2021年5月23日
愛知県の葦毛湿原と静岡県の湖西連峰に行ってきました。標高は神石山の325mです。
葦毛湿原は「東海のミニ尾瀬」と呼ばれる湿地帯で、湖西連峰またの名を「湖西アルプス」とも呼ばれ浜名湖を展望する低山群です。たくさんのコースがある中で、県境を電車で移動し、短時間でいいとこ取りするコースを歩きました。
今回のプランは予定していたものではなく、脱線に脱線を重ねて、一度崖から落ちて大破し、新しい車両を作って走らせたようなプランです。
「大人の遠足」というのは聞こえがいいので、「ひねくれたおじさん達の奇行」という表現が正しく、登山を言い訳にして、静岡県の浜松を旅してきました。
湖西連峰について
地図
絶対条件として、お昼に浜松で餃子を食べるというのがあり、それを前提に組み立てたコースです。電車とタクシーを使って、愛知県から静岡県に縦走することにより、コースタイム程ほどに湖西連峰の良いとこどりをする作戦です。
コースタイム
- 6:24新所原駅
- 6:33豊橋駅
モーニングを食べて、タクシーで移動
- 7:37葦毛湿原入口
- 7:49葦毛湿原
- 9:21神石山
15分ほど休憩
- 10:54梅田登山口
- 11:16新所原駅
葦毛湿原・湖西連峰 ハイキング
愛知県の豊橋駅から、タクシーに乗って葦毛湿原
スタート地点は静岡県の最西端の駅、JR東海道線の新所原駅です。駅前に車を止めて、愛知県の豊橋駅に移動します。
東名を飛ばして朝6時に到着しました。下山後に浜松餃子を食べるため、11時過ぎくらいには戻ってきたい所です。
天竜浜名湖鉄道との乗換駅でもあり、名物のうなぎ弁当が売っています。店が開いていたら、登山を言い訳にして、朝食に買っていたかもしれません。
地図で見るとホームのちょっと先から愛知県との県境のようです。正面にある突出している岩山が気になる。
6時24分の始発、東海道線に乗ります。JR東日本の車両とは違って、二列シートなんだなぁ…。
新所原駅からは二駅で、愛知県の豊橋駅に到着。
愛知県内の電車に乗るのは人生初かも。新幹線が停まる駅なので、八王子駅くらいの規模(誰がイメージできるだろうか)がありそうでした。
ザ・ちくわ?、…じゃなく、「ヤマサ ちくわ」でした。
全く土地勘のない場所ですが、ヤマサのちくわが有名らしい。後、きゅうりのキューちゃん製造している会社があるらしい。今後、来ることはあるのだろうか…。
コンビニで準備を済ませ、駅前のカフェで愛知県らしく小倉トーストでモーニングをキメてやりました。
3人で来てるということも有り、葦毛湿原まではタクシーを使いました。30分くらい乗って、3600円くらいだったかな?
ドライバーが葦毛湿原には、20年か30年ぶりに来たと言っていたので、地元の人は全く来ないところなんだな?
駐車場に来てみると8時前にも関わらず、ほぼ満車状態でした。
東海のミニ尾瀬なんて肩書き要らないんじゃないだろうか。むしろ、尾瀬のことを「群馬の葦毛湿原」と言ってもいいなじゃないか。
ちなみに、アクセスは路面電車の赤岩口駅から更にバスに乗って来れるようです。
駐車場から葦毛湿原に向かっていくと右手には貯水池。これが、東海のミニ尾瀬沼か。
早朝から葦毛湿原に来ている人は、湿原目当てではなく、湖西連峰の登山が目的のようだ。登山っぽい格好した人しかいない。
入口のトイレ横にある巨大で枝分かれが激しい木。葦毛湿原のシンボルツリー…。
葦毛湿原を含め、豊橋自然歩道というのが整備されているみたいです。弓張山地と名付けられていて、南アルプスの南端の山地という説があるとかないとか。
10年近く登山していて、愛知県で入山するのは初めての経験。
葦毛湿原には早春の3月から晩春の11月まで、様々な植物の花が咲くようです。花の百名山に指定されているとか。9月頃に咲く、シラタマホシクサは東海地方で見られないレアな花のようだ。
なので、関東圏からも十分遠征価値のある場所だとは思います…。
250種の植物が自生する葦毛湿原
駐車場から10分ちょっと歩いて、葦毛湿原の入口に到着。親しみやすさを演出しているのか、ポップな文字看板。
湿原は散策できるようにいくつかのコースがあるようですが、適当に開けてそうな方向に進んでいきました。
木道が整備されていて、ここは間違いなく東海のミニ尾瀬。
