2014年6月1日
宮崎県と鹿児島県にある韓国岳に行ってきました。標高は1700mです。
霧島連峰の最高峰であるため、霧島山に登るイコール韓国岳に登るということになっています。
何故お隣の国の名前が付いているのかと思いますが、江戸時代以前は登山者が少ない空虚な山ということで「虚国」と呼ばれている説があるそうです。朝鮮半島(韓の国)を眺めることができる山ということからという説もあります。実際は見えません。
同日、同じ霧島連峰の一角である高千穂峰(たかちほみね)に引き続きの登山になります。
今回の九州への渡航は高千穂峰のミヤマキリシマが目的でありましたが、同じ一つの山でもまた違うミヤマキリシマを楽しむことができました。
登山道は蝉の鳴き声が響き渡り、夏を感じる旅になりました。
韓国岳(霧島山)について
地図
えびの高原の往復コースです。
韓国岳(霧島山) 日帰り登山
韓国岳の登山口があるえびの高原へ
7時30分に高千穂峰を下山。
高千穂峰の登山口である「高千穂河原(たかちほがわら)」から韓国岳の登山口である「えびの高原」に移動しました。
えびの高原は宮崎県えびの市にあり、標高は1200mあります。韓国岳の登山や池巡りなどの登山拠点です。
高原の冷涼な空気の中で仮眠をと…れませんでした。
昨日に引き続き、本日も真夏日です。
白葉池と六観音御池を周るコースも魅力的ですが、本日は韓国岳のピストン一択です。
帰りの飛行機は20時便であり、空港も近いので、十分に歩く時間があります。しかし、登山後に人と会う約束をしているため、午前中に下山する必要がありました。
8:50 韓国岳登山開始
駐車場から県道を渡ると韓国岳登山口があります。
えびの高原もまたミヤマキリシマの見頃でした。
高千穂峰のミヤマキリシマと違い背が高いです。土壌の栄養が豊富だからでしょうか。
高千穂峰のミヤマキリシマは芝桜みたいに背が小さい。
セミの鳴く、梅雨入り前の真夏の登山道
舗装された登山道(ハイキングコース)を歩きます。この登山道は県道に沿ってのびています。
黄色い花。
みんな涼しそうに歩いていましたが、こちとら未明から一山登っている身で疲れてるんです。
高千穂峰で流した汗はえびの高原の温泉がわき出していたところで拭きました。
5月初旬に訪れた九重山では緑がまだ全然でしたが、霧島山は山頂まで新緑が続いていました。
時の流れですね。
森の中に広がるミヤマキリシマの群生。
この快晴の空の下、ミヤマキリシマのピンクがとても美しい。
えびの高原の駐車場から随分歩いてきました。
手前に駐車しているのは硫黄山(いおうさん)を登るための路駐と思われる。
登山口です。
大体的なビジターセンターがある割に森の中を潜るような小規模な登山口でした。
樹林の中に入った瞬間、猛烈な蝉のサラウンドサウンド。
僅かな時間しか生きられない彼らは子孫を残すために必至です。が、こちらも必至。
木漏れ日の射す登山道に見えますが、熱気が閉じ込められ猛烈に暑い。
1合目。
山頂まで割りと短いのですが、しっかり合目が表示されているのは嬉しいところです。
短時間で登れると思って、水分をあまり持ってこなかったことを後悔し始める。
宮崎県と鹿児島県の児童はハイキングで登るらしいです。登り一辺倒なので、クラスに必ず一人はいる太っている子は登れないんじゃないでしょうか。
樹林帯のカゲにびっしり自生する草が印象に残っています。
あああ、暑い。
3合目。
ハングル表記があるのは韓国岳だからなのか、それとも海外遠征をして登りに来るのか。
単調な登山道で既にネタが尽きたので、別の話題を。
登山をせずとも芋焼酎「黒霧島」の存在を知っている人は多いでしょう。
黒霧島を製造しているメーカーは、霧島山の麓の町である都城市(みやこのじょうし)にあります。2000年代の焼酎ブームに乗って、一気に全国区に広まりました。それは、焼酎史500年の歴史を揺るがすほどのヒットだったそうです。
