2013年12月15日
埼玉県と山梨県にまたがる笠取山に行ってきました。標高は1953mです。
奥秩父の主稜線上にあり、甲武信ヶ岳と雲取山の間に位置にあります。山頂がとてもユニークで、一直線の急斜面がハイライトです。
甲斐と武州のそれぞれの山周りの役人が、お互いの笠を取って挨拶を交わしたことが由来になっている説があります。
この笠取山は日本三百名山に選ばれておらず、ローカルな山梨百名山に選定されている山です。しかしながらいざ登ってみると、周回した5時間をフルに使って楽しめる山でした。
2013年最後を飾る初冬の旅スタートです。
笠取山について
地図
一ノ瀬高原の作業平からの往復コースです。
コースタイム
- 10:30作場平
- 11:42笠取小屋
- 13:03笠取山
- 15:47作場平
行動時間は5時間47分でした。
笠取山 登山
笠取山の登山口がある一ノ瀬高原へ
都内早朝に集合し、中央道で山梨へ。談合坂サービスエリアは安心の充実具合。
朝からヘビーな焼きそば目玉焼きのせというメニューの選択は、これから登山に向かうという意気込みを具現化したもの。
ソースかかったものに目玉焼きを乗せたものは何でも美味しく見えるから不思議です。
笠取山は同じ奥秩父に属する雲取山(くもとりやま)、甲武信ヶ岳(こぶしだけ)、金峰山(きんぷさん)などの百名山とは違い、登山口までのアクセスが難です。甲武信ヶ岳の登山口方面にあるバス停から登る手段もあるようですが、メジャールートではなさそうです。
笠取山の一般的な登山口である一ノ瀬高原へは車利用が一番良いです。
中央道の勝沼ICから大菩薩ライン(国道411号)で奥へ奥へと進み、山道を走り続けると一ノ瀬高原に到着します。
駐車場には既に5台ほどの車が停まっていました。
登山口には公衆トイレもあり、名山指定されていなく、アクセスが悪い山にも関わらず整備されている印象です。
登山道は水の流れる穏やかな斜面
笠取山登山口(10:27)
12月の登山としては遅いスタートですが、5時間ほどの周回コースなので問題ないです。我々はあまりコースタイムを気にせず、遊びまわってしまうのであてにできないのですが。
登山口入口から沢が流れている登山道は魅力的です。笠取山は後述しますが、水源として重要な山です。
山の説明が書かれた看板が建てられていて、非常に親切な登山道。
葉は全て枯れ落ちて完全に冬の様相です。
笠取山は本来の行くはずだった山の天候が悪かったために代案として決定された山です。
谷川岳で冬山登山に目覚め、雪と戯れたくて仕方ないSakuさん。雪山入門の八ヶ岳にある北横岳(きたよこだけ)か南アルプスの入笠山(にゅうかさやま)がメインターゲットでした。
しかし、八ヶ岳方面が前日の予報で曇天模様。八ヶ岳より西側は晴れ予報であり、12月中旬に雪がありそうなこの笠取山を提案しました。
Sakuさんは知名度の全くない笠取山と雪山に行けないという理由から、出発の車中においてモチベーションが上がっていない様子でした。
登山口に雪がなく、山頂まで雪なんて全くないんじゃね?
