2013年1月6日
北アルプスの西穂高岳の途中にある丸山に行ってきました。標高は2452mです。
西穂高岳の丸山は、北アルプスの雪山登山としては危なげなく登ることができる山です。冬でも営業している新穂高ロープウェイと西穂山荘を利用することができます。
年末年始にかけ山での遭難事故が相次ぎ、お茶の間を騒がせましたね。
「この時期、ましてや雪山に行くなんて…」と大半の人が口にしていたかと思います。
そんな厳冬期の北アルプス、毎年何人も命を落としている危険極まりない雪山を旅してきました。
西穂丸山について
地図
新穂高ロープウェイから往復コースを歩きます。
西穂山荘までは樹林帯で、丸山までは開けた岩稜帯です。
西穂丸山 雪山登山
深夜移動して平湯温泉の新穂高ロープウェイへ
JR青梅線の青梅駅にて集合し、今回はメンバ3人での登山になります。真冬の西東京の集合の時点ですでに過酷。深夜の青梅は寒いのなんの…。
駅前で先に来ていたみず君、そして車で迎えに来てくれたすすむ君と合流し、中央道で長野方面へ。
BGMにPefumeをヘビーローテーションさせながら、月明かりに霞む山脈、夜景が煌く山梨市街地を通過しました。
諏訪サービスエリアにて作戦会議という名の休憩。
深夜発のスキーバスで真夜中でも混雑するこのサービスエリアも正月休み最後と言うこともあり閑散としていました。
真夜中のラーメンの誘惑に勝てず注文してしまいました。
深夜3時に食べるラーメン。決して悪い事をしているわけではないのに背徳感があるのはなぜでしょうか。
松本ICを降り上高地方面へ。
この下道が長くロープウェイがある新穂高温泉まで90分ほど掛かります。
ガソリンは松本ICを降りたところに24時間のセルフスタンドがあります。最後のコンビニは新島々駅手前にセブンイレブンがあります。
国道ですが普段運転をしない自分では走行するのが大変そうな峠道です。
路面凍結しているのでスタッドレスタイヤは当然必須ですね。
上高地の分岐を過ぎ、平湯温泉まで来ました。
高速道路みたいにETCの料金所があるのに驚いたんですけど。長野から岐阜に進んでいくと雪が舞い始めました。
長い下道でしたが、ようやく新穂高温泉の無料駐車場に到着しました。
空を見上げると山脈の上に分厚い雪雲が掛かっていて、天候は期待できそうにない雰囲気。
駐車場で準備をしていると何台も大型バスが通過していきます。どこからか観光客を運んできているようでした。
新穂高ロープウェイ駅で往復件を購入。
無駄に荷物を持ってきたみず君は重量制限に引っかかり、追加料金を取られていました。何かと残念な男です。
始発便にもかかわらず待ち行列が発生しました。9割以上が観光客です。
登山の格好が浮いてしまうのはどこでも一緒なのですね。
終点の山頂駅に行くにはロープウェイを2本乗ります。
2本目の距離が長いロープウェイは2階建てでした。なんとなく2階に乗りたい気分だけど、1階になってしまった。
満員の状態で発車するロープウェイ。
雲の中を進んでしばらくすると歓声が周囲で沸き起こりました。
白い山と青い空。
ここにいる全ての人がその風景に感嘆していました。
ロープウェイは数十分の運行を終え、山頂駅に到着です。
山頂駅では従業員の人達が出迎え、ラウンジや土産物屋は営業していました。
真っ先に皆が向かうのは4Fから出られる展望台です。
新穂高ロープウェイ山頂駅からは北アルプスの雪景色
北アルプスの雪山に来たのは今回初めてですが圧倒的な迫力です。
白という色には神聖や威厳と言ったイメージがありますが、まさにその通りの光景です。純粋や洗練された色だからこそ、心に響いてくるものがあるのでしょうか。
さて、観光客の人達は写真撮影に夢中です。
一体何を撮っているかというと…。
「にしほくん」
雪だるまではなく雪おむすびですね。それも中身の梅干が飛び出した。可愛らしいです。
展望台から下を見ると登山道というより雪の回廊がありました。
ここから山頂へ向かうのです!オラなんだかワクワクしてきたぞ。
年功序列制のパーティーなので、一番年下のみず君は常に雑用・下っ端担当。
準備を整えていざ出発です。
「ヒャッハー!雪だー!!」
特に危険なコースではありませんが、きちんと雪山装備でのぞみます。
背丈を超える雪の回廊をスタートします。
この辺は観光客も散策できるように長靴を貸してくれるみたいでした。
道はしっかり踏み固められているので、アイゼンも不要な感じで歩くことができます。ガイドさんとペアの二人組みがいましたが、その人達もアイゼンは履いていませんでした。
西穂高山荘までの道のりは気構えする必要がありませんね。
樹林の奥にそびえたつ穂高連峰も徐々に雲の中に隠れていってしまいました。
写真のように赤いフラッグがコースに立っているので迷うこともありません。
歩き始めて40分のところくらいには急斜面があり、アイゼンを着用して登ります。
樹林によって風が遮られているため、厚着していると本当に暑い!
