登山北アルプス

【北アルプス】雪の大谷・残雪の雄山 〜 春の風物詩、立山黒部アルペンルート開通の旅

立山 雪の大谷

2022年4月17日

北アルプスの立山・雪の大谷また雄山おやまに行ってきました。標高は3003mです。

雪の大谷は、富山県の立山黒部アルペンルートの「春の風物詩」です。巨大な雪の回廊を目当てに、日本のみならず世界中から観光客が訪れます。雪の壁の高さは、年によって異なりますが、最大20mにも及びます。

4月の立山登山

世間が「世界の大谷」で盛り上がっている渦中ですが、4月上旬からゴールデンウィークにかけて、登山界では北アルプス「富山の大谷」が盛り上がりを見せます。

立山エリアは何度も訪れていますが、やはり一度は「雪の大谷」を見てみたい。というこで、雄山の残雪登山をプラスして、富山県へ過酷な日帰り旅してきました。

雄山について

地図

雄山の地図

室堂と雄山の往復コースです。

今回、みくりが池温泉は立ち寄っていません。

コースタイム

  • 8:52
    室堂
  • 10:02
    一ノ越
  • 11:13〜12:00
    雄山
  • 13:14
    室堂

行動時間は4時間22分でした。

雪の大谷・残雪の雄山

立山駅で当日券を求めて行列に並ぶ

有磯海SA

遠い、遠い、遠い‼︎

関東から日本海側の富山は遠すぎます。

今回はいつもの登山仲間「さく兄」、「なべ氏」の3人で運転交代しながら移動しました。日曜日の日帰りを軽く後悔しながら、富山県の有磯海SAで2時間ほど仮眠をとりました。

有磯海でゲソ丼

冷えた体に目覚めさせるため、ゲソ天丼を食べました。いやー、富山の海産物はSAにおいても美味い。

おちんちんかかまれ

眠い目をこすりながら売店を覗いていると「おちんちんかかれま(富山の方言)」のグッツを見つけて、少し元気になりました。この方言は「正座しなさい」のことだが、おばあちゃんに「正座しなさい」って言われる状況は怖い。

立山混雑

立山黒部アルペンルートの当日券販売窓口開く前から大行列が出来ていました。

まぁ、雪の大谷の時期は、Webきっぷを買っておくのが良いでしょう。天気を見て動くのであれば、販売1時間以上前から並びましょう…。

先頭集団はたぶん4~5時から並んでいるのではないだろうか…。

立山黒部アルペンルートきっぷ往復

始発から2個後の7:30発きっぷをゲットできました。

これ、2023年以降は海外観光客も増加するし、ますます混雑しそう。そして、往復6320円は、前回来た時より値上げしてるなぁ…。

早朝便は観光客は少な目で、登山者の方が多いです。

ケーブルカー

7時17分に立山駅からケーブルカーに乗車します。個人的に3回目なので、乗り物の新鮮さは正直もうない。

バス乗り換え

7時32分に美女平びじょだいらに到着し、立山高原バスに乗り換えます。

立山有料道路(立山町)桂台―美女平間で、落石が原因とみられる土砂が道路をふさいでいるのが見つかった

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/37763?display=1

この後、GW中に土砂崩れがあり、道路が封鎖されるニュースが報道されてました。現在では復旧しているようですが、3時間以上待ってもチケットが買えない地獄となったようです。

現在の室堂のモニタ

美女平の待合所にある室堂ライブカメラによると、晴天で、マイナス2.1度と絶好の登山コンディションです。

車窓から見える称名滝

立山高原バスに乗り込み出発します。

ここで特に重要なのが、進行方向「左側の座席」に座ることです。

何故なら、日本一の落差がある滝「称名滝しょうみょうだき」が見やすいからです。

車窓から見える称名滝

杉の木と木の隙間からチラッとしか見えないけど…。

杉の木なら伐採して、見通し良くしても誰も怒らなくない?

