2012年10月13日
岩手県の岩手山に行ってきました。標高は2037mです。
岩手山は奥羽山脈の山の一つですが、主稜から離れた場所に位置しているため、富士山のような独立峰をしています。県庁所在地の盛岡市から眺めることができ、岩手県のシンボル的な存在です。
東北遠征の季節がやって参りました。
前回の涸沢~奥穂高岳へは、標高の「高さ」つまり縦の紅葉前線。今回は「北へ」つまり横の紅葉前線を追い求めました。
10月の初旬から中旬にピークを迎える東北の紅葉。東北は紅葉の名所が無数にありますが、まず思い浮かんだのが岩手県と秋田県の県境にある「八幡平」です。そして、隣接する岩手県の名峰「岩手山(いわてさん)」に行ってきました。
いつも弾丸日帰りの東北でしたが、今回は贅沢に宿をとっての登山旅行。
今回の記事は1日目に行った「岩手山」です。
紅葉登山のつもりがまさかの雪山!?それでは、遥か遠くみちのくの旅スタートです。
岩手山について
地図
馬返し登山口(柳沢コース)から往復するコースです。登りに新道、下りに旧道を歩きました。
岩手山 日帰り登山
東京からはやっぱり遠い、秋の岩手県遠征
「ただ今、JR山手線品川駅にてお客様が線路に立ち入ったとのことで、山手線は運行を停止しております。」
「おいおい、冗談はよしてくれよ…」
金曜日の仕事帰りに宇都宮へ向かう湘南新宿ラインは、混雑率200%を超えました。交通機関のトラブルに最近出くわさないーと思っていた矢先ですよ。
深夜ぶっ通しで、東京から岩手まで約450キロの旅。
宇都宮駅では毎度おなじみのタチ君と合流。常念岳以来で2ヶ月ぶりの再会です。
宇都宮ICから東北自動車道で福島方面に乗った直後、いきなりの渋滞。
えーこんな真夜中に?
どうやら事故渋滞だったみたいで、10分ほどで抜けました。
路肩に車だったであろう「ナニカ」がありました。
ちょっと怖いので見なかったことにします…。
東北自動車道のドライブは睡魔との闘い。
福島と宮城の山間部はカーブが連続するので適度に緊張がありますが、仙台からは真っ平ら真っ直ぐで真っ暗な道が続きます。
交替しながら運転しているのですが、それでも眠い。
かんなり眠い。
今週末の天気は直前まで晴れる予報だったのですが、北海道の北部にある低気圧の影響で東北北部と北海道は曇りまたは雨の天気に…。
岩手県に入った途端、雨が降り始めました。
宇都宮から4時間30分ほどかけ岩手県滝沢ICで一般道へ。
高速降りたところにローソンがあったので、そこで買出しを済ませ岩手山へ。
「独立峰なのにそれっぽい山が全然見えないな~」と思いつつナビ通りに進みます。
突然空が明るくなり、雲が取り払われました。
そして、眼前には巨大にそびえる岩手山が現れました。突然、進行方向に現れるもんだからびびりました。
あー!白い何かが山頂に!
そうです、13日未明に初冠雪しました。残暑のせいで例年より11日遅れての事だそうです。
Twitterで情報を集めていた際に、盛岡の気象台の予報で降雪の可能性が出ていました。
朝7時に馬返し駐車場に到着です。
東北人気の山で、紅葉の時期の割には台数が少ないような気がします。
空は晴れているのに小雨が降っているという天気雨状態です。
午後は晴れる予報なので出発します。
出発前、岩手山の方角に綺麗な虹が見えました。
まるで、僕達を歓迎するアーチのようですね。
駐車場から登山口とか書かれていますが、まずはキャンプ場を通り過ぎます。
トイレもすぐ近くにありました。
雨が全然止む気配がない。
天気は晴れてはいるんですが。
「鬼又清水」という噴水のように水が溢れ出している水場があるので、必要であれば汲んでおきましょう。
独立峰なのでてっぺんが既に見えてます。
富士山を5合目から見たような印象。
コース案内版。
頂上まで一直線、とてもシンプルですね。
馬返し登山口から登る岩手山
スタートは樹林帯からはじまります。
レインウェアを着ていると蒸し暑いです。
なぜなら晴れて日が出ているのに雨が降っているから。
まだ麓は紅葉していませんでした。
0.5合目に到着(5がなぜか漢字)
ここで旧道と新道に分岐します。どちらも同じ距離です。
セガサターンとドリームキャストをどっちか選べって言われたら、新しいドリームキャストを選びますよね。
え?どっちも要らないって?
