2021年4月30日
箱根の十国峠・日金山に行ってきました。標高は771mです。
静岡県の熱海市にあり、箱根の東側に位置する山です。日金山は山頂に東光寺があり、伊豆地方の霊魂が集まると言われるお寺です。また、日金山から1キロほど離れた場所に十石峠があり、ケーブルカーが整備された富士山を展望する観光地です。
箱根の地図を眺め、「金時山、箱根山、明神ヶ岳はメジャーどころは歩いたことあるな〜」と悩んでいると、2つの温泉地、湯河原と熱海の温泉街をまたぐコースがあることを発見しました。
ダーツの旅感覚で決定した箱根の山でもマイナー中のマイナーなコースでしたが、温泉地をまたぐ旅情あふれる旅をしてきました。
十国峠・日金山について
地図
神奈川県の湯河原駅から静岡県の熱海駅に縦走しました。
JR湯河原駅から奥湯河原行きのバスに乗り、落合橋バス停から「日金山ハイキングコース」を歩きました。下山は岩戸山を経由して、熱海の伊豆山神社に下山しています。熱海の温泉に入り、熱海駅まで歩きました。
コースタイム
- 9:47落合橋バス停
- 10:25日金山登山口
- 11:38東光寺
- 12:00十国峠(日金山)
- 13:16岩戸山
- 13:58七尾原
- 14:26本宮神社
- 14:49伊豆山神社
行動時間は5時間2分でした。
十国峠・日金山 登山
湯河原駅からバスに乗って、石仏を頼りに登山口を目指す
東海道線に乗り、神奈川県の南端の街である湯河原駅に降り立ちました。梅林が有名な幕山に行く以外じゃ登山で来ることないと思ってました。
駅のホームからは立派な山が見えていて、今回の登山で後半に登る岩戸山だと思われる。
温泉観光客は今頃チェックアウトをするため、準備している時間だろうから、駅前の人はまばらでした。ちなみに、ゴールデンウィークの隙間にある平日です。
湯河原駅のバス停から「奥湯河原行き」のバスに乗り込みます。15分〜30分間隔で運行されています。
10分少々で登山口に最も近い「落合橋」バス停に到着。歩ける距離ではあるが、このバス停からも結構歩くので…。
目の前には公園と温泉が合体した新し目の施設があるが、ここには特に要はない。逆ルートだとこの温泉に入るのが良さそう。
バス停から橋を渡って坂道を登っていきます。
ちなみにここを流れる川が県境になっているので、静岡県熱海市に入ることになります。湯河原にあるが、実質は熱海の温泉宿で、「伊豆湯河原温泉」と名前が変わるっぽい。
宿でGoToキャンペーンのクーポンもらったけど、駅前のお土産屋で使えないみたいなことになってたのかな?
坂を登ってところにあるお寺の入口に「一丁目石仏」があります。山頂の日金山まで、石仏を辿っていく、参道の始点です。
徒歩5分〜10分の間隔で、このように石仏が設置されています。
日金山の案内板があるので、しばらく車道に沿って歩いていき、温泉街の雰囲気も微塵もなくなる山奥へと入っていきます。
しばらく、全部の石仏を記録していたけど、狭い間隔すぎるので、八丁目で匙を投げた。
公衆トイレがありましたが、なかなかな見た目してたので、駅前で出し切っておくことを推奨します。
バス停から35分掛かって、日金山登山口に到着です。ここから車道を外れて、ハイキングコースになります。
苔むす岩と清流の音が響く、歴史ある日金山ハイキングコース
山頂がお寺と観光地とは思えない感じで、植林された様子もなく、古くからそのままの参拝道って印象です。
石仏は続き、丁目の案内が続きます。
分岐点にあった石仏が「39丁目」だったで、半分は来ているとっぽいけど、本当だろうか。
階段や石仏から、いつの時代かはわからないが、かつての信仰の隆盛の面影があります。
地図ではわからなかったが、登山道に沿って沢が流れています。
5月の新緑と沢の水音、これだけで満たされるものがあります。
前日が雨だったからかはわからないが、苔の中から小さな葉が出ています。
小さい滝もあったり、地図じゃわからない見どころを発見。
登山的には低山に分類される標高だが、近代化するまでは深山幽谷の地だったのかもしれない。
箱根と行ったら、火山岩のあれた地形、笹原の稜線という印象が強いので、いい意味で箱根っぽさがない日金山ハイキングコース。
シダ植物と苔むす岩の間を流れる沢、奥秩父や八ヶ岳にありそうな雰囲気がある。
林道にぶつかると、残念ながら沢沿いのコースは終了となる。
何かの施設があるわけじゃないが、一部コンクリートで作られた道を歩く。
再び、登山道に変わるが、このへんは植林された杉が生えています。
33丁目まで来ました。
植生は急変し、背丈を軽く超える笹を切り開いた道へと変わりました。
