キッチンでコーヒーを飲む一人の老人と監視台に座ったスーツの男。どこにでもある日常の光景ですが…。
1950年代に行われたスウェーデンの『独身男性の台所行動パターン調査』
そう実は、このヘンテコな光景は調査なのです。これほど台所ばかりの映画もありません。
キッチンストーリーの予告動画
第2次世界大戦後、家庭における台所の研究が行われていたそうです。
例えば、流し台の高さだったり、蛇口までの距離だったりと国際的な基準があるって知ってましたか。
人間の行動パターンを研究して、こういう基準が生まれているんですって。
スウェーデンで、ノルウェーやフィンランドの独身男性を対象に台所における行動パターンの研究が行われていました。
映画の冒頭では、スウェーデンとノルウェーの国境シーンで始まります。
トレーラーハウスがついた、黒いクラシックカーの行列。
異様な光景です。
台所における独身男性の行動パターンを観察する調査員が派遣されているところです。
調査員にはルールがあり。
- 調査員は、被験者とコミュニケーションを取ってはならない。
- 調査員は、トレーラーハウスで寝泊りする。
上記、2つを厳守しなければなりません。
そんなルールの元、被験者の老人はイザック、調査員のフォルケ。
この男二人のキッチンストーリーが始まるわけです。
あらすじだけだと地味な話と思いますよね。
実際、地味なんですけどね!
時々、調査員フォルケの元には、上司がやってきて仕事振りを見にきたり、調査内容を確認しにきます。
最初は、フォルケは仕事を忠実にしています。
最初は、被験者と調査員という関係で会話もなかった二人が、お互いの接点や気持ちを理解はじめ、距離が縮まっていきます。
映画の半分をかけて、打ち解けあう姿はなんかこうほのぼのしていて、どことなくムズ痒い感じ。
フォルケがトレーラーでしていた食事シーンがすごい印象的に残った。本当にうまそうに食う。
野菜のピクルス、チーズの塊、缶詰のソーセージとか・・・。
絶対あってはならないタブー。
フォルケがイザックをトレーラーに招待し、誕生パーティーをするシーン。
二人とも正装して、なんかいい歳のおっさんと老人なんだけど可愛らしい。
やはり、ほのぼのとしたまま終わるわけがなく、ストーリーは少しづつ不安の要素も出始めてきます・・・。
フォルケの寝ているトレーラーが線路の上に!
映画を見ればわかるけど、ちょっとやりすぎ感が。
そして、調査は終わり・・・。
国境を再度、越えるシーン。
そして、ノルウェイの雪が解ける春。
イザックとイザックのキッチンストーリーは・・・。
『キッチンストーリー』の感想
映画の7~8割が台所のシーンです。
しかし、調査員と被験者との関係が徐々に縮まっていく光景は見ていてほのぼのします。
日本人ってこういう心が変わっていくストーリーに弱いよね。
ノルウェイが舞台ということもあり北欧の家具やインテリアが見物で、古い家なのに一つ一つをみるととてもオシャレ。
戦争の背景もチラッと見え隠れして、考えさせられるシーンもあります。
寒い日に、部屋を暖めながら見るといい映画です。
そろそろ夏だけど。
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