ネタバレ情報を避けているわけじゃありませんが、旧道と新道で何が違うのかわかってません。
地図を見ればいい話だけど、行き当たりばったりが人生もありじゃないかと。
この選択が実は正しかったことがわかるのは下山時のこと。
1合目に到着しました。
駐車場に停めてあった貸切バスで来たであろう地元東北の団体様がいました。
「お、わぁけぇ兄ちゃんたぁちぇいがきたぞ。のけのけ。○×#?*@」
後半はフランス語ですか。
新道は階段が整備されているので歩きやすいですね。
ただ、階段があるところは樹木がないので雨の直撃を受けます。
赤く紅葉してきました。
2合目に到着する前に高い樹木はなくなりました。
高さ2~3mの木々が占めている感じですね。
2.5号目では再び旧道と新道が交差。
さて、3合目です。
もうこのあたりからずっと同じような道が続きます。飽きます。
でも樹林で風が遮られるのでマシかもしれません。
珊瑚みたい。
所詮、2作目は失敗する運命なのかっ!
5号目を過ぎたあたりで雨脚が弱まりそうなので、下山するかを検討しました。
旧道を登っている人たちが見えました。
どうやらあちらはオープン状態な道のようで、こういう悪天時には新道の方が良さそうですね。
はっ!?
これはまさかッ!
7合目の手前に雪の気配が見え始めました。
午後から予報は晴れるとかすかな希望を胸に先を進みます。
獅子舞が顔出しな妙な遺跡?祠?がありました。
七合目を過ぎると雪景色、秋から冬へと変化
7合目に到着しました。
東北の良さは森林限界の低さですね、北アルプスは2400m~2500mが森林限界ですが、岩手山では1600m付近で森林限界を越えます。
まぁ、この天気じゃ景色見れないんでどうしょうもないんですが。
雪がしっかり積もっていました。
10月中旬のこんな早い時期に雪を踏んだのは初めてでテンション上がる。
岩手県民よりぽっと出の栃木県民が初雪を踏んでしまっていいのでしょうか。
東北本線の名称の件は申し訳ございません。
7合目を過ぎると道がなだらかになって、ほぼ水平でした。
7合目は今までの登りと比べるとあっという間です。
すぐに建物が見えてきました。
8合目避難小屋に到着です。
立派な造りで営業中でした。トイレもあり綺麗でした。
見難いですが気温はマイナス1度を指しています。
必要ないかと思っていたけれど、冬用のニット帽や手袋を持ってきて正解でした。
標高が高い場所なのに水場があることにまずビックリ。晩秋になるのに水がジャブジャブなのも凄い。
天気は全く持って優れませんが、頂上を目指しますよ。
草木はすっかり雪の花。
小屋から10分程度歩くと不動平に出ます。
鬼ヶ城コースとの分岐点ですね。
ここまで来れば山頂まではひたすら登るだけです。
そして、山頂付近は強風です。9月に行った八峰キレットのそれを凌駕する強さでした。
初雪にもかかわらずすっかり霧氷化してました。
急斜面をジグザグに進んでいきます。
楽しい紅葉登山と独立峰ならではの広がる景色を眺めるはずだったのに、なぜ我々は強風吹き荒れる過酷な雪山を登っているのであろうか。
真っ白で何も見えませんが、頂上の御鉢に到着しました。
富士山や浅間山と同様に山頂がお鉢状になっているので、なんとなく右回りで山頂を目指します。
風が強すぎてたまに体ごともってかれる。
寒い寒い!
そして顔が痛いッ!!
火口がすごい迫力でした!
晴れたときくっきりみたいです。
ケルンに雪が絶妙な感じでまとわりついていて、虫の卵みたいで気持ち悪い。
そこらじゅうにこの積み石があるので、エイリアンの巣に迷い込んだシガニー・ウィーバーの気分ですよ。
一瞬だけ太陽と青空が通り抜けて、「晴れる!」と思ったけれど杞憂でした。
天候の回復が全く見込めない絶望の中、見えない山頂との戦いです。
25分ほど歩くと山頂が見えてきました。
同時期に分岐を出発した団体が山頂にいるので、どうやら左回りが近道だったみたいです。
強烈な風が吹きつける岩手山の山頂、何も見えない
11:00 岩手山山頂 ---
出発して3時間45分で山頂に到着しました。タチ君が雨に気力を奪われて、ゆっくり歩いていたので普通のペースかと思われます。
岩手県最高峰に立ちましたッ!標高2038mの真っ白な世界をご覧下さい!
おばちゃん達が写真を撮り終わるのをガチガチ震えながら待つのが大変だった。
「これで景色が良かったら最高だったのにねぇ」
看板の前で喋り出すな~!さっさとどいてくれッ!
