2014年4月13日
新潟県の守門岳に行ってきました。標高は大岳の1432mです。
新潟県、日本屈指の豪雪地帯にあり、山頂に形成される雪庇が有名です。真偽は不明ですが「東洋一の大雪庇」と呼ばれています。
アプローチが長い最高峰の青雲岳は登らず、雪庇が形成される大岳を目指しました。
登山における冬の風物詩として、東北の八甲田山、蔵王山にできる樹氷、雲竜渓谷の氷瀑などがあり、その一つである守門岳の大雪庇は冬に見たいものの一つでした。
関東では春が訪れる4月、まだまだ冬の名残がある新潟の山を旅してきました。
守門岳について
地図
豪雪地帯であるため、残雪期は「二口」の駐車場までしか除雪されていません。
最高峰は袴岳ですが、コースタイムが長く、下山も時間が掛かるため、残雪期の登頂は大岳になります。バックカントリーで一瞬で下山できるなら行くこともできますが、登山者だと厳しいかも知れません。
守門岳 保久礼コース
夜通し移動して、新潟県へ
米どころ新潟の春は遅く、4月中旬の水田は凍り付き、雪が残っています。
久しぶりに地元栃木の友人である「たち君」の協力を得て、深夜の宇都宮を出発し、新潟に到着したのは星空が輝く27時頃でした。
関越道の小出ICを降りたところにある道の駅にて仮眠をし、朝を迎えました。未明の新潟は寒く、寝袋を持ってきた自分は寒さに震えずに済みました。外に出ると肥やしの臭いがたまらない。
夜明に守門岳へ向け出発。只見線に沿った国道252号から国道290号に進みます。
関東民からすれば4月にこれほど雪景色が残っているのが非日常です。
前日の宇都宮駅前は花が満開だったというのに。
守門岳登山口~豪雪地帯をスノーハイキング
登山口までの道が不安でしたが、しっかり看板があったので迷うことはありませんでした。
守門岳の登山口が近くなると2メートルの積雪があります。
おいおい、これが4月の里の風景なのか。
道が途切れている場所が、残雪期における守門岳登山口の駐車場となります。
ここが登山口になります。
除雪された最深部といった方が正しい。
6時15分登山開始。
自分はスノーシュー、2人はチェーンスパイクをそれぞれ装着。しっかり踏み跡があるため、ズボッと踏み抜くことはありません。
日が当たり始める。
橋の下は雪解け水が轟々と流れています。
スキー跡を辿って樹林帯を進んでいきます。極端に急な登りが2,3箇所ありますが短いので問題なしです。
明け方の雪は少し硬いためアイゼンが良く刺さります。
それにしても白一面の殺風景なシーンばかりで申し訳ありません。
そういえば今シーズン、ゲレンデへは一回しか行きませんでした。3回ほど滑ると飽きてしまうんですよね。特にスピードも技も極めるつもりはないので。
「草津のドルフィン」という異名を持っていますが(身内で)、未だにレンタルでボードを借りています。
展望の良い場所に出ました。
守門岳の山頂がしっかり見えます。山頂部は真っ白に雪で覆われています。
振り返ると越後駒ヶ岳や八海山などを代表とする白銀の越後山脈。
この鋭角さは越後駒ヶ岳だと思われる山。
片道4時間以上歩くけれど、尾根道をずっと歩くのは爽快だった思い出。
残雪期にも登れるようですね。
そして、ここからが踏ん張りどころであろう守門岳を目の前にして昼寝。
緩やかな稜線が続きます。
スキーですいすい滑っていく、スキーヤーがうらやましいと思ったり。急斜面ではこちらのほうが早く動けるので、抜きつ抜かれつ。
写真じゃわかりにくいですが、日本海が見えていました。
山から海が見えるのは、やはり特別な景色と思える。
7時46分保久礼小屋(ほきゅうれいこや)。
登山を開始して1時間30分で保久礼小屋に到着しました。夏場はここまで車で来られるというのに…。
保久礼小屋を過ぎると傾斜が一気にきつくなります。
登るにつれてどんどん展望が良くなってきます。
8時25分キビタキ避難小屋。
すっかり埋もれてる避難小屋。冬期は利用できないのでしょうか。
森林限界より春でもまだ白い上越国境
そして、避難小屋からは樹林がなくなり遠くまで展望が開けます。
風は少しあるものの春の陽気なので、半袖じゃないと蒸れて汗ばみます。ザックに桜をつけている必要はありません。
妙に捻れた木は過酷な新潟の天候の表れなのか。
山頂までの一本道。
真っ白すぎて距離感が全くつかめず、登っても登っても距離が縮まらない錯覚に陥る。
遮るものが何もない素晴らしい稜線。