捻じれ曲がった木々、迷い込むとトトロがいそうなトンネルです。
ここは一応の稜線になるのだろうか、分岐点にぶつかりました。
日金山東光寺の方面に進みます。
後で、岩戸山を経由するのでこの分岐にはまた戻ってくることになります。
たくさんの石仏が並ぶ、日金山頂上にある東光寺
日金山頂上に到着です。山頂は全てお寺の敷地内になっている山です。
階段を登ると、木々に囲まれた東光寺があります。
東光寺についての由来が書いてあります。
1750年前の西暦271年には日金山と呼ばれ、273年には開山したとか。しかも、開山したのは松葉仙人、仙人?!。神話レベルの話ですね。
お寺は木々に覆われていますが、鐘撞堂からは展望が開けています。湾曲する相模湾が見え、湘南アルプス、うっすらと横浜のビル街が見えました。
麓から続く参道もそうでしたが、石仏がたくさんあるお寺です。中野ブロードウェイのフィギュアくらい並んでいる。
東光寺を後にして、十石峠を目指します。石仏が並ぶ小道を進んで行くと…。
墓地に出た。
急に人造の空間に出たので、若干は戸惑いながらも、十国峠がありそうな左側へと進んでいきます。
富士山の山頂と相模湾と駿河湾、10の国が見える大展望
稜線(になるのかな?)に出るとコンクリート舗装された道に出て、円形との建物と富士山が見えました。
十国峠にはケーブルカーが運行されていて、熱海の観光スポットの一つとなっているようです。路線バスが熱海駅から出ているので、ここでドロップアウトしても良い。
湯河原のバス停をスタートしてから2時間10分弱で到着しました。完全なる観光地だけど、未開拓の山だったら、登山的には人気だろうなと思う。
ちなみに観光客は10人もいなかったので、コロナの影響なのか、そもそも人気ないのか不明。
十石峠から見える富士山。
この日は空気が霞み、輪郭がぼやっとしていました。現像ソフトで霞の除去をして見るに耐えれる感じです。本来であれば、南アルプスも見えるようでした。
十国峠はその名の通り、かつての10個の国、伊豆・駿河・遠江・甲斐・信濃・相模・武蔵・上総・下総・安房が見えたことに由来してます。
2〜3個ほど盛ってないか?信濃(現長野県)は、少なくとも山の稜線だろうし。しかしながら、展望は極めて優れていることには変わりない。
登ってきた湯河原の街を見下ろし、真鶴半島が見えます。奥に薄っすらと見えるのは房総半島でしょうか。
稜線を挟んで、静岡県の三島市や沼津市が見えます。
桜の時期に登りたいと思っている沼津アルプスがあります。低山ながらキツイって噂はよく耳にするが、納得のアップダウンの多さです。
西側には箱根の天井である箱根駒ヶ岳・神山が見えますが、雲が湧いています。あちら側の山も考えていたので、正解だったかも。
十国峠のお地蔵さんは、日金山ハイキングコースにあったものと違ってピカピカでした。
十国峠ケーブルカー。
登山脳では、この距離に必要なのだろうか?と思ってしまう。両脇はツツジが植えられていて、7部咲きくらいで、赤く彩られていました。
平日ではあるが、ゴールデンウィークにしては、寂しい閑散具合。いずれ、廃墟として紹介されることがないか心配です。売店は営業しておらず、せめてもので飲み物だけ購入しました。
次に向かうのは岩戸山で、一旦来た道を引き返します。ドッグラン広場があって、犬を散歩させている人が多かったです。
姫の沢公園があり、アスレチックがあります。
ツツジのスポットらしいですが、今年の見頃が早すぎたせいで、立ち寄りはしませんでした。例年だとGWからが見頃だったらしいので残念。
日金山ハイキングコースの分岐点まで戻ってきました。ここから、岩戸山方面を目指し、歩いていきます。ここからは岩戸山ハイキングコースになります。
ここにも石仏があり、石仏コースは続きます。
開けた場所に出ると、分岐があります。ここからは岩戸山ハイキングコースを歩いていきます。この写真に映っている女性が、今回歩いたコースで見た最初で最後の登山者でした。
装備が若そうだったけど、マスクをしていたので年齢不詳。
最初間違って左の道に行ってしまい、後で鉄塔の保全用の作業道と気づき引き返しました。トラップルートがいくつかあります。
岩戸山のルートは落葉樹の樹林帯に変わり、新緑まぶしい道でした。そして、山頂手前までは驚くほど平坦です。
10分〜15分歩いて、「岩戸山近道」の分岐を左に曲ります。
ここだけ、山の名前に岩が付いているように、ちょびっと岩を登りました。
伊豆の稜線と熱海を見下ろす、海が見える岩戸山の山頂
岩戸山の山頂に到着しました。
太平洋に面している山としては、標高734mは高い部類じゃないかな?
