
2025年6月28日
長野県の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)に行ってきました。標高は2956mです。
長野県南西部に連なる中央アルプスの最高峰で、氷河が造り出した千畳敷カールや高山植物の宝庫として知られています。駒ヶ根市からロープウェイを利用すれば山頂まで約2時間で到達でき、初心者からベテランまで多くの登山者に親しまれています。

2012年8月の夏山と2016年3月の冬山で木曽駒ヶ岳を訪れていますが、これまで初夏の高山植物が咲く季節には訪れたことがありませんでした。
7月以降は混雑すると考え、比較的空いているであろう6月下旬を選び、梅雨の晴れ間を狙って9年ぶりに旅してきました。
木曽駒ヶ岳 日帰り登山
コースタイム
- 9:05千畳敷駅
- 9:50乗越浄土
- 10:48~11:28駒ヶ岳山頂
- 13:00千畳敷駅
行動時間は3時間55分でした。
「菅の台バスセンター~(バス)~しらび平駅~(ロープウェイ)~千畳敷駅」の往復で4200円です。(※2026年時点、時期で変動)
真夜中から順番待ち、駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷

木曽駒ヶ岳の朝は早い…。夜が明けぬ未明の「菅の台バスセンター」にて、ロープウェイの「しらび平駅」行きのバスの順番待ちが始まります。
ザックを置いて順番を確保するシステムですが、別にザックじゃなくても良い気がする。

夜が明けるとゾロゾロと仮眠明けの登山者が集まって、駐車場の奥まで行列が続きます。

6月下旬はまだマシな方で、最盛期の夏休み、紅葉期間中は一体どうなっちゃうんでしょうね。


始発7:15のバスに乗り込みます。
夏は日が長いし、早朝5時、なんなら日の出に合わせるくらいの時間から運行してもいいんじゃないかと思う。ただ、人員の確保が大変か……。

しらび平駅に到着し、ロープウェイに乗り換えます。早朝の登山者は、とてもせっかちなのでバスを降りたら小走りです。


通勤ラッシュ時の田園都市線や東西線なみの密度で乗り込むので、窓からの景色を楽しむ余裕はありませんでした。

早朝から計画的に乗車する登山者は、ロープウェイの感動もなく、さっさと下車します。
往復料金が高いと感じるかもしれませんが、世界的に見ればかなり安い方らしいです。調べたところ、スイスは3~4倍します。

ロープウェイ千畳敷駅から一歩外に出ると、「千畳敷(せんじょうじき)」のダイナミックな風景が広がります。ここ千畳敷駅の標高は2612m。日本アルプスや八ヶ岳の山頂などを除けば、国内にこの高さの場所はありません。

勘違いする人がいますが、ここから駒ヶ岳は見えません。正面の山頂は「宝剣岳(ほうけんだけ)」です。この日、麓の駒ヶ根市は気温32℃と狂ってましたが、さすがに涼しいです。

出発前に信州駒ヶ岳神社を参拝します。本宮は山頂にあり、こちらはロープウェイが開通した1967年に合祀(ごうし)・整備されました。
67年は日本は高度経済成長期の真っ只中、ビートルズが名盤「サージェント・ペッパー」をリリースした年ですね。

よく見ると雷鳥(らいちょう)が彫られています。
猿が山頂まで登ってきたり、駒ヶ岳の雷鳥は絶滅間近と言われていましたが、復活の兆しがあるようです。運が良いと見れますが、その時は天気が悪いはずなので、運が悪いかもしれません。
千畳敷カールを見ながら八丁坂を登る

それでは、9時9分に駒ヶ岳を目指し、千畳敷を出発します。

千畳敷には、観光客でも気軽に歩ける、1周1時間ほどの周回散策コースが整備されています。

黄色い花の「ミヤマキンポウゲ」が咲いていました。
千畳敷は「カール(圏谷)」と呼ばれるお椀型の地形をしており、周囲の山から水が集まりやすいため、夏には豊かな高山植物のお花畑を見ることができます。

東側を見ると、麓の駒ヶ根市の町が見えます。そして、奥は南アルプス(赤石山脈)の山々です。

散策路は比較的平坦に整備されていますが、これから登るべき山が巨大な壁のようです。


ここからが、登山口で「八丁坂(はっちょうざか)」を登ることになります。警告看板が立っていて、いろいろ書いていますが、「準備のないヤツは登んな!」と言っています。

駒ヶ岳を登山する上で、最初にして最大の正念場が八丁坂の標高差260mの厳しい登りでしょう。上り50分〜1時間、平均約20度の斜度(日常で出会うどんな坂よりも急)です。

