2021年12月18日
神奈川県藤野町にある日連アルプスに行ってきました。
日連アルプスはJR藤野駅の近くにある標高300~400mの山々の総称で、全国各地にあるご当地アルプスの一つです。最初から最後まで樹林帯で、一部しか展望がありません。しかし、駅からハイキングすることができ、3~4時間で全ての山を回ることができるので、ちょうど良い運動ができる山です。
激動の2021年も終盤で、東京オリンピックが開催されていたことも忘れる日々を過ごしておりました。
週末に午前中だけ予定のない日があったので、注目していた日連アルプスを選びました。選択肢から外れる山ではあるのですが、下山後にご褒美のランチをプランに組み込み、藤野の里山を旅してきました。
日連アルプスについて
地図
日連アルプスは、神奈川県藤野町にある標高300~400mの山々をつなぐハイキングコースです。下記の6つの山で構成されています。
- 金剛山(藤野町十五名山)
- 峰山
- 八坂山
- 鉢岡山(藤野町十五名山)
- 日連山
- 宝山
全体的に樹林帯に覆われていて、峰山の展望が一番開けています。鉢岡山だけが離れた場所にあります。
コースタイム
- 7:39金剛山神社山道口
- 8:14金剛山
- 8:26峰山
- 8:30八坂山
- 8:45杉峠
- 9:08鉢岡山
- 9:39杉峠
- 9:51日連山
- 9:58宝山
- 10:28おおだ小径ハイキングコース入口
- 10:37おおだ小径ハイキングコース出口
行動時間は2時間58分でした。少しだけ早めのペースで歩いています。日連アルプスの地図は、藤野観光協会のページで確認することができます。
日連アルプスハイキング
JR藤野駅から歩いて、日連アルプスの入口へ
高尾駅から2駅進んだ、JR藤野駅に到着しました。
この日は、夕方から飲み会があるため午前中には切り上げる行程。この時は、冷え込みが激しく、藤野駅を降りた瞬間に、身が削られるような寒さです。
登山者が7~8名は降りたはずですが、藤野アルプス方面に向かっているのは自分だけでした。たぶん、陣馬山に登るのでしょう。
登山口の金剛山神社までは路線バスが通っていますが、2キロも無いので歩きます。
藤野町は芸術の街として力を入れているので、アーティストが移住しているようです。橋の上には、意味が分からない、いや先鋭的な思想の作品が、街に溶け込んでいました…。
登山口までの道が全体的に山陰なので寒すぎる…。
持ってきた防寒では追い付かず、耐えられなくなり、コンビニに避難。ホット缶コーヒーで内部から体を温めました。
駅から20分ほど歩いて、金剛山神社山道口に到着しました。県道沿いに歩いていくと、赤い鳥居があるので、迷うことはないと思います。
入口に小さな祠があり、綺麗なお守りが飾られていました。藤野町の日連集落の守り神的な存在らしいので、地元の人に丁寧に管理されているようです。
日連アルプスの登山路は、特筆すべきものはなく、どこにでもある里山風情です。12月下旬なので、全ての樹から葉っぱが剥がれ、落ち葉の絨毯になっていました。
ちなみに、夏場はヒルが出現するとかしないとか。
ハイキングコースとして整備されたのは、10年以内なのか、要所ごとに休憩用のベンチが設置されています。
結構、急な斜面を登っていきます。落ち葉が積もる時期は、足が滑ってとても厄介です。
振り返ると展望があり、藤野町を代表する陣馬山と生藤山が見えました。陣馬山は言わずもがなの人気の山ですが、生藤山は桜の時期に登ってみたい。でも、病気で枯れちゃったんだっけ?