戦隊ものの撮影をしているのかと思うくらいにカラフルなレインウェア軍団。唯一、黒のジャケットを身につけているタチ君が悪役みたいです。
ちなみに自分が好きな戦隊モノと言えば「ターボレンジャー」と「ジェットマン」です。
「ジェットマン」はたまにトレンディドラマのようなバーでの会話シーンや男女の複雑な愛憎劇がぶっ飛んでいて面白かったですね。
三角点を踏んでおくのが礼儀。
雪が降っているならまだしも雨が降っているので、さっさと下山します。
初雪もいいけれど、やっぱり晴れていてくれたほうがいいですね。
5センチくらい積雪しているところで、ダイブしておきました。
8合目まで引き返し、避難小屋に文字通り避難。
自由に中に入って昼食をとっていいみたいです。さすがに火気厳禁ですが。
ストーブを稼動させてくれていたので、がちがち震えながら体を暖めました…。
寒い日はカレーヌードルに限りますね。
ちなみにコーヒーを購入することができます。値段は「100円以上」
300円を払ってでも飲みたい。
冬の朝暖かい布団から出たくないのと同様に、暖かい山小屋からマイナスの外界に出る辛さといったらないです。
「動けよ!今動かなきゃ下山できないんだ!」
12時20分意を決して8号目避難小屋を後にします。
先ほどまで吹き荒れていた風は少し弱くなっていました。
雪道の下山に慎重になりながらくだります。
なんだか下界は晴れている模様。どうやら山頂だけ雲が掛かっていた模様。
おや?左下に何かある。
おー虹だ。
虹が下に見えるぞ!
帰りは旧道を選びました。
旧道は砂礫と岩のいかにも火山らしい道で、とても開放的です。
この紅葉もブログを書いている頃には枯れ落ちているんだろうな。
とか言っちゃったりして。
魔法的な演出。
この青空を山頂で見たかった!
岩手の町を一望ですよ。
さすが独立峰眺めが素晴らしい。ただこれも山頂で見たかった!
砂礫の道を直登するので紅葉をじっくり見れるコースではないですが、赤や黄色に彩られた山の景色を楽しむことができますね。
正面に見える独立峰は姫神山です。
詩人の石川啄木が麓の村で育ち、愛した山だそうです。名前がいいので、ちょっと気になってます。
樹林帯まで戻ってきました。山頂の寒さはどこへやら、シャツを腕まくりしても暑いくらいです。
午後になっても登ってくる人たちが4~5パーティ程いました。どうやら避難小屋に宿泊するみたいです。
14時15分 下山 ---
可愛らしいフォントで可愛らしい看板が帰りを待っていてくれました。
登山口にある噴水で靴に着いた泥と軽く汗を洗い流しました。
はいはい、笠雲笠雲。
また、来たいです岩手山。
宿泊地である秋田八幡平温泉郷まで移動しました。
一旦、高速まで戻り松尾八幡平というところで降りました。そこから見る岩手山の姿はかっこよかったですね。
途中、道の駅で今夜の宴の買出しをしました。
道の駅にくると特産品いっぱいあっていいですね。銀河高原ビールや三陸沖で、取れる魚の燻製などを買いました。
店仕舞い中とのことで、露天のおばちゃんが20個くらい入ったたこ焼きを300円で売ってくれて、しかも大判焼きを2個もつけてくれました。
秋田?岩手?の人は気前がいいですね!