少しだけ登って振り返ると、千畳敷駅が見えます。まだまだ、登山者は少ないです。

坂の後半になると岩がゴロゴロして、落石の危険性があります。それをガードするように金網で補強していたり、このコースを作るのは大変な労力がかかってそうです。


山道自体は残雪の上を歩くことはなかったものの、周囲には結構な雪が残っていました。実はこの場所、12月〜3月の冬場は「雪崩の巣」となり、これまでに何度も巻き込み事故が起こっている危険なエリアでもあります。

結構な高さまで登ると、高山植物が目立ってきました。


「ハクサンイチゲ」は初夏を彩る高山植物です。競うように岸壁に白い花を咲かせていました。

ピンク色の「イワカガミ」も咲いています。

急斜面の連続で、空気の薄さもあり、息が切れやすい…。

八丁坂を登りきり、風が吹く広い空間に出ました。
乗越浄土から中アルプスの広大な稜線歩き

9時50分、標高2,870mの「乗越浄土(のっこしじょうど)」です。
山岳信仰的には、この稜線からは「浄土=神様の住む世界」となります。

まだ、ここから駒ヶ岳は見えず、次に登るのは丘のように見える「中岳」です。

こちらは、駅から見えていた宝剣岳です。しょぼく見えるけど、ヒヤヒヤな岩場で難所ルートです。


まずは、すぐ近くにある「宝剣山荘」に移動します。まだこの時間は、売店は営業していないようです。

そして、いよいよ中央アルプスの稜線です。広々して歩きやすいです。

天気がいいと何てことない稜線ですが、雨風があり、さらに視界が悪いと、この広い稜線は遭難しやすい場所に急変するとか。
2013年7月には韓国人グループが大量遭難したり、冬場は毎年のように事故があります。

稜線から西側にピラミッド型の山がありました。これは「三ノ沢岳(さんのさわだけ)」です。これを目的に登る人もいるのかな?

10時10分、中岳山頂に到着です。
駒ヶ岳と宝剣岳に囲まれて雑な名前になってしまった感。標高2925mなんで、日本トップクラスなんですけどね。

中岳山頂まで来て、ようやく駒ヶ岳本体の姿が見えます。
駒ヶ岳を単品で見ると、なめらかに丸みを帯びて風格や威厳はない山頂です。

中岳山頂には隠れた場所に、祠跡?があります。

紫色の花が咲いていました。なんだろ?

中岳から下って、駒ヶ岳を登ります。
ちなみに、頂上山荘はテント場だけ開放していて、トイレ利用は断ってました。このトイレを頼りにしていた、通りすがりのおばさまが愕然としてました。

振り返ると、空木岳(うつぎだけ)へ続く、中央アルプスの長大な稜線。宝剣岳〜空木岳はハイマツが茂る玄人向け稜線らしい。


西側の斜面に「玉乃窪山荘」が見えました。木曽方面からのクラシックルート(片道コースタイム6時間以上!)で登る人が利用するみたいです。駒ヶ岳をガチる日は来るのか…。


じんわり登り続け、山頂が見えて、山頂のバイブスが上がってきました。
木曽駒ヶ岳の山頂と固有種ヒナウスユキソウ

10時48分、木曽駒ヶ岳の山頂に到着です。
ロープウェイ千畳敷駅を出発して、約1時間40分でした。アルプスの登山としては、とても短い時間で登頂できるのは、ロープウェイ様様です。麓から登ったら6〜8時間ですから。

山頂はとても広いので、いわゆる山頂としての「点」の印象は薄いかもしれませんが、周囲を歩き回れば360度の大パノラマを楽しむことができます。

北側は北アルプスの山々が連なり、標高3000mを越える、独立して乗鞍岳(のりくらだけ)、穂高連峰や槍ヶ岳を見ることができます。

山頂には神社が二つ存在し「おや?」と思う人がいるかもしれません。山の東側にある「伊那(いな)地方」と、西側にある「木曽(きそ)地方」の神社です。

細かい経緯は省きますが、今でこそ同じ長野県内であるものの、昔は両地域の関係はバチバチで、激しい領有争いがあったそうです。

こちらが木曽側の「木曽駒ヶ嶽神社」です。

こちらは伊那側の「信州駒ヶ岳神社」です。
昔は、バッタリ山頂ででくわしたら「池袋ウェストゲートパーク」のように互いに睨み合ってメンチ切っていたのでしょうか。

なお、富士山、蔵王山、飯豊山など山頂を巡って争うのは、特に珍しいことじゃないです。
人間は土地という概念がある限り、神の領域でも争い続ける運命にあるのでしょうか…。

