2021年4月4日
新潟県の角田山に行ってきました。標高481mです。
日本海に面した新潟市にあり、春から秋にかけて山野草が咲きます。特に、3月下旬頃に開花する雪割草とカタクリを目当てに全国から登山客が殺到する山です。標高は低いながらバリエーション豊富なコースがあり、日本海に浮かぶ灯台コースが人気です。
角田山は4~5年間前から行きたかった山でしたが、実行に移せていなかった山です。
新潟はまず第一に遠い。せっかく、遠くに行くならば名のある山が優先されがちです。また、2週間くらいの短い雪割草シーズンは、天候が安定しなかったりで、お蔵になり続けていたプランでした。
しかしながら、新潟の里山は想像を超えたエクセレントな山で、花盛りのハイキング、日本海の海の幸、温泉にカフェにラーメンと、盛り沢山で旅をしてきました。
角田山について
地図
地図は新潟市のページにある地図を参照しています。
登りに桜尾根コース(私有地のため市の地図に記載なし)、下りに灯台コースを利用しました。角田浜の駐車場を利用しています。
ちなみに灯台コースに雪割草は咲いていないので注意。
コースタイム
- 8:06桜尾根コース登山口
- 9:33角田山山頂
- 9:43展望スポット
30分くらい休憩
- 10:22角田山山頂
- 12:18灯台コース登山口
行動時間4時間12分でした。
角田山 登山
日本海の0mから登る角田山、角田浜から桜尾根コース
夜に都内を出発し、角田浜駐車場に到着したのは深夜3時頃、車中泊をして夜が明けるのを待ちました。注意点としては、出発が早すぎると雪割草やカタクリの花が開いていない可能性がある。
目を覚ますと、駐車場にはたくさんの車が駐車していました。
下山中に駐車場を撮影したものだが、駐車場はかなりのキャパがある。
新潟中のハイカーが集まってきているのではないか。これだけの人が新潟ロシア村(僅か10年で閉鎖したテーマパーク)に行っていれば、廃墟にならなかったのに…。
目の前には日本海があり、波打ち際を踏んで「Sea To Summit」を気取る。
今回は、コストを考えて4人で行ったが、メンバ1人ははじめての日本海でした。木曜日の夜に突然誘われて、聞いたこともない日本海の山に行くことをOKしてくれるのはスゴイ。
海の向こうには佐渡島が見えていました。うっすら、白くなっている山が見えるが、最高峰の金北山だろうか…。縦走ルートしたけど、残雪が多く難儀した山である。
砂浜から登山を開始する稀有な展開で、角田山の山頂を目指します。左のメンバが浮遊しているように見えるが、目の錯覚だろうか。
INが桜尾根コースのため、砂浜から一旦は国道402号線に出ます。
象形文字(ヒエログリフ)とトキの絵が書かれた謎のオブジェがありました。ゲームであれば、発動条件を揃えると地震が起きて、ワープできそうなやつ。
燦燦カフェと角田浜バス停があり、そこからちょっと先が桜尾根コースの入口があります。
東京から電車とバスでもアクセス可能だけど、交通コストが掛かりすぎるので、人数そろえて割り勘じゃないと来ようと思えないな…。
桜尾根コースの入口に到着。
このコースは私有地なので、観光協会の地図には掲載されていないコースだったりします。メインディッシュの灯台コースとセットだと、駐車場から周回できるので、このコースをプランニングする人は多いようです。
上記のことが桜尾根コースを登るにあたってのルールとして記載されていました。
私有地コースだけど整備されているので、バリエーション感などは一切ありません。
雪割草とカタクリが咲き乱れる桜尾根コース
登山口から数十m歩くと、雪割草が咲き始めます。
雪割草は雪解けと共に開花し、角田山では3〜4月の時期に見られることができます。そして、全国的に雪割草の代表的な山の一つが、この角田山。
まるで金平糖のように赤、白、ピンク、紫、水色など色とりどりの花色、そして、花形のバリエーションが豊富です。
雪割草は小さいから写真撮るにはマクロレンズが欲しかったな…。
落ち葉の茶色の地面をカラフルに彩る雪割草。その健気さが可愛い。
日本海側だけで見られるのかわかりませんが、関東近郊の山だと見ることがない花なので、見れて嬉しい。
新芽もまだ米粒サイズ。新緑の季節の前に咲く花が雪割草は、小さい花だがエネルギーに満ち溢れているのかもしれない。
雪割草は正式にはオオミスミソウと言う。
ネットに記載のあった情報によると、私有地を管理している人が、作業しているらしいです。そして、他県民に対して(特に群馬県民)、当たりが強いらしいです。
しかし、山規模のガーデニングの労力は容易に想像できる。写真撮影の登山者や盗掘などで、枯れかけたこともあるらしいです。
登山道をはみ出ないように慎重に歩きました。