9時42分に出発して、10時41分に西穂高山荘に到着しました。コースタイムだと1時間半掛かるとありますが、30分短縮しました。
ペースは決して早いわけではありませんよ。
そういえば2年前の焼岳から山荘を遠くに見たなーと思い写真を振り返るとありました。
焼岳から穂高まで長野と岐阜を分ける稜線が伸びています。
山荘から丸山山頂を目指します。
ここからは森林限界を越え、稜線上に出るため直に風を受けます。
真冬の稜線。
寒い!そして、痛い!
ネックウォーマー、ゴーグル、ニット帽、その上にレインウェアのフードをしているのに顔の露出している部分が痛いです。
下から見上げたときは雲なんて掛かっていなかったのに、この景色の悪さ。日頃の行いでしょうか。
「助けて!ウー!」
雪山と言えばウルトラマンの怪獣「ウー」ですね。
ウルトラマンが退治しないまま、雪山へ消えていった怪獣です。悲しいストーリーでした。
西穂丸山の山頂に到着、ガスガスから青空が広がる
西穂高山荘から30分しないくらいで、西穂高岳の丸山に登頂しました。
北アルプスのブリザードはとても厳しく、這いつくばっていないと体ごと持ってかれちまうぜ!
ちょっと演出しておかないと厳しさがわからないと思いまして…。
空を見上げると太陽の光が。
西穂山荘に泊まって明け方出発し独標に行ってきた人の話では、上は晴れているとのことらしい。
「体が飛ばされる程の風の中、素人同然の自分たちでは独標まで行くのは厳しい。今日は景色は残念だったがいい経験になった。」
そうお互いを慰め合い記念撮影を済まし、山荘まで戻ろうと思った…
まさに次の瞬間!
「見ろ、空だ!青空だッ!!」
トンネルを抜けるかのように、その一瞬で素晴らしい景色が広がった!
神は我らを見捨てなかった。
あまりの景色の良さに飛び跳ねれるみず君。
やれやれ、全く子供なんだから…。
「いええええええーい!!!」
とりあえず冷え切った体を休ませるために山荘へ戻ります。
北アルプスで通年営業している貴重な山小屋です。
宿泊だけではなく食堂としても利用できる冬にはありがたい小屋です。
名物のラーメンを頂きました!
凍える体にラーメンの露は身にしみますね。
極端に寒い日だと普段食べない味噌ラーメンが食べたくなりませんか?
ちょっとスルーしていましたが、山荘の手前にはどでかい雪だるまがあります。
雲の流れがとても速く景色が見えたり見えなかったりを繰り返しています。
3人ともCanonの一眼レフを所有するカメラ小僧なので、昼食後はザックを山荘に預け、写真を撮りに稜線まで出かけます。
表現力が乏しくて申し訳ありませんが、シンプルな白と青のコントラスト、透明感がありながらその力強さに圧倒されます。
雲の流れが速いので、景色は常に見え隠れしています。
動画でどうぞ!
風の音がうるさいですけど。
とりあえずはしゃぐ。
はしゃぎまくる。
前回の編笠山でもそうでしたが、どこか頭のネジがぶっ飛んじゃう。
西穂高山荘からの斜面はソリ遊びするのは楽しそうですね。
買って持って来ればよかった!
