2021年10月2日~3日
岩手県の岩手山に行ってきました。標高は2038mです。
その名の通り、岩手県のアイコン的な存在の山です。富士山のような独立峰で、各方面に登山コースが存在します。今回は、八合目にある避難小屋に宿泊し、馬返し登山口から松川温泉へと縦走しました。
カルデラ内部の八ツ目湿原、御苗代湖、大地獄谷など、見どころポイント満載でした。
当初は八幡平から岩手山を繋げる縦走路を歩く予定でしたが、初日が悪天候、見どころの三ツ石山の紅葉が枯れ散らかしてるという情報により、岩手山単体を縦走するプランに変更になりました。
宿泊予定ではなかった八合目避難小屋、歩く予定のなかったカルデラを歩き、岩手山という素材を120%堪能する旅となりました。
岩手山について
地図
1日目は馬返し登山口を出発して、八合目避難小屋に宿泊しました。2日目は山頂を経由して、火口に降りて、松川コースで下山しました。
コースタイム
- 11:26馬返し登山口
- 14:38五合目
- 15:24八合目避難小屋
1日目は、馬返し登山口から旧道コースを登り、八合目避難小屋で宿泊。
行動時間は3時間58分です。
- 6:09八合目避難小屋
- 7:12岩手山山頂
- 9:11御苗代湖
- 10:27黒倉山
- 12:55松川コース登山口
2日目は山頂に登り、カルデラ内部を歩くコースを通り、松川温泉に下山しています。
行動時間は6時間46分です。
岩手山縦走(1日目)
白龍のじゃじゃ麺を食べて、いわて銀河鉄道に乗って滝沢駅へ
前日の金曜日に盛岡入りし、早朝の盛岡市内からスタート。
盛岡城址公園にある櫻山神社の参道は、時代が止まったかのような雰囲気がありました。
御目当ては、盛岡三大麺の一つ、じゃじゃ麺の発祥の店「白龍本店」です。朝9時の営業開始を待っています。登山に来ているのに朝からのんびりしているは、この日のゴールが八合目避難小屋だからです。
発祥の店ということもあり、芸能人のサインが沢山飾られていました。
厳密にはうどんではないんだろうけど、うどんの麺にきゅうりとネギ、そして味の核となる味噌が添えられています。ニンニク、生姜、ラー油などで味変しながら、ぐっちゃぐちゃに混ぜて味わいます。
値段も安く、ボリューム満点、朝からさっぱり食べれるけど、次第ではガッツリです。
最後は生卵を落として、追加のスープを入れてもらって、チーたんたんスープにして完食です。朝から大満足のパワーフードでした。
前日の夜は、盛楼閣で冷麺を食べました。
下山後にわんこそばを食べて、盛岡三麺(じゃじゃ麵、冷麺、わんこそば)を制覇する裏テーマが計画されています。
スーパーにて食材を購入。岩手県産ブランド牛を食べたかったが、なかなかのお値段で、お手頃な海外のお肉を購入。
行動食に岩手県のご当地パン、力あんパンを購入。テレビで紹介されて、食べるのが楽しみです。
11時に盛岡駅に到着し、いわて銀河鉄道に乗り込みます。
新幹線で東京から始発で来るよりも遅いスタート。これが新時代のスローハイクです。
岩手山は県を代表する山だし、盛岡から25km以内なのに、直通バスが出てないのが納得できぬ…。
盛岡駅から15分程度で滝沢駅に到着しました。予約してあったタクシーが待っていてくれました。
妙に下車する人が多かったのは、大学が集中しているからかな?
馬返し登山口から旧道コースで登る
滝沢駅から11キロ、15分程度の乗車で、岩手山の馬返し登山口に到着しました。一度、日帰り登山で来ているので2度目の訪問になります。正式には「柳沢コース」っていうのかな。
登山口にはキャンプ場があるので、水の確保だけして、12時ぴったり登山開始です。
岩手山は1合目~山頂をしっかり刻むタイプで、1合目から3合目付近は樹林帯になります。なので、粛々と歩いていきます。独立峰だけど、熊出るんだ??