さて、雪割草ゾーンは序盤に終わり、角田山の主役とも呼べるカタクリの群生に変わっていきます。
角田山のカタクリの繁殖力はすさまじい。登山道から見える範囲、紫色に染まってます。
栃木県の三毳山でも感動しましたが、花数で言えば100倍以上はあるんじゃなかろうか…。関東だと貴重な花だと思っていたのに、ジンバブエドルなみのハイパーインフレ。
桜尾根コースは、3〜4回ほど急になるくらいで、非常に歩きやすい。ただ、土の斜面だから、雨が降ると泥だらけになりそう。
シェア率は圧倒的にカタクリだが、違う花もちらほら見られます。
カタクリの花畑の中に登山道がある。そう言っても過言ではない。
山の斜面にびっしりカタクリ。
百名山というブランドもなく、東京から200キロ以上離れ、標高500mにも満たない里山。十分、来る価値のある山でした。
2万に一つだが、3万に一つだかわかりませんが、白いカタクリが咲くらしい、遂には見つけることができなかった。こういう時に、地元の山に詳しいおじさんが、たまたま通りかかってほしい。
とにかく花が多い。
しかし、慣れとは怖いもので、カタクリがびっしり咲いている風景が普通になってきた。
桜尾根コースは基本的に展望は皆無であり、木々の隙間から見れる程度です。葉が生い茂ると何も見えないのではないだろうか。
桜尾根コースは終了し、市で管理するメインストリートと合流しました。
登山者の通りも多くなり、木道を歩いていけば、山頂までは辿り着きます。
展望はないけど広々とした角田山の山頂
角田山の山頂に到着です。
桜尾根コースをスタートして、1時間半ほど掛かりました。
標高は481mと低い部類の山だけど、山頂を示す看板は3mくらいありそうな立派なものでした。
角田山は山頂は、かつて城跡があった公園みたいな感じで、平らで広大です。
地面に1階が埋もれているのかな?
と思ったら、三角形の避難小屋でした。角田山は冬でもあまり積雪がないのかな。新潟市には「佐渡ガード」という言葉があるとかで、佐渡島があるおかげで、雪があまり積もらないらしいです。
小屋の中は達磨ストーブが設置されていて、過ごしやすそうな環境でした。
横山太平翁像。
山頂から少し離れた木々の間に、謎の人物の胸像がありました。新潟市にある関谷分水という水路の必要性を訴え、私財を投げうった人物だとか。なぜ、角田山にあるかは説明がなく不明。
長者塚遺跡。
その昔、角田山は信仰のある山で、修行の場だったらしい。
山頂から別のルートに進み、10分ちょっとで展望スポットがあるらしいので向かいます。
日本海の海岸線と新潟の街並み、霞の奥には新潟の山が並ぶ展望地
草原が広がったスペースがあり、ベンチがいくつか並んでいます。展望無しの山頂付近よりは休憩に適した場所。
角田山の北側の展望が広がっていて、日本海の海岸線と新潟市内が見えます。登山で新潟の山を登ることはあるけど、新潟市街に訪れることってまずない。佐渡に行ったとき、乗り換えたくらいです。
それにしても、さすが新潟。田んぼの面積が半端ない。
麓に目立つ池が見え、桜並木、菜の花畑が見えます。下山後に立ち寄りたかったけど、時間が無くて寄れなかった上堰潟公園です。
昼寝するにも最高な草原になっている。この日は気温も高く、半袖でも寒くありませんでした。2021年の春は、全国で桜の開花が早まるくらい暖かい日が続きましたね。
ちなみになべ氏は、「燕Tシャツ(北アルプス燕岳で売っている人気T)」を着用してきた。ここだと、燕市や燕三条のお土産Tシャツに見える。
角田山の展望図。
守門岳が右端に見えて、そこから左に粟ヶ岳、飯豊山、大朝日岳、月山、鳥海山が見えるようです。関東からはどれもこれも遠方の山ばかりです。
春霞、というより黄砂(?)のせいで、遠くの山は霞んで識別できなかったのが残念。飯豊山とか見たかった。
休憩を終えて、再び角田山の山頂に戻ります。
やっぱり大きい角田山頂看板。
日本海に浮かぶ灯台コース、爽快な稜線歩き
さて、下山開始。下山には角田山を象徴する灯台コースを歩きます。
灯台コースは往来が激しく、登山者がわっさわっさ登ってきます。花の開きっぷりもあるのか、10時ごろスタートする人が多いのかな。
メインコースが7本あるので、一日で4コースまとめて歩く人も多いとか。
灯台コースも登山道の両サイドにカタクリがびっしり咲いています。
しばらくすると樹林帯を抜けて、日本海がドーンと広がりました。(元々ない)語彙力を失くすほどの絶景です。
海の向こうにはうっすらと佐渡ヶ島が見え、佐渡汽船が運行しているのも見えます。
日本海に突き出ると言えば、鳥海山に似てるけど、より近くに海を感じます。
こんな海の上を歩ける稜線は、アルプスや八ヶ岳にはない。滑落したら海ポチャしてしまうんじゃないか?
