2014年6月15日
長野県と群馬県にまたがる四阿山に行ってきました。標高は2354mあります。
四阿山の麓には菅平高原があり、夏は冷涼気候でのスポーツ合宿、冬はウィンタースポーツが盛んな土地です。日本百名山の一角ではありますが、周囲の浅間山や草津白根山が目立つためか、知名度は少し低めに感じます。
個人的な見解では縁起の悪い数字「4」を冠する山は珍しいと思っています。三宝山、三峰山、三瓶山また鳳凰三山、白馬三山など縁起の良い数字とされている「3」を冠する山は多い。
時期は梅雨のど真ん中でしたが、それを感じさせぬ快晴の空に恵まれました。
菅平牧場を起点にして、四阿山と根子岳(ねこだけ)を周回しました。四阿山は6月中旬よりレンゲツツジが開花し、緑の牧場を赤い花の彩りが加わります。
後半にかけて失速気味の旅でしたが、梅雨の合間の青空を満喫する旅になりました。
四阿山・根子岳について
地図
菅平牧場の駐車場から四阿山と根子岳を周回するコースです。
四阿山~根子岳の間は登り返しがあります。
コースタイム
- 04:45四阿山・根子岳登山口
- 07:26四阿山山頂
- 09:31根子岳
- 11:15四阿山・根子岳登山口
行動時間は6時間30分です。
休憩多めのペースのため参考にならないかと…。通常は4~5時間で周回可能です。
レンゲツツジの見頃
四阿山はレンゲツツジの名所の山で、6月中旬頃にシーズンを迎えます。
あまり、四阿山は紅葉しないので、1年のうちで最も良いシーズンは、レンゲツツジの開花シーズンではないでしょうか。
四阿山・根子岳 日帰り登山
上信越自動車を突っ走り菅平高原へ
何度か一緒しているえきぃとてつろー氏(初対面)の誘いを受け、男3人で華のない、花の登山になります。
四阿山は都心からは200キロ弱と微妙に遠く、公共交通機関での日帰りは厳しい場所にあります。日帰りの交通手段は車一択となるわけで、てつろー氏がレンタカーを手配してくれました。
首都高から関越と思っていたのですが、首都高→東北道→北関東道→関越道→上信越道と5つの高速道路を股に掛ける不思議なルートをナビに案内されました。
東京の葛西からスタートしたのですが、なぜこのルートになったのか…。
菅平牧場に夜明け前の4時半に到着しました。いやー、遠かったです。
6月中旬ですが、標高1200m以上あるので、肌を突き刺すような寒さです。
今回のレンタカーは、超コンパクトカーのトヨタ「iQ」でした。ワンドアですが「一応」の4人乗りです。
積載スペースが全くないので、後部座席一つを倒してザック3つを詰め込みました。後部座席のスペースは極狭で、直角に座っていたせいで、疲労感が凄い…。遠距離の登山に全く向いてない車です。
菅平牧場つつじ祭りが開催中のようで、幟が出ていました。
隣にある湯ノ丸山がレンゲツツジの名所だとは知っていましたが、四阿山もレンゲツツジの名所だと、ここで初めて知りました。
牧場の上部がレンゲツツジで真っ赤になっています。
芝の緑とレンゲツツジの赤、色相環でほぼ相対する色なので、異常に目立ちます。
牧場の牛乳ソフトクリームの幟(のぼり)が立っています。
下山後の頑張った自分へのご褒美が約束されている登山。
登山口の駐車場から朝日によって朱を帯びる北アルプス。
早朝の菅平牧場は静かに牛が草を食む
標高1300mの菅平高原は気温10度を下回り、寒さに震えながら登山開始です。
入り口から根子岳と四阿山の分岐点。
どちらを先に登っても良い気がしますが、我々は四阿山から登ります。分岐点の隣にトイレが有ります。
牧場の朝。
牛達はまだ動き出す前のようで、芝の中で縮こまって寝ていました。
牧場の道を歩いて行くと四阿山の登山口が…
阿山?