駅から歩いたときに通過した日連大橋が見えます。秋山川と相模川の合流地点です。
山の斜面は急ですが、標高が低いので長く続かず、稜線との分岐に出ました。
藤野十五名山の一座、金剛山は日連集落の守り神
稜線分岐から進むと金剛山の山頂です。
藤野十五名山という、超マニア向けのラインナップに指定されています。手書きで標高が410mから419.8mに修正されてます。本当だとすると、なかなかに雑な測量ですな。
金剛山の山頂には立派な祠があり、お神酒や榊が祀られてました。
説明書きを読むと、明治時代に集落の大半が焼失する大火があったようです。なので、防火意識の戒めとしての役割になっているようです。
栃木県の古峯神社にお祓いを受けに行くようです。
ツツジで有名な井戸湿原の帰りに立ち寄りました。天狗で有名です。
冬だから木々の隙間からは辛うじての展望がありますが、樹林帯に囲まれた山頂です。神社があるためか、山頂は広々としていました。
さぁ、日連アルプスはここからが本番です。
金剛山の一座を登り終え、次の山頂を目指していきます。稜線なので、そこそこのアップダウンがあります。
日本アルプスだと2~3時間かけて隣の山に到達しますが、さすがご当地アルプス、隣の山まで10分かかりません。
唯一の展望ポイント、峯山頂からは大月方面の展望
峯山頂に到着です。
「腹痛が痛い」みたいな名前の山頂だ。
日連アルプスの山々では一番の展望があります。
山梨県大月方面の展望が開けます。この山々を詳しく言い当てれるのは、なかなかに困難ではないでしょうか。岩殿山、高川山、滝子山などがあるはず。
中央道がよく見えます。夕方は大渋滞が発生するポイントで、ドライバーの怨念が漂っていそうな場所です。
峯山頂からさらに奥へと下っていきます。
八坂山の山頂に到着。
木に針金でつけられた簡素な山頂でした。標高は峯山頂から3m低い。
山頂と言われなければ、通り過ぎていますね。
最初の金剛(大阪)、この八坂(京都)と言い、山頂名は関西出身者が付けたんだろうか。
一度、峯山頂への分岐点へと引き返して、先へと進みます。
杉峠と名が付けれた十字路に到着します。
この分岐から鉢岡山へと向かいます。京急線で例えると、本線から分岐する川崎大師線のように、日連アルプスの本線から外れて登山道が伸びています。
日連アルプスの離れ、鉢岡山はミステリーだらけ
往復コースタイム50分を掛ける価値があるかと言えば、展望のない山頂なので本来は避けたいところですが、記録のためだけに鉢岡山を目指します。
分岐点からは稜線の斜面にそって平坦な道を進んでいきます。
数分ほどで、集落の舗装道に出て拍子抜けしました。
この集落を下っていくと、古民家を改造した不定期営業のギャラリーカフェがあるようです。気になりましたが、小汚いハイカーが一人で入っていいような店じゃなかったのでパス。
そのまま真っすぐ林道に入っていきます。落ち葉で隠れていますが、車の轍が確認でき、車両が通行するようです。
林道をしばらく進んでいくと、3階建てくらいの高さがある小屋がありました。周辺には看板がないので、何の目的で建てられた小屋かは謎です。
小屋の先に、林道の斜面に頑丈に足場が組まれた展望台がありました。しかし、樹林に覆われているので、本当に展望台なのかは謎です。
そして、さらに謎なのが林道から滑落している乗用車です。車が走行できないこともない林道ですが、道幅は狭く、どうして直角に落下できたのか…。
車に詳しくないので詳細な車種はわかりませんが、スバルのGTって書いてありました。ナンバーは取り外されています。
わずか10mの区間にミステリーが3つ。謎の多い山です。
さらに奥へ奥へと進んでいくと林道は登山道へと変わり、急な道のりになってきました。
展望ゼロの日連アルプス最高峰、鉢岡山はかつての峰火台
斜面を登り終えると本日4つ目のピーク、鉢岡山の山頂に到着です。
ご覧の通り、樹林帯に囲まれ、隣がアンテナ施設、登山的にはがっかり山頂の類です。
鉢岡山は最初に登った金剛山と同様に藤野町十五名山に指定されています。それと、標高460mなので、日連アルプスでは最高峰です。
山頂の奥には、「ぶー」と鈍い電気音がする施設がありました。蓄電施設とか???
