登山者の中には、山にしか咲かない幻の花を求めて、遠くの地へと旅をする人がいます。
例えば、岩手県の北上山地にある早池峰山では、「日本のエーデルワイス」と呼ばれるハヤチネウスユキソウが咲きます。雪解けの南アルプス、日本で標高2位の北岳では、キタダケソウが咲きます。
今回は、そんな旅のきっかけとなる山でしか見ることのできない「固有種の花一覧」を作成しました。
山でしか見ることのできない固有種の花一覧
No. | 山 | 都道府県 | 花の名前 | 花期 | 解説 |
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1 | 礼文岳 | 北海道 | レブンアツモリソウ (レブンキンバイソウ、レブンウスユキソウ) | 5月下旬〜 | 礼文島は「花の浮島」と呼ばれ、高山植物がたくさん咲く。レブンを冠する固有種がたくさん咲く。 レブンアツモリソウは絶滅危惧種。この花を目的にする観光客は多い。 |
2 | 利尻山 | 北海道 | リシリヒナゲシ | 7月中旬〜 | 日本で唯一自生する黄色いケシ。 7月~8月上旬が花期。 |
3 | 雌阿寒岳 | 北海道 | メアカンフスマ | 7月〜8月 | 雌阿寒岳の他に知床の羅臼岳の砂礫帯に咲く多年草。 |
4 | 夕張岳 | 北海道 | ユウバリコザクラ (他10種以上) | 6月〜7月 | 国の天然記念物に指定。蛇紋岩の地質で、特異な高山植物が咲く。 「ユウバリ」を冠する花が10種以上存在。 |
5 | アポイ岳 | 北海道 | ヒダカソウ (アポイアザミ、その他) | 5月上旬 | アポイ岳高山植物群落として国の天然記念物に指定。夕張岳と同様に蛇紋岩の地質。 盗掘で数が減っているらしいが、ヒダカソウを目的にする登山者は多い。 |
6 | 岩木山 | 青森 | ミチノクコザクラ | 6月〜7月 | コザクラ系の岩木山にしか咲かない種 |
7 | 八幡平 | 岩手 秋田 | ハチマンタイアザミ | 7月〜9月 | 八幡平固有のアザミ |
8 | 早池峰山 | 岩手 | ハヤチネウスユキソウ (ナンブトウウチソウ 等) | 7月 | 日本のエーデルワイスと言われ、登山界隈で最も有名な固有種 早池峰山の登山は、この花を目的にする人が多い |
9 | 鳥海山 | 山形 秋田 | チョウカイフスマ (チョウカイアザミ) | 7月〜8月 | チョウカイフスマはメアカンフスマの変種 |
10 | 飯豊山 | 福島 新潟 山形 | イイデリンドウ | 7月 | ミヤマリンドウの変種 飯豊山の高山帯に咲くため、1日では到達不可能なところに咲く |
11 | 磐梯山 | 福島 | バンダイクワガタ | 6月 | 磐梯山の砂礫地に咲く紫の花 |
12 | 庚申山 | 栃木 | コウシンソウ | 6月 | 日本では珍しい食虫植物、国の天然記念物に指定されている。 日本百名山の皇海山の途中にある山。 |
13 | 鳴神山 | 群馬 | カッコソウ (ナルカミスミレ) | 5月 | カッコソウはピンクのリング状の花 |
14 | 筑波山 | 茨城 | ホシザキユキノシタ | 6月 | 意外と知られてない固有種、小さく花火のような白い花 |
15 | 八ヶ岳 | 長野 | ツクモグサ | 6月 | 八ヶ岳の横岳周辺に咲く起毛した黄色い花 (※本州では、他に白馬岳にしか咲かない) |
16 | 北岳 | 山梨 | キタダケソウ | 6月下旬 | 標高2位の北岳に咲き、登山界隈でもハヤチネウスユキソウの次くらいに有名な固有種 雪が残る時期なので、登山難易度は高い |
17 | 白馬岳 | 長野 富山 | 色々 | 7月が最盛 | 高山植物を代表する山。 10種以上の「シロウマ」を冠する固有種が存在。 どちらかというと、固有種ではなく、ウルップソウやツクモグサなどを目当てにする人が多い。 |
18 | 天城山 | 静岡 | アマギシャクナゲ | 5月中旬 | 伊豆半島固有のシャクナゲ 天城山は基本的に樹林帯だが、開花時期は華やかになる |
19 | 白山 | 石川 | 色々 | 7月 | 高山植物の起源的な山。 「ハクサン」を冠する固有種はたくさん存在する。ハクサンコザクラ、ハクサンシャジンなどその他の山に無数に見られるので、一点を見に来るわけではない。 高山帯の花畑を楽しむ山。 |
20 | 伊吹山 | 滋賀 岐阜 | 色々 | 6月〜7月 | 白馬岳や白山と同じで、高山植物の代表的な山 「イブキ」を冠する固有種がたくさん存在する。山頂は観光地なので、登山者だけでなく観察できる。 |
21 | 伯耆大山 | 鳥取 | ダイセンキスミレ (ダイセンヒョウタンボク) | 5月上旬〜 | 中国山地に咲くらしいが、一応、大山の固有種として紹介 |
22 | 石槌山 | 愛媛 | イシヅチザクラ | 4月〜5月 | 山頂周辺の岩礫帯に咲く固有の桜 石鎚山周辺の山でも自生しているらしい |
23 | 黒髪山 | 佐賀 | クロカミラン | 5月〜6月 | 標高516mながら、複雑な地形と地質によって、珍しい植物が咲く山 |
24 | 高隈山 | 鹿児島 | タカクマホトトギス | 9月〜10月 | 大隅半島の湿った岩場に自生 |
25 | 宮之浦岳 | 鹿児島 | ヤクシマシャクナゲ | 5月下旬 | 屋久島の標高1300m付近より上部に咲く固有種 年中緑の屋久島の高地が、この時期だけ白やピンクに彩られる |
調べてみたところ意外と固有種の花が存在しました。北から南、全国的に有名な山からローカルな山まで、固有種が咲くようです。固有種と言ってもパターンがあり、一覧では混合しています。
- 単一の山にしか咲かない花(ハヤチネウスユキソウ、キタダケソウなど)
- 複数の山にしか咲かない花(ツクモグサなど)
- 冠がついて広範囲に分布する花(ハクサン~など)
もし、登ろうと思っている山に固有種の花がある場合、咲いている時期に登って、発見できれば、その山の思い出が一つ大きくなるかもしれません。
VERYBLUE
掲載されている花以外にご存知の方がおりましたら、コメントしていただけると助かります。
一覧に追加させていただきます。
ちなみに自分は、リシリヒナゲシ、ハヤチネウスユキソウ、ヤハチネウスユキソウ、チョウカイアザミ、バンダイクワガタ、カッコソウ、アマギシャクナゲを見たことがあります。
北岳のキタダケソウとアポイ岳のヒダカソウは見てみたいなぁ。
コメント
筑波山に固有種の花があるんですね、驚き。
軽く調べたところ、山頂付近に咲いているようで。気になりますー。
コメントありがとうございます。
自分も調べて初めて知りました。あんなに有名な山なのに、全く売りにしてませんね。
花の写真を見ましたが、小さくて群生するわけじゃないからでしょうかねえ。