称名滝

ちなみに、麓のから見る称名滝はこのような感じです。

称名滝の遊歩道は5月下旬開通なので、雪の大谷の時期とはズレてしまいますけど。

剱岳が見える

標高が上がるにつれて、徐々に雪景色へと変わり、剱岳つるぎだけが見えてきました。

剱岳が見えるのも左側の座席からです。室堂からは見えないので、ここでしっかりと見ておきましょう。

雪の大谷

そして、いよいよ春の立山の風物詩「雪の大谷」へとバスが入っていきます。

雪の大谷の落書き

バスの中がざわめきだし、一斉にカメラの撮影タイムが始まります。

除雪車

除雪車と大き過ぎるので壁の高さがよくわかりませんが、奥にあるハイエースと比べると、雪の壁の高さがわかるかと思います。

まぁ、これでも最大の場所より全然低いですが。

室堂駅に到着

麓の立山駅から1時間15分、8時30分に室堂むろどうに到着しました。下手すると、地方都市のターミナル駅よりも立派だったりします。

立山駅→室堂の動画

立山駅→室堂の動画です。

雄大な立山連峰を見ながら、雄山の登山開始

室堂から見える立山連峰

バスターミナルから外に出ると、雄大な立山連峰が風景が広がります。

麓では桜が散りきって、緑が茂る季節ですが、標高2450mの室堂は冬の景色が広がっています。

立山玉殿の湧水

立山駅の周辺にはこのよう湧水の石碑が立っていたりするんですが、どうやら雪の下に埋もれているようです。

カメラマン

この広大な大雪原の上、雄山の山頂に向かって歩く登山者の群れは、まるで落としたアイスクリームに群がる蟻のようです。目視で50人以上は登ってるようでした。

室堂から立山へ

雄山までのコースは至ってシンプルで、真っすぐ進んで左に曲がるだけ。

  1. コースタイムは2時間弱
  2. 標高差は580m程です
  3. 分岐1回

室堂から雄山山頂まで、数字を見れば、軽登山って感じではありますが、そこは残雪期の標高3000mの世界。気を引き締めて出発です。

雄山を目指す登山者たち

まずは、中継地点とな「一ノ越いちのこし」を目指します。

雪が沈み込むような感じはなかったので、ノーアイゼン、ノーワカンでスタートしました。

4月の室堂

振り返ると室堂一帯のダイナミックな景色。

太陽の光がギラギラ反射するので、マイナス気温ですが、歩き始めると暑くて汗をかく。

4月の立山

室堂~一ノ越のコース上じゃない場所から登って来る登山者もいました。

雷鳥沢キャンプ場が見える

窪地のあたりには、カラフルなテント村が見えてきます。雷鳥沢キャンプ場です。

超有名なテント場ですが、宿泊経験がまだ無かったり。いつか泊まってみたい。

登っているのは登山者だけではなく、バックカントリーの人もいれば、動画クリエイターと実に多様です。

一ノ越への登り

一ノ越の手前は、そこそこの急斜面で息が上がりました。

一ノ越からアイゼンを装着するも雪無しの岩場

雄山の登り

室堂を出発して1時間10分、危なげなく「」に到着しました。

一ノ越山荘
浄土山

雄山方面以外にも、五色ヶ原~薬師岳、浄土山の分岐となっています。

一ノ越の斜面を滑ってる人がいましたが、どこまで降ていくんだろうか…。

雄山の登り

ここからはアイゼンとピッケルを装備しましたが、登り始めて3分、雪がナッシング!!!

雪の大谷が例年より積雪があると言っていたのだが、稜線とは比例しないようだ…。

室堂全景

岩肌が大露出の状態だとアイゼンは役立たず、だけど、全くないわけじゃない。

「絶対アイゼンを脱いだ方が楽だけど、凍ってるところもあるし…」

初代ウルトラマンに登場する水爆を飲み込んだ怪獣レッドキングくらいの厄介さです。(結局、宇宙に運ばれて爆発させた)