山頂は南側だけ開けていて、熱海の街が一部見えました。山の上に建っているのは熱海城です。ちなみに、歴史には存在しない観光スポットらしい。
静岡県の唯一の有人島(?)と初島が見えます。
首都圏に近いリゾートアイランドという名目で、バブル期にリゾート開発に翻弄された島。一時期はスタイしていたけど、グランピング施設やアスレチックなんかで盛り返しているのだとか。
ハイキング要素はない島だが、いつか観光で訪れてみたい。
奥には伊豆半島の山々。
たぶん、天城山ではあるはずだが、なにぶん遠目からは特徴がない。
柑橘伊豆ゼリーでリフレッシュ。ご当地感を演出するため、湯河原駅のコンビニで290円で買いました。岩戸山は湯河原駅のホームから見えていた山だと思うんですよね。展望がないので、断定できませんが…。
岩戸山の下山を開始する。
ここからは道が険しくなり、登山道に雑草が侵食している。あまり人が歩いてないのだろうか…。
手書きの地図がありました。
岩戸観音というものがあったらしいけど、見落としました。岩に彫られた祠があるっぽいです。
とりあえず、熱海を目指しているので、「伊豆山神社・七尾」の方面に歩いていきます。
コースに見どころはないですが、赤いツツジがところどころに咲いていました。
山頂からは特に盛り上がることもなく、アスファルトに出て、岩戸山ハイキングコースは終了です。この道は使用されてないらしく、路肩から植物が溢れていました。
車両通行止めのフェンスがありました。
ここからは伊豆山神社を目指して、しばらくの車道歩きとなります。
熱海を分類したとき伊豆山というエリアになりますが、世の中にある大企業の保養施設や研修所、また高級別荘地です。なので、民家も店もなく、ひどく退屈だったので、イヤホンしながら歩いてました。
本宮社の案内板があったのでそれに従って歩いてきます。直前の別荘エリアの勾配が偉いきつく、このルートに来るんじゃなかったと思いました…。
周囲は相模湾を展望する高級別荘エリアでしたが、神社周辺は森に囲まれています。
源頼朝と北条政子の縁の地、伊豆山神社でお参りする
本宮社に到着しました。
本宮とあるからには、大きな神社を想像していましたが、無人の小さな神社です。
本宮社の由来が書いてありましたが、文章から時系列が読み解けず、日金山、本宮社、伊豆山神社がどういう順番で作られたかわからず。
まぁ、いいか…。とにかく、歴史が古いということです。
本宮山を後にして、最後のチェックポイントである伊豆山神社を目指します。
そして、またハイキングコースに突入。
「今日何回、アスファルトとハイキングコースを繰り返してるんだよ」と一人でツッコミを入れていました。
20分くらい下山して、ハイキングコースは終了。思ったよりも長かった…。伊豆山神社から本宮社を目指す、ガチ参拝客とかいるのかな…。
伊豆山神社の裏手から境内に入っていきます。
伊豆山神社に到着です。
格式の高い神社で、古くには修験者の修行の場だったそうです。歴史上最もパワフルな女性トップテンに入る北条政子にゆかりのある地です。
源家のライバルである平家と結婚させられそうになった北条政子が駆け落ち同然で、源頼朝とこの伊豆山に隠れて、イチャコラした鎌倉幕府ラブストーリー伝説があるとかないとか。
そのおかげで、縁結びの御利益があるらしい。
境内からは海が眺め、ドラマのワンシーンでも使われそうな趣がある。社務所で、書き置きの御朱印をいただきました。
さて、まだ試練は続きます。
伊豆山神社はここに来て強烈な階段があり、その数なんと837段もあります。麓にある温泉に行くので、とぼとぼと下っていきます。
途中にバス停があり、熱海駅に行けるっぽいです。
民家の間を抜けて続く階段、1ヶ月前だったら桜が満開で、もっと綺麗だっただろうな。
ドラマの主人公だったら、甘酸っぱいストーリーが進行しそうな階段の街だが、汗臭い登山者はお呼びではないだろう。
階段の途中で、甘夏2個100円が売っていたので購入しました。
甘夏を入れたビニール袋をぶら下げ、階段を下りていると「2個でいいんかい?」とおばあちゃんに話しかけられました。甘夏の家の人かな?
