2022年4月10日
埼玉県の物見山と日和田山に行ってきました。標高はそれぞれ375m、305mです。
西武線の沿線にある里山で、アクセスが良く、歩きやすいので、「初心者向けの山」としてよく紹介されています。物見山の山頂は展望はありませんが、日和田山は都心方面の大展望が開けます。
日和田山の麓にある巾着田は、9月ごろの曼珠沙華で有名ですが、4月は桜並木の名所として知られています。
街の桜が散り始めると、森の中の野生のツツジが咲き始め、里山の株価が一気に上がる新緑のシーズンへと突入です。
西武鉄道で紹介されているコースを参考にして、武蔵横手駅から高麗駅の一駅分の距離を旅してきました。
物見山・日和田山ハイキングについて
地図
西武線の武蔵横手駅から高麗駅に縦走するコースです。
コースタイム
- 11:27武蔵横手駅
- 12:39物見山
- 13:28日和田山
- 14:07阿里山カフェ〜巾着田
食事1時間以上を含む
- 16:20高麗駅
行動時間は4時間53分です。
実際のハイキング時間は2時間40分くらいです。
物見山・日和田山ハイキング
武蔵横手駅から管理者がよく分からない五常の滝へ
本日のスタートは、西武線の武蔵横手駅です。池袋からは飯能駅で乗り換えて1時間弱で到着します。
自宅から奥武蔵エリアは時間が掛かるので、すっかり足が遠のいていました。
ホームから「やぎの家」が見えるくらいのどかな駅です。草原にやぎがいなかったので、家の中でお昼寝中でしょうか…。
武蔵横手駅の周辺には何もなく、自販機2台と公衆トイレが辛うじてありました。食料の調達は、やぎと同様に、そこらへんの草しかありません。
駅前から国道299号線を渡り、物見山の山頂を目指すため、「五常の滝」方面へと進んでいきます。
小川が流れ、草原が広がる林道を進んでいきます。この日は、25度を超える夏日で、日向を歩くのが暑い暑い…。
一本だけ生えていた山桜は満開を迎えていました。
奥に進んでいくと、花粉症の人が卒倒しそうな杉林へと入っていきます。
しばらく歩いて行くと、五常の滝の受付があります。入場料大人200円かかりますが、せっかくなので見学していきます。
その昔、南北朝時代の武士たちが戦勝を祈願して、この滝で身を清めたという言い伝えが残っており、地域に根付いた必勝祈願の滝
https://www.gojo-falls.or.jp/about
と、五常の滝のサイトに伝説が書いてありました。
名の由来になっている「五常」は、儒教の始祖である孔子が伝えた道徳だそうです。この滝のある地域が「高麗」なので、朝鮮半島にルーツがあるようです。
施設に年季を感じないので、観光地化されたのが最近なのかな…。
散策路はそれほど広くないので、15分~20分ほどあれば見て回れます。
バケツがロープに吊るされて、水を一定まで入れるとこぼれる仕掛けの装置がありました。これと同じものが、栃木県の足利学校で見ました。孔子に由来するものらしいです。
奥まで進むと五常の滝がありました。滝上から滝壺まで、落差12mの滝です。苔が蒸していて、神聖な雰囲気を感じました。
御岳山のロックガーデン、棒ノ峰などを歩けば、無料で見れるレベルの滝ではありますが、興味があれば立ち寄ってみてはどうでしょう…。
日の当たらない場所なので、苔が蒸しており綺麗です。
ちなみに、日高市が管理しているわけではなく、どこかの管理団体の所有する私有地です。バックは謎です…。祠とか像が設置してあるけど、歴史があるようなものではないと思われます。
標高のある里と杉林が織りなす物見山
五常の滝から林道に戻り、しばらく進んでいくと分岐点がありました。この分岐点を物見山・日和田山方面へと進んでいきます。
ここからは登山道です。緩やかな坂道が始まりました。
と思ったら、民家の庭に出ました。これ登山道で合ってる?って一瞬思いましたが、登山者がゾロゾロ歩いていくので間違いないようです。
民家の正面だけ杉がないので、奥武蔵の山々が眺められるロケーションです。キャンプ場にしたら繁盛しそう。