雄山に登る岩場がしんどい

雄山山頂にある神社が小さく見えてきました。

しかし、山の距離感は街のそれとは違うので、歩けども近づいてる気がしないというのは、「山あるある」な話です。

さくにいと雄山

腹の燃費がアメリカ車くらい悪いさく兄の申し出で、途中でエイドタイム。それにしても、今日の見晴らしは抜群です。

遠くには槍ヶ岳

南の方角に北アルプスのシンボル、槍ヶ岳やりがたけが見えました。

この日は北ア南部より先は曇りの天気。よりクリアな天気だと、遥か彼方に富士山が見えたりします。手間は深い谷で、秘境の雲ノ平から黒部ダムへと繋がっています。

雄山神社が近づいてきた

標高は2900m付近には広場のような空間がありました。

やはり、3000m近いので、空気が薄くて息切れがします。体が全く3000mに慣れてない…。

アイゼンで登る岩場が怖い

さらに先に進むと、すれ違いが困難な場面があります。

それにしても、足に伝わるアイゼンが岩を削る不快な感触が精神的にキツイ。

雄山山頂までもうちょっと

徐々に、冷たい風が強くなり、停止しするとものの10秒で体が冷えます。下界は春でも、標高3000mの山は、まだ真冬であることを実感。

飛行機が見える

遠近法がバグり、なかなか近づいているように感じなかった雄山神社ですが、ようやく目の前に近づいてきました。

飛行機が見える

上空には小型セスナが優雅に旋回してます。報道カメラを載せて、アルペンルート開通の映像を撮影しているのでしょうか。

「いえーい、富山のみんな見てるー⁇」

神社は雪の下、標高3003mの雄山山頂

雄山山頂

11時13分、雄山山頂に到着しました。

室堂を出発して2時間40分ほど掛かりました。神社は7割ほど雪の下に埋まっていました。まずは、風を避けるために、神社の影に移動しました。

富山ブラック

山頂に登る前にとりあえず食事です。

気が向いたら、山の上でご当地カップラーメンを食べるプロジェクトをしています。富山と言えば、富山ブラックです。

富山ブラック

ちんちんかきながら(富山弁)、3分待って出来上がり。

お湯は熱々だけど、外気に出たら急冷するので、生煮えの仕上がり。ただでさえ、好き嫌い(嫌いに傾いてる気がする)が分かれる富山ブラックですが、美味しくいただけませんでした。

雄山山頂への階段

食事を終えて、雄山の山頂へ。

神社の敷地内になるので、最後の最後は石段です。アイゼンを履いた状態で、バランスを崩さないように慎重に登ります。

雄山山頂

雄山頂上に到着です。

開山中はここで神事に参加できますが、冬は当然やっていません。3畳ほどの狭小スペースなので、7~8人でいっぱいになります。

雄山山頂の看板

頂上を示す石碑には雪がなく、剥き出しでした。

個人的には2014年9月の立山縦走2015年11月の新雪登山と3度目です。次に来るなら、夏の高山植物シーズンかな。立山はお金かかるのがネックだけど…。

雄山山頂

頂上からは全方位に展望が開けています。

まずは、先ほど休憩していた雄山神社。綺麗な斜面をしているので、バックカントリーの人らが滑りたくなるのはわかる。

白山連峰が見える

西側には、富山県の隣県である石川県の白山連峰が見えました。

雄山山頂から見える剱岳

雄山からは縦走路が続いていて、大汝山おおなんじやま富士ノ折立ふじのおりたて別山べっさんへと続きます。その奥には、剱岳つるぎだけが見えます。雄山からは、剱岳の見映えは良くないかな。

