2011年7月23日
山梨県と静岡県にまたがる富士山に行ってきました。標高は3776mです。
名実ともにナンバーワン、日本の最高峰です。日常で、そして山の上からその姿を眺め、やはり日本一の富士山に立ちたいと思いました。
今回は山梨県側から吉田ルートで山頂を目指しました。推奨はされていませんが、夜通し歩いて、山頂で御来光を見てきました。
登山を始めて1年生。ついに富士山を登るチャンスが巡ってきました。
東日本大震災で登山活動が停滞したものの、ゴールデンウィークから丹沢の大山、表尾根とステップアップし、体力と知識がある程度つきました。
それでは、日本一の富士山の旅スタートです。
富士山について
地図
山梨県側より吉田ルートで登りました。
スバルライン五合目をスタートし、山頂でお鉢巡り、「下山道」でスバルライン五合目に下りました。
アクセス
新宿バスターミナル(バスタ新宿)からスバルライン五合目の直通バスを利用しました。
乗車 | 降車 | 料金 | ||
---|---|---|---|---|
新宿駅バスターミナル | 16:45 | スバルライン五合目 | 19:20 | 2700 |
2011年は上記のダイヤが存在しましたが、現在は新宿駅からの直通バスはないようです。
富士山登山
新宿駅から高速バスでスバルライン五合目へ
富士山の山梨県側の登山口であるスバルライン五合目へ直通するバスに乗るため、新宿駅西口の高速バスターミナルに集合しました。
メンバはいつもの「みやじゅん」、「わっちい」+みやじゅんの会社の先輩の計4人です。
金曜日に有給を取得し、今回の夜通し登山に挑みます。
バスに乗車すると、空席が目立ちます。この時間から登る人はやはり少数派のようです。そして、自分たち以外は外国人しかいませんでした。
中央道で大月から富士五湖方面に走る高速バス。これから登る富士山が見えてきました。
今までは眺めることしかできなかった富士山。日々、業務に追われるサラリーマンですが、マグマのような心の高ぶりが湧いてきました。
渋滞に巻き込まれることなく、定刻通りに標高2300mのスバルライン五合目に到着しました。
新宿から一気に標高が上がったので、ひんやりする気温差に少し戸惑いました。これからの富士山の登山にワクワクしつつも、一抹の不安が…。
スバルラインの後半に、頭の奥に頭痛の種のようなものを感じたのです…。
スバルライン五合目で高度順応のため休憩
富士山五合目は4,5件くらい、売店またレストランがありますが、この時間に営業しているのは僅かです。夜間登山へのバスにしては、早い到着のせいか人がまばら。
高山病対策で高度順応するため、2時間ほど十分な休憩を取ることにしました。
トイレやお土産屋を回ったり、ぶらぶら。
高速道路から見たとおり、頂上付近には雲が掛かってました。明日の天気がとても不安です…。
お土産屋の前に置いてあるこれで、記念撮影を忘れずに。
何か腹ごしらえをと、この時間は一軒のレストランしかやってませんでした。
900円のカレーを食べました。
具がない、量がない、ザ・レトルトの味。
これ以外にはうどんかそばしか選べない。この遅い時間に営業しているレストハウスですから仕方がないのかもしれません。
打ち合わせ中。
観光地化している富士山の一番メジャーな吉田ルートを行きます。
レストランでだらだらし、外へ出るとすっかり日は暮れ、登山者が増えてきました。
準備を終えて、20:45過ぎに出発します。翌日12時下山予定の長い長い旅の始まりです。
真っ暗闇の中で、富士山の登山開始
富士山五合目の入り口です。
当然、明かりなんかあるわけもなく・・・。
五合目の道は、いきなり下ります。
平坦な道が続いたり、階段があったりします。暗くて全然わからなかったけど。
登山客の多い富士山だけ会って、看板がしっかりしています。
大抵、木の板に手書きの物が多いのにね。6キロの道を6時間半かけて歩くわけです。
新宿駅から東京駅くらいの距離?
登山口に入って、しばらく石段や坂道を進むと明かりがついている建物が現れます。
富士山6合目(21:18)に到着です。
あっさり1合分を30分弱で歩いて、楽勝なんじゃないかと思った・・・が、これはこの区間だけの話だった。
富士山安全指導センターがあります。
ここで、葉書サイズより少し大きいくらいの地図を配っていました。
サービスいいですね。
オリジナルTシャツを着た団体がいました。
なにかの山岳会なのかな?
