アイゼン無しで雪山を登ること、岩が多い山にはヘルメットをもって登ること、そういう話ではありません。
後悔した登山プランの事例を紹介します。
登山はどう登ろうが、どう計画を立てようが自由です。自由だからこそ、時に見誤ると後悔を生みます。自分が登山をしてきた中で、後悔した登山プランの経験を踏まえて紹介します。
真似してはいけない登山~ダブルヘッダー登山
1回の旅で、山をまとめて登ることです。
登山用語として存在するわけじゃないですが、「ダブルヘッダー登山」と一部で呼ばれています。限りなく一部で。
野球の試合において、特定のチームがホーム球場において1日のうちに2試合を開催することを意味
「ダブルヘッダー」Wikipediaより
ダブルヘッダーは野球の用語で、それを登山を融合させた造語です。もう一度言いますが、一部でしか使われていないので、使ってしまうと周囲をポカンとさせます。
ダブルヘッダー登山には二つの種類があります。それぞれ解説します。
ワンデイダブルヘッダー登山
その名前の通り、1日に2個以上の山を登ることを言います。
登山口から山頂までのコースタイムが短かい、または体力が有り余っている人が、登頂数稼ぎに行う登山です。実際のプランを例に出して紹介します。
定番ですが、長野県の霧ヶ峰と美ヶ原。
この二つは位置が隣接していて、山頂までの最短距離が短く、一日で二つ登ることが容易です。どちらも日本百名山に選ばれていることから、百名山の登頂数を稼ぐ人が一定数います。
登山を始めた夏、蓼科山を含めたトリプルヘッダー登山にトライしました。蓼科山、霧ヶ峰と登り、最後の美ヶ原で雨に降られ断念しましたが。
遠征ダブルヘッダー登山
遠征した際に複数の山を一気に登ることを言います。
例えば、北海道や九州のように移動時間が掛かり、交通費がかかる登山遠征では、一日おきに山を登った方が効率がいい登り方です。
四国の石鎚山と剣山、青森県の八甲田山と岩木山、九州の九重山、阿蘇山、祖母山、霧島山、開聞岳等はセットとして登られます。
私も登山にがっついていた時期(2013年頃)に、北陸のくくりと言うことで、1泊2日の週末で石川県の白山、福井県の荒島岳をそれぞれ日帰り登山の旅を敢行しました。
やらなきゃよかったと後悔した話
やらなきゃよかった…。
私は上記で挙げた蓼科山、美ヶ原、霧ヶ峰、白山、荒島岳、全て登り直しています。
なぜか?
振り返ってみると、山の思い出が薄いのです。
山頂に立った記憶だけが強く、旅自体は疲労と苦労を重ねたので、満足度は高いですが、「本当に山に登ったのか?」という思いが残り続けました。
山頂まで最短距離のコースは、良いコースとは限らない
長野県の霧ヶ峰を例にとって説明します。
駐車場から山頂である車山まで、最短距離のコースを選んだ場合、コースタイムは何と僅か50分です。観光リフトを使えば、ものの数分です。何というお手軽な山なのでしょう。
しかし、霧ヶ峰の地図をよく見て下さい。たくさんのコースがあります。
湿原と書かれている場所があります。少し変わった名前の山が周囲にあります。よく見たら登山口が結構下から伸びてるルートがあります。
登山口から山頂までを最短距離で結んだコースにその山の魅力があるとは限りません。
霧ヶ峰は1日をかけて十分回る価値があり、ツツジの時期、ニッコウキスゲ満開の時期、雪が積もった時期と何度通ってもいいほどの素晴らしい山です。
もちろん、たくさんのコースを一度に歩くことはできませんが、地図と睨めっこして見所が多いコースを選択しましょう。
日本百名山にこだわると他の良い山を見落とすことに
例えば、四国にある日本百名山は二つ。愛媛県の石鎚山と徳島県の剣山です。1回の四国遠征の旅でこの2つの山だけを登る人は多いです。
登山をはじめると「日本百名山病(自分が命名した)」を発症します。登山対象の山が、日本百名山に偏ってしまう病です。SNSのプロフィールに「百名山(21/100)」のように書いている人がそうです。食べログ3.5以上の店を選んだり、音楽配信でランキング上位の話題曲だけダウンロードする、ブランドや肩書に弱い日本人らしい行動です。
日本百名山に囚われると後悔する場合があります。日本百名山以外の山を切り捨ててしまうからです。四国は面積のほとんどが山で、二つの百名山以外にも良い山がたくさんあります。
剣山では縦走するコースを選択し、三嶺を登りました。また、香川県の讃岐富士という低山に登りました。町のシンボル的な存在なので、テレビで讃岐うどん特集とかに映りこむときに「登ったな~。」と思い出します。
私は石鎚山と剣山のそれぞれの山頂の小屋に宿泊し、2日をかけて歩きました。 日本百名山だからこそ、かいつまんで登るより、一座をじっくり丁寧に歩いてみる考えです。
まとめ
「山頂ファースト」の登山計画は後悔を生みます。少なくとも自分はそうでした。
私の場合、登山を始めた頃「一度にいくつも山を登らないともったいない」と思っていました。ただ、闇雲に全国にある名山をスタンプラリーをしているかのように塗りつぶしていました。
しかし、時間が経つにつれて、「一度にいくつも山を登ったらもったいない」と考えが変わっていきました。
甲武信ヶ岳の登山は、これらの経験から生まれた登山プラン。
頑張れば日帰りできる山ですが、あえて一泊しています。コースの充実度を重要視して、わざわざ電車とタクシーを使って遠回りし、縦走するコースを選択しました。
もちろん、短期間で百名山を登頂チャレンジをしている人や家庭の事情でなかなか遠出できない人は別です。その場合は、効率重視の計画が良いですし。
自分のように後悔を生まないよう、自信に合った登山プランを立ててみてください。
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