2015年12月20日
八ヶ岳の蓼科山に行ってきました。標高は2531mです。
八ヶ岳連峰の最北端に位置し、長野県の中でも秀峰として認知されています。麓にはリゾート開発された蓼科高原があり、多くの観光客が訪れる場所でもあります。
冬期において、積雪が適度であることから、一般登山者でも雪山登山が可能な山の一つです。
2015年クリスマスを直前に迫った日曜日。
今年も恒例クリスマス雪山登山の企画がやって来ました。2014年は標高年の山である山梨県の小金沢山(こがねさわやま)で開催され、今回で2回目の開催です。
冬の蓼科山について
本企画の発起人はもちろんこの人、Saku兄(@pointing3 )です。
山の選定はチャラい雪山(氏曰く、北横岳や入笠山など)以外だったら、どこでもいいというザックリしたもので、蓼科山と言う選択もみんなが冬の時期に行ったことがないという理由だった気がします。
地図
女神茶屋の往復コースを歩きました。
コースタイム
- 7:40女神茶屋登山口
- 8:57蓼科山南西2110m地点
- 9:20幸徳平
- 11:02蓼科山山頂着
クリスマスパーティーを実施
- 13:29蓼科山山頂発
- 15:39女神茶屋登山口
真冬の山頂滞在時間が2時間27分と狂気じみているので参考にならないです。通常であれば全行程5時間から6時間程度です。
冬の蓼科山 雪山登山
女神茶屋から登る、雪の少ない蓼科山へ
「ティファニーで朝食を」を登山者に対し言い換えると「談合坂でスタ丼を」となるのは周知の事実だろう。西東京で生まれたラーメン屋のローカルフードが、全国展開されていることに日々の移り変わりを感じます。
不規則な時間に出発する都内の登山者のスタミナを24時間支えてくれます。
にんにく臭を満載したSaku兄の車が、冬の清浄な空気が伝わる蓼科高原を切り裂いていきます。
Saku兄の車内音楽は少し新しい曲を取り入れようとする姿勢はあるが、基本的に90年代中盤のヒットメドレーで構成されている。長いこと助手席を担当しているせいで、「ミニにタコ」ができるくらい同じ曲を聴かされている。
「諏訪富士」と呼ばれる蓼科山は、八ヶ岳の北端に位置し、一つ独立して存在しています。2015年は暖冬ということもあり、12月下旬にしては雪の付き方が今ひとつで、わかり難い例えをすると、チョークの粉が付着した黒板けしくらいの積雪です。
蓼科山の冬期登山口がある「すずらん峠園地駐車場」に着いたのは7時30分を過ぎた頃でした。到着は遅い方だったようで、既に20台前後の車が駐車していました。
今回のメンバには初登場の山茶人氏(@yamachajin)が参加してくれています。
蓼科山に近づいてきた時からわかっていたことだが、雪が少なく、スタート地点において、「果たして雪山登山ができるのか?」という疑問の声が上がっていました。
12月の登山者の正装(サンタ帽)をして、準備を整えます。
女神茶屋がスタート地点なのですが、果たして我々に勝利の女神は微笑むのでしょうか。
そして、女神が微笑んでいたら、ここにいない気もするけど。
渇いたアスファルトを歩き、登山口へとやって来ました。
女神茶屋登山口(7:40)
いよいよ、クリスマス登山の幕が開けます。蓼科山の山頂まではコースタイム3時間の道のりです。
熊笹の上に微かに雪が積もっています。暖冬でなければ、熊笹は雪の下で、緑の葉っぱを目にすることはないだろうに…。
序盤は平らで、積雪もほとんどなく、ノーアイゼンで進みます。チープなスリルに身を任せながら、凍結に怯え進んで行きます。
蓼科山は独立峰ということもあり、山頂まで一本道。
見どころらしい見どころはなく、誰かが作った雪ダルマくらいなものです。
平坦な道が終わると70センチから100センチほどの岩がゴロゴロしている坂道に変わります。
雪の積もり方が微妙なせいで、アイゼンを装着すると逆にひっかかり危険、素の状態がまだマシと言うコンディションです。
木の間隔が離れている場所に出ると中央アルプスと御嶽山が見えました。滅多に晴れることがない日本海側も雲一つない天気でした。
