2015年9月20日
北海道の樽前山に行ってきました。標高は1041mです。
苫小牧市の左端、支笏湖の南側に位置します。1902年の噴火で溶岩ドームが形成され、活動中の火山のダイナミックな風景を見ることが出来ます。樽前山の本体は火山規制により立ち入りできませんが、外輪を一周してきました。
阿寒富士、大雪山に続き、秋の北海道遠征の最終日です。
この4日間の北海道はあまり天気に恵まれない日々でした。樽前山は登る計画は無かったのですが、登山前日に北海道の東の果て知床から舵を取り、500キロ以上の移動を経て、晴れ間のある樽前山にやってきました。
北海道でしか感じることのできない広大な活火山の旅スタートです。
樽前山について
地図
七合目ヒュッテよりスタートし、溶岩ドームを周回するコースです。
- 最高峰は東山(1021m)
- 風を避けられる場所はないです
コースタイム
- 9:15樽前山登山口
- 10:05東山
- 11:25西山
- 12:44樽前山登山口
行動時間は3時間29分でした。
樽前山 登山
室蘭の地球岬より日の出、登別温泉で朝風呂
室蘭(むろらん)の地球岬よりおはようございます。
室蘭は北海道を拳銃に例えるとトリガーにある位置にある街です。
秋の北海道遠征登山で、1日目に阿寒富士、2日目に大雪山、3日目は網走観光をして、最終日に紆余曲折あり、樽前山の登山となりました。
3日目の記事は網走観光と特に需要のなさそうな観光なので割愛します。
室蘭は工業地帯なので、夜遅くに工場夜景とか洒落てるんじゃねと知床(前日の20時に北海道の東の果てにいた)から地獄のドライブを経てやってきたのですが、未明になってしまい、工場の明かりなど皆無でした。
地球岬より日の出を拝もうとするも太平洋上の分厚い雲に阻まれ残念な結果に。旅が毎回うまくいくとは限らないのです。
知床半島から室蘭までの弾丸移動500キロとは何だったのか…。500キロは東京から大阪間の移動距離です。
9月下旬とは言え、そこは北海道の海沿い。フリースを着込む必要がありました。
地球岬より移動を開始すると「名勝ピリカノカ(トッカリショ浜)」という場所がありました。
語源は「トカル・イショ」(アザラシの岩)で金屏風とイタンキ浜の間にあります。緑のベルトと奇岩で綾なす絶壁の荒々しい景観、イタンキ浜を左手に見ての海原の静寂さが奇妙な対照をつくり、本市を代表する景勝地として室蘭八景の一つに選ばれています。
口に出したら即噛みそうな名前です。三角の奇岩がありました。
分厚い雲上から御来光があがりました。この時の御来光時間は5時20分でした。
日の出らしい日の出ではないが、まあ良しとする。
室蘭にて日の出を拝み、北上をして樽前山を目指します。が、その前に一か所立ち寄ります。
登別温泉です。
北海道有数の温泉街で、ザ・ドリフターズの名曲「いい湯だな」の一番最初に出てくる温泉でおなじみです。
温泉の臭気があたりを立ち込めています。
現在時刻は6時45分、早朝営業する日帰り温泉が7時からのため、鉄泉池を観光します。知床から室蘭までの運転をやりきったゆうちゃんは、ぐったりと沈み込み車内から出てこようともしませんでした。
箱根や草津などの温泉観光地では、源泉が湧き出る地獄谷のような場所は必ずありますね。
7時前の早朝のため人気は全くありませんでした。谷に温泉街があるため、太陽の光がまだ届いてこない。
鉄泉池の見どころはこちらの木枠で囲まれた間欠です。時間が経つとボコボコと音を立てながら、お湯が沸きだします。
動画を撮りましたが、今一つ地味だったので割愛。
太陽が昇り、間欠泉一体に朝日が当たり始めました。
登別温泉の木々も徐々に紅葉を開始しているようでした。
朝7時から営業している「夢元さぎり湯」で入浴しました。内湯しかなく、風情はありませんでしたが、登別温泉に入ったという実績ができました。
道央自動車道で樽前山を目指し北上、苫小牧西ICより県道141号線で支笏湖方面に向かいます。
支笏洞爺国立公園に入りました。
樹海のような道になっていき、しばらくすると樽前山方面の山道へと入っていきます。
舗装されてはいませんが、しっかりと道になっているので、レンタカーでも安心でした。
樽前山7合目の駐車場に到着です。
ボランティアの人が誘導していました。9月連休最終日なので、9時過ぎでも空いていました。
森林限界はわずか10分、支笏湖と樹海の広がる風景
樽前山登山口(9:15)