ピンク色のヤマツツジが咲いていました。低山ではつつじシーズンに入っていますね。
道端にもピンク色の花が咲いていました。何の花だろコレ。
民家の庭先を抜けると、再び、杉の樹林帯へと突入です。巨大な石碑で、馬頭観音像がありました。
「気温20度オーバーは、標高300mを登る気温じゃない」と愚痴をこぼしながら、整列した杉の樹林帯をトボトボ歩いて行きます。
物見山山頂の分岐に到着しました。一応、メインどころの山頂だし、巻く人いるんだろうか…。
そこそこの傾斜を登っていくと、山頂が見えてきました。山頂部分だけ杉がないけど、周辺の木が高いので実質展望ゼロです…。
日差しを避けるように、全員が木陰で休憩とっていました。
展望のない物見山からまさかの心霊スポット高指山へ
物見山の山頂に到着しました。
何気に数少ない一等三角点の山なのですが、見つけることができませんでした。後で写真を見返したら、おじさんがザックを置いていたみたい。おのれ…。
昼食は池袋で買った栃木県産スカイベリーのフルーツサンドを食べました。スカイベリーの甘さが濃厚です。
ちなみに、スカイベリーのスカイは、空のスカイではなく、皇海山のスカイです。登山者が大好きな山ですね。
物見山を後にして、日和田山を目指します。まずは、途中にある高指山を目指します。
再び、アップダウンのない杉の樹林帯です。登山者に加えて、トレラン勢が行き交います。
10分程度進んでいくと、アスファルト道路に出ました。
「ふじみや」という売店がありました。たくさんの登山者が立ち寄っていて、暑いのでアイスが売れていました。自販機でキンキンに冷えたコーラを購入してリフレッシュ。日和田山の山バッジがここで販売されています。
空気がクリアな日なら、名前の通りに富士山が見えるのかな。
休憩できる東屋の前には立派なソメイヨシノが咲いていました。ちなみに公衆トイレがあります。
しばらく、アスファルトの区間が続きます。高指山山頂を示す看板がやたら新しいので、最近山頂へのコースが作られたのでしょうか。
かつては、大阪や新潟に電波を中継するNTTが所有する施設だったらしいのですが、現在は光ファイバーに移行したので、使われていないそうです。
高指山の山頂に到着しました。
綺麗に整地されており、有刺鉄線のフェンスで囲まれています。刑務所内にある受刑者が運動する庭にいる気分です。
しかし、杉の樹林帯より結構上にあるので、物見山より展望があります。奥武蔵の山々は相変わらず判別が難しいなぁ。
令和3年10月指定と書いてあたので、つい最近作られたんですね。ちなみに、高指山なので、高い方に指を差しているポーズだったんですが…。
2020年1月25日午前10時半ごろ、埼玉県日高市清流の無線中継所跡地で、ロープで首をつった状態の男性をハイキング中の男性が発見し、飯能署に通報した。男性は死後数日が経過し、外傷や着衣に乱れがないことから自殺の可能性を含め、同署は身元を確認している。
このブログを書いているときに、高指山を調べたら、このニュースを見つけてゾッとしました…。指をさしているのが、現場だったのかな…。
そんな心霊スポットでもある高指山を後にし、日和田山へと向かって歩いて行きます。物見山より低いので、緩く降っていく感じです。
日和田山に近づくと、杉林はなくなり、自然林に変わって行きます。新緑に癒されます。
真っ赤なヤマツツジが咲いていました。
日和田山の山頂直下は、岩岩しい急斜面になっていました。
山頂にある灯籠が見えてきました。
日和田山は朝鮮半島の歴史が残る山頂、都心部の展望が広がる
日和田山の山頂に到着しました。
個人的に2014年以来8年ぶりの登頂になりました。看板のペンキが劣化し、山名以外は読めなくなってました。
この山頂には思い入れがあり、「BBA」と書かれたプラカードと一緒に撮影する高齢者団体がいて、思わず「え、ばばあ?」と思わず声に出してしまったんです。
「Boys be ambitious(少年よ大志を抱け)」の略だとは誰も思わないじゃないですか。