トレイルランの大会と日程がかち合っていました。
しかし、看板の設置位置が悪くて「四」が隠れているのは如何ともし難い。
序盤は牧場横の樹林帯を歩きます。
看板文字の落差は一帯なんなのであろう。
アルプスの少女ハイジのオープニング曲が流れてきそうな、ヨーロッパ・アルプスの牧歌的風景です。
椰子の木が南国リゾートに来たと思うように白樺は高原リゾートにやって来たという気分になります。
牧場から離れると鬱蒼とした植物が生い茂るようになります。
本コースで唯一の沢渡が登場です。
湿潤な場所に咲くクリンソウの残骸がありました。
沢を渡り切ると山頂まで3.5キロの表示がありました。
レンゲツツジ咲く洗練された白樺の森
沢を渡り樹林帯に入ると緑の森に赤い花々。
レンゲツツジの群生に突入です。
レンゲツツジとはなんぞやということで解説。
- ツツジ科ツツジ属
- 有毒植物
- 花と葉が輪状に並ぶ様子が蓮華(レンゲ)と相似
- 群馬県の県花
- 花言葉「あふれる向上心」
- 名所「湯ノ丸山(長野・群馬)、高原山(栃木)、霧ヶ峰(長野)、赤城山(群馬)など」
ツツジを漢字で表記すると「躑躅」という非常に画数の多い漢字です。個人的に「髑髏(ドクロ)」と似ているので、「毒があってもおかしくないな」というベクトルが違う解釈をしています。
牧場のど真ん中に咲いていても有毒性があるので、牛や馬が食べないのですね。
子供の頃にお母さん牛から「この花と草は毒があるから食べちゃいけないんだモー」と習うのでしょう。
足元を見るとすずらんが咲いていました。
高山植物かと思ったけど、至ってどこにでも咲くハルジオンか?
イワカガミ。
レンゲツツジの群生を抜けると展望が良くなります。
四阿山から南東の方角に浅間山が見えます。
浅間山を南側の佐久・軽井沢方面から見ると独立して見えます。本来の姿はいくつもの山が連なっている連峰なのです。
写真は妙義山(みょうぎさん)から見た浅間山。
浅間山の火口を見てみると僅かに噴煙が上がっているのがわかります。
ようやく太陽が登ってきました。
太陽の光が広がる白樺の森を照らし始めました。
登山道は熊笹の中を歩く感じで少し地味。
展望の良い登山道は眼下に菅平の高原リゾートと長野市。
そして、さらに北アルプスの白い山脈。
梅雨まっただ中とは思えない快晴の空で、空気も澄んでいます。
北西側に四阿山の次に登る根子岳が見えました。
断崖絶壁になっているのは爆裂火口壁だそうです。
標高1800m付近に差し掛かるとミネザクラが咲いていました。
6月に桜が楽しめるのは登山者の特権です。
陰になっている道端に残雪がありました。
後立山連峰はまだまだ雪が溶けていません。
後1ヶ月もすれば、登山ハイシーズンになるというのが信じられない。山も登る観光客というスタイルの自分としては、北アルプスという山岳地帯は頻繁に足を運ばないエリアだったりします。
山頂間近になってくると傾斜は緩やかになります。
四阿山より南側、奥秩父や八ヶ岳の山脈の向こうに富士山が顔を出していました。
6月にこの距離から富士山を眺めることができるのは滅多にないのではないでしょうか。
登山口より2時間半歩き、根子岳と四阿山の分岐点に到着。標識から奥に700m進みます。
イワカガミの群れ。
とうとう、四阿山の山頂が見えてきました。
山頂付近は新緑の芽生え始めでした。
四阿山の最後は階段でした。
四阿山は奥志賀の山々と連なる北アルプスが展望地
積み上げられた石壁に守られた祠があります。
そして、山頂は更に奥です。
7時26分 四阿山山頂
登山口から2時間40分ほど掛かりました。
今まで見えなかった山頂より北側の景色。
