2021年11月22日
長崎県対馬の洲藻白嶽に行ってきました。標高は518mです。
国境の島、対馬にある霊峰です。往復3時間未満の短い往復コースですが、山頂は巨大な花崗岩の上で、手すり一切なしの断崖です。花崗岩が剥き出しのダイナミックな山体と360度を日本海に囲まれた島らしい眺望があります。
対馬と言えば、日本より朝鮮半島(韓国)に近い島です。離島巡り、正確には離島の居酒屋が大好きな自分としては、一度は訪れたい島でした。そして、対馬のシンボルである白嶽は、貴重な観光時間を削ってでも、登りたい魅力がありました。
全島紅葉する11月下旬、博多港から夜行フェリーに乗って旅してきました。
洲藻白嶽について
コースタイム
- 13:29白嶽登山口
- 14:09白嶽神社鳥居
- 14:50白嶽山頂
- 16:00白嶽登山口
行動時間は2時間31分です。
アクセス
登山口の第一駐車場はGoogle Mapで「白嶽登山口(第一駐車場)」でナビするのが確実です。宿泊地である厳原から車で30分くらい掛かります。トイレのある第二駐車場から、悪路10分以上走行する必要があります。
洲藻白嶽 登山
悪路の先にある駐車場から、霊峰白嶽を登る
対馬は長崎県ですが、福岡と佐賀に近く、博多港からフェリーまた高速ジェットが出ています。今回、対馬へ山口県の秋吉台をハイキングしてから、対馬(厳原)行きの夜行のフェリーに乗りました。
対馬の玄関口である厳原の街から、登山口までは車で20から30分程かかります。第二駐車場と第一駐車場があり、第二に白嶽登山者用公衆トイレがあります。
ちなみに、レンタカーかタクシーじゃないとアクセスは厳しいです。バスで行けなくはないけど、時間に余裕がある人向き。
第二駐車場からは、白嶽の山頂が見えていました。奥のニョキと花崗岩が生えているのが白嶽です。
第二駐車場から第一駐車場の間は、林道を徒歩40~50分ほど歩く必要があるので、そんなことはしたくないので、車で移動します。しかし、この林道区間はなかなかの悪路でした。
タクシー3台くらいとすれ違い、ヒヤヒヤしながら悪路を抜けると、第一駐車場に到着しました。3~4台の駐車スペースしかないです。目の前が登山口になっています。
これ、GWの連休中とかレンタカーが溢れそうだな…。
登山口の横には小さな滝が流れ落ちていました。滝つぼの畔には仏像が置かれ、新鮮な白い花が献花されていました。
序盤は沢の流れに沿って、植林されている樹林帯を歩いていきます。しばらくは、平坦な道が続く感じですが、後半にかけて傾斜が上がるんだろうな…。
地面にはもみじが落ちていて、一部で黄色に染まってました。11月下旬の対馬では、島全体が紅葉していましたが、登山道には紅葉する樹木が少ない印象です。
冒頭2枚目の紅葉した写真は、登山道で撮ったものじゃないですね。
案内板が短い間隔で設置され、登山道は丁寧に管理されています。標高差は430mなので、駅から高尾山に登る+αではありますが、難易度は5倍以上あります。
利尻島、屋久島、伊豆諸島の離島の山々を歩いていきましたが、島の山の独特の雰囲気はまだ感じられません。奥多摩を歩いている感覚です。
対馬は、沖縄本島、佐渡島、奄美大島に次ぐ4番目の離島面積です。人口3万人以上なので、下手な市町村よりは都会です。
なので、旅人がイメージする離島っぽさは薄めだったりします。
コロナ以前は日本人より、圧倒的に韓国人観光客が多く、アルファベット表記の看板も。山中にハングル表記は見かけませんでしたが、街中はハングル表記を見かけない場所がなかった。
巨大な花崗岩に作られた岩屋と急坂を登る白嶽神社
花崗岩の山なので、10m以上の高さがある巨岩が転がっています。
「行者の岩家」と名がつけられた場所です。霊峰にはよくありますが、昔の修行している行者が、雨風を凌いだり、休息をとった場所なのでしょう。
アーチ状に空間が出来ている岩家もありました。
序盤は植林されたであろう杉林でしたが、上部まで来ると常緑樹の原生林に変わってきました。
山頂の半分の標高まで来ると、白嶽神社の鳥居に到着しました。ここは分岐になるようで、上見坂という登山口との合流地点になるようです。
白嶽は信仰の対象で、富士山や栃木県日光の男体山のように山全体が神域、御神体として祀られています。