葦毛湿原に咲く花。
5月下旬は花の種類が咲いていないのか、念入りに探していないからかはわからないが、あまり花がなかったです。残念。
葦毛湿原の標高は70mなんですが、この切り取り写真だけ登山者に見せれば、標高2000mの風景と騙せるんじゃないだろうか…。山の上の鉄塔が映り込んじゃってるけど。
湿原らしくチョロチョロと優しい沢の流れがあります。
尾瀬っぽいと木道を駆け抜ける。
尾瀬、尾瀬と言っているが、尾瀬の山(至仏山と燧ヶ岳)は登ったことあるけど、尾瀬ヶ原を歩いたことがないニワカです。
葦毛湿原の散策を終えて、登山開始です。
本日のピークとなる神石山を目指します。
愛知と静岡の市街地を眺める、神石山の登山道
「葦毛湿原の散策者はここまで!」
ここからは登山者の領域になることをご丁寧に教えてくれます。ここからは岩崎自然歩道になるようです。
湿原から始まった登山でしたが、実際のところ標高300mの山頂を目指すので、よくある登山道になります。太平洋に面しているので、神奈川県南部の三浦半島や千葉の山の雰囲気に近いです。
休憩スポットにはベンチが有り、丁寧に整備された里山という雰囲気。
ゴールデンウィークに熱を出して(コロナではない)寝ていたなべ氏はすでにきつそう。
元々、予定していた標高2000m級の山だったら、登れなかった可能性あり。ということで、ここで良かった。
樹林帯が続くのですが、時折、愛知県側の展望が広がります。手前は豊橋のビル群でしょうか。街と山の距離が近いです。海は三河湾かな。
二川TV中継所に到着。ここからは愛知県と静岡県の県境の稜線になるみたいです。
つい、1ヶ月前に神奈川県から静岡県に入る日金山の登山をしているので、静岡県の両端を抑えたことになります。だから、何だ。
NHKの電波塔を見ると怒りがわいて、ぶっ壊したくなる茨城県民。
ここからは静岡県側の展望が開けます。電車に乗った新所原駅が見えます。中央に見える四角い施設は、自動車部品のデンソーの工場。
そして、この山域からの見どころでもある浜名湖ビュー。
ひときわ大きなビル(アクトシティ浜松)があるところが、浜松駅周辺になる。待ってろよ、浜松餃子。
標高が低いんで、電線が展望を邪魔しちゃっています。
多少雲が出ているけど、奥に見えるのは南アルプス。さすがに、富士山までは展望できなかった。横長の静岡県の端と端だし、空気の澄んだ日じゃないと難しいようです。
稜線は展望はなく、小さなアップダウンを繰り返します。
稜線上にはいくつか史跡があります。
船形山城址は戦国時代にバチバチに戦場だった遠江と三河の国境になっていたので、軍事拠点として城が建っていたらしい。
望寺岩。
お寺を展望する岩だったらしい?
神石山の最後の登りは、ブロックみたいな小さい階段。
遠州灘がよく見える、標高324mの神石山の山頂
葦毛湿原の駐車場を出発して1時間50分で、神石山の山頂に到着しました。
神石山の山頂は、広場のようになっています。奥は樹林がないので、展望が広がり、ベンチもある。
一等三角点の山でした。
ちなみに一等三角点は全国で約940ほどあるとか。
展望はそこまで広がらないけど、遠州灘がよく見えます。浜名湖はちらっと見えるくらい。
そして、これから向かう湖西アルプスの嵩山方面。
小腹がすいたのでランチタイム。自宅で作ってきたお稲荷さんを頬張ります。
まるで、北アルプスを縦走を成し遂げたかのような、肩組みポーズで集合写真を撮りました。
浜名湖へ向かって歩き、謎の土器が並ぶ湖西連峰ハイキングコース
湖西連峰ハイキングコースの図。
たくさんのルートがあるようですが、今回は時間がないので、メインディッシュのステーキだけを食べてしまう歩き方です。
看板には白雪姫の七人の小人が飾られていました。少しでもはるか遠くのディズニーを演出したい、そんな気持ちが伝わります。
しかし、看板にブラジャーが吊るされていたんですが、山頂露出系のハイカーの忘れ物でしょうか。
さて、下山は梅田登山口方面へ。ここからは愛知県とはお別れで、静岡県側へと降りていきます。次に愛知県の山を登る機会はあるのでしょうか。
紅葉の香嵐渓、最高峰の茶臼山、申年で猿投山には行きたいと思っています。
湖西連峰または湖西アルプスは静岡県の言い方(浜名湖の西にある)なので、ここからが湖西アルプスです。いいんですよね…?