彼らはまだ元気だろうか…。
日和田山の展望は360度。とはいかないですが、都心部方面だけが開けています。薄っすらと池袋・新宿あたりの高層ビル群が見えました。
山頂もピンク色のヤマツツジがチラホラと咲いていました。
山頂に石柱は変わった形をしています。
高麗と言う地名が表す通り、1300年以上も前にやってきた高句麗人(今の北朝鮮あたりの国)が生活していたことが由来だそうです。
それでは、日和田山から下山します。日和田山は植林じゃないので、登山道のサイドにツツジがたくさん咲いて、彩り豊かです。
街路樹でみるツツジは整然としているけど、野生のツツジは好き放題に伸びまくってるのが良い。
見晴らしの良い登山道で、新緑のフレッシュグリーンが心地よいです。
山頂から10分程度降りていくと、神社の裏手に出ました。
金毘羅神社に到着です。
金毘羅神社と言えば、無限に続く階段で有名、香川県に本宮がある神社です。
この金毘羅神社から麓の巾着田を見下ろした構図が、この日和田山を象徴する風景です。
巾着田の由来は、高麗川が巾着袋のようにカーブを描いているからです。
肝心な桜並木はピンク量が無く、どうも見ても終盤だということがわかる…。
ここは山頂よりも視界が開けているので、眺望マップが設置されていました。広大な埼玉の風景、東京スカイツリー、果ては富士山も見えるようです。
快晴の天気ではあったものの、遠くはぼやけているので、さすがに富士山は見えませんでした。
金毘羅神社から降りる道は二手に分かれ、男坂と女坂があります。男坂は岩場なので登り専用で、女坂で下ります。
日和田山は杉林の中にもつつじが咲いていました。
険しい道が男、なだらかな道が女というのは、全国共通なんですかねぇ。
男坂・女坂を過ぎるとハイキングコースは終了です。公園のような広場がありました。
それでは、巾着田に向けて歩いて行きます。
「日和田山からエベレストまで」と、石碑、いや山のフォルムをした山碑がありました。女性登山家で世界初のエベレストに登頂した方だそうです。
私は「草野球はするけど、プロ野球を全然見ない」みたいなハイカーなので、プロ登山業界に詳しくないんですが、そんな凄い経歴の人も里山が好きなんですね。
巾着田の阿里山で食べるヴィーガンランチと散り始めの桜並木
巾着田を歩く前に腹ごしらえです。巾着田の周辺ではひときわ目立つ「ALISHAN」というレストランにやってきました。
店名になっている阿里山は、台湾にある山です。阿里山で採れる茶葉の烏龍茶は高級品。
アメリカ人と台湾人の夫婦が経営するオーガニックレストランで、見慣れないオーガニック食材を輸入したショップが併設しています。
ちょうどお昼時だったので2組ほど待ちました。その後、開放的なテラス席に案内されました。
登山後はアブラギッシュな料理が食べたくなるところですが、今日は3時間程度のハイキングコースだったので、ヴィーガン料理でも満足できるはず…。
ブラッドオレンジのオーガニックスパークリングで口の中を整えます。なるほど、ファンタのような下品な甘みは無く、スッキリとした味です。まぁ、薄いです。
ベジバーガープレートを注文しました。とても、鮮やかな見た目のランチプレートです。生のサラダの量がなかなかに多いのと、レンズ豆サラダがお腹にたまります。
大豆ミートのパテが意外と美味しく、ズッシリと食べ応えがありました。この食事だったら、ヴィーガンを継続できそう。ただ、トッピングで注文したチーズは微妙だったな…。
本日のスープのキャロットスープは美味しかった。にんじんと玉ねぎの甘みがコッテリしていました。
こちらは、ビビンバのような丼メニュー。相当なボリュームがありました。
たぶん、日本人には食べ慣れないスパイス?調味料?が使われているせいか、少しだけ違和感ある味でした。
デザートに注文したのはキャロットケーキです。しっとり濃厚。アイスは牛乳を使っていないので、シャーベットに近い食感でした。豆乳を使っているのかな?
