2014年3月2日
山形県と福島県の県境に位置する西吾妻山に行ってきました。 標高は2035mです。
標高1800m以上付近で、1月上旬から3月中旬にかけて、樹氷が出現します。山形県、福島県にそれぞれ登山口があり、ゲレンデトップから登ることが出来ます。今回は、山形県の天元台高原から登りました。
樹氷はいつか見たいと思っていた冬の風物詩の一つ。
しかし、天候運に恵まれなければ、その光景の魅力は全く伝わらず、更に遭難のリスクを背負うことになります。
樹氷は恵まれたけど、ガスに飲まれて、遭難一歩手前、そんな旅になりました。
西吾妻山について
地図
山形県の天元台高原スキー場から山頂を往復しました。下りはリフトが使えないので、ゲレンデ内を通行しています。
冬の西吾妻山 登山
深夜の東北道を走り、山形県の天元台高原スキー場を目指す
今年の夏から頻繁にご一緒しているSaku兄と、女性2人の登山仲間で1泊2日の旅に出かけました。1日目は西吾妻山の樹氷ハイク、2日目は裏磐梯のイエローフォールのスノーシュートレッキングです。
Saku兄の所有する17年もののヴィンテージなワゴンRにパンパンに荷物を詰め込みました。正直、このワゴンRで雪国に行くのは、いささか無謀かと検討されました。
しかし、大体は整備された国道とゲレンデの道のりなので、何とかなるだろうと決行されました。
福島飯坂ICを降り、セブンイレブンにて昼食の購入をします。
さすが東北、関東と比べると段違いに寒い。
凍結が心配されていた国道13号ですが、早朝にもかかわらず融雪してあり問題なくワゴンR走行できました。しかし、4人の乗車は空気の循環が追い付かず、内側のガラスが曇りっぱなしでした。
トンネルを抜けると山形県の米沢市です。一面の雪景色。
都内を出発して5時間弱、天元台高原ロープウェイ湯元駅に到着しました。
駐車場付近にゲレンデ施設がなく、ロープウェイに乗らないとゲレンデがありません。
静岡ナンバーのワゴンRも、こんな雪国に連れてこられるとは思わなかっただろうな…。
さて、目に見えて天気が悪いですが、予報では10時ごろから雲が取れるみたいな予報だったので、それを信じて準備します。
営業前のローカルスキー場は除雪車一台稼働していているだけで、閑閑としています。
ロープウェイが動き出すまでリフト売り場のストーブ前で待機します。
かなり、ローカルなスキー場です。スキーに来ている客層は、50代オーバーがほとんどで、「それ、転んだら雪が入り込まない?」、90年代まるだしのスキーウェアを着ています。
8時になり営業開始。ロープウェイに乗り込みます。
ロープウェイの垂れ下がる電線が無情にもガスの中に儚く消えています。本当に天候は大丈夫なのだろうか…。
天元台高原に到着。ゲレンデが全く見えません。
ロープウェイから乗り継ぐ、リフトを発見しました。発見って…。
リフトの最上部まで行くのにロープウェイ1回とリフト3本乗り継ぎます。
ロープウェイ往復1400円、リフト片道450円×3で、合計2750円なります。1回の日帰り登山の料金としては高額です。
リフトを乗り継ぎます。晴れてれば、雪景色の山形の街並みが見えるんだろうなぁ…。
そして、リフト分歩くことが決定しるのがすごいダルイ。所有している人は、スキー板を持ってきた方が良いですね。
「地獄♪地獄♪地獄だよ~♪」
陽気なメロディにのせて、シュールな歌詞の曲が流れています。リフトに乗っていた25分の間に2回流れました。やたら、キャッチャーでメンバ4人、この曲の洗脳を受けました。
後で調べたところ、「地獄の沙汰も君次第」と言う楽曲名で、「鬼灯の冷徹」というアニメのテーマ曲でした。ゲレンデ感ゼロの内容じゃないか…。
そして、ようやくリフト最上部に到着しました。
「もしかすると、リフトの上まで行けば晴れるんじゃ?」という希望は砕かれました。我々の待つ先は、やはり「地獄」なのだろうか。
目の前に登山口があるので、スノーシューを装着して、西吾妻山を目指します。
序盤の木はこのような感じなので、本当に樹氷なんてあるんだろうかと疑問の声も。3月上旬はまだ見頃が保たれていると思っていたのだけど…。
当然ながら積雪量が多い斜面であるため、スノーシューもしくはワカン、スキーが必要になります。
樹氷っぽい雰囲気が出てきました。
標高差は200m程度なので、登る時間は大したことなく30分程度です。