雄山山頂

ちなみに、富山県の最高峰は雄山ではなく、大汝山(標高3015m)です。男女が対の山で、女の山が高いのは珍しい。

雄山山頂にいるスノーボーダー

神社までボード運ばんでも…。強風に揺られて、大変そうでした。

立山雄山の山頂

最高の気分で記念撮影しているが、今日中に関東まで帰るプレッシャーを感じている。

今日は日曜日、下山したら関東まで移動して、終電に間に合うように帰らなければなりません…。

雄山山頂

雄山山頂の動画です。

雄山山頂から下山する

頂上の眺めも堪能したので、下山開始です。

雄山山頂

雪のある時期に登ることはないだろうけど、また来ますよ。

雄山から下山する

雪が全く無いので、岩の上を慎重にならざる終えません。雪があれば、下山はとてもイージーなのに。

雄山から下山する

一ノ越まで戻ってきました。岩の上をアイゼンで下るのは、足に結構なダメージがありました。

山頂を目指さなくても、一ノ越がゴールでも十分な気はしますね。

一ノ越から室堂へ戻ります。

ソリで荷物を運ぶ人

室堂に戻ってきました。心なしか稜線の雪が、朝より減っている気もする。

ソリを引きながら、巨大なバックパックを背負ってる人がいました。「あなたは何をされている方なの?」と聞こうか迷いました。

室堂のショベルカー

山荘の方に向かって、除雪車が出動していきました。立山をバックにして、最高にカッコいい働く車です。

ショベルカーの雪跡

キャタピラの轍をトレース泥棒し、室堂までイージーに歩けました。

室堂に下山してきて、雪の大谷を観光

室堂

それでは、本来の目的である雪の大谷へ向かいます。登山が思ったより押してしまって、急ぎ足で観光します。本末転倒です。

雪の大谷入口

室堂ターミナルから歩いて1分、富山県側のアルペンルートに雪の大谷があります。

雪の大谷を通るバス

入口付近の壁が低い場所でも、観光バスより高いです。

雪の大谷

おー、パンフレットで何度も見た雪の大谷です。まさに圧巻の風景です。

雪壁の高さはその年の降雪量で変化しますが、2022年は当たり年で、最大18mの高さがありました。ちなみに、最大の場所まで行けなかったので、写真より高いです。

雪の大谷

日本は世界でトップの豪雪なので、このような雪壁を見れるのは世界でも日本と限られた国だけのようです。雪の大谷を目的に来る海外観光客が増えているのだとか。

混雑する室堂バスターミナル

結局、雪の大谷は10分程しか見れませんでした…。

帰りのバスを待つ行列が出来ていて、仕方なかったのです。バスに乗るまで、30分くらい並びました。

雪の大谷バス

しかし、運がいいことに運転手のすぐ後ろのS席をゲットしました。

雪の大谷

最大18mポイントは、観光バス3台分くらいの高さがありました。いやー、これは凄いな。

雪の大谷観光客

最大ポイントは、大谷投手が来日した時の空港くらい混雑していました。

それにしても、雪の大谷を人力で開通させる「人間の力」、夏には全ての雪が溶け切る「自然の力」は驚異的です。

ケーブルかーで下山

雪の大谷を過ぎるとぐっすり眠り、美女平でケーブルカーに乗り換えて、立山駅に戻ってきました。

いやー、長野県側ほどじゃないけど、立山の移動は疲れます。

登山から東京に帰る地獄

関東に帰るのに、温泉に入る暇はなく、とりあえず腹ごしらえだけして帰ります。

とんかつ勝亭

以前、秋に奥大日岳を縦走した帰りに寄った「勝亭」にやって来ました。前回、何気に立ち寄ったこの店のトンカツが異様に美味しかったんですよ。

とんかつ勝亭

氷温熟成という製法で作られたトンカツは分厚いのにすっごい柔らか、脂の旨味が弾けます。ああ、思い出すだけで涎が出る…。

親知らず

さーて、富山から関東まで400キロ以上の道のり、無事に帰る予定でしたが、親不知IC付近で…。

「”不運ハードラック”と”ダンス”っちまったんだよ…。」

それでも、終電には間に合うことが出来、日付が変わる直前に帰宅できました。平日もぐったりしていたので、車で立山の日帰りはもうしません。

雪の大谷・雄山登山を終えて

4月の立山~室堂

日帰りで過酷な移動の旅でしたが、念願の「雪の大谷」を見ることが出来て素晴らしい旅でした。じっくり見れなかったけど、積雪量の多い年、最大18mの雪壁の中を通行できたのも幸運でした。

そして、雄山登山ですが、この時期に標高3000mの日帰り登山は普通できないので、アルペンルート様様です。

心残りは、日本最高所の温泉「みくりが池温泉」に入れなかったこと、白い冬毛の雷鳥が見れなかったことです。やっぱ、関東地方からの富山県の日帰りは無謀だなと。

雄山頂上の集合写真

立山黒部アルペンルートは、富山県側、長野県側のどっちからスタートするか、アクセスはどうするか、ツアー参加、山小屋に宿泊等、選択肢のバリエーションが多いので、計画に悩むと思います。

何も考えず雪の大谷シーズンの週末またゴールデンウィークは、想像以上に混雑するので、十分に調査し、戦略を立てて観光・登山してみて下さい。

立山の地図はこちら

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