天気図だと昼直前頃に晴れるとの予報だったので、室蘭と登別温泉で時間をつぶしていました。さて、その作戦は成功するのでしょうか。
7合目の登山口から標高差は360m程なのでお手軽です。
樽前山の本体への登山はできません。現在の山頂は外輪山の東山になります。活火山ではありがちですね。
樽前山の溶岩ドームは「樽前山溶岩円頂丘」として北海道指定文化財の天然記念物になっています。他の天然記念物を調べてもあまりピンとくるものはなかった…。
登山口から10分弱だけ樹林帯歩きがあります。
活火山らしく、山頂付近は樹林帯皆無です。
支笏湖の展望台がありました。
難読地名が多い北海道で、読めない湖の一つ「しこつこ」。
登山開始10分弱で樹林帯はなくなり、山頂まで一気に見渡せました。雲の流れが頻繁ですが、晴れ間が見えているのでまずまずの天気です。
初日に登った阿寒富士のように斜面に一本の登山道が続いています。傾斜があり、足を上げて登るため結構大変です。
シラタマノキの実がありました。山の上も実りの季節です。
秋なので花はあまり咲いていませんでした。7月には樽前山の名前を冠する「タルマエソウ」が咲くようです。
支笏湖バックに開放感あふれる登山道をガシガシと登っていきます。
砂礫の単調な道がずっと続き、STRONGさんが飽きてて不満を火山のように爆発させる寸前で、外輪と思われる稜線が見えてきました。
東外輪山(9:53)
登山口から40分程で、東外輪山に到着しました。
外輪に出ると広々とした火口、中央に樽前山の溶岩ドームあります。
火口というとゴツゴツと起伏のある土地ですが、まるで野球ができそうなグラウンドでした。
雲によって漆黒に陰る溶岩ドームの圧迫感がある。魔王でも住んでるんじゃないのか。
噴煙があふれ出していて、活火山そのものです。
外観がオーストラリアのエアーズロックに似ている気がするので、「北海道のエアーズロック」と名付けたらもっと人が増えそう。
分岐から山頂はすぐ。
遮るものが何もないため、強風に襲われると体がもっていかれそうになります。
樽前山の山頂、溶岩ドームの周囲を一周する
東山(10:05)
樽前山の山頂に到着です。標高は溶岩ドームの方が高いですが、東山が実質的な山頂です。登山口を出発して、1時間以内で山頂とはお手軽です。
お手軽ながら山頂ですが、展望は一級品です。
自分「旅に出ます探さないで下さい」、ゆうちゃん「指名手配犯」という、網走監獄で買ったTシャツの勝負Tシャツモード。
STRONGさんは残念ながらノリを理解して、一緒に買ってくれませんでした。
樽前山の名前の由来は諸説あるらしいですが、アイヌ語で「タオロマイ 」(川岸の高いところ・<そこに?>ある・もの)らしいです。
アイヌ人は山に名前を付けるという慣習がないらしく、開拓時代に内地の人間がこじ付けで漬けたらしいです。
樽前山東山の山頂からは支笏湖を眼下に眺めることが出来、樽前山の麓は樹海が広がっています。
樽前山の本体への登山道は禁止されていますが、一本の道が続いていました。昔は歩くことが出来たのでしょうか。
溶岩ドームを中心に反時計回り一周します。標準コースタイムで2時間です。
何気に富士山のお鉢巡りよりも長いです。
外輪山の位置によって溶岩ドームの見え方が変化します。「北海道のへそ」と表現できるくらいにプリン上に突起しています。
外輪の道幅は狭く、外側に転んでしまうと滑落になるので、「アハハウフフ走り」はやめましょう(棒)
樽前山からの縦走ルートがある風不死岳です。
支笏湖の湖岸から眺めると非常に秀麗な見た目をしているそうです。ガスっていますが…。
風不死岳の縦走ルートまた途中から7合目の駐車場に戻れるルートとの分岐点です。西山方面に向かうため、外輪をそのまま進みます。
西側にやってくると溶岩ドームを見上げるような形になります。
西側の外輪はアップダウンもなく平坦なルートです。羊蹄山が見えるかなと思っていましたが、雲が多くてとても見えませんでした。
火山帯ですが、高さ5センチほどの植物がところどころに生えています。夏は花が咲くのでしょうか。
左右に角が生えているみたいで鬼ヶ島に見える溶岩ドーム。
そして、西山へかなり厳しい傾斜を登ります。天気が急変してきました。
西山(11:25)
外輪を半周ちょっと歩き、西山に到着です。直前でガス巻かれて、展望がゼロになってしまいました。西山の標高は994mです。
そして、ポツポツと雨に降られ始めました。さっきまで晴れていたじゃないか!!
