2016年11月6日
香川県の飯野山に行ってきました。標高421mです。
讃岐富士の呼び方が定着している全国各地にある郷土富士の一つです。こんもりとしたおむすびのような形をしていて、丸亀市からのいずれの場所からも見ることが出来る、町の象徴とも呼べる山です。
香川県丸亀市は言わずと知れた讃岐うどんの町です。うどんの聖地にある山の名前が「飯野山」、「メシの山」なのです。
「うどんの町の飯の山」
「灰とダイヤモンド」、「冷たい太陽」、「真冬のひまわり」のような真逆の意味のタイトルのようにグッと来てしまいました。
四国香川県でうどんで始まりうどんに終わる旅になりました。
飯野山(讃岐富士)について
地図
飯野山は飯野町、飯山町、坂出町の3つの町にそれぞれ登山口があります。
一番メインっぽい気がする「飯野町ルート」を選択しました。
コースタイム
- 7:50飯野町登山口基点
- 8:155合目
- 8:49飯野山
- 9:41飯野町登山口基点
行動時間は1時間51分でした。
讃岐富士 ハイキング
丸亀の朝はうどんで始まる
香川県丸亀市は少しだけ歪なハートの形をしていてます。ハートの上部の窪んだ位置に飯野山があると思ってください。ほぼ、中央に位置する飯野山は市内のあらゆるところから見られるシンボル的な存在なのです。
土器川に架かる橋からこんもりとおむすび型をした飯野山を見ることができました。
香川県丸亀市の朝はうどんで始まります。
「純手打ちうどん よしや」は飯野山の南西にあり、登山前に食べるうどん店としてベストなロケーションで、朝7時から営業しています。
駐車場からは飯野山が目の前にそびえています。
人気店で朝から列が出来ていました。
温かいかけうどん中(290円)にゲソ天と磯部ちくわ天を注文しました。
讃岐うどんは東京に浸透し、スタンダードなうどんになりつつありますが、初めて本場で食べる香川県の讃岐うどんです。朝から入りこの効いた出汁の美味しさで目が覚めました。麺も讃岐うどんらしいコシが強く、汁との絡みがとても良かったです。
是非、登山前の腹ごしらえに訪れてみてください。
住宅街を抜けるように飯野山の登山口を目指していきます。一応、案内板が壁にかかっているので見逃さないようにしましょう。
今回は一番メジャーなルートを歩くため、「丸亀市役所野外活動センター」を目指しました。
奥に進んでいくと砂利道になり、駐車場がありました。ずらりと車が並んでいて、空いているスペースに駐車するのが大変でした。
車のカラーが全体的に白いのは、うどんを意識してのことだと思います。
荷物を削って、軽装で登ります。
まずは駐車場から階段を登り、野外センターを目指します。
蛇口を外された水道。
香川県は水不足になりやすい土地です。しかし、うどんを茹で、絞めるのには大量の水が使われます。蛇口を外し、水をうどんに集中する対策なのでしょうか。
ぐるぐると山を回りながら、丸亀平野と瀬戸内海の展望を見る
飯野町登山口基点(7:50)
長さの違う三本柱タイプの柱の登山口がお出迎え。山火事防止の看板が派手すぎます。
その巨大な看板の下には、野外活動センターで主催される催し物のお知らせが書かれています。町民に愛されてる山って感じがプンプンします。
野外活動センターはトイレがあり、自動販売機もありました。
飯野町ルートを選択しました。
カタツムリのように渦を巻くコースの形、どこかの山に似ているなと思った人は、登山ギークです。
鹿児島県の最南端にある開聞岳も同じコースの形をしています。開聞岳は時計回りのコースなので、飯野山とは逆回りです。
高松自動車道がこの山を避けるように造られているのも面白いところです。
呼称である「讃岐富士」がデカデカ書かれています。
どこにでもあるような飯野山だと少し全国区としてのパンチがないし、「讃岐」を生かしたブランディンは賢いと思います。
登山開始です。
道幅は二人分しっかりあり、渦を巻くコースの形から傾斜は緩く歩きやすいです。
飯野山のススメ。
という、パンフレットが公式ガイドマップ兼地図になっています。「飯」がおむすび型になっているのがポイントです。
「飯野山は讃岐富士とも呼ばれるビュート王様!!」
はて?聞きなれない「ビュート」という単語は一体?