預けていた荷物を回収します。温度計を見るとマイナス7℃を指していました。
稜線では風が吹き荒れているので、体感温度はマイナス20℃はあったかもしれません。
すっかり疲労困憊したので下山を開始します。
まぁ、遊び疲れですね。
こんなに熱中して遊んだのは、友達同士で楽しんだニンテンドウ64のマリオカート以来かも知れませんね。
フィールドが変わったというだけで、童心はいつまでも胸の中に眠っているもんです。
下山中も遊びだす。
みず君をコース上に冷凍保存しました。
春先に解凍された時にお腹が減っていると思うので、通りがかったら食べ物をあげてください。
雪道のくだりはサクサク進むことができるので、登りの時間3分の2も掛かりません。
13時47分にロープウェイ山頂駅まで戻ってきました。
出発したのが9時42分なので、滞在時間僅か4時間でしたが、雪山を十二分に楽しむことができました。
この時間になると雲が下がっていたため、山頂駅はすっぽりと雲に覆われてしまっています。
ちょうどこの時間にロープウェイで上がってきた人は景色が見れませんね。まぁ、それも曇天が多い北アルプスでは運ですね。
いやー山間部の温泉郷って情緒があっていいですね。
硫黄の臭いが時折、粉雪と共に流れてきます。
ロープウェイ駅でお土産を物色し、帰路に着きます。
本日の立ち寄り湯は奥飛騨温泉郷の「ひらゆの森」です。
数々の温泉に立ち寄ってきましたが、蔵王岳の帰りに寄った「新左衛門の湯」を抑えてベスト1に君臨しました。
入浴料500円という安さに加えて、充実した温泉内容が魅力。露天風呂が5つくらいありました。洗い場やシャワーの台数も多く、配置が計算されていました。
もちろん温泉の質も良くて、硫黄成分が濃く湯の花が浮かんでいます。
周囲が山に囲まれているので、雪山を見ながらの露天風呂は至福です。
ほんとは飛騨牛をがつがつ食べたいところですが、お財布事情があるので牛乳で我慢しました。
その後は東京まで300キロ以上すすむ君に運転してもらい本当にお疲れ様でした。みず君は不幸な出来事がありましたが…。
今回もとても楽しい雪山登山でした。
西穂丸山の登山を終えて
次は独標(どっぴょう)まで行きたいですね!
今回も頑張れば行けたとは思いますが、雪山は常に危険が潜んでいるので着実にステップアップが大切です。ここに登る数日前には西穂高岳山頂付近で遭難死のニュースがありましたし。
山荘も通年営業しているので、朝早くから登り始めれば2900mの山頂に立つのも夢ではないかも知れません。
毎度おなじみのメンバーですが、今回もまた楽しい雪山登山でした。
休みの最後にこんな素晴らしい景色を見てしまうと、正月明けの仕事が本当に憂鬱で仕方がなかったです。
コメント
先日、スノーシューでスノーハイクデビューしたくらいの初心者には
「ガチの雪山……。寒いのかな?」とPC前でガクブルです。
雪山写真も綺麗ですが、個人的にはSAの写真が素敵と思いました。
そうか…下向いてて足元見てたら、枝に顔面ヒットしてお尻から転ぶのは
「妖怪」の仕業だったんですね!
わたしの不注意じゃないんですね!
>エリカさん
どんな雪山でも風を受けなければ、歩いている限り寒くありませんよ。
日が出ていると逆に直接受ける日光の陽気と雪で跳ね返る光でポカポカします。ポカポカ。
夜のサービスエリアは、不思議とわくわくしますね。
ガランとしているお土産屋にフードコーナーで気だるく働くおじちゃん達。
この時は若いギャル3人が眠気混じりに談笑してました。彼女たちはこの真冬に一体どこに向かうのでしょうね。
なんて書いていると80年代の中島みゆきみたいな歌ができそうです。
このサービスエリアには18禁カレーなるものが売っていました。一体、どんな味がするのでしょうね。
17歳の僕には買えませんでした><
またまた大絶景に感動しちゃいました!雪景色が観たくて毎年 スキー場に行っていますが、veryblueさんのブログでアイゼンが欲しくなりました!スキー場じゃなくても白銀の絶景が観れるのですね! 雪山登山イコール命がけというイメージが強くてビビってしまっていたのですが、あの絶景は共感したいです(*^o^*) それにしてもアイゼン着用で逆立ちできるなんて、スゴ過ぎです! 動画も臨場感たっぷりで良かったです!
>mami★さん
こんばんはー。
音楽が流れ人が沢山いるスキー場で見る雪景色と足を地につけて見る雪景色は見え方がだいぶ違う気がします。
命を掛けずに登れる雪山は沢山あります。
北八ヶ岳や西穂高などは通年運行のロープウェイがありますし、スノーシューなどをレンタルして雪上ハイクを楽しむのもありですね。
雪山は道具をそろえるのにお金が掛かってしまうのが難点ですが、誰も見たことのない景色を堪能できるのが醍醐味です!