海に向かって歩いていけるので、灯台コースは下山で使う方がより爽快です。夕暮れと共に歩いたら、素晴らしくないだろうか。新潟市民だったらやっているだろうな。
灯台コースの稜線は、岩がむき出しになっているので、歩きづらいので要注意。ところどころ、海風の影響か、ガレ場になているところもある。
断崖に咲いていた黄色い花。
灯台コースは小さなアップダウンがあります。
いつもなら辛く感じる下山中の登り返し。人間単純なもんで、気分爽快の時は辛さを感じない。
年度始まりの山にして稜線オブ・ザ・イヤー受賞間違いなしのコースです。一部の樹林帯に入ると椿が咲いていました。
柴犬も元気に登山中。春の陽気でガブガブ水を飲んでました。
終盤になるとコースの名前になっている灯台が見えてきました。
手すりのある展望台みたいなスペースがあり、角田山の写真でよく見る風景が撮影できます。
新潟市方面が見えます。
もしかすると角田山は、新潟市の高尾山的存在なのだろうか。もしくは、隣りにある弥彦山がそうなのだろうか。
まだ、4月だと草が枯れて黄土色だけど、緑色に季節になったらより綺麗そうです。
灯台コースを振り返る。灯台から見ると山頂はえらく遠くに感じる。
角田岬灯台に到着。
山頂から1時間半掛かりました。登りと同じ時間掛かっているのは、遊びすぎたからです。さくさく下れば、1時間以内余裕だと思うけど、こんな素晴らしい道、それは出来ない相談だ。
日本海ブルーが見渡せる灯台。
角田岬灯台は、佐渡海峡の重要な道しるべになっているそうです。
ここから佐渡ヶ島までは33キロ離れている。意外と近い。
そのまま駐車場にも降りれるが、反対側へと降りてみました。
海沿いの遊歩道があり、海岸沿いにずっと歩けるようです。釣り人しかいなくなったので、ある程度まで行って引き返し。
駐車場に戻るには洞窟を通っていきます。「判官舟かくし」と名付けられています。
文治3年3月(1187年)、源判官義経が兄頼朝に追われ、奥州平泉に海路落ちのがれる際、追手を避けて舟とともに身をかくした洞穴と伝えられています
https://niigata-kankou.or.jp/spot/7410
簡単に説明すると、平氏を滅ぼした最大功労者の義経、でも兄の頼朝(鎌倉幕府設立でおなじみ)に「お前チョーシ乗ってんな、殺すぞ」と怒りを買い、平泉(今の岩手)まで逃げていた途中ってことです。
20代後半の義経伝説はエグいと日本史を思い出しつつ、角田岬の真下に彫られた洞窟をくぐる。ラストが洞窟って、今までにないパターンだ。
駐車場に到着し、角田山の登山完了です。充実の登山内容でした。
夏になったら、汗だくで登山して、そのまま日本海で海水浴とかイケてるプランかな?
