2020年2月24日
千葉県の烏場山に行ってきました。標高は266mです。
花嫁街道と呼ばれる伝承の残るハイキングコースがあり、標高が低く、里山中の里山ですが、新日本百名山に選定されていることで、一定の登山者に知られた山です。JR内房線の和田浦駅が最寄り駅で、太平洋に面する海岸から近いところに登山口があります。
釣りやサーフィンで海のイメージが強い房総半島ですが、地形を見ればほとんどが山岳。
高い山がないだけで、たくさんのハイキングコースがあります。鋸山、富山あたりは登っているので、新規開拓の意味で、烏場山に白羽の矢が立ちました。
都心から行くにはかなり離れた場所ですが、ご当地グルメや観光を織り交ぜて、ディープな千葉を旅してきました。
烏場山について
地図
登りを花嫁街道、下りを花婿コースを利用しました。花嫁街道入口に数台の駐車スペースがあります。
和田浦歩こう会の地図を参考にしました。
コースタイム
- 9:36花嫁街道入口
- 11:05駒返し
- 11:39烏場山
- 12:58黒滝
- 13:15花嫁街道入口
行動時間は3時間39分でした。
お昼休憩などはせず、ゆっくり目のペースで歩いていました。
烏場山(花嫁街道) 登山
最寄り駅は内房線の和田浦駅、太平洋に近い登山口
自分は車で行きましたが、烏場山の最寄り駅はJR内房線の和田浦駅になります。房総半島の南端に近い場所にあるので、東京駅からアクセスすると、2時間半~3時間かかります。東京と隣接する千葉とは言え、下手なところより遠い場所です。
和田浦は外洋に面し、サーフィンの聖地である鴨川に近く、サーフスポットで有名(らしい)。
パワフル、かつリップあり、バレルありのインドネシアを思わせるような波
和田浦の紹介文、ちと、何言ってるかわかりませんが、要は「いい波乗ってんね~」って場所らしい。と言うわけで、登山を目的に訪れるのは、極々少数派というわけです。
だからと言って、登山者を蔑ろにしているわけではなく、自治体のホームページには地図をPDFで用意しており、現地には案内の看板もあるので、登山者ウェルカム感があります。
国道128号線から狭い路地を進んでいくと、烏場山の登山口があります。駐車場と呼べる立派なものは無く、空いたスペースに駐車する感じです。海岸沿いのヤシの木ならぶ南国ムードから一転である。
登山口にはしっかりトイレがあるのでご安心ください。山頂の手前にもトイレはあります。が、後述しますが、ちょっと難がありそうなので、済ませておくことを推奨します。
台風の爪痕が残る花嫁街道、ぐるっと周回コースを歩く
烏場山を登山すると言うより、「花嫁街道をハイキングする」って方が、目的としてはメインのようです。「和田浦歩こう会」によって、このハイキングルートは支えられているようです。
登りに「花嫁街道」、下りに「花婿コース」で周回するのが推奨されているコースで、自分もそれに則りました。標高265mの山ですが、コースタイムは3時間~4時間もかかります。傾斜は緩く、全体的に横移動することが想像できます。
入口からよくある里山の雰囲気。杉林と竹林の間を進んでいきます。
2019年に発生した台風15号の影響で登山道はかなり荒れていて、場所によっては森が傾いているように倒木がありました。倒木は整備が入っていて、歩くには支障はありませんでした。
斜面が崩れている場所がありましたが、ロープが張っているので安心でした。とても、ありがたいです。
太平洋沿いの山なので常緑樹の割合が多い。鎌倉周辺の植生と似ているようです。
登山口をスタートして1キロ地点、第一展望台に到着します。しかし、展望できるのは相変わらずの杉林。展望台だからと言って遠くの景色がみえるわけではない、新しい概念でした。
登っている感覚がまるでないまま、横移動がずっと続きます。
第一があれば、当然第二がある。第二展望台に到着です。
ここでようやく海、太平洋を眺めることができました。沖に漁船が停泊していて、漁の最中のようです。
展望台で少し休憩したら先へ進みます。崩落している箇所があり、丸太橋がかけてありました。台風の威力を物語っています。
ねじまがった樹林帯。海風に倒されないようにしっかり根が張っています。
途中に経文岩というポイントがありましたが、岩は植物に浸食されて、森に帰りかけていました。50年前までは梵字(仏教寺院で使われているインドの文字)が彫られていたようです。
2月下旬ですが、木々から新芽が出ていました。房総半島という温暖な地域ならではですね。
駒返しに到着しました。
ジェットコースターを乗る前の身長制限のように、馬が通れないほど険しい道になることをお知らせするポイントですが、この先は別にそうでもなかったぞ?