陸上自衛隊の演習場が麓にあるため、「ドーン!!!」、「ババババ‼」と、砲撃音や炸裂音がずっと聞こえていました。
2合目を過ぎたあたりで、旧道・新道の分岐があります。
旧道は歩きにくいけど展望が良い、新道は歩きやすいけど展望が悪いということで、日帰りならミックスできるが、片道通行なので旧道を選択しました。
3合目が近づいてくると、展望が開けるようになります。滝沢市のあたりで、麓は森林面積がとても広い。
岩手山から対面には姫神山が見えます。明治時代の詩人・石川啄木とゆかりのある山です。
ふるさとの 山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな
石川啄木の「一握の砂」に収録の代表歌ですが、この「ふるさとの山」が、岩手山か姫神山かは論争があるみたいです。
紅葉の早い東北。10月上旬で、しっかりと色づいていました。
写真で切り取ると紅葉しているように見えますが、実際は紅葉の中を歩いているって気分にはならない。
4合目過ぎると、見える方角は変わりませんが、展望がより広がってきます。遠くの山地までみえるようになってきました。
この辺りから、実に2か月ぶりの登山なので、急斜面ペースが鈍くなってきました。
一方でさく兄は、登山が再ブレイク中で、脂が乗り切った状態。
「俺、全然余裕だけど。」みたいなマウント発言をしてきます。けど、食料の大半を彼に持たせているので、文句は言えません。
旧道は富士山の斜面を登っているようで、斜面はざらざらの砂礫で、登りにくいです。日帰りだと、登り新道、下り旧道にするのが良い選択です。
五合目を過ぎると高度感が出てきました。
途中に水場マーク(駒鳥清水)があったので、さく兄が調査しに行きましたが、点滴くらいの落下ぺーすだったようです。
青森方面には分厚い雲に覆われていて、天気が悪そう。
この日は、岩手山の山頂付近にずっと雲がかかっていて、この日を裏岩手縦走一日目にしていたら、悲惨なことになっていただろうと想像できる。
御蔵岩がある岩場からは盛岡の大都会が見えました。雲がかかっているけど、北上山地の早池峰山も見えています。
焼走り溶岩流が見えました。あそこから登る「焼走りコース」も気になります。以前、麓のキャンプ場には宿泊したことがあります。綺麗なキャンプ場だった思い出。
7合目の鉾立に到着すると、新道と合流します。岩手山の山頂が見えてきました。午後の遅い時間になって、ようやく山頂の雲が消し飛んだようです。
この辺りから、前回はガスの中に突入したので、初めてみる風景です。
ここまで来ると、きつい斜面は終わり、平坦な道で八合目避難小屋を目指すだけとなります。
7合目に出たら、相当な強風が吹き荒れていました。
超快適な八合目避難小屋に宿泊し、話が弾むディープな夜
八合目避難小屋に到着です。
- 料金1700円
- 管理人一人が常駐
- トイレきれい
- ストーブで温かい
- 軽食、飲み物、お菓子は購入可
- 寝具はレンタル可能(基本は寝袋持参)
- 水場は枯れていたけど、タンクから自由に取得可能
日本国内で最上級の避難小屋であることは間違いありません。感想と情報を箇条書きでまとめると、こんな感じでした。
管理人に受付と料金を支払い、スペースを割り当ててもらいました。3畳くらいのスペースに2人なので、とても快適な空間でした。
10月上旬の週末で、宿泊客は20名程度くらいで。スペースに余裕がありました。
八合目避難小屋からは位置的に夕日が見れないんだな。それにしても風が強い…。
しかし、ガタガタと強風が吹き荒れる中、小屋の中はストーブで暖かく、冷えた銀河高原ビールがウマい。