木にまとわりつく雪の量が少なく不安になる。
しかし、徐々に樹氷らしく変化しはじめました。
樹氷というのは日本海から吹く強い西風と積雪がもたらす自然の産物です。しかし、本日はその条件に適合しない無風状態です。
登ると視界が開け始めました。
写真がわかりにくいのですが、雲海となっています。ガスの空間は抜けたようですが、高曇りしているので、青空は出ていません…。
ほとんど山頂直下の稜線付近にて、樹氷が現れました。
そして、西吾妻山の稜線に到着です。
広大な樹氷原です。
八甲田、八幡平、森吉山、蔵王、そして西吾妻山と樹氷を見ることができますが、面積的には西吾妻山が一番だとか。
さて、初対面の樹氷。
どれもこれも同じ形がなく、見ていて飽きないという評価。もっと視界が開けてれば言うことはないんだけど。
木が連結してドーナッツ型に進化したものもあり非常に興味深い自然構造です。
ブログを一般公開している身として、モノクロの世界は単調な絵が続くので、放送事故になる。
ここは、人の動作を取り入れることによって写真に表情を与えなければいけません。
吾妻山の平坦な樹氷原に寝そべってみる。
女性陣にとりあえず樹氷原で舞い上がっているシーンをお願いする。
無理矢理な行進。
謎のポーズ。
急な斜面がないため、遊び放題です。
場をつなぐのも限界があると感じ始める。
標高2000mの東北の雪山で番組ディレクター思考を持ち出すのは、ちょっとおかしいんじゃ無いかと思いはじめる。
去年(2013年)の秋に旅した東吾妻山方面の一切経山(いっさいきょうさん)は、暴風に苛まれたものの良い山でした。
一切経山の記事:【東北】一切経山 日帰り登山 ~ 東北紅葉の旅1日目、暴風と共にスカイラインを駆け抜けた旅
とりあえず西吾妻山の山頂を目指します。
道はないに等しいので、基本的にはトレース頼り、そして先行者頼り。
スキーヤーの人達が滑っている後ろを歩いていたら、スキー跡が消えちゃうからと怒られる。
そんなルールあるのですかね。
モアイ像のように進化した樹氷。
序盤のガスっぷりで気落ち気味だった社畜ことSakuさんは初めてみる樹氷に満足そうである。
現場では気持ちが昂ぶりマシンガンのごとくシャッターを切っているのですが、見返すとどれもこれも同じように撮れているので使いどころに困るのは至極当然。
ただ、そんなことはお構いなしに貼り続けます。
無風っていうコンディションがとても良いです。
ただ、展望が晴れたりガスったりの繰り返しで不安な面も。視界5mも効かなくなると一気に遭難しかねません。
撃ちぬかれたようなハート形をした樹氷。
と、ここでメインイベント。
3月8日をもって誕生日を迎えたSakuさんへ「社畜魂Tシャツ」をプレゼント。ピンク地に大きく書かれた3文字が、純白の雪の世界に孤高の華を添えている。
先行していたお兄さんが「山頂はあそこ」という証言を元に山頂を目指します。
樹氷の根本に近づくと木と雪の間に出来た空間に穴が空き、頭まで埋まってしまいます。ザックとスノーシューを装備しての自力での脱出は困難を極めます。
これはかなり樹氷原を歩く上で非常に重要なことで、マミさんが実践していました。2回も。
西吾妻山の山頂付近は傾斜のキツイところがあり、歯のついていない安物のスノーシューでは登るのが困難だったりします。
パラパラと雪が舞い始めました。
ウェアについた雪は結晶の形をしています。
たぶんここが山頂のはず、西吾妻山の山頂に到着
スタートから2時間半を掛けて、西吾妻山に到着です。
山頂の標識は雪の下に埋もれてしまっているので、判断できるのはGPSしかありません。まぁ、GPSを確認したのと、登山者が大体ここで引き返していたので、ここが山頂だろうと…。
翌日が3月3日のためにひな祭りっぽく3色団子など持ち込んでみました。
コンビニで売られているものではなく、和菓子屋で買ったものだったのでそれぞれ味がちゃんと違っていた。
とりあえず山頂で走り回ったり、転げまわったり楽しむ。
樹氷の上に寝そべってみたら、纏わりついた雪が全部崩れ落ちて、心臓が止まるかと思うくらいに驚いた。
太陽のシルエットが見えているのが悔しいところで、西吾妻山の背がもう少し高かったら青空が見えていたのだろう。
青空懇願の儀。
叶わず。
同じような光景が続き、飽きられる前に下山します。
来た道を再び戻り、神社らしき場所でお昼ごはんにしました。
