2018年8月4日
福島県の会津駒ヶ岳に行ってきました。標高は2133mです。
尾瀬国立公園に属していて、最大の魅力は山頂に広がる高層湿原です。豪雪地帯のため6月下旬までは雪が残るため、7月から8月の緑に覆われる季節が登山者で賑わいます。会津駒ヶ岳の山頂よりさらに奥の中門岳にかけては、地糖が増え、高山植物の花が多く咲きます。
苗場山、巻機山、田代山、燧ヶ岳など高層湿原の山は、上信越・尾瀬に数多くあります。しかし、会津駒ヶ岳はリピーターが多く、不思議に思っていました。過去に2度ほど登っていますが、晴天とは言えずで、改めて会津駒ヶ岳の魅力を探りに、8月の真夏日に旅してきました。
会津駒ヶ岳について
地図
駒ヶ岳登山口から会津駒ヶ岳と中門岳の往復コースです。
会津駒ヶ岳 登山
会津駒ヶ岳の登山口がある福島県の檜枝岐村
会津駒ヶ岳のある檜枝岐村にやってきました。今回は実家のある栃木県の宇都宮市からスタートしたので、高速を走らず下道だけでアクセスできます。それでも3時間かかるので、遠いのですが…。
ちなみに今回は母親を連れた登山です。
会津駒ヶ岳の登山口は実質一つ。
朝7時に到着したら、ずっと下まで満車でした。会津駒ヶ岳の登山は可能な限り早く出発が鉄則です。
2018年の夏は異常な猛暑日続きで、この日も30度を超える真夏日でした。
会津駒ヶ岳のコースに不安はないけど、熱中症だけが怖い。水分を4リットルくらい、8割を凍らせて挑みます。
とろける夏に登る、ブナの樹林帯
「いきなりステーキ」ならぬ「いきなり階段」でお馴染みの会津駒ヶ岳の登山口です。天国の階段となるか、地獄の階段となるかは、天気と体調次第。
ブナの木が生える登山道なので、白い幹と緑のシャワー、清らかな自然空間に癒されます。しかし、それは歩き始めて10分くらいの話。
会津駒ヶ岳の登山道は8割5分は樹林帯なので、写真で見た高層湿原を頭に浮かべながら、黙々と登ることになります。
歩き始めて1時間半ほどで、休憩ポイントに到着しました。ポカンと空いた空間で、3台ほどのベンチが設置されています。
山頂まで2.9㎞の地点。ちなみに少し下った場所に水場があります。
それ以降も樹林帯が続きます。
ブログ的には絵の変化がないので、写真2枚ですが、樹林帯を結構長い時間をかけて歩きます。ここらへんで、母親がバテはじめてかなりのスローペースへ。
階段から木道に変化してくると、展望が開けてくるようになりました。直射日光も凄いけど…。
「止まるな!!足を動かし続けろ!!!」
スパルタで母親を鼓舞します(※会津駒ヶ岳をリクエストしたのは母親)
会津駒ヶ岳らしい、ゆるやかで緑の稜線が見えてきました。残雪、紅葉と登りましたが、7月~8月の夏が似合う山だなと思います。
ようやく前方に小屋が見えてきました。
1500m付近を越えてくるとオオシラビソの樹林帯になります。太平洋側ではシラビソ、日本海側の多雪地域ではオオシラビソになるらしいです。
オオシラビソの球果は、黒とも言えない不気味な色をしていて、良くないものが生まれてきそうな卵みたいだ。オオシラビは冬になると樹氷になる木で、日本の固有種です。分布や生態など、調べてみると面白い植物です。
草原の中にぽっかり空いた池塘が見られると、高層湿原の雰囲気がグッと増してきました。会津駒ヶ岳と言えばの風景はここから。長いプロローグです。
8月なので高山植物の花のピークは過ぎていたが、縮れたワタスゲ、キンコウカなどが楽しませてくれる。
植生保護の看板の字が、シンプルだけど奥深さがある例の詩のように書かれている。自然を壊してはいけない、人間だもの。
オオシラビソの樹林帯を抜けると、牧場のような草原に伸びる木道。会津駒ヶ岳の眩しいばかりのグリーンロード。
オオシラビソの樹林帯を抜けると、展望が広がり周囲の山を見渡せるようになります。会津駒ヶ岳のお隣にある燧ヶ岳がやはり目立ちます。
日光連山も見える。一般道が通っているから気付かないけど、北アルプスよりずっと山深いエリアだと思う。
駒の小屋に続く道。山の輪郭は直線的なものがなく、カートゥーンアニメのような丸みを帯びています。
見渡す限り滑らかな優しい風景。そういうところが、会津駒ヶ岳の最大の魅力なのかも知れない。
木道のわきにはトウモロコシみたいに実がついた植物が生えていました。コバイケイソウかな?