本日のビストロは、東北らしく醤油ベースの芋煮と、さく兄の焼肉でした。メスティンで炊いた2合分と、芋煮の締めのうどんで大満腹でした。
食事後は、ストーブの周りで、小屋番さんと宮城から来た登山者二人と、消灯まで話をしていました。結局、二日間を通して、この時間が一番楽しかったのかも。
棚に置いてあった水タンクが落下、小屋中に落下音が響き、寝ていた人が全員ビックリして目覚める。ある人が空焚きしたスルメから煙が発生して、報知器が鳴り響き、寝ていた人が全員ビックリして目覚める。そんな、滅多にないトラブルもありましたとさ。
岩手山縦走(2日目)
岩手山八合目避難小屋で見る御来光、異世界のお鉢巡りへ
強風が吹き荒れた夜が明けました。小屋がガタガタと揺れて、時折、目が覚めるほどでした。さて、日の出の時間です。八合目避難小屋の正面から、日の出を見ることができます。
早池峰山などがある北上山地の向こう側から、本日のサンライズショーが始まりました。夜には「山頂でご来光を見るべ?」など、意欲的な提案がありましたが、朝起きて、あまりの風の強さにキッパリ諦めました。
夜中、星空や町の夜景はチラッと見ましたが、とても写真を収められる環境ではありません。そもそも、根性もなかった。
儀式的にご来光を拝み、出発の準備をします。
本日は雲一つない快晴。
何の不安もない天気に仕上がってくれました。それでは、岩手山の山頂を目指し、出発します。八合目避難小屋からは1時間も歩けば山頂です。
避難小屋が八合目なのかと思ったら、どうやら真の八合目は別にあったようでした。
八合目避難小屋から、分岐のある不動平までは緩やかに登っていきます。
4方向に分岐する不動平に辿り着くと、茂みの向こうに不動平避難小屋に見えました。こちらは無人小屋のようです。
不動平から急斜面を登り、岩手山の御鉢まで登ります。同じ独立峰と言うことで、長野・群馬にある浅間山の登山コースとデザインパターンが似ていますね。
不動平から山頂へ向けて、砂礫の斜面をグイグイと登っていきます。登るにつれて、ただでさえ強かった風が、さらに強くなってきました。
そして、斜面を登り切ると、岩手山の御鉢に到着しました。
火山の原風景が広がり、まるで異世界のような風景。こんな景色だったんだ…。10年ぶりですが、初めて見る風景に感動です。
岩手山の山頂は、ほぼほぼ対岸にあるので、まだまだ先が長いです。
御鉢巡りコースになりますが、展望が良さそうな反時計回りを選択します。御鉢は爆風が吹き荒れていて、時折、体が浮き上がるくらいの衝撃がありました。
前回は、視界がほぼなく、小さい氷の粒がバチバチ当たる環境だったので、それと比べるといくらかマシか。
上から見下ろすと、八合目避難小屋が駐車場のある立派なホテルに見える。
御鉢の中心にある中央火口丘は、妙高岳という名前のようです。コースがないので立入禁止ではありますが、山頂はケルンが積み上げられているようです。
清々しい早朝の岩手山に見えますが、体感風速18m前後の環境で、景観を眺める余裕は皆無でした。重心を意識して歩かないと、すってんころり、斜面を転げ落ちそうです。
岩手山の山頂が近づいてきました。
岩手山の山頂は正式には、薬師岳と名がついています。薬師岳は赤茶けた地層なんですね。
笑っちゃうくらいの爆風の中、「巨乳だ!巨乳がある!」と、妙高岳を見ながら叫んでいた気がします。末期のハイカーである。
御鉢巡りも終盤。山頂に向けてグッと傾斜が上がり、気合を入れながら登っていきます。
北東北の盟主、爆風の岩手山は大・大・大展望
標高2038mの岩手山の山頂に到着です。
山頂は期待通りの360度の大展望です。北海道の次に大きい岩手県、そのシンボルから眺める景色は雄大です。