山の名前は周辺地域の人に知名度があるので、商品名や会社名によく使われます。ブランドを開拓せずともブランドとして既に成立しています。
全国区に押し上げた黒霧島のブランディング戦略はとても興味深いものです。
高度を上げてくると背丈を越える木はなくなり、眺めが良くなってきました。
眼下には登山口にある硫黄山が見えます。
5合目。
最近設置したと思われる案内板がありました。
霧島山は火口に雨水が溜まり正円に近い池がいくつも形成されています。
航空写真で霧島山を見るとボコボコ穴が空いており、フジツボもしくは足の皮みたいに見えます。嫌な例えだ。
登りが続きます。
40後半の男性が70代思われる母と一緒に登っていました。荷物は全部男の人が持ってはいましたが、母と思われる人は観光地に来たという格好でした。微笑ましい親子登山でしょうが、姥捨てに見えてしょうがない…。
6合目。
登山道がちょっと雑になり始めました。
7合目。
丸太がなくなり、岩石帯に突入です。
躍動感のある樹木。
8合目。
登山者というより観光客、走り抜けるトレラン、一般登山者と目的が異なる人が入り混じります。
「あぶない」と書かれた木の杭。
あぶないと書かれているとギリギリまで寄ってみたくなるのは人情。
そこは断崖絶壁になっていて、巨大な火口でした。
ここまで来ると山頂まで後わずか。
火口は緑が生い茂り、噴火してから年月を経ていることがわかります。
大浪池が眼下に見えます。直径630m、周囲2キロの巨大な池は4万年前の噴火で形成されました。
新龍伝説がある池だそうで、周囲にミヤマキリシマがびっしり咲いているのがわかります。
次回はこの池の周囲を歩けるコースを選択したい。
9合目。
山頂まで残り200m。
9合目まで来ると火口部を歩くことになるので道は平坦です。
向こう側の景色が見えました。
山頂は傾斜のある岩場で傾斜になっていました。
霧島連山の最高峰、韓国岳の山頂
10時17分 韓国岳(霧島山)山頂
えびの高原駐車場を出発して、1時間半ほど掛かりました。
本日、霧島山2座目。
標高1700mというジャストな区切りが良いです。
三角点をゲット。
山頂は火口周辺の一部。
抹茶味のかき氷を食べ終えた後の器みたいです。
山頂部のミヤマキリシマの開花は後数日という状況でした。
山頂は半袖で心地よいほどの風が流れていました。
韓国岳より南東の方角に早朝に登った高千穂峰が君臨しています。
手前は噴火して1年ちょっとの新燃岳。
かつては韓国岳から新燃岳を経て高千穂河原まで縦走できて、綺麗なエメラルドグリーンの火口湖が見れたようです。
韓国岳から見る高千穂峰。
高千穂峰から見る韓国岳。
高千穂峰の存在感は圧倒的で、鳥が空へ向けて羽ばたいているかのように見えます。
下山を開始します。
登山者を見守る柴犬。
1合目に降りる頃には日が昇り、気温もうなぎのぼりで辛かった。
11時30分 韓国岳下山完了
2時間40分という短い時間でしたが、濃厚な登山が出来ました。満開のミヤマキリシマのおかげでしょう。
下山後はえびの高原のレストハウスに立ち寄りました。
足湯で2座を登った足を癒やします。
休んでいると若い兄ちゃんが話をかけてきて、観光協会のアンケートを受けました。
「東京から土日をかけて、開聞岳、高千穂峰、韓国岳を登りに来ました。宿はとらず、レンタカーで車中泊しました。」
と答えましたが、
「はい、そうですか。ありがとうございます。」
と、淡々とした口調のままアンケートが終了しました。思ってた反応と違うぞ?アンケートの対象として役に立たないと思われたのか。
登山後に飲む日向夏ドリンクは美味しい。
縞ネコてぬぐいに少し惹かれました。
小腹が減ったので、売店で腹ごしらえ。宮崎といえば地鶏の炭火焼です。
