2022年6月4日
長野県の御座山に行ってきました。標高は2112mです。
八ヶ岳、奥秩父、西上州の山々のそれぞれの中間にある山で、どこの山域にも属することのない独立峰です。基本的には樹林帯ですが、山頂だけが岩石が露出し、数々の名峰を眺める展望の山です。
今回は、6月上旬に見頃を迎えるシャクナゲを目的に、長者の森コースを利用しました。
名峰ひしめく長野県にありながら、ポツンと孤高に存在する御座山。
ラーメン激戦区の中にあるうどん店に入るようなものではないでしょうか。しかし、根強い人気、実力があるからこそ、店じまいすることなく生き乗れるのです。
山頂までは樹林帯、その先に待つ大展望、底力を秘めた東長野の旅でした。
御座山について
地図
長者の森コースを往復しました。
序盤の序盤、林道終点から赤白の鉄塔が急坂でした。ここで、トレッキングポールがあると活躍します。それ以降は、そこまで厳しい登りはありませんでした。
シャクナゲは、見晴台~前衛峰の区間に群生していました。
コースタイム
- 5:31長者の森コース登山口
- 6:39合流点
- 7:11見晴台
- 7:48前衛峰
- 8:25〜9:13御座山
- 11:00長者の森コース登山口
行動時間は5時間29分でした。
御座山 長者の森コース
登山口のある長野県の北相木村「長者の森」へ
御座山の位置を確認してもらうとわかりますが、どこからも遠い場所にあります。キャンプ場なので、道はしっかりしていましたが、国道141号線から40分くらいかかり、鹿を2回ほど見かけました。
この日は、真夏日の予報でしたが、スタート地点が標高1230mあるので、少し寒いくらいの気温です。
入口に御座山の解説が書いてあります。独特のルビの振り方だ…。
- 東信地方の最高峰
- 佐久の幽境
- シャクナゲがさく
- 山頂は眺望良し
- 約3時間半で山頂に達する
東信地方と言われても、長野県民にしかわからない。八ヶ岳とかは含まれないんだ?そして、独特のルビの振り方が気になる看板です。
スタート地点に巨大な男根のあたm…たぶん、巨大なキノコ?のモニュメントがありました。
それでは、キャンプ場の敷地内を歩いていきます。ちゃんと、御座山の看板が立っているので、迷うことはないです。
アスファルトも砂利もなくなり、土の道へと変わります。
歩いていると、5時にも関わらず、上から軽トラが降りてきました。林業関係のおじさんだったのだろうか…。
深い原生林が展開される、長者の森コース
林道は終わり、木の看板が出てきたら、登山道に変わります。
入口付近は、道を埋め尽くさんばかりのシダ植物が繁殖しています。ジャングル感がすごい。
序盤から登りが開始されますが、段差をつけるほどの急斜面ではない=しっかり、足の筋肉を要求される傾斜角です。なので、一番辛い角度の登り。
トレッキングポールを持って来ればよかったと後悔。
作業的に登っていくと、シダ植物はなくなり、ミツバツツジが咲いてきました。
地図上ではカラマツとなっているところまで来ると、緩やかにくだりへと変化しました。
木々の隙間から展望が見えました。たぶん、群馬方面・西上州の山々でしょうか。秀でて高い山はないけど、妙義山や荒船山など個性的な山が多いエリアです。
緩やかに降っていくと、巨大な鉄塔の脚が見えてきました。
かなり巨大な赤白の鉄塔です。こんな山奥に建設するだけでも大変なのに、どうやって鉄塔間のケーブルを接続しているんだろうか…。
鉄塔の下をコースが続いていて、奥の樹林帯へと続いていきます。人工的に切り開かれているので、心地よい風が通り抜けていました。
序盤よりは緩やかな道へと変わりました。
白岩登山口との合流点に到着しました。
白岩登山口は現時点で通行止めで、令和5年5月31日に開通するらしいです。つまり来年。
駐車場3台しか停められないけど、合流地点まで30分で着くので、長者の森コースはもしかして廃れてしまうかも?
