2021年6月12日
長野県の入笠山に行ってきました。標高は1955mです。
展望・花・お手軽と三拍子そろった山で、6月中旬のすずらん群生地の開花のベストシーズンには、観光客とハイカーがたくさん集まります。また、入笠湿原では多様な高山植物、保護区画ではホテイアツモリソウなどの貴重な花がみることができます。
初心者入門向けの雪山なので、2回ほど訪れたことがあった入笠山。やはり、グリーンシーズンにも訪れておきたい山でした。
今回は3年ぶりに登山をするメンバを誘ったので、お手軽に登れる山が命題でした。時期的にすずらんの開花している時期だし、以前から食べたかったマナスル山荘のビーフシチュー、金精軒の水信玄餅を食べるため、旅してきました。
入笠山について
地図
富士見パノラマリゾートのゴンドラ頂上駅から山頂を往復しました。
ベストシーズン
入笠山の代表する花がすずらんであるため、すずらんの開花時期がベストシーズンと思われます。
日本すずらん(6月上旬~6月下旬)、ドイツすずらん(5月下旬~6月上旬)なので、ベストシーズンは6月上旬だと思います。
- 日本すずらん
- ドイツすずらん
- クリンソウ
- ズミ
- ホテイアツモリソウ
- レンゲツツジ(咲き始め)
上記の花が咲くのが、6月上旬です。
入笠山ハイキング
夏限定と30分の賞味期限、山梨県「金精軒」の水信玄餅
登山開始前にデザートを食べる日があったっていいじゃない?
金精軒は山梨県の台ヶ原という場所にあり、甲州街道の宿場町です。賞味期限30分というふれこみで話題をさらった「水信玄餅」が名物になってます。数年前から食べる計画はあったものの、登山との時間とマッチせず、帰りに寄ったら売り切れていたり、個人的に幻の食べ物にリストアップされてました。
そしてたら、あっさり買えた水信玄餅。値段は500円。
例年は冷たいお茶と一緒に提供されるみたいですが、コロナ禍で南アルプスの天然水のペットボトル(ハーフサイズ)がもらえました。
無色透明でプルプルしてます。
味は説明しにくいけど、スーパーで売ってるわらび餅を、自然な甘さに仕上げ、トロリと溶ける食感でした。”水”を味わうって表現で間違いないかと。
ただ、一般的な信玄餅の方が美味しいけどね。
台ヶ原の中心は七賢という酒蔵。創業300年以上の歴史があるらしい。日本酒に疎いですが、一本買って帰りました。
甲斐駒ヶ岳、日向山、入笠山などの登山口から近い場所にあるので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ゴンドラに乗ってトレッキング、高山植物咲く入笠湿原
10時45分過ぎに入笠山の登山口となる富士見パノラマリゾートに到着。登山開始としては遅い時間ですが、山頂まで1時間ちょっとなので、この時間でも問題なし。
誤算だったのがゴンドラの20分待ち。
入笠山ハイシーズンなので、観光客が多いのは当然ながら、マウンテンバイク乗りが並んでました。夏はゲレンデの脇がコースになるようです。
入笠山の人気っぷりを感じつつ、ようやくゴンドラに乗車。何気に10分以上乗車する長いゴンドラです。
ゴンドラ山頂駅に到着すると、八ヶ岳がドーンと見えます。
11時過ぎともなると下山している登山者もチラホラいて、売店で買った名物のルバーブ味ソフトクリームを食べています。
入笠山ハイキングコース入口は目の前にあるので登山開始。まずは、15分ちょっとの入笠湿原を目指します。
ハイキングとマウンテンバイクのコースが並走。登山してからマウンテンバイクで下山、そんな人もいるのだろうか。
入口にしていきなり幻の花が保護されている区画があります。ホテイアツモリソウというボリューム感のある紫色の花が咲いていました。
希少性と価値の高さで、乱獲と盗掘で絶滅危惧種になっている花だそうです。公式ページによると日本国内に自生している数は100の個体しかないとか。
入笠湿原は登山口から低い位置にあるので、登りではなく下りから始まります。
木々の開けた空間に出ると入笠湿原。4~5方向から木道が整備されていて、くぼんだ地形に湿原が出来ています。
季節ごとにたくさんの花が開花し、パンフレットにはたくさんの高山植物が掲載されてます。今回、訪れた6月中旬は日本すずらんやズミの花が目立ってました。
沢が流れているところにはピンク色のクリンソウが咲いていました。ポップな見た目で、とても可愛い。
マナスル山荘で食べる名物のビーフシチュー
マナスル山荘のビーフシチューと言えば、登山界隈では定番メニューの一つ。数量限定で予約必須のため、事前に電話で確保していました。
ゴロンと煮込まれた牛のほほ肉。
厚切りのポテトと野菜の素揚げがごろごろ入っていて、ボリュームがすごい。これは人気なのも頷ける。
ビーフシチューが売り切れでも、その他のメニューも魅力的です。こちらはポークソテー定食。超厚切りの豚肉がスキレットで焼かれていて、甘辛のソースでご飯が進みます。
虫が飛び交っているのをのぞけば、最高の食事でした。まだ、山頂にも立ってないのに。
こちらはマナスル山荘で飼っているワンコ。
ご主人以外に興味がないようで、ご主人が行き来する時だけ外に出てきて、ご主人が見えなくなると家の中に入っていきます。
360度の豪快な展望、入笠山の山頂へ
お腹いっぱいで「もうこのまま帰ってもいいんじゃないか」と思いつつ、マナスル山荘から入笠山の山頂を目指します。看板によると約30分の道のりです。