とがっかりな様子でしたが、凍った沢が作る氷が面白く、割ったり叩いたりして遊ぶ。
こんな真冬でも枯れることなく水が流れ続けているのですね。
一休坂分岐に到着。
笠取小屋からの周回コースになっています。登りに使う場合は傾斜のゆるい左を選択するのがいいようです。
左手はしばらく沢沿いのコースになっています。沢底は小さい砂利が堆積していて、非常に綺麗です。
日陰には雪が出現し始めました。
木道があり整備されています。
笠取山より断然近く人気がある大菩薩嶺に比べ、だいぶ登山者は少ないはずですが金かかっています。
結構、登山道に雪が積もり始めました。
天気は狙ったとおりにピーカンで雲ひとつありません。これは快晴の下で雪を楽しむというコンセプトは成功するんじゃないかという予感。
ヤブ沢峠に到着です。
登山口から1時間ほど掛かりました。コースタイムは1時間半なので、30分ほど短縮したことになります。決して歩くスピードが早いというわけじゃありません。
ヤブ沢峠から稜線になります。
3倍の時間が掛かりそうですが、雁坂みち(国道140号)からの登山道からの合流地点になります。
道幅は広く、車も走れるんじゃないかと思えるような道。
葉が落ちきった木々の間から富士山のシルエットが見えます。
写真じゃ見難いですが。
雪も徐々に深くなり、モチベーションが露骨に上がりはじめたSakuさん。
笠取小屋に到着。
テント場は広く、見晴らしも中々です。
テント泊装備の重さに慣れるのに調度良い歩行距離ではないでしょうか。自分は夏の雲取山でデビューして地獄を見ましたから。
10センチから15センチほどの積雪があるので、思いっきり寝っ転がれる。
雪の積もる山で空を見上げる爽快さときたらないね。
Sakuさんに登山口でのモチベーションの低さは感じられない。スランプから脱出した野球選手ばりにピッケルを振り回している。
空は限りなく青く、風もない。
この日一番に登るべきだった山は、この笠取山だったということが決定づけられてきた。
笠取小屋から山頂を目指します。
広々とした稜線は笠取山からほど近い雲取山のそれと似ています。
白い斜面に青空が映える。
途中の木にオレンジ色の実がなっている気を発見しました。色相環上では真逆にあたる青とオレンジのコントラストが印象的。
笠取小屋からすぐ近くにある一本木。
甲武信ヶ岳の方角には雲が掛かっていて、奥秩父稜線上で笠取山がギリギリ晴れているという好ゲーム展開。
笠取山の象徴たる山頂が見えてきました。ゲレンデみたいな登山道です。
すすきが生えていてその奥に富士山。特徴的な景色は笠取山ならでは。
風景に混じってみたが完全に隠れてしまい、用をたしているようにも見える。
親切なのでアイゼンは不要。
雪山というには積雪量が足りないが、念願かなっての雪歩きでだいぶテンションが上がっているSakuさん。
分水嶺のある稜線歩きと急斜面の山頂
雁坂峠に「小さな分水嶺」という場所があります。
この一点は、山梨県の山梨市と甲州市、埼玉県の秩父市に跨がります。それぞれ、富士川、多摩川、荒川の3つの川の分水嶺になります。
多摩川だけが文字が書く染められているかは謎なところ。
錆びた機材が置かれていたがこれは一体。
ピラミッドのような形をしている笠取山の山頂。
そして、続く一本道は正面に立ってみるとわかる急登。
登山道で飛んだり跳ねたりできるのは雪山でこそ。そこまで雪が深くないので、岩にぶつかる危険性はあったが。
2013年様々な山を登りましたが、遂に今年最後の登りです。
4人全員気を引き締めて。
さぁ、出発だ!
アビーロードやってないで、早く行けと。
陽のあたる坂道なので雪が少な目ですが、えげつない傾斜です。
雲取山の山頂直下もこのような登りがありますが、それより断然傾斜はキツイ。
ピッケルを持ってきたSakuさん。
ピッケルなんて要らないだろうと序盤では思っていましたが、「持ってきて正解だったな!」と天狗になっていました。
まだ、谷川岳以来なので持ち方がたどたどしい。
一本道でここまで展望の良い坂道は、山梨界隈の山で屈指ではないでしょうか。
途中で息を整えつつ、グイグイ登ります。
青空の面積が広がってきて、後少しだというのがわかる。
富士山をバックに登ります。
カラマツが多いので、紅葉の時期に来たら結構凄いかも。
富士山の展望に優れる笠取山の山頂
笠取山山頂。
噂には聞いていましたが、展望がとてもいい山です。お馴染みの山梨百名山の看板。
今まで歩いてきた稜線を振り返る。大して歩いていない気がするけど。
遮るものはなく富士山まで一直線の眺め。
クリスマス仕様で盛り上がる。
2013年はこの4人で遠出の登山をすることが度々あり、7月の白山・荒島岳、10月の月山と楽しんだ。
冬は富士山の眺めがいいですね。
この山がなかったら関東の登山は非常に味気がない。
風が結構強いので、奥に進んでそこで軽くご飯を食べました。
石楠花が結構生えているので、5月下旬~6月に来ても良さそう。
裏にも山頂の標識がありました、これは埼玉県が設置したものかな。
そういえば山梨県と埼玉県が隣接しているイメージってあまりないですね。
山頂をぐるっと周回できます。
水干(みずひ)尾根と名付けられた道。
東京都の水源になっているから、笠取山はここまで整備されているのだろうか。
「水干」という場所がありました。
ここは多摩川の源流になっている場所です。
解説看板がこうして立っているのは、やはり都民マネーか。
時刻は14時半。
既に日が陰り始めてきました。
冬ソナごっこをはじめたりする。
帰ろう東京に。
小さな源流と合流し、同じ道に戻ります。
冬場にもかかわらずトイレはしっかりとオープンしていました。
この日に笠取山ですれ違った単独を含めるパーティーは3組程でした。
笠取小屋から別ルートで下山しました。下山路は凍っている箇所があったので、アイゼンを着用しました。
下山完了。
だらだら遊びながらの登山で、トータル5時間でした。
丹波山ののめこい湯
帰りは中央道ではなく、丹波山村方面へ。
道の駅「たばやま」に立ち寄ります。
道の駅から歩いて少しのところに日帰り温泉施設があります。和風風呂とローマ風呂に分かれていて、日替わりで男女を入れ替えています。男風呂はローマ風呂でした。
複数の内風呂と露天風呂があり、広々としたいい温泉でした。泉質は少しぬめっとしているからアルカリ性?