この写真を撮っていたら、ポケットのスマホがこぼれ落ちて滑走していきました。焦って追いかけて、ダイビングキャッチで確保したのは良い思い出。
白く雪をまとった里山が凸凹と続き、海まで続いています。
冬のアルプスから眺める白い山々とは違う魅力があります。
人工のゲレンデでは味わえない、絶景を眺めながら滑り降りるのはさぞかし気持ちいいのだろう。自分も車とお金に余裕があれば、バックカントリースキーをやってみたいところです。
しかし、このおじさんヘルメットをしているのに麦わら帽も持ってきている。新潟スタイルか
守門岳山頂~東洋一の大雪庇の壮大な世界
そして、斜面左側にお目当てである「大雪庇」が見えてきました。
崖のある場所に雪が飛び出しているのがわかります。
GIFでやれ。
9時50分大岳。
登り初めて3時間35分で守門岳の大岳に到着です。
山頂を記すポイントは当然ながら雪の下なので、飛び出ていたアーチを山頂と決定しました。
鐘を取り付けるものでしょうか。
隣の山脈は粟ヶ岳(あわがたけ)。
奥にぼんやりと飯豊連峰が見えていました。
こちらは守門岳の最高峰がある青雲岳です。
青雲岳にも行きたいところですが、コースタイムが3時間以上増えることになるので、残雪期は大岳までが普通らしいです。
個人的にジャッキーチェン映画ブームが到来していたので、カンフーを取り入れようとするものの、写真では全く伝わらないことに気づく。
一体何がしたいのか。
ポリスストーリーは何回みたことか。
山頂に誰かが掘った穴が二つあったので利用させてもらいます。
積雪何メートルあるのやら想像も付かない。これでも例年と比べると雪の量は少ないらしい。
山スキーの人達は雪庇の近くまで降りてました。
まるで極地のような風景です。
山頂部には亀裂が入っている場所があり、ここをのぞく勇気もロープもない。
山頂はひたすら広くて、走り回れる。
4月は空気が霞んでいるので、よりよい眺めを期待するなら3月中旬が良いらしい。
4月にこれほど雪を残し、7月には全部溶けきるなんて、日本の四季の移り変わりの素晴らしさよ。
守門岳という全く知識にない山に連れてこられ、大雪庇なにそれという感じのたち君もご満悦の様子。
山頂からヒップソリでバックカントリー
山頂を遊び倒し、下山を開始します。
ヒップソリでな!
助走をつけて滑走開始。
「・・・。」
山スキーで登ってくる人達を横目にヒップソリで華麗に滑り降ります。
「楽しそうですね」とすれ違いざまに笑っていたが、嘲笑なのではないだろうか…。
二人は徒歩。
と思っていたら、レジャーシートをソリ代わりに滑っていました。
樹林帯でもやっていたら、ツリーホールに見事にホールイン・ワンしていました。新しい冬季五輪の種目としてどうだろうか。
目分量ですが、山スキー70%、登山者25%、ボーダー残り(2人)といった割合。麓の方は平坦なので、スキーの方がやっぱり滑りやすいでしょうね。
山スキーの人達が登り始めるのは、雪がグズグズになってくる8時手前頃でしょうか。
直前まで天気が不安でしたが、見事晴れてくれて良かった。
下山時は気温も上がり、汗だくに。
12時55分下山。
駐車している車のほとんどは、地元長岡ナンバーで他県ナンバーは数台でした。
守門温泉青雲館で入浴、そして名物の栃尾の油揚げ
守門岳下山後の温泉は「守門温泉青雲館」です。
2015年に【閉館】しています。
スキーブームの頃に立てられたんだろうな的なちょっと寂れた旅館で、温泉設備も最低限ですが、一番近いので便利です。
SLランドとして紹介されていた旅館でしたが、正面に展示されているブルートレインは廃墟そのもの。
老朽化しているので、遊ぶのは不可能なようです。
温泉を終えて、そのまま帰ってもよいのですが、寄っておきたい場所がありました。
290号を更に進みます。
やってきたのは道の駅「とちお」。
駐車場から妙に白い守門岳。
栃尾は油揚げが名産です。厚揚げに見えますが、油揚げです。
道の駅とちおには、油揚げを屋外で出店しています。列が絶えないほどの人気店。
栃尾の油揚げは豆腐をそのまま揚げたかのような分厚さが特徴です。お値段は300円ほど。
こちらはネギとかつお節がのった「ネギ付きあぶらあげ」
こちらはキムチダレがかかった「キムチ油揚げ」。
登山後には肉類が食べたくなりますが、このボリュームさは肉に匹敵するインパクトでした。何より安いし。
都内の居酒屋やスーパーでも見かけるので、油揚げブランドとして成功しているようです。