6合目から街の夜景が見渡せます。
富士山が独立峰として存在するこその光景ですね。
写真ぶれてるけど。
6合目を出発し、7合目を目指します。
夜間なのであまり写真が撮れなかったけど、こんな岩場もあり登りがきつくなってきます。
いつもならエアコンが効いた部屋で金曜ロードショーを見てる時間なのにと思いながら、登山者のヘッドライトの明かりが連なる道を進むと小屋が現れてきます。
富士山7合目の花小屋に到着しました(22:08)。
この7合目で2700mあります。まだ、半分も来てません。
この7合目過ぎから山小屋が点在し始めます。
小屋を越えた上り口で渋滞が・・・。
とはいえ、このあたりではまだ道が広いためサクサク進みます。
温泉街の鬼怒川や伊豆並に宿(山小屋)が存在しており、世界広といえどもこの富士山だけではないのか。
「200円で焼印押すよ~」
「あったかいコーヒー、ココアあります!」
「仮眠休憩3000円です~」
こんな感じに小屋の人の声が飛び交ってます。
ああ、ここは観光地なんだなと。
そんな中を進みながら8合目を目指します。
8合目までの道のりは結構険しく、手をたまに使うくらいの岩場が続きました。
そして、ちょうど5合目と山頂の間に位置する8合目の東洋館に到着しました(23:12)。
この東洋館は建てて真新しいのか、チラッと見た感じ内装がとても綺麗でした。
そしてこの渋滞である。
半分登ってきましたが、ここからの半分の道が日本一を冠する富士山が本当の試練を与えてきます。
道の角で倒れこむ人が目立ち始め、軽装の人が引き返してくる場面に出くわし始めます。
山小屋前のベンチで座り込んで、酸素缶を吸う人がいます。
7合目を過ぎたあたりで、なんだか頭痛がしてきました。「これは高山病ではない」と言い聞かせ登り続けてます。
が、結構本格的に痛み始め、細かい休憩を挟み挟み登ります。
ポケットに入れ連れてきた「くまぞう」
熊除けではなく、熊をもってきてやったぜ。
下のおニューぱんだ手ぬぐいは秋葉原ヨドバシカメラの本屋で売ってたので買いました。
日常では決して見ることができない満天の星空が広がっています。
日本一の標高から見る星空は地上と宇宙の境が曖昧になるほど素晴らしかった・・・。
中には流れ星が見えたと言ってる人がいたり。街の夜景と共に眺める星空はそれだけでも登る価値ありな光景です。
そしてこの位置から星が見えているということは、夕方かかっていた雲は晴れているということで明日の天気の心配は要らなくなったわけです。
標高3200mに位置する白雲荘に到着です(0:47)。
ここから風が強くなり、本格的に寒くなります。
ミドルレイヤーに去年買って一度も使わなかったユニクロのプレミアムダウンジャケットを中に着ます。
小屋からはご来光の時間に合わせて出発して始める人も増え、ますます登山道は混み始めます。
マウンテンジャケットのフードをかぶらないといけないほど寒いです。
なにより風が体感温度を下げる。
写真撮ったけどよく覚えていない富士山天満宮
標高3350mにある富士山ホテルに到着(1:32)。
日本最高峰のホテルなのかな?ホテルって言っても山小屋だけど。
この辺で頭痛がどんどんひどくなってくる。
下を見るとまだまだ登ってくる人のヘッドライトが。
高山病だという疑いが晴れてくる。これは高山病だ・・・。
体力は全然余裕があるのに・・・。
じ、自分だけは掛からないと思っていたのにっ!!くそっ!!くそっ!
小休憩を入れつつ休むと少し頭痛が収まります。
バナナ1本150円・・・。
9月中旬まで営業しているトモエ館。
標高3450mに位置し、これ以上先には宿泊小屋はない御来光館に到着(2:34)。
立ち止まり進む渋滞が始まり、身を隠すことができない斜面で凍えるような風を受け体温を下げられます。
日本一最悪な列と言えるでしょう。
立ち止まると頭の痛みを感じ、歩き続けたいのですがそうもいかない状態で苦しみました。
上を見るとヘッドライトがずっと続いているので絶望するのもこのあたりから。
振り返ると雲の上が明るみ始めています。
この時点で、3:58.
そして、苦しい登りを耐え富士山山頂へ到着です。
ああ、やっと着いたという感じでへたり込みました。
適当な場所を見つけ、御来光を待ちます。
富士山の山頂から御来光を拝む
天が我々に富士山に登るために用意してくれたように日本晴れ。
富士山の頭上には雲ひとつない、絶好の御来光日和となりました。
頂上にたどり着いた人は皆、太陽が上がる東の方向でその時を待ちます。
全員がデジカメや携帯でシャッターチャンスを待っているのは、いかにも日本人らしいですね。
夜中より風は収まったとはいえ、まだまだ真冬並みに寒いです。
ましてや待っているとなるとかなり体にこたえます。
東側に海岸線が見えるのですが、相変わらず山頂からの地理間がなく・・・。
富士山より東側だから三浦半島?