標高2000m前後の奥志賀(おくしが)の山々が連なります。
位置的に手前に草津白根山があり、奥に岩菅山(いわすげやま)や白砂山(しろすなやま)等があります。
起伏がなく馴染みのない山域のため、山の判別が全くできない。
そして、次の目標地点である根子岳。
根子岳は2207m、四阿山は2354mなので150mほど低い。
山頂に7時という時間帯に余裕を感じる行程であります。
だらけること、この上なし。
熊笹の稜線歩きで根子岳へ
ともあれ、四阿山を後にして根子岳へと向かいます。
フードをかぶるとねずみ男みたいな服だ。
分岐点から根子岳へは、1.8キロとなかなかの距離。
四阿山から根子岳へと向かう道は急勾配であり、針葉樹林の密度が濃い、陽の当たらない登山道です。
苔蒸しています。
自分たちとは反対に「根子岳から四阿山」を目指す登山者とすれ違います。
四阿山と根子岳の鞍部に差し掛かると植生がパッと切り替わりました。
根子岳は熊笹で覆われた緑一色の山。
四阿山の特徴的な写真として使われる風景ですが、これは根子岳なんだぜ。
左右の展望がよく、風が吹くと熊笹の揺れる音が聞こえます。
根子岳への登り返しスタート。
「登り返し」というのは、何度経験しても慣れないものです。
上部まで登ってくると非常に立ち甲斐のある岩があります。
今度は、四阿山の全貌を捉えます。
笹の茂るパステルカラーの根子岳と比較すると、どっしりと濃い緑の山で、ちょぴり地味です。
この花はどの山でも見ますが、未だに名前が覚えられないでいます。
ミネザクラがここでも咲いていました。
そして、本日2座目の山頂に到着です。
四阿山より展望の優れた根子岳の山頂
9時39分 根子岳山頂
山頂の中心には四阿山同様に祠が設置されていました。
根子岳ということで猫の構えで集合写真を撮るという安直な考え。
少し愛嬌のある恵比寿様。
根子岳の山頂は広く、展望がとても良いです。山の品質的には四阿山より根子岳の方が上みたいです。最高峰の山より、隣の山がメインということはよくあることです。
沖縄みやげのみそクッキーを頂きました。
横の茂みに蜂の巣があるようで、蜂が飛び交っていて気が気ではありません。
さて、このとき日本時間10時。
地球の裏側ブラジルでは、2014年ワールドカップの予選リーグ1試合目「日本VSコートジボワール」のキックオフの時間です。
日本国民が注目するワールドカップ予選1試合目の真っ最中、我々は長野県の根子岳から下山を開始しました。
赤いレンゲツツジが彩る真昼の高原牧場
ツツジの奥に見える北アルプスの白い山々の風景は、登山のアウェー時期である梅雨に勝利を飾ったようなものです。
下山路は白樺の新緑が美しい樹林帯。
白樺の森を埋め尽くすレンゲツツジが見事。
根子岳のベストシーズンであることは間違いないようです。
再び牧場に戻ってきました。
登山口から根子岳は2時間掛からないため、家族連れで登山を楽しんでいるグループを複数見かけました。
牧場横にある東屋で、前半日本がコートジボワールから1点先制する朗報を得る。
根子岳より北西の方向は妙高山(みょうこうさん)でしょうか。
今ひとつ楽しめなかった山であるため、登り返したいと思っている山です。
牧場にびっしりとレンゲツツジ。
早朝寝ていた牛達は活発に草を食んでいました。
下山したらお前らから搾り取って出来たソフトクリームを食べてやるからな。
駐車場が見えてきました。
ピンクフロイドのアルバム「Atomic Heart Mother」のジャケットを撮りたかったが、うまい具合に振り向いてくれなかった牛。
上田駅前のからあげセンターで山賊焼き定食
11時15分 下山完了
登山口にあった看板で知ったトレイルランの大会。