GWの時も散々食べましたけど。
霧島新燃荘の温泉と霧島神宮を参拝
霧島山の登山後はえびの高原より移動し、新湯温泉「霧島新燃荘」にやってきました。
「秘湯西の大関」という称号を受けているらしい秘湯です。
側溝は温泉が垂れ流し状態でした。
硫化水素特有の鼻をつんざく香りが名湯を予感させます。
標高920mに位置する木造建てのひなびた一軒宿で、新燃岳の噴火を受けて一時期営業停止していました。
日帰り入力料500円を宿のカウンターで支払いました。
入浴時間は30分以内と制限されています。以前、硫化水素による中毒死事故が発生したようです。
毒の沼か。
湯船の底が全く見えない白濁湯です。温泉が流れ出ている箇所は成分が凝固して石になっていました。
30分の短い入浴でしたが、十分に疲れが癒えました。
温泉後に移動し、霧島神宮を参拝します。
霧島神宮は高千穂峰の山岳信仰の神社になっています。霧島山の主たる山は、最高峰の韓国岳ではなく高千穂峰なんですね。
高千穂峰の山頂から来ているので参拝の順番は逆ですが、2日間の登山が無事に終えられたことを報告しておきました。
太平洋戦争の日本海軍の巡洋戦艦「霧島」はもちろん霧島山から名付けられています。
その霧島には艦内神社があり、霧島神宮から分祀(ぶんし)されたものだったらしいです。
霧島神宮では、珍しい「登山守」を購入することができます。
登山者であれば年に一度は訪れて購入しておきたいアイテムです。
この日は神前結婚式が執り行われていました。
猛暑日ということもあり、スーツを着た参列者が汗だくで大変そうでした。
霧島神宮から宮崎県の都城市に移動です。
途中、お昼を食べるため県道31号沿いの「松葉ごろん亭」に立ち寄りました。
目の前を川が流れるテラス席に案内されました。奥には滝があり、ロケーションの雰囲気が実に良い店です。
うどん・そばがメインで、地鶏、牛肉、シシ肉の炭火焼きが提供されています。
特製のおにぎりも魅力的なメニューです。
地鶏うどんを食べたかったのですが売り切れ、きつねうどんを頼みました。
特製のダシが効いていて、これが九州のうどんか。うまい。
地鶏の刺身の盛り合わせ。
地元の人でもなかなか食べられないという鶏の生レバーは、とろけるような食感と癖のない濃厚な味で美味でした。
後からやってきたおじさん3人組は、自分が食べているの見て注文していました。
「一人ですげーの食ってるな。アレ注文しよう」
という声、ちゃんと聞こえてっからな!
都城市に到着し、約束をしていた友人と合流。
本ブログの校正をちょくちょくしている人だったりします。なぜ遠く離れた宮崎県に編集者がいるのかは、のっぴきならない事情があったりなかったりです。
打ち合わせ?のため、都城市内にある「コーヒーの田中」にやってきました。
名物の「しろくま」を食べました。スケールがでかいかき氷が運ばれてきました。
しろくまってフルーツやアイスが乗せられているカラフルなもので鹿児島の名物じゃないかって?それは自分にもわかりません。
氷にはコンデンスミルクが掛かっています。
アイスコーヒーと一緒に注文したのは失策で、とても体が冷えました。
「風の谷のナウシカ」に出てくるオームみたいな建物を見学しました。
1966年に建設された都城市民会館です。
2時間もしない打ち合わせでしたが別れを偲び、鹿児島空港へ向けて帰路につきます。
フライト時間が刻一刻と迫っていますが、もう一つ旅の実地調査が残っています。
地元スーパーへの立ち寄り。
宮崎のスーパーでは地鶏の刺身が普通に置いてあります。
しかも、お値段は300円から500円ほどと安い。
地元牛乳は全国に出回ることがないので、旅先で飲んでおく必要があります。
宮崎県の牛乳はデーリィ牛乳が主流のようだ。
県酪こーひーは鹿児島の牛乳か?