よく見たら海じゃなくて雲だった。
水平線がどんどんオレンジに染まっていきます。
一日の始まりがこんなに変化のあるものだとは・・・・。
地上だと、新聞配達の原付の音が「ぼぼぼぼぼ」って聞こえてくる時間帯。
太陽が顔を現すポイントがはっきりしてきました。
静かに太陽が顔を現して、富士山山頂が徐々にオレンジに染まってきました。
夕方だねこの雰囲気は。
美しい。
この光景が365日、毎日毎日繰り返されていると思うと感動です。
太陽の光が、地上の全てを照らし出して海や山、川、街をあらわにして、世界を広げていきます。
精も根も尽き果てていたけど、ウルトラマンのように太陽からパワーを得て喜びのポーズ!
富士山の山頂で、日本一の富士そばを作る
グットモーニング。富士山山頂で、朝食の時間です。
富士山で食べるものといえば!?
そう!そばですね!「富士そば」です。
自分はこの富士そばをやるとめに、登頂にほとんどの情熱を注ぎ込んだと言っても過言ではないです。
そばとそばつゆの準備は自分で、具材はみやじゅんが持ってきました。
山菜に小柱のかき揚げ、厚揚げ、忘れてはならない七味唐辛子(わっちぃ持参)、言うことない材料達です。豚の角煮は意味わかんないな。
調理に少し時間が掛かったけど、いい具合に完成です!
日本最高峰のそばだと言うことは間違いないですね。
そばを食べ終え、トイレ休憩やらでふらふらすることに。
すごい賑わいですね。
海の家のようにお土産屋や食事処が並んでいるのはビックリした。
夏の日差しが照り付けているのに対し、歩く人間の格好は冬のゲレンデみたいな厚着ですごい違和感。
店員の呼び込みや店舗で流している音楽には「おいおい」と思ったり。
アフリカ奥地の原住民が東京に連れてこられて、ビル郡や電車に驚愕するように、自分はこの自販機には驚いた。
お値段は通常の3~4倍ですが、喫茶店に入ったと思えばね。
お土産の数も豊富。
ここまでくると、胡散臭いおもちゃや富士山登ってきましたクッキーなんかも置いて欲しい。
明るくなってからどんどん人が増えてきます。
帰りのバスの時間は早朝6時過ぎ。
休憩をたっぷり取りました。
富士山の火口は今まで登った活火山の那須岳、焼岳よりもはるかに広く深かったです。
反対に建物が見えるあたりが富士山の最高地点3776mの剣が峰があります。
並んでるじゃないか・・・。
高山病でふらふらになりながら、気合のお鉢巡り
富士山の火口周辺を回ることをお鉢巡りといいます。
高山病の体に鞭を打って進みます。
どこを歩いても視界が広いですね。
反対側に来たときに見えた影富士。
日が一番高い時期でこの大きさだけど、冬はもっと伸びるんだろうな~。
剣が峰方面へ。
坂道を歩くと頭痛がひどくなりすぐ息が切れます。
剣が峰は渋滞していて諦めてしまいました・・・。
この場所だけが心残りです。
7時前なのに正午過ぎの日差しなので時間の感覚がわからなくなる。
静岡県の愛鷹山や伊豆半島が見えます。
そこらじゅうで昼寝をしている人、ぐったりしている人がいます。
富士山浅間神社の奥宮がありました。
御朱印がもらえる様なので、御朱印帳をもってきている登山者がいました。大切な記念になりそうです。
みやじゅんの恒例のジャンプ。
金峰山での複線を回収しました。
世界はこんなに広いんだポーズ。
二人であほな写真を撮っている間、他二人はぐったり。
富士山は火山だということを忘れがち。
ただ、威力は箱根の山よりないらしい。
下山道が見えてきました。
お鉢めぐりを終えて、お土産屋があるところまで帰ってきました。
砂埃をかぶりながら、標高3776mから下山
富士山山頂を満喫し、きつかった登山を終え下山を開始します。
この下山道、小さい砂利なので歩くと砂埃が舞います。
前日に雨が降っていたためかこの日はそこまで酷くはなかったらしいけど、マスクや必要によってはゴーグルが必要なほど砂が舞うそうです。
下山道は永延、同じ方角の斜面をじぐざぐに進むので面白みがない。
正面に見える湖は山中湖。
手に持っているのは登山の時には必ず使用しているパンダの手ぬぐい。
てぬぐい専門店のかまわぬという店で買えます。
ちょくちょくおばちゃん達に「それいいね」って言われます。
まだまだ続く下山道、思いっきり走ってる人がいましたが、砂利で滑ってこけました。
自分も何回かズルッと滑りました。
この道たまに運搬用の車が通りますよ。乗っけていってほしい。