水平層から成る台地が開析された結果形成される小さな卓状丘陵。メサの小規模なもの。頂部に平坦面があり,急崖によって囲まれる。最上部は硬岩より成る。
調べると地形を示す言葉でした。開析?卓上丘陵?メサ?さらに単語の意味を調べないとわからないですけど…。
樹林の隙間から市街地の展望を得ることが出来ますが、見える風景は僅かばかりです。
二合目に到着。
飯野山は登山道が合目ごとに区切られ、丁寧に看板が設置してあります。
この日の天気は晴れでしたが、霞んでいるため遠くまでは見渡せませんでした。丸亀平野は農業用水を貯めるため、人工の溜め池がたくさんあります。瀬戸内海に面している地域では、雨が降りにくいそうです。
三合目に到着。
出発点より600mです。二合目からは6分の距離でした。
11月上旬でしたが、妙に蒸し暑かったので、早々に上着を脱ぎました。
四合目は展望スポットです。
高松自動車道が正面に伸びていき、クロスするように土器川が流れています。映画UDONのロケ地である宮池などの紹介もあります。
奥にはうっすらと瀬戸内海が見えていました。
8時と言う朝の時間でしたが、下山してくる単独の登山者とすれ違います。早朝に登り、体力づくりをしている地元の人でしょう。
早朝にひと汗かいて、うどん屋でお腹を満たし、自宅に帰ってシャワーを浴びる。これが讃岐の人の暮らしなのかもしれません。
五合目(8:15)
そんなことを思いながら五合目を通過します。
頂上まで後1キロです。
飯野山から南西方面の展望が広がります。有名な金比羅山のある琴平町方面です。
金比羅山は前日に参拝していますが、階段が多くて多くて大変でした。金守りを買ったので、大金が手に入ることを期待しています。
金比羅山の境内から見た飯野山です。とても、目立ちます。
さて、話は飯野山登山に戻ります。六合目に到着。
クリーム色の見慣れない花が咲いていました。
びわの花です(※コメント欄にて教えて頂きました)
登山道が南側の斜面に差し掛かると、太陽の光が射してきました。それほど、人が歩いているわけではありませんが、10分おきに登山者とすれ違います。
紅葉が先走っている木がありました。香川の低山だと11月下旬ぐらいがピークでしょうか。
八合目(8:38)
八合目に到着。
八合目は飯山町コースとの合流ポイントでもあります。
八合目で頂上に至るルートが二手に分かれていました。
直登コースだと210m、直進コースは410m。流れ通りに直進することにしました。
八合目を過ぎたあたりでは北側の展望が開けました。瀬戸内海に架かる橋は、岡山県と結ぶ瀬戸大橋(せとおおはし)です。
去年、石鎚山で来る途中に夜行バスで乗りましたが、真っ暗で何も見えませんでした。
九合目に到着です。
山頂までのビクトリーロードです。最初から最後まで緩やかな斜面でした。
樹林帯がぽっかりとあいた空間が見えてきました。
地元登山者が集うコミュニケーション空間の山頂
飯野山山頂着(8:49)
登山口から59分でした。1時間ちょっと登れる親しみやすさがよいですね。
山頂は平らに整地されていて、野球グラウンドの内野くらいの広さがあります。周囲が樹林に覆われているので、展望はありません。
飯野山は新日本百名山に指定されているのを頂上で知りました。こんな立派な石碑が作られるほどの影響力があるんだっけ??
山頂の看板が奥に二つ程、ひっそりとありました。
山頂は丸亀市と坂出市に跨っているからだと思います。面積比率は4:1(丸亀:坂出)くらい?