食堂が併設しているのがありがたく、塩カツ丼を食べました。
「タバスキー」
丹波山村のゆるキャラらしい。某ナムコの名作ゲームソフトパックマンのインベーダーに似てるとは誰も言っていない。
温泉後は湯冷めしながら、丹波山村の幻想的なイルミネーションを堪能。
お、おう。
感動のイルミネーションを見た後は、暗くなった夜道を奥多摩経由で、東京へ帰りました。
笠取山の登山を終えて
2013年は夏の高山植物が有名な山を巡り、秋の紅葉を2012年同様に楽しみました。
非常に実り多き年となり、一つ一つの山の旅が充実したものでした。年の後半にかけては登山後のプランを練り、食事や季節のイベントにもこだわり旅を進化させ続けました。
貪欲に盛り込み過ぎて時間に追われ続けることもしばしば…というか大半なので、それについて来てくれる人、参加したいと言ってくれる人には感謝です。
2013年最後の山になった笠取山。
隣接している雲取山(くもとりやま)と名前が似ているだけでなく、登山コースもよく似ています。稜線に出てから片側だけ開放される道幅の広い登山道と山頂直下の急登など。雲取山の一般的な登山口である鴨沢ルートを凝縮した感じです。笠取山は序盤の長い林道歩きがなく、沢に沿って歩くことができるので雲取山よりコンパクトに山を楽しめます。
登山口までのアクセスが悪く名の知れていない山ですが、その分人も少なく静かに楽しめる山です。
コメント
ご無沙汰しております。
多彩な旅の記録も2013年分が今回で終わられ、いよいよ今年の分に入りますね。先が長そうですが期待しています。
奥秩父は地味なイメージですが、アルプスの紅葉が盛りを過ぎたたあたりで2泊程度の縦走をすると、実は綺麗な紅葉の楽しめる登山になるかもしれないと考えています。
この夏は、自分は幸運にも晴れ間の出たタイミングで前穂・奥穂に登ることができました。これまでアルプスの高峰にはほとんど登っていなかったので、これでやっと登山をやっていると言える身になったと感じます。
>icyfireさん
ご無沙汰です。
いよいよ今年分がおわったので、2014年分を進めていこうと思います。これからは優先度順に書いていこうと思っています。
奥秩父の紅葉の見頃は中旬から下旬なのでアルプスの1週間後に始まりますね。
瑞牆山はカラマツが豊富なのできっと黄色一色になるのではないかと思っています。
奥穂高に行かれたのですね。羨ましい。
例年に比べてアルプスへは行っておらず、高峰と呼べる山は富士山と燕岳です。どちらも日帰りなのでなんともですが。
天候不順も解消し、秋の山が楽しめればいいですね!
いつも楽しみにしています。
笠取山は多摩川水系の水源保全の為、整備が行きとどいている割に登山者も比較的少ないので、日帰り山の中で一番好きな山です。
ところで運転はVERYさん?Sakuさん?ですか??
登山口直前は、山道運転に慣れていないと厳しい道路と記憶しています。
のめこい温泉から都心までも遠いですよね。運転お疲れさまでした。
>マメミさん
コメントありがとうございます。
笠取山について全く同じ感想で嬉しいです。テント泊をしても楽しめそうですよね。
自分は全く運転せず、Sakuさん任せです。
まぁ、彼は普段から尋常じゃない距離を運転するので大丈夫です。
自分はというと最初の頃は助手席で起きてくっちゃべってる係をしていましたが、最近じゃぐーすか寝てます。
[…] 、中央道で山梨へ。談合坂サービスエリアは安心の充実具合。 IMG_1487. 朝からヘビーな焼きそば目玉焼きのせというメニューの選択は、これから登山に向かうという …(続きを読む) […]