鳥居を超えてくるといよいよ傾斜が出てきて、登山道にロープが張られるようになります。
道は木の根から岩石の斜面へと変化していきました。観光登山の気分できたら、この辺で追い返されることになります。
山頂方面と岩のテラスの分岐まで来ると、小さな広場のような場所があります。
これより上は山頂の花崗岩の岩場になります。
白嶽は雄岳と雌岳の二つから成ります。まず、二つの山の谷を登り、向こう側の斜面に出ます。
向こう側に進むと、雄岳の山頂の岩場が見えました。「登れるのか?」と躊躇してしまうような断崖絶壁。
写真では伝わりにくいですが、こちらの斜面に出らた、強風が吹き荒れていました。季節は冬になろうとしているので、大陸からの寒気が流れ込んでいるようです。
山頂アタックは、手と足をフルに使用した岩登りです。いや、かなりのヒヤヒヤもので、足を踏み外したら怪我じゃ済まない場所です。
御神体であることからかもしれませんが、ロープや鎖などの設置されておらず、原始的なパワー勝負です。
最後の最後は、100m以上はありそうな断崖絶壁を背景に、脚を伸ばして岩をよじ登ります。「え?まじ?」って思うくらい危険でした。
一歩踏み外せば大滑落、360度日本海の白嶽山頂
対馬の最高峰、白嶽の雄岳山頂に到着しました。登山口から1時間20分かかりました。
山頂は5〜6人がギリギリ動けるくらいの極狭スペースです。もちろん、手すりや柵など無いので、滑り落ちたら、対馬の土になるでしょう。
体を煽られるくらいの強風が吹いていたので、まともに立つことができません…。おまけに高曇りの天気がちょっと残念です。冬になろうとしている時期に来るのは無謀だったかも。
気候条件が良ければ、韓国の釜山の山並みが見えるらしいです。
対馬は大きく南北に隔てられていて、白嶽の山頂からは、対馬南部の眺望が確認できます。対馬はリアス式海岸なので、複雑な海岸線を見ることができます。そのせいで、広大な面積を誇る対馬ですが、海水浴ができるビーチは少ないみたいです。
対馬は山林面積89%なので、対馬は本当に山だらけ。基本的には海に面したところに集落があり、平らな山間部に点々と集落が存在します。
白嶽以外にもたくさんのトレッキングコースがあるので、山好きならば3泊、4泊しても楽しめるらしいです。
対馬の白嶽と言えば、「雄岳山頂から見た雌岳」の写真が最も使われています。果実を縦に真っ二つ割いたような、巨大な花崗岩です。
非常に言いにくいのですが、雌岳の名前が示す通り、じょせいk…。な、わけないですよね?
登山道があるかは不明ですが、稜線上は所々で花崗岩が連なっていました。
雄岳の山頂には「白嶽」の山頂看板が存在してたようですが、今現在(2021年11月時点)は見当たりませんでした。山頂の隅っこに、鳥の描かれた赤い石がポツンと置かれているだけでした。
眼下にあるのは岩のテラス。山頂が狭いので休憩には不適。その場合は、岩のテラスが休憩場所として推奨されているようです。今日は誰もきませんでしたけど。
そこまで高所恐怖症では無いのですが、風が怖すぎるので、匍匐前進しながら動画を撮りました。
立っていられない強風かつ体の体温がどんどん奪われてきたので、慎重に下山しました。
岩のテラスにやってきました。山頂ほどではないにしろ見晴らしが良いです。雄岳の山頂の突起が見えています。
ここからは、同じ道を引き返して、下山しました。
駐車場から悪路を再び抜けて、白嶽神社をお参りしました。賽銭箱すら設置されておらず、とても簡素な造りです。
白嶽神社の由緒が書かれた看板がありましたが、現代人にはなかなかに難読な文章です。冒頭の「神籬磐境」のワードでギブアップ。
神社の境内にはイチョウの巨木が黄色に紅葉していました。実が大量に落ちていたので、なかなかの異臭を放ってましたけど…。
対馬名物「黄金アナゴ」で、世にも珍しい刺身を食べる
時系列的に登山後ではないのですが、対馬の飲食店をご紹介します。
「あなご亭」は、対馬が産地の黄金アナゴが食べらる店です。ウナギ店は身近にありますが、アナゴ専門店は見かけないですよねえ。あなご亭は、対馬有数の人気店で、開店前から待ちが発生していました。
穴子に刺身って珍しくないですか?