遮るもののない高層湿原は、真夏の日差しが無情にも降り注ぎ、汗が止まりません。標高2000mを感じさせない暑さです。稜線に差し掛かるにつれて、涼しく気持ちよい風が吹いてきました。
会津駒ヶ岳に唯一ある山小屋の「駒ノ小屋」に到着しました。
ベンチには既に下山している登山客が休憩していて、空いているスペースはありませんでした。
駒ノ大池に移る夏空と緑の高層湿原エリア
ここに広がる駒ノ大池は、会津駒ヶ岳を象徴する風景です。奥に見える山が、会津駒ヶ岳の本体です。微風だったので、湖面に風景がリフレクションしていました。
駒の小屋でバッジを買うのは後にして、先に山頂を目指します。逆さ駒の小屋も見ることができます。
母親は何度かリタイアしようとしていましたが、「ここまで来たら山頂に行く」と歩き始めました。まだ、30分くらいは登る必要があるので大丈夫だろうか。
山頂は再び樹林帯の中へ。
高層湿原の広がる山にありがちですが、山頂だけ樹林帯というパターン多い。
振り返ると駒の小屋とその奥には燧ヶ岳。
初めて来たときは山頂に向けて歩いているときに突然ガスが晴れ、燧ヶ岳が見えた時は盛り上がった。同行者が上半身裸になるくらいに。
山頂と中門岳の分岐に差し掛かり、山頂へ。ここだけ藪が異様に濃い。
わっせわっせと樹林帯の間を登っていくと、山頂で話す登山者の声が聞こえてきました。
燧ヶ岳の展望と木に囲まれた会津駒ヶ岳の山頂
12時27分に会津駒ヶ岳の山頂に到着です。
7時半に出発したので、5時間も掛かってしまいました。母親の念願が果たされてよかった。
自分の身長を軽く越える看板の巨大さの割に、山頂のスペースは隈笹に覆われて狭い。虫がぷんぷん飛び交っているので、山頂で休憩をする人は皆無です。
会津駒ヶ岳から見える山々のパノラマガイド。
日光連山や谷川連峰が見えるようですが、オオシラビソ遮られてパノラマかというと疑問。燧ヶ岳は目立つ。右に乗っている石ブロックは記念撮影用のカメラ台だと思います。細かな気配り。
空気が澄んでいると遥か遠くの富士山が見えるらしい。
文字を掘るのにどれくらいの時間かかったんでしょう。豪雪地帯のため、冬になったら埋もれてしまうので、このタイプの看板だと長持ちするかも知れません。
中門岳 登山
ハクサンコザクラとニッコウキスゲの咲くなだらかな稜線
時間的に少し不安ですが、今回はさらに北にある中門岳を目指します。
中門岳へと続く、広々として、開放感に溢れた稜線。稜線マニアであれば、思わずスキップしたくなるような稜線です。
ニッコウキスゲがわずかばかり咲いていて、緑の稜線にアクセントを加えていました。尾瀬では7月下旬が見頃ですが、標高差で見ごろの時期がだいぶ違います。
中門岳に母親を連れて行くと下山が不安なので、先に下山してもらうことにして、自分だけで進むことにしました。
さぁ、ここからは一人で中門岳に向かいます。
片道でも30分~1時間かかってしまうので、時間が許すならですね…。
ここでも池塘がたくさん登場します。
正確には尾瀬エリアではない会津駒ヶ岳ですが、中門岳に向かう道は「思い描く尾瀬像」をしています。
見える山々にも変化があり、北側の方面には横に広い山脈が見えました。たぶん、飯豊連峰だと思うのですが…。
進行方向にはダムの一部(?)が見えました。秘境すぎるダムでお馴染みの奥只見湖なのだろうか?
多少の起伏はあるものの、全体的に緩やかで、軽やかな稜線歩きが楽しめる。時間が遅いため、すれ違う登山者が少なく、不安ではありましたが…。
ハクサンコザクラの群生。会津駒ヶ岳の山バッジのモチーフになっていることから、代表的な花です。
先端から少し枯れはじめていたので、見ごろは1週間~2週間前だったかな?でも、立派に咲いていてくれてよかった。
じっくり花鑑賞をしている時間は無いので、先へどんどんと進みます。
枯れかけのコバイケイソを発見。縁が黒に変色してます。コバイケイソの当たり年を引くと、会津駒ヶ岳は完全体になるかもしれないです。
池塘を囲むようにして綿毛を揺らすワタスゲの演出がファンタジー。
ちなみにワタスゲの群生規模で言えば、お隣にある田代山です。燧ヶ岳も見た目が鋭角ですが、池塘があるコースだったりします。
少し大きめな湿原が見えてくると、中門岳の山頂エリア一帯になります。奥の方が高いだろうと思いますが、池の畔が山頂のようです。
標高2000mの水鏡、中門大池の広がる中門岳
12時58分に中門岳に到着。「岳」感はゼロです。
会津駒ヶ岳から早歩きで20分で到着できたようです。中門大池と名が付けられていて、駒ノ池より大きい池塘です。
風もなく、湖面の揺らぎが僅かで、ワタスゲやオオシラビソの木を映し出していました。