蓼科山南西2110m地点(8:57)
歩きにくさに悪態をつきながら、開始1時間弱で標高400mほど登りました。
山茶人さんはザックに大きな赤いソックスを取り付け、昼食用のバケットを入れている懲りっぷりである。
少しの間、等高線が詰まっていないエリアで道が平坦です。
見上げると白い蓼科山の頂上部があり、苦しめにかかる傾斜をしていることが伝わってきます。
- 岩のせいで歩きにくい
- 特に見どころなし
- 登りが辛くて長い
3重苦のルートです。
登山界隈のインスタグラマーであれば「モフモフの雪道は歩きやすくて最高でしたー!!」と、いい部分だけを切り取ったコメントをして、いいねを貰うところです。
ここでは良くないところは良くないと伝えていく義務があります。
幸徳平(9:20)
幸もなければ、徳もないまま幸徳平に到着しました。今のところ晩秋の枯葉てた山で、クリスマス登山ムードがまるでゼロです。
スノーファンタジーな霧氷の樹林帯へ
上を見上げると木々の枝先が白く染まっています。どうやら霧氷がついているようですが、遠い…。
幸徳平を過ぎると傾斜がギュッと厳しくなってきます。
八ヶ岳の頂上付近になるとよくある登山道ですが、雪が相変わらず少ないためアイゼンをつけないまま進みます。
南八ヶ岳の展望が見れるようになってきました。主峰である赤岳と毎年遭難者が出る阿弥陀岳が目立ちます。
霧氷の高さも徐々に目線の高さに近づいてきて、クリスマスムードが出てきました。
お腹が空いたとSaku兄がパンを食べ始めました。
色々、これからの登山に対する野望を語っていました。実現すんのかと思うような長期の登山旅などを提唱していましたがよく覚えていません。
力石徹の放つカミソリアッパーカットのような威力ある登りに難儀し、ひたすら緞帳なペースで進んで行きます。
そして、樹林帯全部が霧氷化したエリアへと突入していきます。
気温が低いとはいえ、晴天化における霧氷はすぐに融雪してしまうので短い命です。
蓼科山は独立峰であるため、高度感があります。霧氷の奥に御嶽山が目立っていました。噴火前に登っていますが、いつかまた登れる日が来ることを願います。
森が凍り付くファンタジックな世界が広がり、青空との対比によって、白さがより際立ちます。
霧氷によって、自分とSaku兄は手のひらの返したようにはしゃいでいましたが、山茶人さんは感情の起伏をみせず、クールに対応していました。
雪が少なく所々に緑が見え隠れしていますが、これはこれで良い雰囲気だったりします。氷柱を折って、鼻につめたりね。
気持ちよい霧氷化した樹林帯ですが、食材が重いので、ひょいひょいとは進めません…。ただでさえ、防寒着と装備で重いのに…。
急斜面を登り切り、岩石積みあがる森林限界
ようやく森林限界に到達し、巨大な岩が積みあがったエリアへと変化します。このへんの雰囲気は同じ八ヶ岳の天狗岳や編笠山と一緒です。
樹林帯が下になり、八ヶ岳連峰の全貌が見えます。奥には南アルプスの山々が見えてきました。
北横岳や島枯山のある北八ヶ岳。雪が少なさそうです。それにしても、同じ八ヶ岳連峰とは思えない高低差があります。
北横岳から見る蓼科山は三角形に見えます。
山頂部分でも積雪は10センチもなく、アイゼンを使用せずに登り切ってしまいました。チェーンスパイクがあれば使っていたかも…。
ピッケルも持っていましたが、使う機会はなかった。
森林限界からは蓼科山頂ヒュッテの方角に歩いて行きます。
ヒュッテ直前でターンすると山頂へと続きます。
標高2500mの山頂で氷点下のクリスマスパーティー
蓼科山山頂着(11:02)
登山口を出発して3時間22分で頂上へと辿り着きました。
蓼科山は2回目の登頂ですが、2011年の4年前なのですっかり覚えていません。ただただ、広かったということは覚えています。
1回目はなぜやったのかと言う蓼科山、霧ヶ峰、美ヶ原を一気に巡る旅でした。
幸いなことにこの日の天気は快晴で、標高の割りに風は比較的弱めでした。これは絶好のクリスマスパーティー日和です。
メリークリスマス!!!