手書きの旧看板の側面には、「鉢岡山烽火台跡」と記載されていました。狼煙を上げて敵襲を知らせる役割を持っていた山だったそうです。
これは戦国時代、北条氏が対抗する武田氏に備えて張り巡らしたのろしのネットワークの一つです。
https://info-fujino.com/art/6768.html
北条と武田がバチバチだった1560年頃に使われたんですかね~。
展望はないですが、木々の隙間からは頭だけの富士山が見えました。陣馬山では富士山がくっきり見えますが、鉢岡山は標高では丹沢が邪魔になっちゃいます。
鉢岡山から同じ道を引き返し、杉峠に再び戻ってきました。
杉峠から日連山と宝山を経由して下山
宝山方面に向かって歩いていきます。
ここからは細い尾根道を進んでいきます。逆方向から登ってくるパーティーとすれ違い、人がちゃんと登る山なんだと…。
そして、5つ目のピーク、日連山の山頂に到着しました。
日連アルプスの「日連」を冠していますが、地味オブ地味な山頂でした。名前はカッコいいのに。
稜線ではヤマツツジが咲いていました。12月なのに…?
本日6つ目のピークにして最後のピーク、宝山の山頂に到着です。山頂は狭いですが、しっかりとベンチが設置されています。
展望は隙間から藤野町の街並みが少し見える程度です。名前負けしている山ですねぇ…。
逆方向から登ってきたパーティーが休憩し始めたので、写真だけ撮ったら素通りするように通過しました。
日連アルプスの全てピークを登り終え、下山開始します。下山注意の看板が設置されているので、ここからは少し険しくなるようです。
根っこの張り出て、ロープが設置されている急斜面の下山路でした。
ふぃー。
慎重に下れば問題はないですが、12月は落ち葉溜まりで足を滑らせるのが怖い。
登山道には見当たりませんが、少しわき道にそれると仏像が設置されていたりします。
それでは、麓の町まで下山していきます。
この日は、下山後にお楽しみの食事があったので、開店時間に間に合うように調整して歩いていました。
相模湖の湖畔を歩く、おおだ小径ハイキングコース
日連グラウンド方面に下山していましたが、途中で「おおだ小径ハイキングコース」の看板を発見しました。地図を見ると、相模湖沿いにある林道コースのようです。店の方角とマッチしていたため、進路変更しました。
しばらく下っていくと舗装道路に出ました。正面に山道らしきものもあるので一瞬迷いましたが、何かしらの作業用山道なので、舗装道を行くのが正解。
正面には相模湖プレジャーフォレストの観覧車が見えました。隣にはアスレチックがあり、たまにテレビ番組で芸人が挑戦しているのを見る場所です。
おおだ山荘という旅館なのかな?を通り過ぎ、しばらく進んでいきます。
普通であれば辿り着かない袋小路にある集落で、十軒程度しか民家がない場所です。セキュリティがガチガチの豪邸があったり、住んでいる住人のランクが高そうでした。
突き当りまで来ると、自然と「おおだ小径」の入口に到着します。Google Mapにも記載がなく、忘れら去られたハイキングコースのようです。
ハイキングコースとして整備されていますが、鬱蒼とした林間コース。
一部のポイントで、相模湖を展望すること出来ました。木々の隙間から。
今日はずっと木々の隙間から展望を見てるな…。紅葉の時期に来ると、少しは楽しめるのかな。
昭和に取り残されてしまった観光地でおなじみの相模湖ですが、遠目からでも哀愁を感じます。中央線の高尾駅から一駅先で、立地がとてもいい場所なのに…。近すぎる故なのか、いずれ再生することはあるんだろうか。
おおだ小径は徐々にフェードアウトしていき、舗装道路に出ました。
8階建てくらいはありそうな立派なホテルがありました。地図上では「リゾートホテルアイネイン相模湖」となっています。しかし、営業している様子はなく、廃墟になっているみたいでした。
そして、巨大な船の形をしたリゾートホテルもあります。これは子供が喜びそうだな一瞬思いましたがが、実態はラブホテルでした。下山したらラブホ街って初めてだな…。