駒返しから僅かばかり歩くと、ジェンダーフリーな斬新なデザインのトイレマークがありました。
とてもバイオトイレには見えない外観です。戸を開ける勇気がなかったので、ご覧になった方は感想を下さい。
トイレの先には見晴台がありました。山頂はちょっと狭いので、お昼休憩をがっつりとる場合はここになります。
片側の斜面だけが開けているパターンです。
見晴台からは展望がありますが、正直、千葉の山の判別がつかぬ。
これは千葉県の最高峰である愛宕山でしょうか…。自衛隊の基地の中にあり、許可すれば登らせて貰えるとか。
う~ん、なんの山だろう…。
五十嵐との分岐点に差し掛かりました。左側の斜面の下から犬の鳴き声がずっと聞こえていたので、山頂までの最短ルートっぽい。
見晴台から300mほど歩くと第三展望台に到着しました。第二は海でしたが、第三はのどかな里山風景が広がります。
チェックポイントを刻む割には、山頂が一向に近づかないので、まだなのかと苛立ち始めたのがこの頃です。
そして、ようやく山頂がこの先にあることを示す「カラスバ山」看板(ややこしい)があり、階段を登ると烏場山の山頂へ。
花嫁が縁結びをしてくれる、新日本百名山の烏場山山頂
烏場山の山頂に到着しました。
コースタイムが短い割に結構歩いた感じがあります。山頂は8畳ほどのスペースで、展望は…です。看板に「新日本百名山」の表記があります。この百名山に権威があるかは、今一よくわかってません。
香川県の飯野山でも推してたので、PR効果あるのかな?
伊豆大島、清澄山、三宅島、富士山など、烏場山の山頂から見える対象の看板がありますが、残念ながら何も見えない。
そしてこの山頂の名物「男女年齢を問わず縁結びを受け承ります」のおふく像があります。
花嫁なのかは定かでありませんが、ご祝儀を渡しておきました。お金を見る眼力が怖い。
首のかしげ具合と白目が恐怖を与えてくるんだが…。ご祝儀あげないとチャッキーのように襲ってこないよな…。
お昼ご飯も下山した後で食べる予定なので、ささっと写真だけ取って下山します。下山は花婿コースです。
下山コースにも少し開けた見晴台がありました。ここからは海が見える。下山後の店の時間も心配なので足早に通り過ぎます。
途中に金比羅山という山を通り過ぎます。香川県にある金比羅山と関係ある?
花婿コースは小さなアップダウンがありながらも登りと同様に平坦な道でした。台風の影響で、所々、荒れているところがありましたけど、登り程じゃなかったです。
小さなお社がありました。金比羅山のものかな?山に設置されてるお賽銭は、一体誰が管理しているんだろうと思う。
登山道はここで終了。
んで、ここで気付いたけれど登りのコースは通行できなかった模様。入口には何もなかったから下山に使うのが不可だったのかも。
千葉では珍しい垂直に落ちる落差9mの黒滝と渓谷ハイキング
登山道を終えると、黒滝がありました。花嫁街道~烏場山のメインディッシュと言ってもいいポイントで、南房総市の名勝地。落差9mの滝です。水しぶきで濡れた黒い岩肌を流れているから黒滝、なのかはわかりません。
しっかり組み立てられた木造の階段と屋根のある展望台があり、一応は観光地として整備されています。落差9mの滝は、山に登ればよく見られる規模の滝ですが、標高が低い千葉県では珍しいようです。
周囲を崖に囲まれ、聞こえるのは滝の落ちる水音だけ、秘境を訪れた雰囲気がムンムンで、とても気に入りました。
「向西坊入定窟」と書いてある建物がありました。
赤穂四十七士が本懐を遂げた後にその霊を弔おうと、浪士の一人、片岡源五右衛門高房の下僕であった元助(向西坊)が断食をし、念仏を唱えながら自ら入定した岩窟です。
赤穂浪士はわかるが、その一人の下っ端…。バラエティ番組で紹介されて「誰?!」ってなる地下芸人クラスでは…。あ、ごめんなさい。
歴史に詳しくないので、もしかすると有名だったらごめんなさい。
黒滝から駐車場に戻りますが、川の方になにやら板が立てかけている?看板もあるし、もしかするとあそこがルートなのだろうか…。
やはり、そうだったみたいで、渓谷を歩きます。尾根道を歩いていても、町から響いてくる音が聞こえていたのですが、ここは非常に静かで、水の流れしか聞こえません。
水辺ギリギリのところに板やブロックが置かれていて、その上を歩くなかなかにアドベンチャーな道です。増水したら水没しているんじゃないだろうか…。
標高200mの低山でしたが、終盤に滝や渓谷歩きが出来たり、なかなか変化に富むコースでした。
13時5分に黒滝入口まで来るとゴールです。後は駐車場まで舗装道を歩きます。
誰も利用していなかった公園にあったベンチ。コアラの顔が恐怖である。公園にたまに狂ったデザインの動物いますよね?