今回も感動しました。
雪の白と空の青と、
山からの絶景。
とても綺麗でした。
見ることのない景色が面白エピソード付きで見れる^^
空に浮かぶ大文字、赤と青、
子供のようにはしゃぐ男3人。
マンガみたいなコマ送りですね。
ウーも
インパクトありすぎ。
でも、本当にブログ読んでて、行きたいところが増えます。
雪山を登る力はないけど、
ロープウェイに乗って、梅干し出ちゃってるにしほくんには会えるかな。
また、ブログ楽しみにしてます。
最後にひとこと
スマホでチェックしてたんですか、
雪だるまの前で飛んでる写真は本当に目の前で飛んでるのかと思いましたよ。
だまされてた・・・^^;
>さつおさん
こんばんは!
実際に雪だるまの前で飛んでますよ!
雪だるまの怪獣です。
西穂高ですが6月や7月の雪が解けた時期に行くのがいいかもしれませんね。
実際にのんびり歩いて1時間弱も掛からず、この雪だるまのある山荘まで行くことができます。
今回自分たちの歩いたコースは体力というより、道具とウェアさえ整っていれば登れます。
この怪獣ウーは村人から迫害される人間の娘を守るために雪山から現れます。
娘が亡くなり、泣き声をあげながら雪山へと消えていきました。
ウルトラマンは必殺のスペシウム光線を出さずに終わっています。
少し悲しいストーリーです。
また、青空の下雪山を歩ける日を楽しみに、この冬は過ごすつもりです!
いつも素敵なブログをお届けしていただきありがとうございます。
3000m級の雪山、非常に興味深いですが、
単独登山派の私にはリスクが高いので今は見るだけで我慢します。
そしてみずさんの不幸な出来事が気になります…。
>adaさん
僕は西穂高の丸山(2400mくらい)が限界だったけれど、adaさんならきっとその先の独標(2700mくらい)、山頂(2900mくらい)に到達してくれると信じてます。
adaさんには眠っている力があります。まだそれに気づいていないだけです。
みず君にはリアルに家庭に不幸な事があったため、松本に寄り特急で家路を急がせました。
なんとなんと、みずさんは本当に不幸な出来事があったのですね。
VERYBLUEさんのなにか伏線なのでは、と疑ってしまいました…。
申し訳ございませんでした。
ちなみに私にはこれ以上の力はありません。
でもVERYさんがいうのなら、独標、そして山頂まで行きます!
期待には裏切らない。
それが私の信念です。
>adaさん
adaさんの志は富士山のように堂々と優美なはずです。
きっと、期待を裏切らない不幸話をお聞かせ下さい・x・
夏ならきっと楽なはずなので感触を掴んでからでもいいかもしれませんね。
冒頭からいきなり爆笑してしまいました(笑)
身近に潜んでいるというので山の妖怪のお話かと思ったら、リモコン隠し!(≧ω≦)
今朝リモコンを探したばかりだったので爆笑しました(笑)
家鍵も片方靴下も、携帯とデジカメが移動してるのも全部あります!(笑)
妖怪の仕業と思うと可愛いですね(*^v^*)
お話がうまいので、本書けるのではないですか(*^_^*)
山行ブログも楽しいのですが、なにげに冒頭のお話もひそかなファンです。
雪山はやっぱり素敵ですね~♪
本当に、静かな神聖なる佇まいなのに威厳がありますよね。
にしほくん可愛い!(笑)
友達と思いっきりはしゃぐのはいくつになってもしていたいものですね♪
>heartyさん
そういえば本編となんの関係もないフリートークをお褒め頂いたのは初めてでございます。
大変恐縮です。
冷蔵庫の中にある生姜チューブやニンニクチューブを、ついあるのを忘れて買ってしまうのも妖怪の仕業です。
妖怪はどこにでも潜んでいて、あなたの隙を狙っているようです。
雪山はひたすら黙々と登るより時間に余裕を持たせて遊ぶのが楽しいです。
ただブログにすると絵的には同じような写真ばかりになってしまうので工夫が大変です@@
綺麗な写真とcoolな?コメントにハマってしまいました。
今年、丸山か乗鞍に行けるように願ってる、体力無しの九州女です。
上高地に行って山に魅せられました。
ちょっとずつジョギングと階段上がりする日々です。
一つ一つ、ゆっくり読みますね
楽しみー
>さくらのさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
九州に在住なのでしょうか・x・?
それとも九州出身で関東圏に在住なのでしょうか?
北アルプスのシーズンは7月からですので、春先から徐々に登り始めれば、行けると思います!
その二つの山はアクセスが遠いというだけで、難易度はありませんから!
またのコメントお待ちしております。