寺泊港の極上海鮮ランチとツバメコーヒーと背油ラーメン
アフター登山の時間である。
新潟で有名な漁港である寺泊にやってきた。日本海と言えば海の幸、角田浜からわずかの20分弱で移動できる。
いくつか食事処もあり、食べ歩きもできるので迷いどころだ。今回は「まるなか食堂」という大きめの食堂に入店。
一回だけ、地元の友達と来たことある店だった。
店の名前を関した「まるなか定食」を注文しました。1980円だったが、蟹がまるっと一匹と提供されるのはインパクト大。
解体せにゃならんので、ガツガツ食べたいのには不向きだったが、さすが日本海クオリティ、うまい。
なべ氏が注文していたマグロの中落ち定食。
切り身が盛られてくるのかと思いきや、骨ごと提供され、自分でこそぎ取る。半年分のマグロを摂取したと言っていた。コロナのせいで難しいが、シェア前提で注文するべきです。
キャンプ趣味でもあれば、このまま海の幸を買い込んで、海辺のキャンプ場で夕日を見ながらBBQをしたいところです。
ランチタイムのため食事を優先したこともあり、温泉へと移動する。角田山周辺も温泉施設は十分揃っていると思います。正面に見えるのは弥彦山。
立ち寄った温泉は弥彦山の麓にある「弥彦温泉 さくらの湯」です。綺麗めの温泉施設で、洗い場も露天風呂も広々しています。
施設のデザインが埼玉県の秩父で入った「星音の湯」に似ている気がした。
温泉に入ったら、さっぱりとしたものが飲みたい。10分ほど移動して「ツバメコーヒー」にやってきました。
ヘアサロンと同居しているカフェで、ここのコーヒーグッツが欲しかったので立ち寄ってもらいました。オンラインでも販売してます。
燕市、燕三条はスノーピークがあることでも有名ですが、ものづくりの街です。金物やステンレスなどの製品が揃ってます。
看板犬の黒スケが中央にどかっと座っています。
10秒くらい近づいてきて、すぐ定位置に戻っていきます。客とは絶妙な距離感を保っています。
下山後に食べるコーヒーフロートは最高です。
表現方法がこれしか思いつかないので、汚いワードで申し訳ないが、うんちスタイルのソフトクリームは流行しているんですか。
燕三条と言えば、背脂ラーメン(背油チャッチャ系)がご当地ラーメンとなっています。締めのラーメンと言うことでやってきたのは「酒麵亭 潤」というラーメン店。
東京にものれん分けがあるらしいので人気店のようです。中油、大油、鬼油と背油量を調節できる。
背油でお腹を下しやすい自分は中油をチョイス。
表面に浮かんだ背油がコッテリしてそうに見た目。美味しくないわけがない。そして、意外とあっさり食べられる。刻み海苔がトッピングされているのが特徴なのかな?
大油を頼んだなべ氏。水田に積もった雪のような背油量である。鬼油にしたら、それはもう脂スープなのではないだろうか。
消費カロリーと摂取カロリーを天秤にかけると、摂取カロリーが床を突き抜けるであろう暴食。蟹にマグロ、コーヒーとソフトクリーム、背油と麺、胃袋では宇宙が創生されつつあるが、新潟から関東に向けて帰るのでした。
角田山の登山を終えて
東京に住んでいるとして、「仙台に牛タンを食べに行こう?」と言われたら、それが旅の理由になると思います。しかし、「仙台に麻婆豆腐を食べに行こう?」と言われたら、「え?東京でも食べれるじゃん。近場の横浜中華街でいいじゃん。」となりますよね。
日本百名山なんかのブランドがあれば二つ返事でOKする人は多いともいますが、200〜300キロも掛けて里山に言ってくれる人は、とても超貴重な存在だと思います。そういう仲間をもっと欲しいです。
雪割草とカタクリが咲き乱れ、そして日本海へと伸びていく稜線、歩いている時間全てが幸せ、角田山はそんな山でした。
灯台コースは、登山人生最良のコースの一つになりました。公式に7つもあるコースを全て歩いてみたい気持ちはありますが、また来る機会があっても灯台コースを選択するでしょう。青々とした日本海は忘れられない風景です。
角田山の周辺は弥彦山や寺泊、ものづくりの街など観光やショッピングしがいのあるエリアです。日帰りで帰るのではなく、一泊して楽しみたい山でした。
コメント
山頂から海が見えるだけでも贅沢感あるのに、ここは海を含めた全体の景色が最高ですね。
やっぱり標高的には完全に低山なので、これからの季節は普通に暑いのかな…ちょっと計画したくなりました。
コメントありがとうございます。
同じ稜線は他の山にはないくらい特徴的な道でした。灯台コースは木もないので、日差しがあるとクラクラする暑さかもしれないですね。
早春、晩秋が適期かと思いますが、是非行ってみて下さい―。