もう一山登り返したい不倫カップル登山のご休憩に良いかも知れません。
健全な私は食事の為、先を進みます。
勝瀬橋を渡り、歩道がない国道20号線をビクビク歩きながら、相模湖駅方面に歩いてきます。
昭和が残る相模湖の畔、「てんすい」でハンバーグランチ
本日の下山後のグルメは相模湖の畔、国道20号線沿いにあるレストラン「てんすい」です。到着が10時54分と、開店の6分前。我ながら完璧なタイムスケジュールで歩いたもんだ…。
店頭には牛の看板にハンバーグと書かれていたので、ハンバーグが一押しなのでしょう。
11時になり開店、扉を開けると30年以上前にタイムスリップしました。テーブル、ソファー、ランプ、そのどれもが懐かしい。
店内における昭和懐古の象徴と言えるのが、テーブルに置いてある星占い。ルーレット式おみくじ器、正式には卓上自動販売機と言うらしい。「不思議によく当る!!!」というあいまいな表現が良いですね。
2021年は昭和レトロブームがありましたが、この店は昭和そのものが残っています。
ブランドの隙間からは相模湖ビュー。今日はずっと、隙間から展望を見てる。
ランチサービスの時間帯はAM11時から16時と、遅くまでランチ営業しているのが特徴です。国道20号線を走るドライバーのための時間設定なのでしょう。
メニューを前にして、「孤独のグルメ」並みに長考しましたが、イタリアンハンバーグをチョイスしました。チーズがかかっていると、イタリアンっていう昭和の発想が素敵じゃないか。
ジューシーだけどコッテリしていない万人に愛される味です。掛かっているソースが不思議とご飯が進む。昭和から続くメニューだけど、令和でもスタメンで戦えます。
追加で注文したエビフライ。
350円するけど、たっぷり添えられたタルタルが好みの味で大正解。タルタルは大好物です。
大満足のランチでした。店外にある公衆電話も味があります。
国道20号線沿いにあり、駅からも遠く、歩いてくるには困難な場所にあるけど、またハンバーグ食べたいです。
運賃と距離がそれほど変わらないので、藤野駅に戻るか相模湖駅に進むか迷いましたが、縦走した感じを出すため、相模湖駅へ。
相模湖駅前のメインストリートのアーチがパチンコ屋っぽい。時間があれば、相模湖駅周辺を散策したかったなぁ。
2017年にリニューアルして、駅の外観だけは期待できる観光地って感じなんですよね。
真冬のホームで、電車を待つのがとても辛い…。10分程待って中央線に乗って帰りました。
日連アルプスハイキングコースを終えて
もし、この山を店舗と考えた時に、ターゲット層は、毎週のように山登りに出かける高齢登山者の団体だと思います。早朝から登り始めたので、3組しかすれ違いませんでしたが、平均年齢は60代前後でした。
近くには高尾山や陣馬山など、展望がよく、充実したコースのある山が揃っています。
日連アルプスのように普段からは選択肢から外れる山を選択して、楽しみ方の活路を見出すのは、2022年の課題にしたいなと思っています。
ご当地アルプスのまとめ
全国各地のご当地アルプスをまとめた記事です。
コメント
「イタリアンハンバーグ!そういうのもあるのか!」
ヒヅレと読むとは知りませんでした。
こういう里山は好きなんですが、何気に途中で遭難しかけてしまいます。
住むのも良いかななんて、思いますが冬は、大変そうですね。
Kindergartenさん
コメントありがとうございます。
イタリアンハンバーグごちそうさまでした。
里山って、地元の人なのか管理用なのか、謎の道があったりして、看板が丁寧じゃないところがあって
迷いやすいですよねえ。
この前も茨城の山に行って、全く違う登山口に降りてしまいました。標高400mくらいしかない山で挽回できましたが…。
田舎に住めば山に行き易いと思っていた時期がありましたが、都会の時間があるからこそ続けられているのかもと最近思っています。
冬が寒いのは辛いので、本音を言えば温かい都道府県に住みたいです。