2013年6月9日
山梨県にある茅ヶ岳に行ってきました。標高は1704mです。
奥秩父山塊の市街地から近い場所にあるこの山は、八ヶ岳と山容が似ていることから「にせ八つ」と呼ばれています。それともう一つこの山は、日本百名山を選定した深田久弥が登山中に亡くなった山でもあります。
この山は、日本百名山ではありませんが、市街地から離れていない場所にあり、素朴な印象で親しみやすい山でした。
山頂にツツジが咲く茅ヶ岳、久しぶりの奥秩父の山を旅してきました。
茅ヶ岳について
地図
深田公園から茅ヶ岳、最高峰の金ヶ岳を往復するコースを歩きました。
茅ヶ岳 登山
深田記念公園から茅ヶ岳を登る
日向山に登って以来の中央道スタートです。
GWを過ぎると明け方しか空気が澄んでいないため、遠くがぼやけて見えています。冬の晴れた日に山梨に入ると、富士山と南アルプスの景色が見れて気持ちいいんですけどね。
山梨県の韮崎ICを降りてから20分ほどで、深田記念公園の駐車場に停めました。公園の名前が付いてしまうほど、日本の登山界にそれだけ影響があったということです。
自分たちが駐車した途端に、車がどんどんやって来てほぼ満車状態。
ちなみに茅ヶ岳は日本百名山ではなく、日本二百名山に選定されています。二百名山に関しては、深田久弥は関わっていません。
みなさまおなじみの山と高原の地図には、三百名山まで記載されているので、つい名山指定されているものを登りたくなってしまうのは人情です。
百名山の完登を目指している人はたくさんいますが、中には三百名山を完登するツワモノもいます。
全国に何人くらいるのでしょう。三百名山完登する人なんて、100人いるかいないかなのではないでしょうか…。
茅ヶ岳の登山を開始します。
意識的には登っている百名山ですが、本州から離れた場所がネックです。北海道は9つ百名山があります。九州や四国にもあって、全部巡ろうと思うとなると一体いくら掛かることやら…。
序盤は緩やかな傾斜の林道を歩きます。太陽の光を遮っている葉の緑がとても鮮やかです。
お金と時間があれば地方の山をどんどん登りたいのですが、到底難しい現状。年に何回も北海道やら九州やら行ってる中高年の登山ブログを見ていると非常に妬ましい…。
花の写真を最近撮るようにしてますが、花の名前を知った風に紹介して、間違っていると恥ずかしいのでやめておくことにします。
着ているものやザックなんて昔から使ってる古いやつなのに、ちゃっかり登山後は温泉旅館に泊まって、美味しい料理に舌鼓をうったりして…。お金を持っている中高年が羨ましい。
さっきから写真の爽やかさとは間逆のネチネチとしたことを書いてるな…。
進んでいくと巨大な岩が散乱している場所にでます。つい先日、奥多摩にロッククライミングをしに行った上様は、大きな岩をみかけるとアプローチを掛け出します。
平坦な道をまっすぐ進んでいくと女岩の分岐に差し掛かります。
肝心の女岩は、崩落があり先に進めないため見れず。
女岩の分岐点からは、急な登り坂に変わります。
後続もどんどん登ってきます。
序盤の平坦の道から一気にこの辛い登り坂は応えます。
登るにつれて赤いつつじの花が咲いています。
新緑の緑に赤は、非常に映えます。
深田久弥の終焉の地
茅ヶ岳方面へ足を進めると、「深田久弥先生終焉の地」の石碑がありました。
高さ40センチくらいの小さな石碑です。うっかり見逃してしまうかもしれません。
1971年3月21日、この場所で脳卒中で亡くなったそうです。
3月下旬は緑もつつじの花も咲いていない冬の気配が残る山の中。脆弱の中で、静かに亡くなったのでしょうか。
交通網が今より全然進んでいない昭和初期に、全国各地の山を回ったというのが全く想像がつかないです。
それこそ、バスや電車の便がほとんどなかった時代にどうやって北海道や九州の山を登ったんでしょう…。
小説家ということで取材費が出てたのですかね…。
自分も取材費が欲しい…。(なんの?)