看板は両面仕様で、コマクサがデザインされていました。どこかに、群生地があるのでしょうか。2021年現在から17年後に標高年となるので、その際はまた登りたい。
そして、日本百名山を押し出してる看板でした。
山頂からは中央火口丘と囲むような御鉢を見下ろすことができます。レモンやオレンジなどの柑橘類の果汁を絞る器具みたい。
西側には遠く八幡平まで続く、裏岩手縦走路が伸びています。フラットな稜線で歩きやすそうです。来年こそは挑戦してみたいです。
秋田県方面には、秋田駒ヶ岳が見えました。秋にも行きたいし、なにより麓にある乳頭温泉郷の温泉に入りたい。
標高2000mとは言え、独立峰なので平野部との高度感は抜群です。水曜どうでしょうの牛乳バトルでおなじみの小岩井農場とか見えるんだろうか…。
これから目指す平笠不動避難小屋が見えました。裏手にある岩山が茶臼岳になるのかな。
そして、ぽっかりと空いた御苗代湖を目指すことになります。今回の縦走ルートで最も楽しみな場所です。
展望が効く岩手山に来れて大満足。
八幡平や秋田駒ヶ岳で、何度も岩手県に足を運んでいるさく兄は今回初登頂でした。
山頂一帯は火山の不毛地帯ですが、パンに発生したカビのように植物が自生しています。夏に来ると花が咲いていたりするのかな。
嫌になるくらい風が強く、風よけになる場所がないため、そそくさと山頂を去ります。
風の強さが伝わらないので、お鉢巡りから山頂の動画をご覧ください。
八ツ目湿原と御苗代湖、神秘のカルデラへ下る
御鉢上にある分岐を「焼走・上坊コース」へと下山していきます。
岩手山を遠征で登る人は、こちらのコースを選ぶ人はあまりいないと思う。自分たちも直前まで予定していなかったコースです。
岩礫の斜面を下っていくと樹林帯へと入っていきます。
平笠不動避難小屋に到着しました。八合目避難小屋から山頂を挟んで、反対側にある小屋です。無人の小屋ですが、トイレもあり綺麗です。
手前はテントが貼れそうな空間がありました。テントしていいのかは不明。
ツルハシ分れを目指すと、上坊コース、焼走りコースになり下山ですが、八ツ目湿原を目指していきます。
ここからが、今回の岩手山で一番楽しい思いをした区間になります。
ハイマツ帯で、お世辞にも歩きやすいコースではないですが、裏岩手の原生林の眺めが爽快です。
バリエーションルートに近いですが、冒険心を掻き立てられる。
展望の良いスポットが連続し、絶壁の鬼ヶ城の稜線が大迫力です。
登山コースはないが、屏風尾根の斜面が黄色い紅葉がもの凄いことになっていた。紅葉を見ながらカルデラ内部へと下っていきます。
辛うじて落下を免れている巨岩が、今にも落石しそうです。
独立峰である岩手山は「紅葉の山」というイメージはなく、「岩手山 紅葉」で検索したら、三ツ石山で撮影した写真ばかり出てきます。
しかし、このコースを歩けば、岩手山単体の紅葉指数は爆上がり確定です。
岩手山のメインコースではないので、登山道の両脇から枝が飛び出てはいますが、道は明瞭でした。
馬返し登山口~山頂のお鉢巡りからは想像できない樹林の多さ。
草紅葉の八ツ目湿原と御苗代湖
八ツ目湿原に到着すると、草紅葉した高層湿原が広がっていました。高層湿原はお隣の八幡平が有名ですが、岩手山にも湿原があるんですね。
しばらく湿原を歩いていると、御苗代湖の分岐を発見しました。往復10分なので、立ち寄りは必須。
藪の中を歩いていくと、御釜湖がありました。手前の木々が邪魔して、見えにくいですが、湖面に岩手山を映し出す、美しい湖です。
さらに進んでいくと、御苗代湖に到着しました。岩手山の崩壊したカルデラ内部にある火口湖です。「おなわしろこ」と読み、福島県会津地方の猪苗代湖、「いなわしろこ」と一字違い。