八幡平ロイヤルホテルに泊まりました。
貧乏旅行なので素泊まりなのですが、ネットで予約したら一人4500円でした。
たぶん、安いと思う。
よく考えたら宿に泊まって登山旅行は初めてです。
まずは、ソルティーになっている体を洗い流すために温泉へ入ってさっぱり。部屋で銀河高原ビールで乾杯し、鮭の燻製をつまみに飲んでいたら、疲れて眠りこけていました。
むくっと起き上がったら、腹がなったので食事へ。
ホテル内に居酒屋があったので、地酒と地の物をつまみに飲んだくれました。ホテル内の居酒屋で高いかと思ったら、普通の居酒屋と変わらない値段でした。
地元のすいとん鍋みたいなのを頼みました。店員さんに解説してもらいましたが、何言ってるか聞き取れなかったです、はい。
普段運転しているため、タチ君とはあまり飲む機会がなかったので新鮮でした。
疲れもあって部屋に帰るなり、深い眠りにつきました。
岩手山 登山を終えて
紅葉登山のつもりがまさかの過酷な雪山登山となりました。
初雪を踏みしめることができたのはいい思い出ですが、今度は晴れて展望が素晴らしい日に来てみたいです。奥岩手と呼ばれる自然豊かなバリエーションコースにも行ってみたいですね。
岩手山は富士山、男体山、浅間山、赤城山のように地元の人にとって欠かせない存在なのだと感じました。
それでは、二日目は八幡平です。
こちらはとにかく紅葉が素晴らしかったです。山の斜面全体に広がる紅葉をお楽しみ下さい。
コメント
子供の頃アケビを探しによく山に行ったものでした。
なかなか見つかりませんが、見つかっても実が割れてないとがっかりでした。
そういう実を割って食べても美味しくありません。苦かったりします。
実が割れているのが甘いのですが、その時は虫との争いになります。
虫をどけて食べたアケビの独特の甘さが今蘇ってきました。
ところで、この1週間前に私は岩手山・鬼ヶ城コースを行っていました。
午前中はガスっていましたが、午後からは青空でした。
そして10月14日には八幡平とは目と鼻の先の秋田駒にいました。
狭い日本でも広い山の世界ではニアミスといってもよいのではないでしょうか。
東北、特に北東北は里山レベルの1000m級でも魅力的な山がたくさんあります。
またのお越しをお待ち申し上げております。
>climbfanさん
子供の頃は色鮮やかな食べ物に惹かれましたからね。
秋田駒ヶ岳にいたら完全にニアミスですね。
実は、八幡平は岩手山の後に登ってから行っていたのですが、山頂付近はガスっていて諦めました。
たぶんその日に八幡平に行っていたら秋田駒ヶ岳に行っていたかもしれません。
小学生の頃、東北三大祭のツアーに参加したときに田沢湖の畔にあるホテルに泊まりました。
あそこに秋田駒ヶ岳があったのかぁと、子供の頃知らなかった土地が今になって地図として成立しました。
うどんが美味しかったです。
秋田駒ヶ岳は来年の紅葉時期か高山植物が咲く時期に行ってみたいですね。
いつも機動力に優れていますね。
ガンダムですか?
>adaさん
そうです、私は連峰の白い悪魔と呼ばれています。
なので雪が降ったのでしょう。
これも宿命か。
あけびの中身をとって中に人参やら何やらつめて煮る
という料理を小さい頃食べさせられて、
苦く不味い思い出があります。
私にとって、中身は甘くて美味しい印象があります。
記憶はあやふやで、
大きくなって食べるアケビはまた
違った味がするのでしょうね~。
あけびの話をまた蒸し返しました^^;
平たいすいとんがとても美味しそうです。
寒かっただろう山登りの後に美味しい物食べて、地酒飲んで、温泉浸かって、布団で寝るって最高ですね。
虹も1日に2回も見るなんてラッキーですね。
しかも手から虹を出す荒技。
八幡平の紅葉も楽しみです。
>さつおさん
アケビって料理するもんなんだと思って、検索をかけてみたらなんだかお世辞にも美味しそうとは思えない料理写真が出てきました。
山形ではアケビを使った郷土料理があるらしいですね。味噌炒めはちょっと素人には厳しそうですね。
登山中心を過ごしましたが、久しぶりに旅行らしい旅行をして新鮮でした。
お金は掛かってしまいますが、来年は登山の頻度を抑えて質の高い登山がしたいと思います。
手から虹を出す能力は、登山レベル4で習得が可能です。
駅前の八百屋さんにあけびが並んでいて
珍しいなぁ~なんて思ってたら冒頭のこばなしに。
四季があるのっていいですね~
風景や食べ物も
ここの所、パンダちゃん連続登頂ですね。
>すんこさん
なんだか登山するようになって四季の恵みにありがたみを持つようになりました。
山に行くと道中はちょうど収穫の時期を迎えていて、道の駅に立ち寄ると野菜や果物が豊富にあって楽しいです。
雪でカモフラージュしたつもりがバレマシタカ。
はじめまして。
yajitoと申します。
いつも楽しくブログを拝見させていただいておりましたが、「ターボレンジャー」と「ジェットマン」
のくだりで同年代では?と思い、コメントさせていただきました。
自分は、ファイブマンとウインスペクターが好きでした。
veryblueさんはたくさんの山に登られていますね。
自分も山登りをしているのですが、年明けからインフルエンザと寒さに負けて、未だどの山にも未踏の状態です。。。
>yajitoさん
はじめまして!
コメントありがとうございます!
もしかして、学校のプールの授業にアニメや特撮のボタン付きタオルなんかを持っていった世代ですかね…。
グッツのCMがやるたびに親におねだりした記憶があります。
インフルエンザ大変ですね…。今年は猛威を振るっているそうですね。毎年のような気もしますけど。
良くなったら是非とも山に繰り出しましょう!
自分は家電の故障が相次いだので、金銭的に問題ありですが…。