山頂に近づくにつれ、ツツジが咲き乱れていきます。
石碑から20分くらいの登りですが、これまたきついです。
背丈以上の樹木がなくなってくると山頂間際。
ツツジが咲く茅ヶ岳の山頂
茅ヶ岳山頂に到着しました。
山頂は広くツツジの木に囲まれており、展望が開けていました。この日は空気が霞んでいるため、遠くの景色は見渡せません。
周辺の南アルプスや八ヶ岳をはじめ、富士山や北アルプスを展望できるようです。
山頂がツツジで満開になる、この時期(5月下旬~6月上旬)がベストシーズンなのではないでしょうか。
ちなみにツツジを漢字で書けますか?
「躑躅」
画数多すぎて全く覚えれる気がしないです。薔薇より難しい…。
ツツジは庭先や街角で咲いていて非常に身近な花ですが、山の上に咲いているのを見るとまた違った印象です。
山頂は家族連れから、若者のパーティー、じじばばパーティを含め、多くの人が昼食をとって賑わっていました。
背景の空の青さに際立って、南国に咲くハイビスカスに見えてきます。
茅ヶ岳はお隣の金ヶ岳とセットなんですよ。
この茅ヶ岳で昼食をとり下山すれば、絶対幸せに今日一日の登山を終えることができます。
行かないで後悔するなら、行って後悔するべきだ。
既にクライマックスは終わっているのに、足が向いてしまうのは意地なのかそれともただの馬鹿か。
茅ヶ岳と金ヶ岳の間に自然にできた石門がありました。
穴の高さは2m~3mの間くらいで、大人一人頭をかがめないでも歩くことができます。
お花。
画像解析で花の名前がわかるサービスとかできませんかね。
こういう岩は、足に体重を乗せてだね…。
びたーんッ!!!!
「いてぇえええええええッ!!!」
徐々に雲が沸いてきたので、クライミングごっこはそこそこに先を急ぎます。
岩場が続く尾根道は狭く登りにくいです。前日に雨が降った場合は滑りそうです。
広い場所に出ました。三角点もあります。看板は擦れていて読めません。
「ここが金ヶ岳?」
と、一息ついていました。
そしたら、奥から歩いてくる人に「ここは金ヶ岳と違うよ」と言われました。
「茅ヶ岳でやめておけばよかった…」
そんな事とてもじゃないけどみんなの士気が下がるので言葉にできませんよね。ずっと、愚痴ってましたけど。
金ヶ岳の山頂
というわけで、金ヶ岳に到着です!
茅ヶ岳と比べると簡素な山頂をしていました。
変わらずの霞っぷりなので、遠くの展望は効きません。山梨の市街地が見える程度です。
と言うわけで山頂といえば、イタリアンでございます。
まずはアップルサイダーで乾杯。
朝家を出るときにKlean Kanteenにロックアイスを入れていますが、ほぼ溶けていません。暑い日の登山には、氷入りのジュースを飲まねばやっとられやせん。
ただいま、調理中。
金ヶ岳は、縦走路になっているので結構人が通ります。車で来ると今まで歩いた道を戻らないといけませんが、電車で来ると縦走ができます。
ちょっともったいない感じがします。
というわけで、料理が完成しました。
ピッツァマルゲリータです。
作り方は簡単。
具を乗っけてアルミホイルで蓋をして、中火くらいで焼けば完成です。
前日の21時に思いついた割には上出来でした。
山頂でピザを焼く人は珍しいのか、通り過ぎる人にじろじろ見られたり、何作ってんだい?と声をかけられました。
縦走でそのまま金ヶ岳から下山したいところですが、来た道を引き返します。
途中で見つけた花。
さっぱりわからないぜー!!
