2014年5月5日
熊本県にある阿蘇山に行ってきました。最高峰の高岳の標高は1592mです。
阿蘇山というのは、火山活動で形成された凹地であるカルデラと外輪山を含む全域のことを指します。カルデラ内部にある高峰のことを阿蘇五岳と呼びます。
GW九州登山の旅2日目。
仙酔峡(せんすいきょう)の登山口から中岳と高岳の周回するコースを歩きました。3時間弱と短いコースにも関わらず、地球をむき出しにしたような地形と噴煙立ち込める火口がまるで別の惑星を歩いている気分になりました。
想定外のアクシデントが発生し、非常に緊迫感のある旅になりました。
※後述しますが、現在は登山規制されており歩くことができません
阿蘇山について
地図
仙酔峡から周回コースを歩きました。
阿蘇山 登山
仙酔峡からスタートする、火山らしい岩だらけの登山道
無謀な登山開始時間ですが、九州にきて阿蘇山に登らないというのは、ガリのない回転寿司みたいなもんです。例えが下手なのは仕様。
登山口から植物は少なく、岩肌しかない異様な景色です。
阿蘇山は活火山です。
特に高岳の周回コースは噴火口にかなり接近します。「火山ガスの対処方法」の看板が立っていました。
荒涼とした岩の斜面にコンクリート舗装された道があります。これがなかなか傾斜がきつくて登るのが大変です。
ただでさえ観光疲れ、前日の登山疲れがあるというのに。
植物が一本も生えていない山肌が新しい火山という印象。
同じ火山である九重山とはまるで違います。
地球とは思えない光景ですが、むしろ新しい山が生まれて間もない剥き出しの姿。
仙酔峡ロープウェイは2011年に運行停止しているので、足で登るしかありません。
単独で下山している3名程度とすれ違いました。こんな時間に登ろうと考えるのは自分達だけのようです。
ロープウェイの頂上駅は完全に廃墟になっていました。
塗料が剥げた外観、割れたガラス、錆びた格子。
その筋の人(廃墟マニア)にとっては垂涎ものではないでしょうか。
内部をじっくり見学したいが、日没も迫っているし、なにより危険だろう。
見通しの利く火山なので高度感は抜群です。
財政難となって運航停止したので、当然撤去する費用も捻出できず、設備は残され続けるのでしょう。閉鎖されるスキー場もそうですが、経済成長期の残滓を撤去するのも大きな課題ですね。
ロープウェイ山頂駅からはバリアフリー構造(?)の歩道になっているので、今までの道より断然楽です。
噴火したときのための避難壕(シェルター)があります。浅間山にもありますね。
ここまで緑が一つも見当たらない火山は初めてかもしれません。
太陽がお目見えしました。
一般的な阿蘇のイメージというと緑の草原が広がる景色ではないでしょうか。
草原があるのは阿蘇山の西側にある草千里ヶ浜です。こちら側も面白そうな登山道があるので、次回のお楽しみというところです。
火山の噴煙に怯えながら、阿蘇山の外輪を歩く
観光整備された道を進んでいきます。
奥まで行くと…。
阿蘇山の巨大な火口が見えました。
近っ!
そして、不安になる煙の量にビビる。普通なら草津白根山や蔵王山のようにエメラルドグリーンの火口湖が見えるはずでは?
煙の向こうは火口を見るための観光施設があります。
「阿蘇山の火山ガスはー」とのん気なアナウンスが聞こえてくるので、まあ安心です。
舗装道は途切れ、中岳まで伸びる登山道があります。
人一人が歩けるくらいの細さです。
地球にノミを刺して、ハンマーでがんがん叩くとこんな景色が作れるのでしょうか。
阿蘇山を象徴とする火口の尾根道。凄いところ歩いてる感。
岩と土しかありません。岩にうっすら苔が付着している程度。
徐々に青空が見え始めてきました。
下界の景色を眺めると途中から緑が広がっています。ここ九州の阿蘇でしか見ることの出来ない景色。
先ほどまで歩いていた舗装道。
ロールプレイングゲームのマップのよう。
歩いているときは良いのですが、写真で並べると少し退屈か。
そんなことは知ったことではないので、関係なく続けます。
くまもんの本丸にひこにゃんが立つ図。
この稜線は登るべき岩がありすぎて進捗状況が全く動かない。
火山にトトロは不釣合い。
中岳に到着。標高は1509mです。
分岐があり、火口をぐるっと回る形で西側に行けますが、周回で戻る手段がないので縦走するしか手はないですね。
さて、最高峰である高岳を目指します。
しかし!!
想定外のアクシデントが発生!!!