樹氷原を見ながら食べる温かいカップラーメンは至高。
しかし、Sakuさんはラーメンが生煮えだったらしく、誕生日早々の登山で悲惨な目に遭うことに。
昼食後にゲレンデを目指し、下山。
しかし、ここにきて5m先の視界が効かないほどの濃厚なガスに覆われる。
遭難が頭をよぎりつつも、トレースとテープを頼りに無事にゲレンデに戻ってこれました。
無風状態だったからトレースを頼りに帰ってこれましたが、風でトレースが飛ばされた場合は非常に怖い山です…。
下山の際にはリフトを利用できないため、ゲレンデを徒歩で降りる。登山者に対して厳しい環境である。
スキーで登る、もしくはスキーを登山口にデポしておくのが得策であることに間違いない。
帰りのロープウェイ待ちで食べた山形名物玉こんにゃくは染みました。
カラシをむせるギリギリまで添付するのが礼儀だと思っている。
白布温泉の東屋で雪見風呂、米沢市内で米沢牛を食べる
本日はロープウェイ乗り場から少し下ったところにある白布温泉です。
福島県の高湯温泉、山形県の蔵王温泉と合わせて奥州三高湯に数えられ、鎌倉時代より続く由緒あるある温泉です。
日帰り温泉も兼ねている東屋旅館に行きました。
旅館の日帰り温泉の値段は割高というのが一般認識でしたが、500円~600円ほどの設定でした。山形県の温泉料金は安いです。
凍結防止のためエントランスの坂道に温泉が流れており、温泉気分を俄然盛り上げてくれます。
内風呂は熱々で滝湯付き、露天風呂は豪雪地帯らしい雪見風呂と風情も泉質も100点満点。
過酷な環境の中で入る温泉は良い。
温泉後は山形名産のラ・フランス100%ジュースで喉を潤す。
温泉を後にして、米沢市内へ。
観光要素を取り入れるために上杉神社を参拝しました。
すっかり薄暗くなってしまいましたが、雪国らしい情緒のある神社でした。歴史に詳しくないので上杉謙信に縁があるというだけがわかり、解説が付けられないのが悔しいところです。2月の週末には雪の灯籠祭が開催されていたようで、その残骸がありました。
本日の夕ごはんは上杉神社から道路を挟んで発見した店。
「白い牛たんという定食」というキーワードに惹かれた。
Sakuさんが食べていた米沢牛ステーキ。価格帯も1000円~2000円と現地で食べても高い米沢牛のわりに値段設定は安めでした。
こちらが白い牛たん定食。何故、白いのかは聞くのを忘れましたが、厚切りで食べごたえあり、今まで食べた中で一番美味しい牛たんです。
やはり、登山後は肉に限りますね。
夕食後は米沢から福島県の喜多方市へ移動。
素泊まり一泊2500円という激安な民宿。
フロントらしいものが見当たらず、電話をかけると10分後軽トラに乗った農作業風のおっちゃんが現れるという斬新なお出迎え。
タバコを吸いながら鍵を開けてもらい、室内の説明をしてくれました。
「風呂の温度熱いから気をつけてな」
となぜか3度くらい強調されましたが、温泉には入ってきたので利用することはなく、悪いことをした気も。
民宿というより大学の下宿みたいな部屋です。
寝室2つとこたつのある居間と広々利用でき、旅の疲れからかなんだか非常に愉快な気持ちで夜を迎えました。
2日目は舞台が福島県に移り、裏磐梯をスノーシュートレッキングしてきました。
西吾妻山の登山を終えて
雪山の風物詩はいくつかあります。
山間部にある湖の全面凍結、渓谷で見られる氷瀑、洞窟に作られる氷筍など。雪楽しむプランをいくつか楽しむ予定でしたが、残念ながら大雪によって潰されてしましました。そんなわけで満を持しての東北樹氷の旅は晴天に恵まれませんでしたが、全体的に上出来なものになりました。
晴天じゃないからこそ樹氷は形成されるわけですから、晴天と週末が合致する日はなかなか稀有です。
西吾妻山の山頂は広大で、見事な樹氷を楽しむことができました。
ただ、ガスと強風によって遭難リスクは何倍にも上がるので、事前の予報は確実に抑えておきましょう。福島県側のグランデコスノーリゾートからも登ることはできますが、旅情感は圧倒的に山形県の天元台でしょう。その選択はドライバによるところが大きいですけど。
樹氷は毎年見に行きたいくらいです。
蔵王が比較的に行きやすく、ライトアップもされるみたいなので行ってみたいです。白布温泉のような雪見風呂も動機の一つです。
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