なにやら佳境を迎えているようでした。
そして、下山後のお楽しみ牧場のソフトクリームです。
冷蔵庫からパッキングされたアイスを取り出して、それを機械にセットし、レバーを下げる。
スジャータじゃねぇかああああ(怒)
全面的に「牧場のソフトクリーム」と押し出しながらスジャータとは…。訴訟も辞さない事案である。
そして、ワールドカップの続報。
後半、コートジボワールが投入したドログバの活躍により、2点を奪われ逆転負け。日本はワールドカップ予選1試合目を落としてしまいました。
下山後になんとも後味の悪い結果です。
牧場の隙間にポツンとあったうさぎハウスで、白兎に慰めてもらいました。
下山後は「ふれあいさなだ館」という健康ランド的温泉で汗を流しました。
戦国時代に詳しくないのですが長野県上田市は戦国武将の真田幸村ゆかりの地として観光PRしています。「サラダ館」みたいなネーミングはどうなのだろうか。
温泉後は昼食を求めて、上田駅前までやって来ました。
「上田からあげセンター」
長野県の上田駅と松本駅の2店舗を展開するからあげ専門店。
なぜ、長野駅にないのかは不明。松本駅の店舗に2ヶ月後に行くことになるのはまた別の話。
数ある唐揚げメニューの中から選択したのは、やはり山賊焼き定食。衣は通常の唐揚げより固く、もも肉を使っています。かなりボリュームがあるので、登山で消費したカロリーを補うには十分です。
ソフトクリームの上書きということで、栗菓子専門店「竹風堂」で栗あんソフトクリームを購入。
渋皮の苦味を上品に表現した逸品でした。ローカル和菓子店は旅の一つ楽しみになるかもしれません。
昼食を食べ終えて、14時半。東京に帰ってレンタカーを返したら、飲もうということになりました。
上田から東京までは約3時間でしたが、上信越道でまさかの事故渋滞に遭遇。軽井沢付近で、3時間ほどの足止めを受けました。
渋滞を抜け都内に帰ってきたのは20時過ぎ、レンタカーを当日中に返すことができなくなり、延滞料を徴収されるオチとなりました。
超コンパクトカーの狭さゆえ、渋滞中は苦痛で仕方がありませんでした。
四阿山の登山を終えて
日本百名山ながらぱっとしない印象を受ける四阿山ですが、根子岳と周回することによって面白さが際立ちます。
更にレンゲツツジ咲く6月中旬がベストシーズンでしょう。
後半にかけてワールドカップ初戦敗退、牧場ソフトクリームがスジャータ、自己渋滞でレンタカーの延滞料金など外的要因の怒涛の攻めはありましたが、ベストシーズンにおける梅雨の貴重な晴れ間という前半の積み上げを崩されることなく非常に有意義な一日でした。
コメント
ソフトクリーム、許せませんね。
そして蜂が大嫌いな僕としてはあの写真は恐怖そのものです。
>だのんさん
あれは詐欺ですね。
蜂が嫌いというのであれば、初夏は厳しい展開ですね。
とても楽しく読ませていただきました。
本当に楽しそうで、羨ましい限りです。
登山道の雰囲気や時間配分など、分かりやすく大変参考になります。
そして、ソフトクリームの一件は、確かに解せませんね。
>きんかんさん
コメントありがとうございます。
参考にしていただけましたでしょうか。でも、だいぶ遊びに尺をとっているので時間はあてにならないかもしれません。
解せぬ。
おもしろかったよ!
レンゲツツジ→有毒植物、あふれる向上心。ウン、veryblueさんのことだ。
あれだけ牛さんがいたのに(>_<)あのソフトクリーム?訴えてやる!
>やま子さん
コメントありがとうございます。
自然愛的な向上心はあまり育っていませんが、新しい登山をどんどん開拓していきたいと思います。
牧場が近くにあるのにスジャータとはひどいですよね。