今までは車も通れる砂利道や遊歩道だったのですが、ここからは登山道に変わります。
グレゴリーのザックで登山の格好をした彼氏、タウン用のリュックでラフな彼女。彼女を山デビューさせようと試みるのが、この入笠山なのかもしれない。
岩場コースと迂回コースの分岐点。
彼女を連れた登山メンズは、きちんと迂回コースを選択していました。
我々は「こっちの方が近そう」という理由で、岩場コースを選択しました。
岩場コースは、一歩間違えば命を落とし兼ねない…。
というわけもなく、その鎖必要なの?と思うくらいの岩場でした。
上まで来るとレンゲツツジの朱色の蕾がついている株がありました。6月下旬はレンゲツツジシーズンに変わるようです。
マナスル山荘をスタートして20分弱、山頂が見えてきました。
入笠山の山頂に到着です。
入笠山より西側に雲が掛かっちゃってるけど視界は良好です。お手軽な山頂ながら、展望は抜群に良いです。
何かしらの尾根の向こうに富士山が見えました。富士見町と言う地名は、やはり富士山が見えることに起因するようだ。
麓からばっちり見える八ヶ岳。
八ヶ岳に関しては、ロープウェイ降りた場所でも見えていて、何なら駐車場からも見えているけど。
中央アルプスや南アルプスの標高2800~3000mの高峰が見え、雲が無ければ北アルプスも見えるようです。
ゴンドラから1時間のトレッキングで、これだけの豪快な展望。これは、彼氏がデートで選ぶ山になるのもわかる。
「あそこに見える木曽駒ヶ岳、ロープウェイで登れるから、いつか行こうね。」とか言っちゃってるのかな(知らんけど)。
すずらんの群生とたくさんの高山植物の花
この時期の中心的な存在は「日本すずらん」で、入笠花畑に咲いています。
すずらんは芳香剤の香りに使われているせいか、身近に咲くイメージだったけど、野生のすずらんは寒冷地で咲くようです。なので、標高の高い長野県や、東北地方と北海道に分布しているみたい。
すずらんは可愛らしい見た目とは裏腹に、毒性の植物だったりする。
ニラのような味がする行者ニンニクという山菜と似ているので、間違ってすずらんを食べ、中毒を起こすニュースは毎年恒例になっています。
すずらん以外にもたくさんの高山植物の花が咲いています。ゴンドラを利用すれば、花の写真付き散策ガイドBOOKがもらえるので、それと照らし合わせながら歩くといいかも。
山彦荘の花壇に咲いていた黄花アツモリソウ。寄生虫のような、蛾のような見た目がきも可愛い。
黄色い花のウマノアシガタは湿原の一角を黄色に変えるほどの群生を作ってました。
もっと、時間をかけてじっくり回りたかったと後ろ髪をひかれつつ、ゴンドラ乗り場へと戻ります。
3時間40分ぶりに入口に戻ってきました。
1時間弱は食事をしている時間だった気がするけど…。
名物のルバーブ味のソフトクリームを食べました。梅のような酸っぱい味でした。
ルバーブは富士見町の特産の野菜みたいですね。普段は見ることない野菜だけど、山の帰りの道の駅とか温泉の売店で、ジャムとして売っているのをよく見かける。
冬はゲレンデの場所にスズラン群生地があります。八ヶ岳をバックにびっしりと小さくて白い花が咲いています。
これだけのすずらんが咲いていると、匂いがかなり漂ってます。ちょっと、青臭いかな?
ゴンドラの乗り場にある入笠すずらん山野草公園に咲いているすずらんは「ドイツすずらん」になります。
日独のすずらんの違いは、ぱっと見ではよくわからない。ピンと茎が張っていて、花の主張が強いのがドイツすずらんらしい。
入笠山を花の時期に登るなら、すずらんの時期と決めていたので、タイミングばっちりな週末でした。
回れる場所はあったのですが、帰りの時間が不安だったので、ゴンドラに乗車し下山しました。往復チケットを購入した人は、山野草のプレゼントをしていて、3種類持ち帰りました。来年までに枯れてしまう確率は高い。
入笠山の登山者が、ほぼほぼ利用であろう「ゆーとろん水神の湯」で入浴しました。
男子風呂はそこまででしたが、女子風呂は芋洗い、ドライヤーの奪い合いになっていた様子。入笠山は女性比率が高めなのかもしれない。
八ヶ岳連峰を眺めながら帰宅。
中央道はそれほど混雑しておらず、いつものボトルネックポイントで5キロほど渋滞していたくらいで、20時前には帰宅しました。
入笠山の登山を終えて
入笠山って地理的には南アルプスに属しています。ただ、南アルプスってどでかい面積を保有しながら、湿原や池塘のような水が滞留する場所なくて、唯一、入笠山にしか存在しないようです。そういう意味でも、特異な山だったりします。
至る所に人工感がありますが、貴重な自然を手厚く保護されてるってことなんですよね。
短時間ながら見どころしかない素晴らしい山でした。
自分が全くの素人・初心者で、この入笠山に連れて来られたら「おや、登山っていい趣味なのかも?」と思っていただろうと思います。
6月の入笠山。すずらんの群生をはじめ、入笠湿原に咲く花は見ごたえがあり、マナスル山荘のビーフシチューもすごく美味しかった。ただ、時間を掛けられなかったのが残念で、また来ようと強く思いました。
入笠山の雪山の記事
冬に入笠山を登った記事です。
雪山初心者の定番の一座として知られています。
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