ヴィーガン料理って高くて、少ないイメージでしたが、ここの料理は値段も量も満足でした。自宅でヴィーガン料理を作るのは、コストがかかりそうですが、ちょっと野菜中心の生活に憧れる体験でした。
でも、すぐ脂っこいものに手を出すんだろうけど…。
阿里山カフェを出て、歩いて5分で巾着田にやってきました。2015年、2017年に曼珠沙華シーズンに来ていて、通算3度目です。
日和田山から眺めた通り、桜並木の満開は過ぎ、葉桜へと変わろうとしていました。満開を過ぎているせいなのか、桜並木をわざわざ見にくる人はいないのか、曼珠沙華シーズンと比べると静かなものです。
巾着の底の部分まで来ると、桜並木と一緒に日和田山を眺められることができます。
桜に加えて、菜の花が満開になっている写真を見ましたが…、部分的にしか咲いておらず、スッカスカでした。1週間前に来ていれば…。
広場のような場所にはたくさんの種類の桜が均等に植えられている場所がありました。こっちは満開でした。
緑道には紫色の花が咲き乱れていました。
この巾着田が、5ヶ月後の9月に、森全体が曼珠沙華で赤一色になるんだなと思うと、一年の変化の目まぐるしさを感じます。
巾着田から15分ほど歩いて、高麗駅に到着しました。そんなに長いコースを歩いたわけじゃないですが、前日の疲れもあり、だいぶ最後はヘトヘトでした。
ちなみにヴィーガン料理ですが、食べた直後はお腹いっぱいでしたが、乗り換えの池袋駅で、お腹が空いていました。自分にはこの食事スタイルは無理なのかもしれません…。
物見山・日和田山の登山を終えて
コースタイムは3時間未満と短く、5割以上はアスファルトを歩いていましたが、登山の面白要素がギュッと詰まったエンタメ溢れるコースでした。
下山後に巾着田付近で食事をする予定がなければ、高麗駅をスタートした方がいいと思います。この日は、150人以上とすれ違いましたが、ほとんどが日和田山から登っていました。
それにしても、高指山の件は、今後も頭の片隅に残りそうな怖い出来事でした。意外と曰く付きの場所を登山者は知らずに通過しているのかもしれません。
新学期・新年度の何かと忙しい4月頭ですが、そんな週末でも歩ける優しいコースでした。
コメント
山岳事故だと「こんなところで?」って里山でも起きてるので何となく頭で消化できますけど、自○現場を後で知るとちょっと引きますね…。
事実を知ってしまったので、、行くなら飯能駅から天覧山抜けて日和田山折返しかな。。
ちなみに五常の滝の経営母体は日本自動ドア株式会社だそうです。色々と謎です。
コメントありがとうございます。
メインコースからは若干外れているので、通過する人も多い山頂です。
事件当時は山頂が開放されていたかはわかりませんが、そこに施設があって、しかも階段があるなんて、知ってないと分かりません。それに、首をくくるなら山林でもいいのに…。ちょっぴり違和感がある現場でした。
里山って、なぜここに集落が?なぜここにお地蔵様が?って考えて調べてみると、いわくつきの背景があったりするんですよね。
確かに、よく見たら書いてありました。会社のホームページ見たら、役員がずらり同じ苗字だったので、一族経営の会社みたいです。出身だったりするんでしょうかね…。