アナウンス「火山ガスの濃度が上がっています!お客様は直ちに避難してください!」
これアカンやつや。
火口西側にある施設のアナウンスは噴火警戒レベルが1段階上がったことを告げると避難を促すサイレンを鳴らし始めました。向こう側の連中は車で逃げることができるが、こちとら足で避難するしかない。
日没タイムリミットに加えて噴火レベルからの避難を強いられることになるとは…。
周回ルートの中間点である中岳を過ぎたあたりにいるため、慌てず高岳を経由して下山します。
先日の九重山から見た阿蘇山。
本日はこちらから九重山を見ることはできませんでした。
阿蘇山の最高峰、標高1592mの高岳
阿蘇山の最高峰である高岳に到着。
ここまで来ると第一火口から1.8キロほど離れたことになり、少し一安心。
3人ともエネルギー切れのため、麓のスーパーで購入した若鶏から揚げを補給(3食目)。
九州の唐揚げはどこで食べても美味しい気がする。
最高峰なのに三等三角点。
高岳から下山すると同時にガスに覆われる山頂。ギリギリセーフ。
火口から離れ、サイレンの音も聞こえなくなって来ると少し安心感があります。
仙酔尾根の分岐点に到着しました。
ここでまさかの若いカップルの登山者に遭遇。高岳直下の小さな火口を降りていきました。月見小屋に泊まるようです。
分岐点の先にある「天狗の舞台」という場所が気になるとこですが、時間も迫っていることでカットします。
ユースホステルのおばさんがおススメしていた場所だけに残念。
仙酔尾根をくだります。
単調であることから通称「バカ尾根」とも呼ばれているらしい。九州の大倉尾根(神奈川県の丹沢にある塔ノ岳の登山コースの一つ)ということですか。
砂利道の急斜面で、滑るので危険です。
雨上がり直後さらに滑って危なそう。
浮石だらけで難儀しました。
そして、徐々に日が暮れてまいりました。
九州で販売されているサントリーの天然水は「南アルプスの天然水」ではなく「阿蘇の天然水」です。
ちょっとしたカルチャーショックです。
振り返ると山頂が雲に覆われていました。
かなりのコアタイムに登れたのではないでしょうか。前日の雨予報かつ遅い時間だったので、ゴールデンウィークにも関わらず混雑なし。
結果、火山ガスの恐怖という代償はありましたけど。
バカ尾根という通称通り、岩を降りる作業を繰り返し、尚且つ風景が変わらないので降りている気がしません。
尾根の左側は全てミヤマキリシマのようです。
19時6分になんとか日没前になんとか下山完了。
少しだけ咲いているミヤマキリシマ。
3時間という短い周回コースでしたが、惑星旅行でもしてきたような異世界を楽しむことができました。
最後の最後に見たオレンジと赤が混じりあったような情熱的な夕焼け空は、「火の国」阿蘇の空気感を表現しているようでした。
町に戻ってくる頃にはすっかり真っ暗。
阿蘇駅前にある阿蘇坊中温泉「夢の湯」にやってきました。料金は400円です。
道の駅が近いので、中は結構混雑していました。
入浴中にレンタカーの室内灯が点いているという館内アナウンスがあり、中途半端な状態で一度車まで戻りました。今日はこんなんばっかだな。
宿泊しているユースホステルは温泉からすぐ近くにあります。
ここを拠点にして本当に動きやすかった。
内部はこんな感じです。
共同の部屋は雑然もいいところ。
夕ご飯は、登山前に寄っていたスーパーで買っていた食材で自炊します。
九州に来てすごい楽しみにしていた馬刺しをブロック買いし、スーパーの奥にある肉コーナーで切ってもらいました。
高千穂で食べた高千穂牛が衝撃的な美味しさだったため、熊本県産の和牛を購入して焼肉。
同じく高千穂峡で食べたチキン南蛮がすごく美味しかったので購入。
肉肉しい。
ピーマンは熊本産、映っていませんが夏みかんも熊本産なので熊本尽くしです。旅に出て地元スーパーで食材を購入し、自炊するスタイルはこれからも取り入れて行きたい。
2日目も1日目に劣らず充実疲労困憊の1日でした。食事を終えて、洗物をしたら23時を回っていました。
3日目は観光で宮崎県を訪れ、祖母山に登ります。
阿蘇山の登山を終えて
2014年8月に阿蘇山の噴火警戒レベルが2に上がり、中岳火口1kmに登山規制がされています。よって、現在(2015年3月時点)では記事にしたルートの登山ができないようです。仙酔尾根から高岳のピストンは可能のようですが、万全を期するなら登山は控えた方が良いかと。
阿蘇山の警戒情報は阿蘇市のホームページをご覧ください。
広大な中央に位置する火山本体だけではなく、広大な外輪山と内部に広がる町を含め阿蘇山です。短い周回コースを歩いただけでは、阿蘇山を楽しんだとは言えないので、今度来る時は観光も含めてじっくりと阿蘇山を味わいたいと思いました。
九州を代表する阿蘇山に幸運にも天気が急変し、登ることができて満足の2日目になりました。
3日目は祖母山に向かいます。二日連続の火山歩きで、足にだいぶ疲労がありますけど…。
コメント
赤のウェアはなんか違和感がありますね。
>だのんさん
火の国である九州をイメージしたコーディネートです。
[…] 【九州】阿蘇山 日帰り登山 ~ 地球むき出しの風景、噴煙に追 … 2014-05-05_01324_九州登山旅行.jpg. 2日目の午前中は阿蘇から宮崎県に移動し、高千穂峡(たかちほきょう)を観光してい […]