昔の名残なのか、ケルンが積まれていました。山頂までは、2時間弱の道のりです。とりあえずは、見晴台とされるポイントに向かいます。
ここからはダケカンバ、シラカバの樹林帯になるので、森の中に清涼感が出てきました。
白い幹は、東京近郊だとなかなかお目にかけれないので、とても新鮮です。
しかし、この道路標識のような看板が森の中に立っているのは異物感が凄いです。
シャクナゲのトンネルと苔むす原生林
御座山の象徴的な花、シャクナゲが咲き始めました。
瑞牆山や甲武信岳などシャクナゲが咲く奥秩父から隔てられていますが、御座山もまたシャクナゲの名産地なのです。
見晴台の手前にある坂道を登り切ると、シャクナゲの低木ゾーンに変わりました。
シャクナゲがいっぱい咲いています。甲武信岳などもそうでしたが、一定の標高に分布していますね。
そして、初めての展望地点である見晴台に到着しました。岩が露出していて、西側の展望が開けています。
見晴台とは言っているが、そこまで見晴らしは良くない。多分ですが、八ヶ岳が見えています。
標高1750m、次のポイントである前衛峰まで40分らしいです。
進行方向は木で少し隠れていますが、樹林帯の山が前衛峰かな。
見晴台より先がシャクナゲの群生地です。
生命力が強いシャクナゲは時期になれば、どこの山でも見れますが、奥秩父周辺(御座山は奥秩父じゃないけど)の群生規模は他の追随を許しません。
シャクナゲのトンネルも仕上がってました。
が、他の登山者も「ちょっと花付きが思ったほどじゃないかな」と言っていて、自分もそうかもと思っていました。
シャクナゲは年によって、当たり外れのブレが大きいので、なんとも言えませんけど。
シャクナゲって山を彩る可憐な花ですが、花や葉を口にすると吐き気、痙攣などを発症する毒性植物。動物にとっては、役に立たない植物です。だから、野生動物、主に鹿に食べられず、ウィルスのごとく範囲を拡大し続けているのでしょう。
見晴台から37分ほど歩いて、前衛峰に到着しました。
デザインテンプレートを駆使して作ったんだと思われるデザインが微笑ましい。
こんもりと樹林帯の山が見え、山頂看板が見えました。山頂までは35分の道のりです。
山の形に名山の風格は感じられないな。
山と書かれた三角点のようなものがありました。苔に浸食されていて、可愛らしい見た目。
前衛峰からは、下ることになります。これは帰りの登り返しがダルいパターン。と、言っても数分の下り。
前衛峰から降りると、シャクナゲの森から白樺の森に変わりました。「うだ沢のトーミ」と名が付けられています。
「トーミ」って「遠見」、遠くが見えるってことだろうか…。全然、展望ないけど。
苔と原生林の斜面を登っていきます。お隣にある北八ヶ岳のような雰囲気があります。
Uber Eats配達員が下山してきました。
連絡先を聞いて、今度北アルプスの奥地に個人配達してもらえば良かったかな。配達料300円くらいで。
密度の濃い森なので、光の届かない地面は苔に覆われています。
ふかふか。
最後の坂道を登り切ると、平坦になってきました。
御座山の避難小屋に到着しました。地図記載では20名ほどが宿泊可能だそうです。だけど、トイレがないのが辛いかな。
そしたら、山頂は小屋から目と鼻の先です。
ブワッと一気に展望が開けました。
ずっと静かな樹林帯から、この断崖絶壁の大展望。まさに、急展開、どんでん返し系の山頂です。南西側の斜面は滑落すれば、あの世へGo、100m以上の落差があります。
2m幅の岩場の奥に山頂の看板がありました。
先行していた60~70代の二人組マダムの一人が「私はここで良いわ」と言って、看板の場所に行くのを諦めていました。
断崖絶壁の大展望、標高2112mの御座山の山頂
御座山の山頂に到着です。登山口を出発して、2時間54分かかりました。入口の看板には3時間半と書いてあったので、ペースは速めだったのかな。
串団子タイプの山頂看板。
これって長野のものなのか、山梨のものなのかいまだに不明。山梨の瑞牆山もこのタイプの看板が刺さっているし。どこの業者が作ってるんだろ…。
The 展望の山ということで、西側には八ヶ岳連峰が見えました。確実に登ったら楽しい山なのだけど、疎遠になりがちな八ヶ岳。久しぶりに登ってみたくなりました。
蓼科山から続く尾根筋の奥には北アルプスの山脈も見えています。特徴的な槍ヶ岳のでっぱりも確認できました。
一番の手前には、男山~天狗山があります。全くの無名峰ではありますが、紅葉のシーズンに登ってみたい山です。奥には南アルプスが見えます。
ギザギザした尾根を持つ山は、埼玉県の両神山です。意外と近くに見えるんですね。
北西は「山口コース」と呼ばれるバリエーションルートがあるようです。藪だらけのコースなんだろうか。
まだ、8時なので他の登山者も3~4人、絶壁の上ですけどゆっくりのんびり。
御座山では、「おぐら」を食べるのが礼儀のようです。昨日、とりあえず手に取った小倉フレンチを食べました。
んー、パサパサで、山頂で食べるには最悪だ☆
山頂には何かが建っていた土台の形跡がありました。神社があったのかな?