大池周辺のワタスゲは終わりかけていて、だいぶ縮れていました。ワタスゲの見ごろは7月中旬ごろでしょうか。
夏雲が空に浮かんでいれば、もっと映える絵が撮れていたかもしえれませんが、多くは望みません。
誰もこないので一人記念撮影しました。中門岳の先にも木道はどこに続いているんでしょうか。謎です。
山頂と巻き道の分岐点まで戻ってきました。先に帰らせた母親が心配なので、急いで追いかけます。
振り返る中門岳の稜線は、日本の登山界屈指のロードだと思います。
山頂を挟んで駒の小屋側とで景色がガラリと変わるのが面白いです。
北アルプスで槍ヶ岳がシンボルであるように、尾瀬、上信越、日光あたりの山域では燧ヶ岳がシンボル的な存在に思えます。
予約の取れない駒ノ小屋とオリジナルグッツ
駒の小屋でトイレ休憩と売店に立ち寄り。週末は人気で、直前では予約が取れない小屋です。常連の登山者がいるようです。
登りの時に見た看板のように相田みつを風な詩が書かれたTシャツと手ぬぐいが販売されています。
「とんでもない。私は山に行きますよ。」「金もいらなきゃ出世もいらぬ。山さえ登れりゃご満悦。」
刺さる人には刺さるようで、ファンが多い気がします。
(お金は欲しいかも、人間だもの…。)
バッジは2種類あり(2018年時点)、会津駒ヶ岳と中門岳のバージョン。今回は中門岳のバッジを購入しました。
入口の熊がインパクトある。
外に置いてあった謎の置物。赤べこならぬ白べこか?
もう一度、会津駒ヶ岳を拝んで下山を開始します。もし次来るときは泊ってみたいです。
2か月後、秋になると草原の緑が、黄金色に変わり、熟成された風景を見ることができます。この時は山頂がガスってしまいました。
午後になっても雲が上がらず、夏にしては稀有なくらいの快晴な一日でした。
母親にも無事追いついて下山を開始。いつものことだけど、知らないパーティーに話しかけて混ざっていました。
ピストンなので帰りの行程は省略。午後を回っても気温が下がらず、暑さに挫けそうになりながらの下山でした。ペットボトル6本くらい凍らせてのぞみましたけど、ギリギリでしたよ…。
観光客で賑わう檜枝岐村。
下山後は、日帰り温泉で汗でべとべとになった体を洗い流しました。檜枝岐村全域でアブが大量発生していて、露天風呂が危険な状態になっていたことを覚えています。
珍しいローカル紙パック牛乳があったら飲むのを決めています。今回は南会津の道の駅で「角田牛乳」を発見しました。パッケージでどこが産地がわからない珍しいタイプ。
大田原市で食べるとちぎ和牛、まつ坂のカルビ定食
福島県側の尾瀬帰りに食べる店をいつも悩むのだが、良い店を発見した。大田原市にある「まつ坂」という店。
昭和からありそうな店内で、とちぎ和牛が低価格で食べられる店です。ステーキは3000円オーバーしますが、大体のメニューは2000円以下です。
和牛極上カルビセットをオーダーしました。お肉がたっぷり入って税込1540円です。
このお肉が皇室御用達かはわかりませんが、御料牧場がある栃木県は和牛の質がとても高い。とろけるようなお肉と特製のタレで無限にご飯が食べれます…。
粗めのひき肉が歯ごたえ抜群、シチューハンバーグも絶品です。
檜枝岐村で食べれればよかったのですが、店が閉まっている時間で…。母親の念願だった会津駒ヶ岳の登山を終えて、自宅へと帰りました。
会津駒ヶ岳・中門岳の登山を終えて
会津駒ヶ岳の登山は、計三回いずれも思い出が深く、一度目は豪雨のキャンプから裸の仲間との登山。二度目は山頂でプロポーズ計画がある仲間とすれ違ってしまい、気まずかったのか下山後の車中でプロポーズさせてしまうエピソードがある山です。そして、今回は4~5年かけて母親のリクエストに応えると言う登山でした。
会津駒ヶ岳は雪解けした夏の似合う山だと思います。
雪の残っている6月や10月から始める草紅葉、シーズンごとの魅力はありますが、ワタスゲタやハクサンコザクラが彩るグリーンシーズンの7月~8月こそが、会津駒ヶ岳の真骨頂だと思います。
猛暑日で過酷な樹林帯歩きでしたが、標高2000mの高層湿原は涼しい風が吹き、目に優しいグリーンに溢れていました。3時間続く、単調な登りも許せるほどのご褒美です。
出発を早めにして、稜線歩きが爽快な中門岳まで歩いてみて下さい。
コメント
行きたい!めちゃ行きたい!!
関東からの遠さと、ここまで来たら尾瀬にしようかなと、気を迷わせる檜枝岐村の位置が悩ましい!
コメントありがとうございます。
関東からは遠いですよ…。何より栃木で高速降りてからが異常に長いです。秘境とは思えない道のきれいさはありますけど。
宿泊施設、キャンプ場がたくさんあるので、一泊、欲を言えば二泊以上したいですね!