紫色の花は、ねずみシリーズの絵本で見たことあるな。
クローバーみたいな葉をしています。
樹木を下からのぞくと幾何学模様のように見えることがあるので、登山中よく覗きこんでいます。
「珍しい鳥でもいるの?」
「いや、葉っぱがさ」
「あっ、そう」
「…。」
茅ヶ岳まで舞い戻ります。
すっごく無駄な感じがしてならないけど、それは「しっー!」。
再び茅ヶ岳に戻ってきたときには、空の雲は厚くなり灰色に変わっていました。
先ほどまで子供がはしゃいでいた山頂は、老夫婦パーティー1組と単独のおじさん一人と静かでした。
日中の霞が少し取れていたので、奥秩父の主脈である金峰山の展望がありました。お隣には瑞牆山の岩々しい山塊が見えました。
下山は尾根道経由で帰り、ちょっとした縦走気分です。
千本桜と標識にあったので気になります。登山道に沿って綺麗に桜が咲くようですね。当然、今の季節は咲いてないので行きませんでした。
緩やかな尾根道。
下山完了。
なぜか駐車場にはえている松の木しか写真を撮っていませんでした。不覚。
茅ヶ岳の下山後、温泉へ向け移動します。
金ヶ岳の銃走路からも来ることが出来ます。
ここにきて今まで幻の存在だった、南アルプスの山並みが見えました。
露天風呂は夏季にならないと開放されないのですが、内風呂からは南アルプスの絶景を眺めることができます。
食事をどこかで取ろうと思いましたが、登山後の疲れた体で山梨の町をうろうろしてもしょうがないので、温泉に併設している食堂で食べました。
普通に美味しかったです。
夕陽が南アルプスの北端に沈んでいくのを眺めながら、東京へと帰りました。
茅ヶ岳登山を終えて
日本百名山。
アルプスのような雄大な展望を持つ山、古くから信仰が続く山、その土地を象徴するような山、本当に日本百名山は良い山がそろっています。自分は40ほど登っていますが、本当に良い山が多いです。
64年に小説が出版され半世紀が経とうとした今でも、登山者の憧れの山として登り続かれているのは凄いことです。山の魅力は季節や天気も左右する中で、100の山を選ぶことができたのは偉業と言っても過言ではないのではないでしょうか。
自分が死んだ先の未来でもこの百名山は登られていくと思います。
茅ヶ岳は、日本百名山ほどの一級品の山ではありませんが、高山の顔と素朴な里山の雰囲気を併せ持つ山でした。
冬の展望の優れた時期やツツジが花咲く5月下旬に訪れてみてはいかがでしょうか。
行くなら縦走できる電車の方がいいかも?
コメント
そろそろ本格的な夏山シーズンだと思いますが、その前の6月くらいは、アルプスや八ヶ岳ではなくてこうした少しマイナーな山も高山植物が豊富だったりして楽しいと思います。
私も6月末に谷川山系の平標山と仙ノ倉山に行ってきました(上記リンク)。花の名前はもっぱらGoogle先生にお聞きしています。
大きな違いは食事へのこだわりですね。いつも感心します。
登山初心者を抜け切らない身としては、この夏はアルプスか八ヶ岳の中から弱そうな奴を2つくらいやっつけて経験値を稼ぎたいと思っています。登山靴以外の装備も少しずつ購入中ですし。それでも鳳凰三山や赤岳に日帰りはしませんが。
>icyfireさん
コメントありがとうございます。
平標山~仙ノ倉山は、高山植物の宝庫で行ってみたい山の一つですね。
自分はというと、つい先日にお隣の苗場山に行ってきました。
平標山~仙ノ倉山は来年行こうと思っています。その時は是非参考にさせて頂きます。
このあたりの山は虫が本当に多くて困ります…。
夏山シーズンですね!
南アルプスは近いですけどとっつきにくい面がありますので、八ヶ岳や北アルプスなどが良さそうですね。
お互い暑さにやられないように気をつけて登りましょう!
今週天候が許せば、先生のお墓参りに行って来たいと思います。
>*SNOW*さん
お彼岸に行くのもありかと。
紅葉も何気に良いらしいですよ!