樹林で囲まれたとても静寂な空間です。風がない日であれば、湖面に紅葉する木々を映し、とても美しい風景に化けそうです。
風がなければ…。
ここで、もち入り力あんパンを補給します。パンの中に大福が入っていて、ボリュームとあんこ甘さが、体を回復させてくだます。岩手県内だけじゃなくて、全国で売るべき。
再び、八ツ目湿原に戻ってきました。岩手山の本体と鬼ヶ城の絶壁に囲まれた湿原です。
雪解けの夏に来るとお花畑になっているみたいです。草の根一つない荒々しいイメージのある岩手山に、こんな優しい場所があるなんて想像もしていませんでした。
八ツ目湿原の名前の由来が気になるところ。単純に考えれば、上から見ると八つの池があるとか。
八つ目なんて、ウナギでしか使われているの知らない。昔、料理屋の水槽に張り付いたヤツメウナギを見て、血の気引いた思い出がふと頭をよぎったり。
岩手山の隠された紅葉がゴン攻めする大地獄谷
湿原の先には、沢が流れるようになります。これが大地獄谷と物騒な名前が付けられた沢になります。
山中に名付けられた地獄と言えば、もうおわかりですね。
温泉の成分が溶け出した、乳白色の水が流れています。登山道には、まるで温泉街を歩いているかのような匂いがしています。
そして、この地獄谷から、正面に見える黒倉山までの区間が紅葉盛りでした。
沢沿いであること、バックにある鬼ヶ城のギザギザの山並みが、北アルプスの涸沢のような風景を作り上げていました。
裏岩手縦走路の三ツ石山の紅葉が見頃だったら、このコースはスルーしていただけに、「選択して正解」と、Saku兄のテンションも上がっていた。
大地獄分岐に到着し、岩手山のカルデラと鬼ヶ城の紅葉はそれはもう見事。登山の紅葉名所として、もっと認知されても良いんじゃないだろうか…。
大地獄谷分岐に到着すると、硫気ガスの注意マークがある、植物が全くない火山剥き出しの場所になります。
馬の背のようなキレッキレな登山道があります。ここから下ると、七滝コースになり、八幡平温泉郷へと続いています。岩手山を登るのに、最もコース変化が楽しめそうなコースです。
岩手山は1回、2回登ったくらいじゃ魅力は全然わからないな。
さて、カルデラの探索を終えて、裏岩手稜線上にある黒倉山に向けて登り返します。
「はぁはぁ」言いながら斜面を10分少々登り返すと、裏岩手の稜線と合流しました。
岩手山を裏側から眺める、噴気が立ち上る黒倉山
広々した黒倉山に到着。
岩手山の裏側が一望できるスーパービュースポット。盛岡市などの市街地側から見る岩手山とは、だいぶ印象が異なります。岩手山の山頂から黒倉山まで、直径2.5キロのカルデラが見事です。
この黒倉山は、岩手山方面が断崖になっていて、斜面から煙が立ち上っています。場所によっては、地熱で岩が暖かいです。
先ほど歩いた、大地獄の登山道付近にポツンと乳白色の池がありました。綺麗な色しているので、温泉だったら気持ちよさそう。
岩手山から反対側には、見た目通りのフラットな稜線、裏岩手の山々が連なります。
当初は1泊2日で歩こうとしてたけど、体力的に無理だったろうな…。縦走路の途中にある紅葉ピークの三ツ石山は、来年以降の課題になりました。
西側には秋田駒ヶ岳が近づいて見えました。田沢湖を挟んで見る秋田駒ヶ岳が一番美しい形として見えるかな…。
岩手山の山頂では、台風直撃のような風で、余裕がありませんでした。黒倉山では際どい岩に乗る余裕があるくらい、穏やかな風に変わりました。
黒倉山から先へ進み、下山を開始します。稜線上は40~50人くらいの登山者とすれ違いました。網張温泉から登ってくるのかな?