本線からちょっと寄り道した箇所にラクダ岩がありました。ラクダのこぶ用な岩だから名前が付けられてるのかな。
ベンチが一脚あり、浜名湖のビューポイントになってました。
浜名湖といえばウナギの群生地。
お土産のうなぎパイがあり、日本一のうなぎの生産地と思われがちだが、実は一位は鹿児島県。そして、静岡県のアイデンティティとも言えるお茶、これも2020年に鹿児島に抜かれて、生産量2位に転落してしまっているのです。何と不憫。
と、浜松市に餃子の1位の座を抜かれた、元宇都宮市民が語る。
市がハイキングマップを公開してあるだけあり、かなり歩きやすい道です。神石山を降りてからは、平坦に道を歩いていく感じです。
なんだこれ??
登山道の両サイドに土器人形が出現するようになりました。一つ一つデザインが違っていて、オリジナルデザインもあれば、ドラえもん(っぽい)、ピカチュー(っぽい)、既存のキャラクターを模したものがありました。
- 地元の小学生が工作の時間に制作している
- 麓に住む変わり者のおじさんが制作して、行政から注意を受けるも無視している
- 浜名湖のうなぎの妖精が夜な夜な土に魔法をかけて作っている
いずれかだと思うのですが、ご存知の方がいたら教えて下さい。
正解は「1」のようで、卒業制作で設置しているらしいです。
コース上の仏岩付近は、岩が露出していて展望が良い。デンソーの工場がよく見えるスポット。
仏岩の仏が、こんな「まんが日本昔ばなし」みたいなデザインでいいのだろうか???
下山する分岐点である梅田峠から、少し先へと進み、10分程度登り、嵩山に到着です。調子が出ないなべ氏はヘロヘロでリタイア寸前でした。
ここはより浜名湖を近くに見下ろすことが出来ます。
浜名湖は国内で10位の面積の湖。トップ5に入ってそうな大きさに見えるけど、歪な形をしているので、見た目にしては、面積が少ないようだ。
駐車場から30分くらいで来れる山頂なので、登山者ではないおじいちゃんおばあちゃんが散歩で来ていたりしました。
嵩山から梅田峠に戻り、登山口へと下山します。このへんは作業用道路になっているらしく、道幅が広かった。
10分ちょっとで、梅田登山口に下山しました。稜線では風が吹いていたけど、降りてくると風がなく、暑い暑い。
おじさんの横を通り過ぎたら「(嫁が車動かしてんだよ)おい、邪魔だぞこら」と暴言吐かれたので、なべしが「言い方ってもんがあるだろ」と言い返して、揉めてました。
という、後味悪い展開が最後に待っていた。
登山口駐車場は、梅田親水公園になっていて、地元民の気配を全く感じない公園でした。
20分くらい市街地を練り歩いて、駅を目指します。お腹もペコペコです。振り返ると歩いていた湖西連峰が見えます。
この街は、家が新しく、車も大きく、駅前は綺麗と、巨大なデンソーマネーを感じます。
11時16分に新所原駅に戻ってきました。6時24分発の始発に乗ったので、4時間52分ぶりでした。登山時間としては、もっと短いですが、県もまたいでることから充実感が上乗せされてますね。
浜松餃子の花火大会とうなぎパイファクトリーでソフトクリーム
お昼ごはんの浜松餃子のため、浜松市に移動を開始します。海沿いの国道1号線はとても総会なドライブコース。
浜名大橋を渡ると、浜名湖に浮かぶ島、弁天島が見えました。ここは食事後に立ち寄ります。
浜松の駅から近い場所にある「むつぎく」にやってきました。
浜松餃子でも1,2を争う餃子専門店で、「どうせ、信じられないくらいの行列ができているんだろ…。」と、内心は思っていて、3つくらいのスペアプランを考えていましたが、良い方に裏切られました。
お昼のピークタイム、12時8分時点で、3組の並びしかありませんでした。
決してつかまえることのできない花火のような餃子だとしても、もう1個、もう1個、僕はこの口を動かしたい。
餃子の花火大会の開催である。
美しい焼き目だ…。
中央に添えられたもやしが浜松餃子の特徴のようだ。
餡の中身は野菜が殆どで、一つのサイズが小さいので、ペロリと食べられてしまいます。宇都宮市民だが浜松餃子、評価できる。
ホルモン焼き(豚みそ)も一緒に注文。甘く濃い味噌の味付けで、ご飯がすすむ相棒です。
登山後にご当地餃子は毎回テーマにしているが、浜松近郊に登る山なんてないんじゃないかと思い、浜松餃子を食べる機会は巡ってこないと思っていました。
そういう意味では、僥倖たる登山になりました。
