しくて大変かと思いますが、次の更新も楽しみにしています。
>szkさん
順調に色々な山を巡られているようですね。
カメラもやられているようであれば、ブログを初めてみては如何でしょうかね@x@
四国は陸路で行けるので北海道と九州よりは敷居が低い感じです。
来年はアルプスや遠方も行って更なる飛躍を楽しみにしています。
自分はこの冬は大人しく遠出もせず遠征費用を貯蓄しようかと思っています。
登山を少し控える分、更新を頑張ろうと思います。
まず、バスで12時間揺られるのが凄いっす…多分痔になります(´・ω・`)
高速バスでジュース飲み放題って初めて見ました(笑)、ロープウェイはちゃんと動くか乗るときが1番怖いですね、その萎びた「歓迎」はあの世へのk…
そして鎖場よく頑張りましたね!凄いです
山小屋のカレー手作感半端ねえっす、いくらでもおかわり出来そう
四国いいなぁ、いってみたいなぁ
SNOWさん
コメントありがとうございます。
高速バスは車両にもよりますが、新しいものだと快適です。深夜移動から早朝の行動で便利かつ時間が取れるのが良く、登山には欠かせません。
飲み放題と言ってもトイレきつくなるのであまり飲んでる人いませんでした。
四国に行くのに是非石鎚山からをオススメします。
いや、普通に観光でもいいと思いますが。
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自分は中国地方に住んでいて、このブログで石鎚登山を読んでずっと登ってみたいと思っていました。
2021年10月にやっと登る機会が訪れて行ってきました。
今年は暖かい日がいつまでも続いていたので紅葉はそこそこでしたが、夕日に照らされた天狗岳はブログで紹介された通りとてもキレイで感動ものでした。
山頂で一泊した後の朝は残念ながら霧が深くて何も見えず雨まで降ってきたので、惜しくも下山することに。
またいつかもう一度登ってみたいと思える体験でした。
ネットでふらっと見つけたこのブログですが、初めての登山の機会を与えてくれたveryblueさんに感謝を示します。ありがとう!!
BTMさん
コメントありがとうございます。
石鎚山に登れて非常に羨ましいです。夕日の天狗岳はいまだに脳に刻み込まれていて、うっとりしてしまいます。
週末に行かれたかはわかりませんが、意外と空いていたのではないでしょうか。
カメラマンが多かったのですが、地元の人がいて、仲良くなりました。
ブログを見つけて頂き、ありがとうございます。
中国地方はまだまだ行ってみたいところがあり、今後、広島や岡山や山口に山に登りに行きたいと思っています。
こんにちは。
わたくし愛媛は松山の生まれ育ちながら、1昨日人生で初めて石鎚登山をしてまいりました。
今現在両足の筋肉痛がキツい。
でも、この記事を読んで紅葉の時期にまた昇りたいと思いました。
登山お疲れ様でした。
記事を読んでいただきありがとうございます。
石鎚山は急なので筋肉痛になりますよね…。
紅葉もいいですが、GW中も良さそうです。4月に石鎚SAに立ち寄って、久しぶりに登りに行きたくなりました。
またのコメントよろしくお願いします。