「どっから歩いてきたの?」
他愛ない会話を3,4キャッチボールし、逞しい足取りで階段を登っていきました。階段の街で暮らす住人との会話。貴重な体験ができた気がします。
交差点のある道路まで出ると、伊豆山神社の参道は終わりです。大変だったけど、歩いてよかったかな。
熱海温泉で汗を流し、浜松餃子で旅を〆る
さらに交差点から少しだけ階段を降りると、目指していた「走り湯温泉」があります。
説明書きには日本三大古湯と書いてありました。調べるとこの温泉が属していないので、諸説の一つなのかもしれない。ちなみに厳選は観光地で有名みたいです。
公衆浴場ですが、備え付けのシャンプーなどは1セットだけおいてあり、水力が全くないけど洗い場もあります。湯舟は4~5人も入れば一杯になる感じです。料金は350円でした。
外で涼んでいると横に置いたザックを見てか、地元のおじさんが「どっから歩いてきたんだい?」と声を掛けられました。
観光地からちょっと離れた熱海は、地元民が話しかけてくるイベントがあるようです。
こんな場所にこんな美女が!?というのを期待しながら、熱海駅に向けて、海沿いの道を歩いていきました。
20分くらい歩いて熱海駅に到着しました。浜石岳に登ったときに乗り換えしたけど、熱海駅を正面から見たのは初めて。水族館みたいな外観している。
商店街をぶらついてみたけど、夕方のゴールデンタイムとは思えないくらいにまばらな人手でした。
7〜8組並んでいた熱海プリンでお土産を購入しました。歩いてみて感じたのが、熱海って意外と客層が若いんですね。今の若者は温泉に癒やしを求めるのだろうか。
カバのマークが印字された瓶に入ったプリンでした。美味しかったです。
登山の旅の締めと言ったら餃子。
17時前だったので営業している店は少なく、駅ビル「ラスカ熱海」3Fにある浜松餃子を提供する中華店にやってきました。
セットメニューがお得そうだったので、つけ麺とセットで頼みました。無論、ビールも。
登山と温泉後のビールは悪魔的だ。
浜松餃子は野菜多め、自分好みの好きな餃子だ。中央のもやしが必要かはわからない。浜松と熱海は170キロくらい離れてはいるけど。
しかし、宇都宮出身の自分としては、浜松餃子の消費ポイントをカウントしてしまったので、年内に宇都宮で餃子を山程食べなければならない。つけ麺は蛇足だった。
湯河原駅から熱海駅、東海道線では一駅の区間の縦走でしたが、長い旅をした気分です。17時頃のガラガラ熱海駅始発列車に乗って、家路に付きました。
東海道線は長距離を走るので、ガチ寝してしまうと群馬県の高崎まで運ばれてしまうの怖い。
十国峠・日金山の登山を終えて
今回歩いたコースは、素晴らしいコースでした。
でしたけど、自然、歴史、富士山の展望、海の展望、温泉、駅からのアクセス、全て揃っているのに「…。」って感想になってしまいます。
アスファルトの車道とハイキングコースが何度も繰り返されるし、展望の良い山頂ではあるが観光地というのが登山的にはマイナス要素。最初から最後までハイキングコース、山頂が観光地じゃなかったら、金時山に並ぶ人気くらいの登山エリアになっていたのは間違いないと思います。
湯河原から熱海への縦走コースは欲張った感じでした。
登り方の提案としては熱海駅からバスで十石峠、岩戸山に登って、日金山ハイキングコースで下山をすれば、あまり車道歩きをせず、スマートな登山ができます。
車道歩きが多かったので、翌日から2日位筋肉痛に苦しめられました。文句を言っているように聞こえてしまいますが、温泉街から温泉街の縦走は、とても充実したコース内容でした。
コメント
こういうルートを歩く人こそ、本当の山好きって思うんですよね。個人的に。
アルプスとか、メジャーどころの良さは分かりますが、地元に愛され系里山のマイナールートだからこそって景色も捨てがたいよなーと。
コメントありがとうございます。
山好きというか、雑食で何でもござれというか。自分の場合、アルプスも里山も等しく楽しいんで、登山続けてられる気がします。
色々、歩いて、ここは全然違う、ここは似てるってなるの面白いです。
一般的マイナー地元メジャーな山をこれからも発掘したいです。