上だけレインウェアを着て、西山から下山を開始です。
樽前山神社奥宮の場所まで来ると再び晴れました。樽前山の外輪の西と東で全然天気が違う…。
樽前山神社は苫小牧市に本宮があります。北海道は開拓が遅かったため、山岳信仰のある山が比較的少ない気がします。
奥宮は溶岩ドームの南側になり、太平洋の海岸線を眺めることが出来ました。
ここで小休憩です。セイコーマートで買ったお寿司を食べました。何の魚だったっけか…。
外輪山一周もラストスパートです。
あれ?さっきまでガスっていた西山が晴れている気がするな。
東外輪山(12:18)
樽前山の外輪山一周が完了。2時間25分掛かりました。山頂で遊んでいた時間と小休憩込の時間です。
樽前山の溶岩ドームも見納めです。大スケールの山で、溶岩ドームがとてもインパクトのある山でした。
後は駐車場まで砂礫の斜面を下るだけ。
外輪から30分かからず、登山口に降りてきました。
樽前山登山口(12:44)
計画当初は登る予定がなく、本来であれば十勝岳を登山しているはずでした。晴れを求めての長距離移動でしたが報われました。
丸駒温泉旅館で眼前に支笏湖の大露天風呂
支笏湖まで降りてきました。
風不死岳が綺麗な三角形をしています。そして、奥が樽前山です。溶岩ドームがボタンのようになっているので指で押したい。
日帰り温泉は「丸駒温泉旅館」です。
「日本秘湯を守る会」の旅館です。
この会の温泉宿は、大雪山の旭岳に登った時にも立ち寄った。
料金は1000円と高いですが、それ相応の素晴らしいお風呂でした。内湯も広く綺麗で、なんといっても露天風呂が素晴らしかった。
支笏湖と同じ高さに露天風呂があり、湖に入ったような感覚で入浴できます。天然そのものといった感じの雰囲気もあり、アクセスは良い場所ですが、原生林に囲まれ秘湯と呼べる環境でした。
支笏湖から新千歳空港は車で1時間以内という近さでした。レンタカーを返却し、荷物を預け、訪れる場所はもちろん北海道ラーメン道場です。
味噌ラーメンが有名な「白樺山荘」という店をチョイスしました。
サッポロビールで乾杯は言わずもがなです。
登山後に味の濃い味噌ラーメンが染み渡ります。
成田空港に帰ってきました。
ここから1時間かけて東京に戻らなければいけません。自宅の庭から石油が出たらLCCは使わなくなるでしょう。
3泊4日の北海道遠征は、天候に左右され、紆余曲折ありながら結果的に楽しい旅でした。
樽前山の登山を終えて
- ダイナミックな溶岩ドーム
- 1時間以内で山頂
- 支笏湖と太平洋の展望
- 札幌や千歳空港からアクセス良い
- 他にはない火山風景
良い店しか思いつかない樽前山。日本二百名山というのは粒ぞろいの名峰という持論がありますが、樽前山もまたこれに当てはまる山でした。
内地の登山者は大雪山、知床、利尻を目的に北海道を訪れることが多いです。
樽前山はアクセスしやすく、お手軽な絶景が待ってます。新千歳空港に到着してその足で、または最終日に帰り際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
コメント
北海道の旅、ホントに楽しそうですね❗️
自分は実家の広島を絡めての伯耆大山・石鎚山しか遠征登山は行ったことが無いですが、今後は遠くへ何泊かする行こうと考えてます。ベリーブルーさんみないな北海道、九州の北へ南への遠征の記事はとても参考になります❗️
つい先日、空木岳を池山尾根から日帰り登山をしてきました、その時に山頂からワンツースリープランの南駒ケ岳、越百山の稜線をみましたが・・・・気持ち良さそうな尾根歩きですが、結構アップダウンがありますね。
また、引き続き更新を楽しみにしています❗️
>ハルオさん
毎回コメントありがとうございます。
北海道は果てしなく広く、遠征を何回してもし足りないくらいの規模、そして魅力的な観光地と山があります。お金と時間が許せば、毎年行きたいところです。
広島は今年の秋に行こうと思っています。弥山に登りたいのです。
空木岳登られたのですね!
ご苦労様です。池山尾根も樹林帯が厳しいと聞きます。駒石を見るため、木曽駒ヶ岳から縦走してみようかな…。
またのコメントお待ちしております。