とても余談ですが、インドとパキスタンの国境パフォーマンスは生で見てみたいです。

山頂は砂礫や岩なので、お花畑があるわけありませんが、小規模に咲いています。高山植物の代名詞「チングルマ」が咲いていました。

「ヒメウスユキソウ」を見つけました。「コマウスユキソウ」とも呼ばれていて、中央アルプスの固有種です。山頂看板にも描かれていました。

草の色と同化しているから、目を凝らさないと見逃してしまいます。

学校で習う曲でおなじみの「エーデルワイス」の仲間です。小ぶりな種だから「ヒメ」だそうです。

山頂で休憩する人が増えてきました。ロープウェイがどんどん登山者を送り込んでいるのでしょう。

というわけで、山頂での休憩を終え、来た道を戻る形で下山を始めます。
中岳の巻き道経由で下山する

頂上山荘のテント場にテントが立っていました。自分のアルプスの稜線テント場デビューがこの場所でした。キャパもあるし、練習にちょうどいい場所だと思います。

中岳を登り返すのではなく、巻き道を選択しました。


巨岩を登ったり、下りたり、巻き道だからと言って、労力は変わらない気がする…。

信仰のものか、慰霊のものかわかりませんが、石碑がありました。

宝剣山荘まで戻ってきたら、営業開始していました。ソフトクリームが食べれます。

記念に登山証明書を買ったりしました。

12時24分、乗越浄土に戻ってきました。この時間でも八丁坂からどんどん登ってきます。当初は、この先にある伊那前岳(いなまえだけ)に登ってみようかと思っていましたが、雲が昇ってきたのでヤメ。

落石を発生させないよう慎重に八丁坂をくだりました。

散策路まで戻ってきました。いつの間にか、稜線は雲に覆われてしまっています。


「剣ヶ池」でリフレクションが見れるはずが、青空がなくなり、残念な感じに…。
夏は雲が上がって、午後から天気が崩れるので、早めに登頂したいです。

13時ちょうど、千畳敷駅に戻ってきました。9時に出発したので、約4時間の駒ヶ岳登山でした。


帰りのロープウェイに乗り込みます。景色はミスティ…。

ロープウェイからバスに乗り継ぎ、菅の台バスセンターに戻りました。
駒ヶ根名物ソースカツ丼とすずらん牛乳ソフト

駒ヶ岳の登山を終えた登山者が必ず一度は訪れるという「明治亭」にやってきました。
ってか、気温32℃で暑くて狂いそう!下界とは言え、駒ヶ根市の標高500mくらいあるのに…。

基本は駒ヶ根名物のソースカツ丼を推していますが、信州味噌牛タン、桜肉、サーモン、蕎麦などご当地に寄り添ったメニューが並びます。

まぁ、体力を使った後は、駒ヶ根名物ソースカツ丼の一択です。蓋の閉まらない演出が相変わらず良い。

特製ソースが美味しい。ただ、肉は薄めです。でも、食べ応えは満点です。

そのまま流れるように「すずらんハウス」に移動します。

農産物やお土産、そして加工肉などが売っていて、お土産には困りません。

そして、牧場直送の「すずらん牛乳」を使用したソフトクリームが美味しいです。この周辺に来たら必ず食べています。
駒ヶ根の人は、毎日こんなにおいしいソースカツ丼やソフトクリームを食べられるなんてうらやましいです。いつか移住したいです。

この日は駒ヶ根市内のビジネスホテルに宿泊しました。昼寝してたら真っ暗になったので、「月の輪」というお店にやってきました。(※残念ながらホームページを見たら2026年5月に閉店)
周囲は闇夜で、本当にこんな場所にあるのか?と思いながら辿り着きました。

釜飯のお店です。「海老とベーコンの釜飯」を注文しました。

味の想像できなかったけど、ベーコンから出る旨味、バターと砕いた胡椒の風味が素晴らしい。



付け合わせの小鉢がどれも丁寧に作られていて、しかも新鮮で美味しかった。普段はこういうオーガニック志向のお店にはあまり来ないのだけれど、少し考えを改めさせられた。

駒ヶ根の夜は更けていきました。

翌朝はずっと訪れる機会に恵まれなかった奈良井宿を観光して、帰路につきました。
登山を終えて

期待していた高山植物はまだ咲き始めのものも多かったのですが、思いがけず中央アルプスの固有種である「ヒナウスユキソウ」に出会えたのは大きな収穫でした。
標高2,600mを超える千畳敷までロープウェイで気軽にアクセスできるため、雄大なアルプスの景色を手軽に楽しめるのも木曽駒ヶ岳ならではの魅力です。さらに、下山後にはソースかつ丼を筆頭に安定の駒ヶ根グルメが待っているのも嬉しいところ。

山頂からの展望は十分に堪能したので、次に訪れるなら山肌が鮮やかに色づく紅葉の季節でしょうか。また違った表情の木曽駒ヶ岳に会いに来たいと思います。

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