珍しく時間に余裕がある登山だったので、山頂で何もせずにダラダラしてました。
山頂から少し下に降りると、イワカガミが咲いていました。アポロチョコみたいで美味しそう。
バリエーションルートの方を覗いてみようと思ったら、強烈な臭いがしました。そしたら、シャクナゲの下に人糞が落ちていて気分がトーンダウン。
というわけで、下山を開始します。
小海線を利用しての、縦走も考えていたんですが、ダイヤとコストの割が合わない…。
岩場がほとんどないので、下山はサクサク。
シャクナゲは背が高いので、下山の方が花が見えやすいです。
赤白の鉄塔を通過。
自分の登山開始時間が早かったので、これから登って来る人の方が多かったです。
登りで苦労した序盤の坂道もサクッと下り。林道に戻ってきました。
1時間45分ほどで山頂から下山完了です。もう、真夏のような気温でした。
それでは、温泉へと移動します。
南相木村の「滝見の湯」で入浴、国道141号沿い「ストローハット」で食事
南相木温泉「滝見の湯」に立ち寄りました。
御座山の登山の場合、ほとんどの人がここに立ち寄るんじゃないかな?長者ヶ森からは御座山を挟んで反対なので、20分くらい掛かりました。
玄関に「釣りキチ三平」の主人公がピースサインしていました。作者のゆかりの場所かと思ったけど、そうじゃないみたい。渓流釣りのPRか何かでしょうか。
入浴料500円という安さなのに、施設は綺麗、露天風呂からは滝が見える、サウナ有り(天然の水風呂)など、至れり尽くせりでした。
この施設の財源はどこから…。
お風呂後の熱を冷ますため、八ヶ岳の麓で作っているという、イエティジェラートを食べました。ミルクがとても濃ゆい。
温泉から移動して、国道141号線に合流するところに、レトロな雰囲気を醸し出すレストラン「ストローハット」を発見しました。
イエローハットと間違って入ったことがある人がいそう。
店内は広々していて、奥には個室スペースがありました。
長野県の素材を使ったメニューがラインナップされていて、かなり長考しました。
そして、溶けるような脂が接種したかったので、信州ポークの炙りチャーシュー丼を注文しました。
お箸でつかむとほぐれてしまうくらいに柔らかくなっていました。いやー、大変ジューシーで食べ応え十分。小鉢のサラダや山菜、お浸しで罪悪感も無し。
そして、行きでは真っ暗の中を通り過ぎた、野辺山の道路を走りながら、東京へ帰りました。あまりにも八ヶ岳が綺麗で、久しぶりに夏に登りたくなりました。
御座山の登山を終えて
登山口の看板に記載されていましたが、御座山は「佐久の幽境」と呼ばれています。
もはや、日常では使われることなく、ゲームの世界でしか使われない幽境。「鏡を見たら幽霊が写っていた。キャー!!」ではなく、「世俗を離れた静かな所」と言う意味です。
現代でこそ、国道や小海線の駅から40~50分の場所ですが、昔は「あの世とこの世の境くらいに遠い場所」という時代があったのでしょう。そんなことに思いを馳せるとロマンがあります。
今回は一つのコースを往復しただけなので、御座山の良さを語ることは難しいです。
しかしながら、シャクナゲの群生地と苔むす原生林、人里離れた場所と登山者が少ないことによる静寂さ。不思議な魅力がある山でした。
首都圏からはアクセスは困難で、また来年に来ようかなとはなりませんが、紅葉が綺麗と言う噂も耳にするので、秋口にコースを変えて、訪れてみたいと思っています。
コメント
御座山はめちゃくちゃ眺望いいですよねー。
ワンミスで助からない岩壁の上なのに、なんだか落ち着く山頂だった記憶。
最短の栗生ルートしか歩いたこと無いので、次は長者の森ルートを試してみようと思います。
展望良かったです。
富士山が見えないのが欠点くらいもので。かなり、キレッキレの山頂でしたが、のんびりできました。
栗生登山口から登って来る人も多かったです。沢があるみたいなので、逆に自分はそちらから登ってみようと思いました!