松川コースで下山し、松川温泉「峡雲荘」で汗を流す
姥倉山の分岐から松川温泉へと下山していきます。いつかは歩いてみせる裏岩手縦走路は見納めです。
ちなみに、網針温泉は路線バスが廃線になったので、縦走できなくなってしまった。岩手山のメインコースなのに残念ですな。
松川温泉へと続いている、その名も「松川コース」は単調な樹林帯ゾーンが続きました。歩く人が多いとは思えませんが、道幅が広く、綺麗に整備されていました。
湯の森と名が付けられてはいるが、湯の気配はゼロな場所。山中泊が久しぶりだったから、早く温泉に入りたい欲求が湧いてくる。
松川コース登山口に到着。
下り一辺倒だったので、稜線上から1時間20分程で下山しました。
温泉まではしばらくアスファルト道を歩きます。
温泉街にはメタリックなパイプラインがありました。地熱発電所があるようなので、マグマだまりから作られた、アツアツの蒸気が流れていたりするのだろうか。
日帰り温泉は峡雲荘に入りました。
登山をしていれば必ず出くわす「日本秘湯を守る会」の宿です。紅葉を眺めながら、緑がかった乳白色の温泉を堪能しました。
峡雲荘が始発で、盛岡駅まで路線バスが出ています。
乗車時間はなんと2時間。こんなに長い時間路線バスに乗ったのは初めて。しかし、料金は1080円という安さ。地熱発電マネーで安くなっているのだろうか…。
14時45分に松川温泉を出発して、16時46分に盛岡駅に到着です。いや~長かった。けど、8割寝てました。松川温泉発は16時便もあるので、素早く動ける人だと、日帰り縦走も可能かな。
下山後の打ち上げは、ももどり駅前食堂で。
駅中にある簡易ワンコ蕎麦を食べたかったが、麺切れして終了していました。盛岡三麺の制覇ならず…。
しかし、さく兄とは、6年前にわんこそばの有名店「東屋」で、1回チャレンジしているし、諦めは早かった。自分は125杯、さく兄は150杯を記録している。
6月に森吉山の登山の際にも訪れているので、4か月ぶりの再訪となる。看板がチェーン店っぽいけど、地元居酒屋です。ボリュームある豆腐料理が意外とウマい。
色々注文した気はするが、焼きおむすびお味噌味でフィニッシュしました。
帰りの新幹線が最終便だったので、2時間以上も暇がありました。駅中のカフェで、コーヒーとソフトクリームを食べながら時間が過ぎるのを待ちました。
おっさん二人が2時間以上もカフェでダラダラするとか迷惑系ハイカーとして、晒されていないか心配です。
ローカル線、タクシー、路線バスに乗ったりと現地の移動時間はかかってます。けれど、東京と盛岡の往復はマイカーより新幹線の方が圧倒的に楽だし、疲れも残りません。事前予約で半額期間中だから利用したけど、通常からこの値段だったら毎回登山に使いたいと、我儘を言いながら帰京するのでした。
岩手山の縦走を終えて
植物のない荒野の火山風景とカルデラ内の豊かな自然。岩手山の相反する二つの風景で、今どきの言葉で表現すると、”多様性”を体験できるコースでした。
- 大展望の馬返し旧道コース
- 快適な八合目避難小屋の宿泊
- 異世界のような御鉢巡り
- カルデラ内部の八ツ目湿原と御苗代湖
- 大地獄台の紅葉
- 黒倉山からの岩手山の姿
ロックだったり、ジャズだったり、サイケだったり、ジャンルがバラバラなのに聴き飛ばすような曲が一切なく、中だるみするような時間が一切ないアルバムのような山でした。
前回は馬返しコースを新道・旧道でピストンしただけなので、単調な登り・下りの山と言う印象しか残らなかったので、面白いコースが充実して山に上書き出来てよかったです。縦走コースを計画するのは、電車やバスに乗ったり面倒ですが、最適なコースの選択をしていきたいなと思います。
そして、来年以降は裏岩手縦走路を目指し、トレーニングに励みます。
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