途中途中、頻繁に休憩を入れました。
標高3000mでする昼寝は最高ですね。風はひんやりして、日差しを塞げばポカポカするし。
ずーっと小屋もない道を進むとやっと7合目付近でトイレがあります。
崩れ落ちて寝ている山ガールがいました。
6合目まで戻ってくると後は平坦な道を行くだけです。
落石防止のトンネルが随所にありました。
途中に馬がっ。
どうやら6合目から5合目で運んでくれるサービスがあるようです。幾ら掛かるかは知らないけど。
下山している登山者が乗っていたけど、いい写真の的になっていて、恥ずかしいなありゃ。
だいぶ降りてきました。
といっても標高2300mはあるはずだけど。
6合目で、初めて登りの道と合流します。
すごい数の登山客がいて、上を眺めた限りじゃすごい渋滞してました。
5合目が見えてきました。終わりが近いです。
1馬力の車がっ。
ついにゴールです。
富士山5合目に帰ってきました。
12時24分に着いたので、15時間以上行動していたことになります。
こんなハードな経験したことない。
少し休憩後、前日できなかった5合目を探検。
こんな神社があったんですね。
昨日食べたカレーより、この噴火カレー食べたかったな…。
富士山5合目からは南アルプスが一望できます。
奥にうっすら見えるのが南アルプス。近いうちに行きたいです。
この後は予約済みだった高速バスで新宿駅に帰りました。
富士山登山を終えて
富士山の登山は夜通しと言うこともあり、とても過酷でした。
しかし、山頂に立った時の感動と標高3700mの世界から眺める景色は忘れようもありません。一度はその場所に立っておくというのは、一生ものの勲章になると感じました。
富士山 残雪期(5月)の記事はこちら
まだ雪の残る5月に富士山を登った時の記録になります。
12本爪アイゼンとピッケルを携えての登山なので、雪山経験が必要です。富士山頂の凍てついた世界、標高差1000m以上の滑り台と見どころ満載です。
コメント
登頂お疲れちゃん。
初の夜行登山は楽しんでいただけたでしょうか?
なんだかんだ言っても日本一だからね、富士山側もそりゃ~簡単に登らせないために高山病やら渋滞やらを仕掛けてきますよ。でも、それもことごとく突破したようで。
これでようやくマスコミの質問にも、「えっ?富士山??あぁ、もちろん登ったよ。・・・えっ?高山病?・・・ううん、余裕だよ。」って言えますな。
高山病も登山者渋滞も今となっては思い出だね。
もし次来る機会があれば、昼間に登ろう。
これで日本一を制したわけだが、まだまだ全国には強豪がいるから楽しみだね。
こんにちは★いつも楽しく参考にさせて頂いております。
お陰さまで、根性で剣ヶ峰に登頂しました(水2.5Lとアミノ酸ゼリー3個背負いました。節約!)♪弾丸夜行登山は辛そうなので諦めて、本八合目トモエ館に8(月)宿泊し、翌9(火)早朝に出発。高尾山・稲荷山コース並みに混雑していましたが、渋滞は避けられました。
平日で連休前だったのが、良かったようです。
そして、お天気に恵まれ、感動のご来光を拝み、雲海に浮かぶ影富士もバッチリ(*^^)v
下山中は砂にまみれ、何度か転倒しましたが・・無事、下界に戻ってきました。
☆リクエスト☆登山道に到着時間&駐車場の混雑具合も載せて下さいお願いします
>マメミさん
富士山登頂おめでとうございます。
天気に恵まれて、無事に帰ってこられて何よりです。
世界遺産になった初めての年に富士山の登頂。死ぬまで語ることができる冒険譚ではないでしょうか。羨ましいです。
毎日のように報じされる富士登山。
また、登りたくなってきました。
>☆リクエスト☆登山道に到着時間&駐車場の混雑具合も載せて下さいお願いします
了解しました。
過去の記事を全部直すのはちょっと厳しいので、気軽に聞いて下さい。
ブログ楽しく読ませて戴いております。
(特に男体山登山の際は大変参考になりました。)
>一番メジャーな富士宮コースを行きます。
と有りますが、吉田コースですよね?
☆You☆さん
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ありません。
だいぶ、昔の記事にご指摘ありがとうございます。
また、男体山を参考にしていただきありがとうございます。毎年のように登っていますが、今年も登りたいです。
引き続きよろしくお願いします。