種類は不明だけど、南国の木が植えられた畑。海の植物みたいに生えた葉が、なんだか気持ち悪い。
妙に蜂が飛んでるなと思って、養蜂場が隣にあって、あっせって駆け足で通り過ぎた。
そんなこんなでグルっと周回して、13時15分に駐車場に到着。9時36分に出発したので、3時間39分の周回でした。
ランチタイムを営業しているギリギリの時間なので、急いで移動します。
日本で5つしかないクジラ漁の港、和田浦でくじら御膳を食べる
登山後にくじら料理を食べる。こいつぁ、なかなか出来ない体験です。
これが烏場山を訪れた大きな要因の一つ。くじらベーコンは居酒屋で食べたことあるけど、ちゃんとした料理は食べたことないので楽しみ。ちなみに、日本の捕鯨は和田浦含む5つの港でしか認められていないようですね。
7~8組で満席になりそうなこじんまりとした店です。お目当てのくじら御前メニューは、松竹梅あり、2000円、3000円、4000円の3種類。そこそこの値段はしますが、奮発して竹にあたる「花嫁街道」の御前をチョイス。
提供まで少し時間がかかりました。並んだ小鉢が中々に豪華な御前です。
ミンク鯨の赤身と皮の刺身、鯨のカツとつち鯨の竜田揚げがメインで、左にあるビーフジャーキーみたいなものは、鯨のやきやき(タレ焼き?)、その日右の白いものが尾羽サラダ、鯨の佃煮があります。
登山後に食べるには申し分ないくらいのボリュームです。そんなに歩いてないけど。
初めて食べる鯨料理、とても美味しかったです。
牛の赤身や馬肉と例えられるようですが、ちょっと違っていて、臭みのない肉の旨味がじわーっと広がります。皮の刺身の脂っこさも、赤身の刺身と併せてトロリと食べられます。鯨カツと竜田揚げはソースを掛ければ、完璧なご飯のお供。
こちらは2000円の「黒滝」の御膳。
「鯨はお肉の変わりに学校給食で良く出ていた」と、両親から聞かされていましたが、肉の代わりじゃなくても、十分メインになれる食材だなと感じました。
捕鯨シーズンは6月~8月の夏なので、その時に来るとより美味しく食べれるのかもしれません。登山はちょっと厳しいかもしれませんが。
和田浦の道の駅にはくじらの骨格模型が展示されているので一元の価値あり。くじらがデザインされたものって好きなので、Tシャツとかコップとか結構持ってます。食べといてなんですけど。
道の駅では房総半島の名産が売っていました。集めているのを一人しか知らない旅酒も売っていました。
和田浦の道の駅の後は、さらに南下し、房総半島最南端の野島崎を観光しました。”〇〇端”って響きが好き。関東地方の最南端でもある。てっきり神奈川が一番南にあるものだと思っていた。千葉は東京寄りに偏っているけど、実は大きい。
房総半島の南を満喫する一日を終えて、アクアラインで東京へと帰りました。木更津あたりで無事に渋滞に嵌り、千葉の渋滞をなめてはいけない。
登山後の戦利品です。みかんは見かけたら必ず買う。あおさのみそ汁がとても好きなので、切らしてると必ず買います。イカ刺し明太、みかんといちごのジャム、ご飯とパンの消化に困らなそうだ。
烏場山(花嫁街道)の登山を終えて
千葉県の登山者が千葉の山を登ったことがないってのはよく聞く話で、千葉県は登山の不毛地帯。各都道府県の最高峰においても一番低く、沖縄より低いのです。
それですが、千葉の山に登るとそれなりに満足して帰ることができます。日帰りですが、「旅したなー」って実感がわくのは、海を渡っているからなのか、不思議です。
烏場山はそれこそ東京から八ヶ岳に行くくらいの時間が掛かるので、移動距離の選択肢から除外されてしまいそうですが、和田浦は実にいいところなので、訪れてみて下さい。電車で行く場合は、18きっぷを利用すると安上がりに澄みますし、何なら人数を集めてレンタカーで行くことをおススメします。
都心では味わえない房総半島のゆったりとした時間と南国ムードはとても気に入ったので、また新しい千葉の山を見つけて出かける予定です。
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