栃尾のゆるキャラである「とち丸君」が妙に可愛かった。
栃尾の油揚げはファーストフードとして成り立っているので、表参道で売りに出せば若者に大ヒットするのではないでしょうか。しないか。
油揚げを食べ終え栃木へと帰ります。
小出ICに差し掛かる手前で見た、越後駒ヶ岳と八海山が並ぶ姿は感嘆の景色です。
紅葉の八海山の記事も併せてご覧ください。
栃木まで移動して、佐野ラーメン「森田屋」で打ち上げ
さて、旅の締めとして向かったのは佐野。
そう佐野ラーメンです。
佐野ラーメンを代表とする森田屋総本店に立ち寄りました。
閉店時間は19時となかなか難易度が高いのですが、15分前に駆け込み成功。
ラーメンの種類は4種類。無論、大盛りチャーシュー麺を注文。
「ああ、これでいいんだ」というシンプルなスタイルのラーメンが提供されます。
チャーシュー麺は自分を最後に売り切れになってしまったようで、最後の最後に勝ってしまった。
そんなこんなで、JR小山駅にてたちと別れ、東京へと帰りました。
守門岳の登山を終えて
冬は立ち入れない山も、春になれば安全に登れる山はたくさんあります。
今回は残雪期にしか登れない山を楽しむことが出来ました。
冬の寒さが和らいだ頃、新潟まで守門岳の大雪庇をご覧になってはいかがでしょうか。
春の陽気に圧倒的な白い世界が待っています。
コメント
こんばんは♪クリスマスデートでお忙しいなか、記事を更新されたのですね。
白い写真ばかりで食傷気味(すいません(>_<))のころに表れた冬季五輪の新種目、大笑いしました。
ところで、ここだけの話なのですが、栃尾って何県なんですか?すみません、栃尾の皆さん。
>やま子さん
こんばんは。
クリスマスはお仕事と仲良くデートで忙しかったです・x・
雪山は登っている本人は思い出があるのでよいですが、他の人がみたらあまり面白くありませんよね。。。
なるべく変化球を使うようにします。
栃尾は同じく新潟県です!
栃尾は新潟県! 勉強になりました。
たくさん楽しませていただきました。また来年もよろしく。良いお年をお迎えください。
>やま子さん
もしかすると栃尾の油揚げは身近に売っているかもしれません。
来年もまたよろしくお願いします。良いお栃尾。あ、お年を。
はじめまして。
金沢在住なので、以前白山の記事を読んで「おおっ!」と一人喜んでました。
そして栃尾に帰省したタイミングでこの記事を発見。またもや「おおっ!」と驚き(笑)
昨日栃尾に到着してまずカメラで撮影したのが守門岳だったのもあって、タイムリーな出合に妙に感動しています。
残念ながら私は登山に興味はないのですが、こちらの記事に掲載されている写真には興味津々。いつも面白い写真がアップされるので密かに楽しみにしてます。
>anniさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
栃尾が地元なのですね。
日曜日は日本海側でも珍しく晴れ?だったようで、白い守門岳を映せたのではないでしょうか。
珍しい偶然を生んだようで幸いです。
登山に興味を持たない方に見て頂けてたいへん嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
あけおめです。
9か月遅れの記事なのに、違和感がないのは雪のおかげですね笑
今年もよろしくです。
>冬眠中のだのんさん
あけおめです。
むしろ、リアルタイムに役立てるのではと専らの噂です。この山は夏に行っても楽しそうなのでよろしくお願いします。
お初です。
最近山登りを始めて、登山ブログを探してたらここにたどり着きました。
ところで栃尾のゆるキャラの名前は、あぶらげんしん君です!有名な油揚げと栃尾で幼少期を過ごした越後の龍、上杉謙信の名前を良いとこどりした、ナイスガイです。
地元のゆるキャラだけに気になってしまい…
ちなみに我が家では、ほぼ三食油揚げ料理が出ます。
>tacoさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
あ、この記事の1年後今年2015年にも再び訪れて栃尾の油揚げを食べましたよ!
相変わらず美味しいです。
上杉謙信は各地に歴史を刻んでいますね。栃尾以外にも山形の米沢で上杉神社を参拝しました。
油揚げは意外と汎用性ある食材ですね!
この前は栃尾のイタリアンレストランで油揚げピザなど食べました。