全国の”いいの山“紹介コーナーがありました。
香川以外に山口、島根、岡山に3つほどあるようです。意外と少ない?「飯」と付けられた山はたくさんありますが。
「どっから来たの~?」
「東京からです」
「あら?そんなところから来たの?」
飯野山によそ者がいるのが珍しいようで、尋ねられました。
山頂にいる人たちは大体が顔見知りらしく、「〇〇さん、さっきあっちのコースから登って来たよ」、「この後はあそこの病院に行く」みたいに世間話(讃岐弁で)を楽しんでいました。
集合して登るわけでもなく、山頂で顔なじみにあって、それぞれのペースで帰っていくようです。剣山のように山奥で、全国から人が集まる山では見られない、町から近い里山ならではの風景がありました。
山頂は樹林に囲まれ展望がないのですが、30mほどくだったところに展望所があります。
展望デッキが作られていました。
展望は西側のみで、少し木が邪魔してあまり見えません。6合目~7合目の方が見えた気がします。
2006年公開の映画「UDON」に讃岐の町のシンボルとして、飯野山(讃岐富士)が頻繁に映っています。讃岐うどんのブームは69年を初めとして、4回あったらしいです。今や全国に定着しつつありましたが、それまではローカルフードだったようです。
展望デッキのそばに巨石群があります。飯野山には「おもじょ伝説」があるそうです。
小便をしようと飯野山(香川県中部)に足をかけた際に山頂付近に足跡が付いた(現在もその跡であるという伝説の足跡が残っているが非常に小さい)。なお、その小便の際に出来たのが大束川といわれる。
全国に伝承がある国造りの神「ダイダラボッチ」と同じものです。日本の山は火山でもなく、隆起でもなく、巨人が作ってるんです。
飯野山で塩にぎりを食べておきました。
うどん県において、コンビニでおにぎりが売ってないんじゃないかと思いましたが、大丈夫、ありましたよ。
飯野山山頂発(9:10)
今日中に東京に帰るため、そそくさと下山を開始します。八合目はショートカット。
飯野町登山口基点(9:41)
下山は非常にスムーズで30分で降りることができました。近隣住民の体力づくりに利用されるのに丁度よい感じでした。
登山後は釜あげうどん超有名店「長田in香の香」
郷に入っては郷に従え、下山後は勿論うどんを食べます。
「釜あげうどん 長田 in 香の香」にやってきました。丸亀市の隣にある善通寺市の超人気店(食べログのうどんカテゴリー全国3位)です。下山後に即移動して10時8分に到着しましたが、店の外に並びが出来ていました。
LINK 釜あげうどん 長田 in 香の香 (ながた いん かのか)
店内はとても狭く、そもそもうどん店なので回転も速く、すぐに順番が回ってきました。
釜あげうどんが有名で、釜あげうどん小(250円)、釜あげうどん大(350円)というリーズナブルな価格。登山もしてきてるし…ってことで、二人でたらい小(1000円)を注文しました。たらい小で6玉分です。
ご飯もののメニューはセルフになっていました。天ぷらなどはありません。
注文と会計を終えて、番号札をもらい着席。テーブルには薬味のねぎとショウガが置かれていました。
ドスンと鈍重な音と共に置かれた、たらい小。
「やっちまったぜ…」と、見た瞬間に思いました。6玉分の凶悪なボリュームです…。
うどんを食べる汁は、特大の徳利で提供されるスタイルです。
この徳利、重くて熱いので、出汁をお猪口に入れるのが大変です。女性の力だと大変かもしれない。これが香川のうどん屋の洗礼か。
イリコ出汁のいい香りがします。
うどんパーティーの始まり。
釜あげは水で絞めていないので、歯ごたえがなくなってしまうのが普通ですが、ここの店の麺は十分コシがあります。
麺がとにかく美味し、出汁がまた絶品です。良く絡みます。登山後とは言え、6玉は厳しかったですが、何とか完食することが出来ました…。ゲフ…。
後日談ですが、この店にカメラのレンズを忘れてしまいました。後日郵送で送っていただきました…。
丸亀市のグルメ骨付き鳥を一鶴本店で食べる
おまけでご紹介。
丸亀ではうどん以外も食べています。丸亀には骨付鳥というグルメがあります。前日の夜に訪れた「骨付鳥一鶴丸亀本店」です。
LINK 骨付鳥 一鶴 丸亀本店
一鶴(いっかく)の店内は高級レストランっぽい造りで、閑散とした丸亀市駅前の雰囲気とは違い、繁盛していました。