蓼科山山頂におけるクリスマスパーティーのお品書。
- ラム肉のホワイトシチュー~ひつじ年の意味を込めて
- シチュー用のクリスマスバケット
- スモークチキンの男焼き
- シャンパン風グレープサイダー
- クリスマスケーキ
豪華なメニューが出揃い、この週末に日本で一番の最高なクリスマスパーティー(物理的な意味で)となった。
熱々のチキンがとても美味しい。でも、油断するとすぐ冷たくなる。そうここは氷点下の標高2500mの世界。
標高の高さを生かしていない写真だが、とてもインスタ映えするシャンパンです。冷蔵庫に入れなくても当然キンキンに冷えています。
クリスマスに欠かせないケーキ。オーナメント付きで、形を崩さずに担ぎ上げたSaku兄を評価したい。
クリスマスパーティーを終えて、広大な山頂から他の山を眺めに行きます。
蓼科山は長野県の中央、列島の中央に位置しているので、各山域を眺めることができます。
やはり、目立つのは北アルプスで、雪の付き方が他と比べ段違いです。
南は乗鞍岳から北は白馬岳までずらーっと眺めることができるのは圧巻です。
南アルプス、中央アルプスも見えますが、富士山は八ヶ岳の主峰群に邪魔されてみることができないのが欠点。
山頂の中央に蓼科神社の奥宮があります。
門松と鏡餅を持ってきて、年賀用の素材撮りを行いました。
方位版もありましたが、雪で読めません。
山頂はグラウンド3個分くらいに広いのですが、基本的に岩石が積みあがっているだけなので、非常に歩きにくい山頂です。
クリスマス登山の先に見える新しい一年
蓼科山山頂発(13:29)
下山を開始します。標高2500mの厳冬期山頂に2時間以上滞在するというのは、ある意味記録的なことではないでしょうか…。
蓼科山頂ヒュッテは山頂から5分の位置にあり、泊まってみたいなと思っている山荘の一つです。
ヒュッテ側は北東側にあるので、群馬県や新潟県の方角が眺められます。とりわけ正面に噴煙を上げる浅間山がドンと目立っていました。
下山は思いのほか大変でした。太陽の熱よって溶かされた雪がぐずぐずになっていて、剥き出しになった登山道は泥に変わっていました。
行きは雪道、帰りは泥道という、「俺たちのクリスマス」を体現する結末となった。
Saku兄は2015年最後の登山ということで、登山道からアスファルトへ移る際、アイドルがマイクを置いて引退するように「この白線を越えたら、普通の男の子に戻ります」と、宣言をして、日本各地の山々を渡り歩く登山者から、普通のサラリーマンに戻っていきました。
そう言う彼の背中はどこか少し寂しそうに見えました。
駐車場に戻ってくるとSaku兄の車一台しかいませんでした。2時間以上も山頂に滞在していればそうなるのは当然ですが。
登って降りての単純行程の山ですが、山頂まで食材を運んだ疲労と氷点下の中で狂乱の宴を続け冷えた体を白樺湖にある温泉「すずらんの湯」で癒やしました。
LINK 白樺湖温泉すずらんの湯
冬の中央道は空いており、渋滞に巻き込まれることなく、帰路に就くことができた。
車内にクリスマスソングが流れることはなく、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」を聴き、その歌詞が妙に響いていた。
帰りは当時Saku兄が住んでいた町田の焼き豚屋で打ち上げをして盛り上がった。
町田はほぼ神奈川県の地方都市だが、街はイルミネーションでキラキラと輝き、多くの人で賑わっていました。喧噪をかき分けるように小田急線乗り込み、家路に着くのでした。
蓼科山の登山を終えて
「いつの間にか仲間はきっと増えてる 明日がそっぽを向いても走りまくれよ」
アンダーグラウンドな登山スタイルを牽引し続けるSaku兄を背中を見て、今年は仲間が一人増えました。例えコンセプトから外れようとも、クリスマス登山におけるフィールドの開拓は毎年Saku兄が行ってくれることを願うばかりです。
冬の蓼科山のレポートと言う観点では全く参考にならない記事になりました。申し訳ありません。積雪が年々減少傾向にあるので、蓼科山に関して言えば、事前に積雪状況を見極めて行ってみて下さい。登りが長く辛い山ではありますが、森林限界の防寒対策をしていれば、危険は少ない山だと思います。
登山が楽しくてたまらない、夏はアルプスの縦走!冬は雪山で絶景!という同世代が好むスタンダードな登山とは少し軸が偏っている自分ですが、独自のセンテンスを加えて、2015年そしてこれからも登山を楽しんで行きたいと思っています。
それでは良いクリスマスを。
蓼科山のクリスマス動画
My Roadshow「蓼科山のクリスマス」2015/12/20 https://t.co/1rDfoVIyvG @YouTubeさんから#蓼科山#クリスマス登山
— My Roadshow@登山ブログ (@my_roadshow) 2017年11月11日
コメント
この登山は、モテないメンズのクリスマスパーティーでしたよね?
あの厳しい参加資格をveryblueさんは、ちゃんとクリアされたんですね。
山頂の豪華なパーティーですね。食材は重かったでしょ?
リーダーのSakuさんは、最近レポが遅いんですよ
今年もモテない登山は開催されるんですか?
>やま子さん
開催は彼自身の結果が全てですから、今年の開催はどうなることやらという感じです。
彼に少しでも体制に反抗するロックな精神が残っているのであれば、我々はまた集わなければいけません。
進化する社畜魂、甲武信ヶ岳から、ずっと一緒。社畜さによろしくお伝えください。僕は、社畜さんが大好きです。かなり、進化されたのでは。
>監禁軟禁拘束野郎。さん
コメントありがとうございます。
甲武信岳以降には二人で富山県の奥大日岳に登っていますが、彼の生活にもいろいろ変化があるようでした。
彼は進化し続けているようです。
今度、一緒に登山に行くときにお伝えしておきます。