餃子で満腹になり、デザートを食べるためにやってきのは、春華堂の製菓工場「うなぎパイファクトリー」です。
入場料は無料で、受付するとうなぎパイがもらえます。お得。
日曜日なのか、コロナで生産を絞っているのかはわかりませんが、うなぎパイ工場のラインは稼働してませんでした。残念。
2階のカフェスペースで、季節限定の紅ほっぺソフトクリームを食べました。
ウェハース代わりにうなぎパイが刺さっていて、半分はソフトクリームに練り込んであります。ボリュームが凄くて、満腹の腹にはキツかった。
弁天島と砂丘を観光し、さわやかのげんこつハンバーグで〆る
うなぎパイファクトリーから移動して、弁天島にやってきました。浜名湖に浮かぶ島で、メジャーな観光地のようです。国道1号線を走っているとき、ここの鳥居が見えていました。
アニメ「ゆるキャン」の舞台です。オタク男3人で来てるから、聖地巡礼しているようだが、アニメを見ているのは1名のみ。
強風が吹き荒れ、足にバチバチと砂があたり痛い。夕日で有名らしいけど、そこまで待ったら帰れなくなるので断念。
弁天島から移動して、中田島砂丘にやってきた。
なんでも、日本三大砂丘の一つだそうです。観光業界が付けた三大シリーズは、個人的にあまり参考にしてないけど…。
行ってみるとかなり広大な砂丘で、伯耆大山の後に鳥取砂丘に行ったことを思い出した。観光客がたくさんいて、何かしらの撮影ロケ隊もいました。疲労と眠気により、海岸まで歩く気力がなくなり撤退。
ここでようやく汗を流すために温泉に入りました。
遠州みなみの湯は、露天風呂がとても巨大な温泉でした。登山で使うことは、まずないと思うので、海水浴で入って下さい。
東京に帰るその前に、ディナーを済ませようと言うことで、静岡ローカルチェーン店「炭焼き さわやか(磐田本店)」にやってきました。噂は常々聞いていましたが、訪れるのは初めて。アウトレットの近くにある御殿場店は、5時間待ちが発生する狂気の店だとか。
静岡の西寄りだと行列はないようで、17時で並びなく入店できました。
餃子をたらふく食べ、うなぎパイジェラートの腹持ちにより、入店するかどうか協議したくらい空腹とは程遠い状態です。
「これ、爆弾ハンバーグじゃん。」
と、思ってしまうのは、宇都宮出身としては仕方ないことではないだろうか…。事実としては、さわやかの代表メニュー「げんこつハンバーグ」の方が先に誕生しているようだ。
ともあれ、げんこつハンバーグ。めっちゃウマい。
空腹ではなかったけど、ライスをペロッと食べてしまった。爆弾ハンバーグと比較するに、肉がガッチリしていて、ワイルドな印象でした。
餃子とハンバーグで、大量のひき肉を胃袋に収納し、東京へと帰るのでした。最後に夕焼けの富士山を見ながら、大満足の静岡旅を思うのでした。愛知県に足を踏み入れたのは、遠い昔のように思う。
葦毛湿原・湖西連峰の登山を終えて
登山を言い訳にした浜松旅行、いかがだったでしょうか。
東海地方の標高300mの山への遠征は、選択肢に挙がらない計画です。5月下旬ともなれば、標高2000m級の高山、ツツジが見ごろの山など選び放題です。
ただ、旅としての満足度は非常に高く、純粋に楽しんだこともあって、登山で滅多に行かない地域を対象にしたハイキング計画は、今後ちょこちょこやってみたいと思います。そして、東海地方の山々をもっと開拓したい。
葦毛湿原・湖西連峰ですが、眺め良し、歩いて良しの素敵なハイキングコースでした。
県境を挟んだ浜松と豊橋の市街地と遠州灘と三河湾の二つの海の展望、浜名湖と葦毛湿原、たくさんの要素がキュッと詰まった山域でした。地元ハイカー中心ではありますが、浜松餃子やウナギや豊橋のちくわ(う~ん???)を目的に訪れてみてはいかがでしょうか。
コメント
ついに愛知県に来られたとは。
湖西連峰を南アルプスの最南端と言う人もいるんで、一応は南アルプス縦走ですね。
葦毛湿原までは路面電車の終点から徒歩でも40分ぐらいですので、次はぜひ路面電車オタク旅でも。
ミックンさん
コメントありがとうございます。
空白地帯になっていた愛知県の登山、ようやく行くことが出来ました。
湖西連峰はやはり南アルプスなんですねー。そう考えると巨大な山域…。
餃子屋のリミットの都合でタクシーを選択してしまいましたが、路面電車に乗りたかったです。渥美半島あたりのハイキングコースも行ってみたいので、いつか訪れるかもしれません!!