しょうゆ豆と和製生ハムなどの小鉢メニューを注文。
そして、こちらが骨付鳥(おやどり)です。特製スパイスと鶏肉の愛称が抜群で、ビールも進むし、米も進みます。
こちらはひなどりです。ひなどりの方が食べやすいですが、おやどりの方が噛み応えがあって好みです。老若男女問わず美味しいと思えるグルメだと思います。
ちなみに横浜にも店舗があります。
というわけで、前日の夜は骨付鳥を食べて、丸亀のディープナイトを過ごしていました。
徳島県から高速バスで神戸、新幹線で帰京
さて、話は戻りうどん後は丸亀市の銭湯に入り、徳島県に移動してレンタカーを返却しました。
3日ぶりに徳島駅に戻ってきました。
徳島から神戸には電車はないので、高速バスを利用します。
新神戸駅から新幹線に乗り、東京へと帰ります。
今だ訪れたことがなかった徳島県、高知県、香川県の四国3県の山と海と町を巡る旅を終えました。
讃岐富士のハイキングを終えて
飯野山(讃岐富士)は、石鎚山、剣山や三嶺のように遠方から来る程のクオリティを保証できませんが、香川県の独特の空気感を持った里山でした。今回は霞んでいましたが丸亀平野、瀬戸内海の展望も優れています。何より登山者であれば興味を引く形をしています。
自分としては、その土地の人しか登っていない小さな里山に魅力を感じているので、これからも遠方に出向いた際でも積極的にプランに組み込みたいと思っています。
四国4県それぞれの山を登ったことになりますが、まだまだ四国には行ってみたいと思っている場所があるので、次回は登山ではなく、観光を重視する形で訪れようと思っています。
讃岐うどんの魅力を再確認し、再び香川県のうどん巡りをしたいです。
コメント
はじめまして。大好きなこちらのブログをいつも読ませて頂いています。
ちなみに、四国は徳島在住です。
以前の石槌山の記事にも大感動しましたが、新年たて続けに四国の山記事でとても嬉しいです!
四国は低山・里山、良いのがいっぱいありますよ!(私は低山・ロングトレイル派です)香川ならお薦めは善通寺(観光名所のお寺の方です)から香色山⇒筆ノ山⇒我拝師山⇒中山⇒火上山の五岳山縦走です。急上昇と急降下の連続で本当に燃えますよ。
四国へのまたのお越しをお待ちしてます。
>歩き遍路さん
コメントありがとうございます。
初めまして、徳島からブログを読んで頂きありがとうございます。
四国は2年連続お世話になり、かつ、良き思いをさせて頂きました。触れませんでしたが、四国そのものが昔からのトレイルですねえ。
善通寺のおすすめ縦走コースを調べてみようと思います。
小豆島のトレッキングも気になっているところです。
四国はまた行きます!!!
Veryblueさーん、お疲れさまでした
四国は昨年も「青春18キップ」で2度も訪れました。
今年は飯野山へ登ってみようかなと、一瞬ですが思いました。
讃岐うどん美味しいですよね。でもあの6玉分のうどんは、ひどい!!!!
丸亀城へ行かれましたか?
>やま子さん
コメントありがとうございます。
青春18きっぷで四国とはオシャレですね。瀬戸大橋の電車に乗ってみたいです。
香川内で止まったら、朝のランニング気分で行ってみるといいかもしれませんね。
丸亀城行きました。
今度はうどん屋を10軒くらい回れるように頑張ります。
もはや開聞岳にしか見えねええと思って読んでいたら、やはりその点について触れていて安心しました。
>くまさん
開聞岳にしか見えねえと登ったら、やっぱり開聞岳でした。
香川を再び訪れた際にはぜひ行ってみてください。
はじめまして。
ブログ村の登山ランキングを見ていたら、
『香川 飯野山』という文字が目に付いて訪問させてもらいました。
クリーム色の見慣れない花は、びわの花ですね。
びわは11月ごろ開花するので、ちょうど咲いていたんですね。
あと『コンビニでおにぎりが売ってないんじゃないかと思いましたが・・・』って
そんなこと思う人がいるなんて、ちょっとびっくりでした!
>あえさん
はじめまして、ブログ村からの訪問、ありがとうございます。
もしかして香川在住のお方なのでしょうか。
びわの花なのですか!!
検索して画像を見てみたら、まさにその通りでした。記事に修正を加えさせて頂きます。
ありがとうございました。
お隣の愛媛県では、みかんジュースが蛇口から出るらしいので、香川県も…まさか…と思っていました。