さすが産地と言うことで、メニューを確認した瞬間に注文確定です。穴子の黒光りした見た目からは想像でできない、クリーム色が透き通った美しい切り身です。添えられているのは皮と肝です。
食べてびっくり、全く癖がなく、脂がのっているのに白身魚のようにサラッと食べれます。九州の甘い醤油と絡めると、味がより引き立ちます。
黄金アナゴの刺身、これだけでも対馬に来た甲斐があります。
定食は天ぷら、カツ、寿司などのメニューがありますが、シンプルに味を楽しめそうな白焼き定食。黄金アナゴは、とにかく身が肉厚でふっくらとした食感が美味しいです。
こちらは絶対に美味しいことが約束された煮アナゴ定食です。ご飯が進む味です。鰻ほどの脂を乗ってませんが、ご飯が進みます。全体的にさっぱりしているので、天ぷらかカツを一品頼めば良かったかな…。
厳原の居酒屋「対玄」で、日本酒「白嶽」と海の幸三昧
離島なのに意外と夜のお店が充実している厳原の夜。白嶽の登山後に人気の居酒屋「対玄」を訪れました。島の居酒屋の予約は必須で、対馬に行く2週間前に予約していました。
18時で満席で、新規のお客を断るくらいの盛況ぶりでした。お通しがイカの内臓の湯引きとアナゴの皮唐揚げ。対馬っぽい珍味です。
霊峰あるところに銘酒あり。日本酒「白嶽」の飲み比べセット。
登山後に、山の名前が付いたお酒、そして離島という環境。酒が美味しくないわけがない。日本酒の味がわかる人間ではないですが、飲みやすくて美味しかったです。
そして、これが対馬の船盛。穴子、カンパチ、平アジ、それ以外…知らない魚だらけです。対馬海峡で採れた豊かな海産物はどれもこれも美味しかった。
船盛にのどぐろを追加して注文したのですが、出された船盛に乗っていない。店員さんに尋ねたところ「アカムツ」がのどぐろということを教わりました。のどぐろは呼び名なんですね…。某テニスプレイヤーで知名度を一気に上げたのどぐろ、脂がトロっとして一番美味しかった。
あこや貝柱のバター焼きは絶品で、コリっとした感触で酒に合います。
ジンギスカンのようなタレ付けされた豚肉を炒める「対馬の名物料理とんちゃん」はパワーが付くスタミナ料理。
こうして濃厚な対馬の一日が終わりました。
洲藻白嶽の登山を終えて
2020年に発売された対馬が舞台となったゲームソフト「ゴーストオブツシマ」。その内容に触れながらでも、解説出来ればよかったのですが、プレステすら持っていないので…。世界的にヒットしたタイトルなので、コロナがなければ、外国人観光客が増加したでしょうね。
逆に言うと、日本人観光客しかいないチャンスなので、旅行計画の理由の一つでした。
今回の対馬旅行は1泊2日の行程では全然足りず、白嶽登山に半日を費やしたことで、主要観光地をいくつか巡れませんでした。余すことなく対馬を見るには、最低3泊4日は欲しいです。白嶽は前から登りたい離島の山だったので、感無量です。欲を言えば、韓国までの展望が欲しかったところですけど。
次の長崎県の旅は、五島列島を計画していますが、対馬もいつかまた訪れたい島になりました。
コメント
高尾山より低い標高とは思えない山頂の雰囲気と景色ですね。
最後の岩場は…下山する時が怖そうな。。
いいなぁ離島、特別な旅感がありますねー。
返信が遅くなり申し訳ございません。
コメントありがとうございます。
この岩場は非常に怖かったです。この日は、この時間帯に誰も登っていなかったというのも後押ししていました。
離島の旅は特別な気分がするので、年に1回はしていきたいとい思っています。