寝不足の体にムチを打ちながら、19時前に鹿児島空港に戻ってきました。
フライト1時間半前。
鹿児島空港は最終便を待つ旅行者で賑わっていました。
おみやげを物色。
鹿児島のグルメはあまり堪能できなかったな。
前日の心残りであった鹿児島ラーメンを食べようではありませんか。
空港のレストランで提供されるラーメンなので、市内の店舗で食べるものに比べると劣るのでしょうが、十分美味しかったです。
鹿児島空港から眺める霧島連峰。
東京成田行き最終便に乗り込み、機内席に座って数分で眠りにつきました。寝不足です。
フライトが少し遅れたため、東京駅で終電ダッシュをする羽目になり、満員電車に辟易しながら家路に着きました。
韓国岳(霧島山)の登山を終えて
「高千穂峰を彩るミヤマキリシマ」1枚の写真からはじまりました。
金曜日の昼に企画し、週末の2日間で九州の山3座(開聞岳、高千穂峰、韓国岳)を登るという、今までに例をみない無謀な旅が終わりました。今までの登山の経験値を全て費やした気がします。GWに九州に行っていなければ実現しなかったことでしょう。
九州の山を代表するミヤマキリシマという花は、荒涼な火山に力強く咲く美しい花でした。
自分は指宿の花火、高千穂峰の御来光、友人との対面というプラスオプションがあったため、たいへん忙しい旅になりました。純粋に開聞岳と霧島山を巡るのであれば週末の2日間で実行可能です。
梅雨入り直前の晴れに恵まれた2日間の旅は、一生記憶に残る旅になったのは間違いありません。
コメント
久しぶりに来たところ、更新されており大変綺麗な花々を写真画像ではありますが、堪能させていただきました。地鶏もおいしそう。
”韓国”という名称は日本語では「海の向こうの国」という意味だそうです。
その名は日本がかつて過去に2度(1700年前と100年前)朝鮮半島を統治していたのと、関係があるとか無いとか。
自らの国を日本語の意味で「海の向こうの国」という名称をつけてしまったり、清国の属していたにも関わらず、国旗に縁起の悪い八罫を模したりと、本当に変わった国ですね。あの国は。あ、山の話だった。。。
>黒霧島好きさん
コメントありがとうございます。
韓国とはそういう意味だったのですね。
見えることは出来ないけど、「海の向こうの国が見える頂」という意味でつけるというのは、島国日本ならではのロマンがありますね。
昭和のドラマのセリフで、この海の向こうにアメリカがあるんだ!
そんな遠い国への憧れを感じます。
久々にブログのぞきました~(≧∇≦)
てゆーか!九州の山登ってるし~(≧∇≦)
ビックリです~(゜∇^d)!!
私もGWに韓国岳登りました!
大波池まで回って、まぁ私は隣の県に住んでるので~(笑)日帰りしましたが!
次はぜひ~(≧∇≦)
しかも阿蘇由布久住とホントに九州の山満喫してますね~(≧∇≦)
何度となく登ってますが、紅葉の久住も素晴らしいので次は秋に来てください~♪
>ikuさん
久しぶりにありがとうございます!
九州は思わず同月2回も行ってしまいました。
九州の山は一つ一つが広大でよいですよね。山も海もある鹿児、熊本、宮崎は食が魅力的です。
秋の九重、ミヤマキリシマの九重は是非とも行きたいです!